今年2月に公開した『バブルへGO!!』(広末涼子、阿部寛)が、早速レンタルショップに並びはじめた。
この映画、バブルを東京でもろに体験した者には、恥ずかしくも懐しい自分を思い出してほくそ笑んでしまうこと請け合い。
『三丁目の夕日』の素朴な昭和30年代の東京を幼少時にすごした私は、成熟して女子大の非常勤講師になった時、バブルに突入。
周囲の女は”ワンレン・ボディコン”(ワンレングスのヘアースタイル、ボディコンシャスネスのウエア)、
男は”DCブランド”(デザイナーズ&キャラクターズブランド)のダブルのスーツに身を固め、互いのフェロモン全開していた。
当時定職につけずにいた私自身は、収入的にはひどいビンボーだったのだが、世間のお祭り的雰囲気には同化できて楽しかった。
そこが今の「格差社会」とは違う所か。
バブルの功績は、消費者をホンモノ(カタカナという所がちょっと…)に目覚めた文化段階に導いたこと。
それまで一定のニーズがあった「ニセブランド」には見向きもしなくなり、見かけの記号ではない、質の違いにこだわるホンモノ志向になったのだ。
だからバブル崩壊後も、消費者はただ安けりゃいいというわけではなく、品質に厳しくなった(バブルの頃と違うのは、価格にもシビアになった事)。
バブルの頃は、銀座の目抜き通りには「迎車」のタクシーがずらーっと多重行列しているのが壮観で、そのあおりで流しのタクシーはぜんぜん拾えなかった(映画にそれを思い出させるシーンがある)。
私自身、非常勤講師のさえない身分ながら、小笠原流礼法(ホンモノの作法)の実習と称して、女子大生(当時「女子大生」自体がブランド価値)30人引き連れて六本木にフランス料理食べに行ったっけ。
きっとその時、DC ブランドのスーツ着ていたはず。
その襟の広いダブルのスーツは、高額だったこともあり(ビンボーでも買えたのは、丸井のローンのおかげ)、捨てられずにまだクローゼットに掛かっている。
でも今着て歩けない!