博客 金烏工房

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絵本楊家将 第14章 智救楊六郎(後編)

2012年03月03日 | 絵本楊家将
第14章 智救楊六郎(後編)

六郎が汝州に着くと、太守の張済が尋ねました。「将軍は佳山寨を守られていたそうですが、どうしてこんなことになってしまったのですか?」六郎はそこで起こったことの一切合切を張済に対して説明します。張済はひとしきりため息をついて言いました。「将軍、しばらくは我慢なさって街の西で官酒の製造の責任者をお務めください。半年か一年もすれば、朝廷はきっとまた将軍を起用されましょう。」

楊六郎が汝州に配流された後も、王欽はまだあきらめず、ひたすら六郎を死地に追い込もうとします。朝廷は酒税を非常に重視していましたので、王欽は六郎に無実の罪を着せようと真宗の面前に駆けつけ、六郎が汝州に着いて一月も経たないというのに、酒の密売によって金を稼ぎ、反逆をたくらんでいると弾劾しました。真宗はそれを聞くと怒りで顔色を変えて言いました。「朕は楊家に功績があることを考慮して死罪を免じてやったというのに、今またこんなことをしでかすとは、何というやつだ!」すぐさま命令を下し、呼延賛に汝州に行かせて楊六郎の首を持ち帰るように言いつけます。

八賢王がまたもや情状酌量を頼みにやって来ましたが、真宗はまったく聞き入れずに言いました。「そなたは毎回やつを庇い立てするが、まさかやつの部将が謝副使を殺していないとでも申すつもりか?」八賢王は返す言葉も無く引き下がり、寇準のもとに出向いて善後策を話し合います。寇準が言いますには、「派遣されたのが呼延賛殿というのは不幸中の幸いです!呼延殿に汝州太守とともに六郎と容貌がよく似た囚人を捜させ、その者の首を代わりに差し出させるのです。その後六郎を逃亡させて匿っておき、いずれ国家に危機が訪れましたら彼を推挙すればよろしいでしょう。」八賢王は妙案だ妙案だと褒め称え、呼延賛のもとに赴きました。呼延賛は言いました。「殿下、ご安心ください。必ずそのように致します。」

呼延賛は汝州に到着すると、太守の張済に皇帝の命令書を見せました。張済が驚いて言いますには、「楊将軍が反逆を企んでいるなど、まったくの出鱈目です。陛下はどうして忠臣を殺そうとなさるのですか?」呼延賛はその様子を見て八賢王の計略を彼に話して聞かせます。張済は言いました。「私も同感です。国に楊将軍がおらずして、どうして辺境が平穏を保てましょう。」二人はすべてをうまく取り計らい、六郎に平民に扮装して逃亡するようにさせる一方で、死刑囚の中から六郎と顔つきが似た人を捜し出して首を刎ね、呼延賛はそれを汴梁へと持ち帰りました。

その日の早朝、呼延賛が六郎の首を差し出すと、真宗は自ら首実検をします。文武の大臣たちはそれを見ると一様に頭を下げてため息をつき、誰一人としてそれが偽物ではないかと疑問を抱きません。八賢王は見破られるのを恐れ、真宗に対して言いました。「楊延昭は既に罪に服しました。陛下におかれましては何卒首を楊府にお返しになり、埋葬を許されますよう。」

真宗はそれを聞き入れ、六郎の首を楊府に送り返すよう命じました。首が届けられると楊府では屋敷中の者が悲嘆に暮れます。後に六郎が楊府に戻ると、楊家の人々はようやく事情を知り、悲喜こもごもとなりました。そして彼を穴蔵に匿い、静かに時期を待つことにしたのでした。


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