今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

夏至の水辺旅1:渥美半島

2023年06月18日 | 

一年でもっとも日が長い夏至(6月22日)と、その直前に訪れる日射最大の日(6月15日)は、日本では幸か不幸か毎年梅雨のさ中なので、それら"陽気"の極日を実感できないが、
※:陰陽循環理論では、夏至は陽気が極まる日であるから、冬至の”一陽来復”に対応して、陰気が復活しはじめる日でもある。

できたら夕日を日の長さを最大限に味わえる水平線で見たいという思いがあって、この時期の旅は海辺にしている。
愛知でそれにふさわしいのは、渥美半島の先端・伊良湖岬

もっとも伊良湖岬だと日の入りは伊勢湾を挟んだ紀伊半島の山の陰となるが、伊勢湾・三河湾・太平洋に囲まれたこの岬は、県内で海を味わうには最高の所。

実は先週夏のボーナスが支給されたので、それを祝した2泊旅も兼ねている。
なので、今晩は伊良湖に泊まって、明日は浜名湖に泊まる。
そう、先月は茶臼山・前回は東濃という山側の旅が続いたので、今回は海と湖を巡る水辺の旅とする。

伊良湖も浜名湖もどちらか一方に行く時は、公共交通機関(船、ローカル線)を使って旅情を楽しむのだが、両方を結ぶ今回は、車を使って、両者の間にある立ち寄り先いきも廻ることにする。

まず、本日の伊良湖行きには、渥美半島の付け根の田原市にある笠山に立ち寄る(写真)。
笠山は、隣接する蔵王山のような観光地ではないが、蒲郡付近を走る新幹線の車窓からも確認できる神奈備型の小山で、渥美半島で行きそびれいた。
麓に駐車場があり、そこから山頂まで一直線の石段。
神奈備型の小山だけに山頂には笠山神社の祠があり、雷神を祀っている。
79mの山頂からは、渥美半島の付け根である蒲郡湾が一望。

ここから、田原市街の田原城趾にある市博物館に行く。
ここは以前も訪れたが、今回も田原藩出身の渡辺崋山が展示の中心。
儒学者から洋学者に転じ、当代一流の画家でもあった(作品が国宝になっている)多彩な崋山は49歳の若さでこの地で自刃した。
さらに、渥美半島中央部にある渥美郷土資料館にも立ち寄る。

これらでわかるのは、渥美半島は旧石器時代から人が住み、平安・鎌倉期には渥美産の焼物が盛んだった(渥美半島は伊勢・奈良と東国とを結ぶ最短路でもある)。
また江戸時代の有名人では、今までは崋山一色だったが、新たな地元の推しとして糟谷磯丸という庶民俳人が挙げられている。
そして明治になって豊川用水が引かれてからは農業が盛んとなり、メロンなどが名産となる豊かな地になった。
それに渥美半島自体が天然の防波堤となって、南海トラフ地震の津波から愛知を守ってくれる。

泊まった宿は休暇村伊良湖で、温泉ではないが炭酸風呂が気に入っている。
ビュッフェバイキングで地元産の食材を堪能した(数年前までは三河湾名物・大アサリが食べ放題だったが、今ではふつうのアサリのみ)。
夕食後(日没前)に屋上に上がって、夕靄にかすむ伊勢湾と、あいにくの雲間から夏至近い夕日を眺めた。