今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

東高尾の草戸山に炊きハイク

2018年11月25日 | 山歩き

先月の横瀬二子山から始めた”炊(かし)き”登山、すなわち山上で火を炊いて食事を楽しむのを目的とした山歩きを、今月も続ける。
といっても炊きにさらに重点を置くため、山のグレードをぐっと下げて、高尾山(599m)の東にある草戸山(364m)にした(なので登山ではなくハイク)。
なぜなら、前回、ソロストーブの着火に手間取ったので、今回は山歩きよりも、ストーブの扱いに慣れるのを第一とするから。

その草戸山は、高尾山の東隣りの標高300mほどの山陵上の峰で、城山湖(本沢ダム)を見下ろす位置にある。
私は、高尾山域では、高尾山の全ての行路はもちろん、西に延びる奥高尾の縦走路、北高尾山陵、南高尾山陵にも足跡を残したが、”東高尾山陵”に相当する草戸山陵は、あまりに低すぎてまったく対象外だったこともあって、ここだけ歩き残していた。
それが今回、第一の候補になった次第。

高尾山域は、近場でしかも交通の便がいいので、他の山域より遅発ちでいいのが楽。
というわけで、11月の3連休最後の日、8時すぎに出発。

京王線終点の高尾山口駅では、高尾山に向う家族連れ、カップル、若者グループ、中年・高年グループでごった返している。
老・若・男・女の人口分布に偏りがないのは、観光地として立派。
それどころか、欧米系・アジア系の外国人の割合も高い。 

そのあおりで駅のトイレは男女とも長蛇の列(トイレは出発駅ですませておこう)。
駅隣りに温泉施設もできて、もはや高尾山は”近くて良い山”すぎる状態。

この雑踏から抜け出て、高尾山とは甲州街道を挟んで反対側の草戸山に向うのは私一人。
街道からの入り口はちょっと判りにくいが、詳細地図を持っていれば迷うことはない。
入り口から少し先の、住宅の脇を抜ける細い登山道へは指導標がある。
たった一人で山道を登り、高尾山口の騒音も途絶える頃に、稜線に達する。
ここで高尾駅からの稜線伝いの道と合流して、これから右(南)に折れて草戸山へのゆるい登りが続く。
紅葉は終っており、新しい落ち葉を踏みしめる。

やがて次々と走ってくる人がやってくる。
来月、このルートでトレイル(走って山を駆け抜ける)が開催されるので、その練習か。

実は、私も30歳前後の油の乗り切っていた頃、「ランニング登山」 に触発されて、登山靴をジョギングシューズに履き替えて低山を走ったものだ。
日本アルプスもジョギングシューズで軽快に歩いた。
その因果なのか、今の私は腸脛靱帯炎すなわち”ランナー膝”に苦しんでいる。
くれぐれも無理は禁物。 

というわけで痛み予防のためのZAMSTのサポーターを左脚につけた私は、無理をせず、のんびり歩く。
といっても、ご老人の団体は、追い抜かせていただく。

眺めが開けた草戸峠に達すると、目の前に高尾山の山陵を仰ぎ見る(写真)。
高尾山は独立した山というより、長い山陵の最高点なのだ。
今まで、高尾山は周囲の山から見下ろすばかりだったが、こうして近場から見上げるとそれなりに風格を感じる。
あちらは、今ごろ登山口から山頂まで人でぎっしりだろう。 
休日の高尾山頂はまさに立錐の余地がなく、坐って昼食をとるすき間もない。 

いったん下って、樹林帯の中の草戸山の最後の登りとなり(写真)、
ぱっと開けた山頂に出る。
山頂には、展望台と山の神の立派な祠がある。
展望台からは、相模原の市街地などの平野部が見渡せる。
残念ながら、富士や高尾山は見えない。 

山頂の周囲には、昼食用のテーブル+ベンチが点在。
まだ正午前ということもあって選び放題だが、ここは単独行なのでテーブルなしのベンチに陣取って、いよいよ炊きの開始。
ここまで来る間に手ごろな枯れ枝や枯れ葉を拾ってきており、それを燃料にする。
前回、着火に手間取ったのは、コンロに鍋をのっけた状態で着火しようとしたため、燃焼空間が狭かったのが理由と思う。
なので今回は、鍋を載せず、上空を空けたままにすることで、コンロ内の空気の上昇ルートを確保する。

まず新規購入した電子着火装置で一番下に敷いた新聞紙に着火する。
USB充電式でライターよりも奥に届く。
今回は途中で消える事もなく、順調に火がまわる。
低山の植林で豊富にある杉の枯れ葉がよく燃えるので、それが炎を上げている間に、太めの枝を、これも新規購入した鋸付きの十徳で、コンロ(かまど)に合う長さに切る。
火が安定したので、鍋に水を入れ、コンロに載せる。
火力はガスストーブに負けるが、燃料は周囲に無限にあるので、好きな時間だけ火を炊いていられる。
沸騰した湯をカップ麺に入れる。
ガスなどの燃料式でない竈(かまど)なので、一度着火したら途中で消すわけにはいかない。
3分待っている間もカップ麺を食べている間も、枯れ枝をくべて火をつけておく。
最後に今一度、湯を沸かし、インスタントコーヒーを飲む。
竈方式なので、まずは木が炎を上げて燃え、その後黒い炭になって今度は遠赤外線(色温度が低すぎて炎が見えない)で熱を発する。
そして最後は白い灰になるので、きちんと消火したら、付近に木の養分として撒き散らせる(花咲爺が撒いた灰と同じ)。

かくして、炊きに1時間ほどを費やした。
気がつくと周囲のベンチは満杯で、坐って昼食を摂りたい登山客たちが私が陣取っているベンチを眺めているので、急いで出発の身支度をする。

炊きのコツもつかめたので、 満足して出発。
草戸山からさらに稜線を南下して、神奈川県に入る。
ここから足下に城山湖が見下ろせるのだが、なんと貯水池に水がない!
城山湖を一周するコースも今回の候補だったが、それにしなくてよかった。

今回のコースは、高尾の東隣りの草戸山陵を南下して南高尾山陵の榎窪(エノクボ)山(420m、今回の最高地点)に達して、そこから西に折れて三沢峠に降り、そこから北の谷に降りて出発点の高尾山口に戻るというもの。 

後半の帰還ルートは、高尾から城山湖の南にある「峰の薬師」への参詣道である。 

最後は国道20号線の歩道だが、そこ以外は、高尾山よりも気楽に山の気分が味わえる。
高尾山以外に高尾山口から行き来できる、しかもはるかに静かな山があるのを知って得した気分。

かくして高尾山は、ますます近くて良い山となったので、駅前の案内所で売っていた専門けの『高尾山薬王院の歴史』(外山徹)を買った。
考えてみれば高尾山は、東京一の霊山でもある。
次は、パワーの計測をしてみるか。 


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