今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

酷暑の神楽坂を歩く

2020年08月30日 | 東京周辺

安倍首相の退任については、誰もが言いたいことはあり、私も例外ではないが、
ここで私見を開陳しても、読者諸氏にとっては、共感・反感はあっても、
情報量的に得ることはないと思うので、心にしまっておく。
ただ潰瘍性大腸炎という難病は、決して自己責任ではなく、それをおしての今般の情勢での責務は、最悪のストレスだったということ。
コロナ対策になんの責任もない私でさえ、緊急事態宣言中は、降圧剤が効かずずっと血圧が高かった。
あと、こういう時のコメントこそ、人間性(人としての心)が判ってしまうものだ。

さて、8月最後の日曜。
相変わらず暑い。
わが私設本駒気象台では37℃を越える酷暑の中、あえて都心(新宿区)の神楽坂(かぐらざか)に行った。
もちろん日傘をさして。

なぜ神楽坂かというと、
明後日の9月から大学で業務体制が始動し、早速職場の健康診断が待ち受けている折り、血液検査での数値と慢性化している耳鳴り(難聴)をなんとかしたい。
前者は生活習慣の改善しかなく、後者は自分で鍼(てい鍼と電気鍼)に光療法を加えている。
ただ安倍首相ではないが、すんなり改善はしないので、
あとは神仏の力にすがりたいと、近場の”薬師様”を探した。
ヒットしたのは、神楽坂にある安養寺(天台宗)。
ここの薬師像は、丈六(2m余)の半身像で、その大きさは都内では珍しい。
ここに決めた、というわけ。

 JR飯田橋から両側が商店街の神楽坂を上る。
神楽坂は、もともと”お座敷”のある街だったので、昼でも着物姿のお姐さんが見受けられる。
坂を上がって狛犬ならぬ狛虎がある善國寺(日蓮宗)に立ち寄り、
岩座」というパワーストーンを売っている店をひやかし(オーラ診断を3000円でやってくれるという)、
神楽坂上の交差点を越えると安養寺に達した。

※ケチな私はここではやらずに、帰宅後さっそくスマホアプリ、無料の『オーラ測定」と有料(3日無料トライ)の「オーラとエネルギーの診断カメラ」をダウンロードして、両方やってみた。もちろん、両方ともカメラで撮影して診断する(アンケートでオーラの色診断をするサイトがあるが、オーラは測定しなくちゃダメでしょ)。両者で色が異なり、それぞれ2回やって前者は同じ色、後者は色が異なった。背景が異なると診断色が異なってしまうのか。個人的には無料版の結果で納得。

まずは歓喜天のお堂の扉を手で開けて入る。
冷房が効いていて、厨子に入った秘仏の歓喜天に礼拝(仏像の中ではストイックとは正反対の歓喜天も好き)。
外に出て、薬師様を探すと、隣の建物の二階に薬師仏を示す矢印がある。
薬師様がある入口はしまっていて、ガラス扉の手前からしか拝めない。
中を見ると「お守り500円」とある。
これを買えば、見せてくれることを期待して、階下のインターホンを押す。
要件を告げると、二階に入ってくれという。
また二階に上がると、中から普段着姿の住職が扉を開け、入れてくれた。
中に入って丈六金ぴかの薬師様を間近に拝み、脇に置いてあったお守りを購入する(薬師像が刻印してある)。
住職に寺の由来などを聞き、本尊周囲の室内装飾なども拝見する。

この寺は、今は敷地こそ狭いが、最澄の弟子の円仁が開基で、もと江戸城内の敷地にあり、家康入府の際に現在地に移転したという。
空襲にあって寺は全焼したが、丈六の薬師仏は奇蹟的に焼け残り、補修をして現在に至っている(自ら火傷から回復された薬師様だ)。
また薬師仏は、普通は薬壺を片手に乗せているのだが、ここの薬師様は、大きな薬壺を両手で抱え、壺に覆いがかけられた彫刻になっているのが珍しい。

かくして目的を達したわけだが、神楽坂に来て、このまま帰るわけにはいかない。
なぜなら、寺町でもある神楽坂のとある寺に、わが祖母の墓があるから。

わが祖母は、私が小学校低学年の時に他界し、また同居していないので、さほど濃い思い出はないが、若い時から政治活動をしていて(戦時中、特高による逮捕歴もある)、政治家に知り合いも多く、当時の総理大臣だった同郷の佐藤栄作氏からも特大の花輪が届いたのを覚えている。
世間では、むしろ青森のキリストの墓の紹介者で有名か。
といっても、墓は個人ではなく一家の墓なので、第三者には用はないだろう(なので寺名も記さず)。
その墓に線香を手向け、帰り際に寺の奥さんとあったので、軽い世間話をした。

ついでに近所にある別の寺にも訪れてみようと、住宅街の行き止まりの道をうろうろしていたら、眼光鋭い自転車乗りの人(♂)に睨まれた。
自転車を止めてこちらを睨むその姿は、キャップを目深にかぶり、上半身はTシャツだが、丈夫そうなズボンと靴から、素人ではないとわかる。
私は、彼に一瞥しただけでそれ以上は視線を合わせず、気にする様子も見せず、スマホの地図を見ながら、平然と別の道を選んで道を曲がる。
曲がり際に、相手に顔を向けずに視野にだけ入れて見たら、彼は自転車を止めたままずっとこちらを見ていた。
私は怪しいリュック姿であったが、幸い黒ずくめの服装ではなく、また警戒するそぶりをしなかったので、職務質問を受けて、リュックの中身を改められずに済んだ(アウトドア用のポケットナイフなどが入っていたらたいへん)。
まぁ、住宅街をうろうろしていると怪しまれても仕方がないか。

気を取り直して、表通りに戻り、神楽坂上の押し詰まった所に達すると、赤城神社がある。
言わずと知れた上州赤城山の末社(上州由来の神社では他に榛名神社、妙義神社が都内にあるが、これらの多くは維新の際、皇祖を祀る神社に無理やり合祀された)
幸い、ここの赤城神社はここ牛込地区の鎮守として残り、町名にもなっていて、江戸庶民の信仰が守られた。
社殿がモダンで、現代的神社として注目に値する。
併設する「蛍雪天神」は、「蛍雪時代」の旺文社の協力によるもので(後から知った)、受験の神様としてだけでなく、芸術の神様にもなっていて、隣の絵馬を懸ける所には、「スター・ウォーズ:フォースの覚醒」を始めとするいろいろな映画やテレビ番組のヒット祈願の大判の絵馬がたくさん並んでいる(写真)。
境内には茶屋ならぬおしゃれなカフェもあり、ゆっくり時間をすごせる。

山好きな私としては、関東平野の主たる赤城山の自然崇拝に由来する神社こそ応援したい(根源的な宗教心に一番近いから。神道の普遍的価値はその宗教的”根源”への近さにある)。

神社のそばに東西線の神楽坂駅入口があり、ここから帰路についた。
かように私には神楽坂は昼にしか用がない。



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