今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

ど忘れを思い出すまで

2018年04月19日 | 心理学

記憶現象の不可解さを体験した。

よく知っているはずのものをど忘れして、そしてそれを自然に思い出した。

そもそも私は鉱石の中ではアメジストが一番好きで、昔から原石などを持っており、今日は授業でスピリチュアルの話しを少しするためにパワーストーンであるアメジストのネックレスをして出校した。

その途中、学生にこの石の名を聞かれた時に答えようと、この石の名を思い出そうとしたが、全然出てこない。

思い掛けない「ど忘れ」に遭遇して焦った。
なんとか着く前に思い出さないと。

そもそもなんでこんな身近なものの名前をど忘れするんだろう。
しばらく縁遠かったとか、あるいは内心嫌いになっているとかだったら、説明がつく。
ど忘れというのは、忘却ではなく(なぜなら覚えていること(=保持)は確かだから)、それを意識の俎上に上らせる想起の最後の通路がなぜだか途切れてしまった状態だ。
記憶を成立させているニューロンの回路と意識の俎上との通路(ニューロンのつながり)が滞って、前に進まない感じだ。

だから、なんとかすれば思い出せる自信はある。
ただ、どうすれば思い出せるかが分らない。

記憶というのは、頭の中にどう貯蔵されているのかというと、互いの部分的共通点すなわち連想による順で並んでいると思う。

なのでまずは、石の名を思い出すため、その視覚像を表象する(持っている原石を思い浮かべる)。
そもそも首元に実物があるので、それを眺め、触ってみる。
だめだ、名が出てこない。

次は言語連想。
表象している視覚像から頭に浮かんでくる音韻を待つ。
ラ行が浮かんだ。
これを頼りにカタカナで連想されたのは「ラピスラズリ(瑠璃)」。
あとは「ラベンダー」。
ど忘れしている場合は、不正解はちゃんとわかる。 

リ、ル、レ、ロからはなにも出てこない。

とうとう大学に着いてしまった。
そしてすぐに授業。
幸い、私のネックレスを尋ねてくる学生はいなかった。

昼休み。
近所の店に買物に行こうと、校内の階段を降りて、玄関に向った。
目の前には薄茶の服を来た女性が立っていた。
その瞬間「アメジスト」であることを思い出した。
「ラ行」は無関係だったじゃないか。 

どうやら、ど忘れした原因は、アメジストに色が近いラピスラズリが意識上に陣取って、邪魔していたためのようだ。
実際、ここ最近はアメジストよりラピスラズリが気に入っていた。
でも邪魔するものかなぁ。

そして、思い出したきっかけもわからない。
連想法は、そもそもラ行が出て来た時点で失敗だった。
アメジストの”紫色”に色が近い”青い”ラピスラズリを誤連想させてしまったのは、ラピスラズリによる干渉の結果だ。

薄茶の女性とアメジストとの接点は思い浮かばない。
とにかく思い出そうと努力して、その努力の作業から抜けた時に、ふとなんの努力もきっかけもなく思い出すということがある。

もともと思い出すのに苦労するはずのものでないのだから、努力無く思い出してもおかしくない。

それにしても、何で忘れ、そして何で思い出したのか、自分で説明できない。
これらはシステム1領域の現象なので、意識(システム2)はあずかり知らないのだ。
かくも記憶って不思議だ。


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