今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

旅先で車が

2007年10月14日 | 失敗・災難
今月の温泉旅行は、信州八ケ岳は天狗岳(2646m)山麓の「唐沢鉱泉」(二酸化炭素泉)。
山中の宿だが予約すれば茅野駅から送迎してくれる。
なので車で行くか鉄道で行くか迷った。
名古屋からだと遠いし、登山はしたいがドライブの予定はないので、あえて車でなくてもいいかとも思ったが、
登山用具やビールを2日分持っていくので、わが愛車ローバー・ミニ1000ccで行く事にした。
この決断が、このあと私に乗用車歴最大の窮地に立たせることになるとは、当然知る由(よし)もなかった。

7月以来の遠出なので、前日にガソリンを満タンにし、タイヤの空気圧を高めにしておいた。
車の少ない中央高速を快走し、「諏訪インター」で高速を降りて、国道20号(新道)で茅野に向う。
と、ここまでは順調。

【アクシデント発生】
ビーナスラインへ左折する茅野市内の交差点で、信号待ちのため停車したら、車のエンジンが止った。
すぐさまセルを回してエンジンをかけ直し、ビーナスラインに入る。
いよいよ八ヶ岳山麓だ。
時刻はまだ午後2時前なので、途中の「尖石考古館」をたっぷり見学できる。

ところが次の分岐で、麦草峠へ向う国道152号へ入るべきなのを、ビーナスライン(白樺湖方面)に入ってしまった。
間違いに気づいて、引き返そうと路肩に避けて停車した途端、再びエンジンが止った。

今度はセルを回しても、エンジンがかからない。
こういうことは、以前も高速や山道を長時間走った後に起きた。
その時は、ちょっと車を休めれば、すぐ始動していた。
今回もちょっと休んで、セルを回した。
セルを回す音はするのだが、エンジンがかからない。
車内にガソリンの臭いがただよってくる。
まだ休み足りないのだろうと、もう少し休むことにし、
車から出て、近くのドラッグストアに時間をつぶしにいった。
帰ってきてもエンジンがかからない。
まだ休み足りないようだ。
さらに時間を潰すため、宿で読むために持ってきた本を取りだして、シートを倒して、読む。
5分おきにセルを回してみるのだが、いっこうにかからない。

ボンネットを明けて、エンジンルームをチェックしてみる。
点火ブラグは今年の車検の時交換したし、目につく異状はない。
ガソリンはさっきチェックした時は、まだ半分残っていた。
バッテリーは確かに古くなっているが、その手の自覚症状はなかった。
ただ、ここにくるまでずっと、オーディオをほぼ最大音量で鳴らし続けてきた。
バッテリーがへたっている可能性を一番感じたので、頻繁にセルを回すのもバッテリーを更に弱らせると思い、セルを回す時間間隔を15分おきにする。
時間つぶしに周囲を歩き回ると、車の整備工場があった。
しかし今日は休みで誰もいない。

午後3時をすぎた(故障してから1時間以上経過)。
もう車が動いても、尖石見学はあきらめ、直接宿に向おう。
3時半になった。
セルを回しても、同じ反応。
このままただ待っていても、事態は改善しないことがわかった。
でも、自分ができることはもうない。

他の車にブースターケーブルでバッテリをつながせてもらおう。
トランクから赤と黒のブースターケーブルを取りだし、
トランクの下にあるバッテリをあらわにして、準備しておく。
すぐそばに大きな新聞配送所があり、車が置いてあるので行ってみたが、呼んでも誰も出てこない。
ビーナスラインは車の往来が激しいが、それだけにかえって走っている車を止めづらい。

【親切な川崎ナンバー】
運良く、向いの店の駐車場から紺のSmartが出ようとしている。
しかもバッテリチャージを頼むには最適の、30代前半の男の二人づれ。
車に走り寄って、簡単に事情を話してバッテリのチャージをお願いすると、快諾してくれた。
ただ車は川崎ナンバーで、地元の人ではなかったのが、時間を使わせるのに申し訳なさが増した。
その車のバッテリをブースターケーブルでつないで、バッテリのチャージをしてみたが、やはりエンジンがかからない。
バッテリが原因でないことが分かると、彼らは私の車のエンジンルームをのぞきこみ、チェックしはじめる。
ヒューズを抜いて、同じアンペア同士を入れ替えてみる。
試しにセルを回したら、一回エンジンがかかったが、すぐ止まった。
そしてその後はもとに戻った。
彼らはの見立てでは、ガソリンがタンクからエンジンに達するまでの経路に問題があるかもしれない、という。
工具がないので、これ以上チェックできないのを残念がってくれる。

彼らは自分たちの車に戻り、私はケーブルをしまって、
時間をつかわしたお礼に千円を差し出すと、
「そういうことはやめてくれ。厚意でしたのだから」と断ってくる。
厚意でした事にお金を渡すのはかえって失礼にあたるのは、「認知的不協和理論」から理解できる。
でもこちらとしても、ただ頭を下げるだけでは足りなかったのだ。
結局「ドライバーは困った時はお互い様」ということを納得して、お金は引っ込めた。

「こうなったらJAFに頼むしかないですよ」と、JAF(日本自動車連盟)の電話番号(#8139)をそら(丸暗記)で教えてくれる。
幸運にも車に詳しい人でよかった。
今電話した方がいいとすすめ、私が携帯でJAFと連絡とっている間も、ずっといてくれた。
私が現在地の説明に苦労していると、彼らがさっき利用していた向かいの店の名刺を渡してくれ、その住所を伝えることができた。
JAFが20分で来ることを彼らに伝えると、そんな短い時間で来ることはラッキーだという。

彼らを見送った後、道路脇に立ってJAFの車を待っていた。
私に近づいてきた車がハザードランプをつけだしたので、思わず手を振ったが、家族連れの自家用車。
私が道端で車のエンジンルームを開けたまた、人待ち顔に立っていたので、車の故障で困っているのだろうと、停まってくれたその車も川崎ナンバー。
川崎って親切な人が多いのかな。

【JAF様々】
そして正真正銘のJAFのレッカー車が来た。
JAFの人は、まずは自分で直せるか試行錯誤する。
時刻は4時半になるので、宿に電話して到着が遅くなることを伝える。
今日は宿に行けない可能性が高まってきているが、なんとか車が直ることに望みをたくす。
しかし
寒い中、さんざん試行錯誤してくれたが、結局直らない。
最後の手段、外国車を専門に扱う諏訪の修理工場(本日営業)まで運ぶことになった。
哀れ我がミニはレッカー車で牽引される。

信州なのでもう太陽は山の陰に隠れた。
果たして、今日中に宿に行けるのだろうか。
整備工場には代車がないので、JAFの人は私のためにレンタカーの手配もしてくれる。
その手があったか。
これでなんとか今日中に宿には行ける。

途中、茅野市内で国道20号旧道とのT字路に出た。
そういえば、遠い昔、我が家で白樺湖にドライブして帰京する時、このT字路を左折しようとして右からきた直進車とぶつかり、JAFの世話になったのを思いだした。
それから38年後、再びJAFのお世話になって、このT字路を今度は右折するとは、
我が家の車にとって「茅野」は鬼門なんだな。

諏訪の整備工場につき、そこでミニを渡し、JAFの人にはさんざんお礼を言って代金を支払った。
費用は会員でないとレッカー代など高くつくが、あの電話番号(#8139)で24時間どこでも対応してくれるというのだから、ありがたい(その晩さっそく携帯に登録した)。
いままでJAFって天下り先のような気がして印象よくなかったが
少なくとも現場の人は親身に対応してくれる。
遠出先の路上で車が動かなくなったドライバーにとって、JAFはまさに地獄で仏、「JAF様々」だということを痛感した。

もうすっかり暗くなったが、軽のレンタカー(といってもミニより大きい)を借りて、夜道を飛ばし、5時間遅れで唐沢鉱泉に着いた。
その5時間は、旅先のアクシデントだから、散々だったが、人々の親切に触れたおかげで、気持ちはちっとも沈まなかった。

【後日談】
宿で2泊し、3日目に整備工場に電話したら、修理は終わっているとのこと。
ホッとした。
この整備工場も仏様。
点火系のリード線が破損していて、それを交換してくれた。
あと、幾度も始動した結果、バッテリーも上がってしまったので、充電してくれた。
以上、点検料込みで10500円。
それに3日分のレンタカー代9900円。
使ったガソリンはたった2リットル(日本の軽は燃費がいい)。
JAFの料金を入れると、3万円超えの出費になった。
でも高いとは感じない。
JAF年会費5年分だし。