博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『鬢辺不是海棠紅』その1

2020年11月10日 | 中国近現代ドラマ
春頃に配信された于正作品ですが、他に見たいものが色々あったりしてようやく手を付けることになりました。ということで『鬢辺不是海棠紅』第1~6話まで鑑賞。全49話です。

ここんところずっと上海が舞台の近代物を見ているのですが、こちらの舞台は1930年代の北平(現在の北京)。


主人公その1となるのが、黄暁明演じる豪商程鳳台。北平の軍権を握る曹司令を後ろ盾とし、単身東北に乗り込んで品物を仕入れてきたりと、アグレッシブな商売に励んでいます。


で、芝居のことなんかとんとわからないという程鳳台が、地元の商人からの接待で京劇の女形商細蕊の舞台を見たことで、彼に興味を抱くようになります。彼が主人公その2となります。


こちらが普段の商細蕊。京劇界の風雲児で芸の実力はピカイチですが、人格に色々と難があり、北平の京劇界で幅を利かせる同門の師叔姜栄寿を敵に回したりしています。

商細蕊が曹司令とかつて諍いを起こしたということで北平中の劇場から出入り禁止となったと聞けば、程鳳台は息子の満一歳の宴で商細蕊を公演させ、曹司令と和解の機会を設けてやったりと、色々世話を焼くようになりますが、その宴の場でたまたま彼の師姐が出席していたばっかりに、師姐夫妻を当てこするような歌をうたったりと、次から次へとトラブルを引き起こします。

商細蕊は師姐の蒋夢萍を母親代わり、姉代わりとして育ちましたが、その彼女が程鳳台の遠戚にあたる常之新と恋愛に末に師門を出てしまうと、2人を深く恨むようになっていたのでした。

曹司令の件も世間的には誤解を抱かれたままで、結局曹司令に睨まれた男ということで、商細蕊は唯一残った劇場での出演の機会も断たれてしまいます。一方、程鳳台はその商細蕊の最後の公演となった「長生殿」で、彼の演じた楊貴妃を目にして心底その芸に惚れ込むようになります。彼のこれまでの身の上を、死を前にした楊貴妃に投影したのです。

今回は、練習場兼宿舎の家賃すら覚束なくなった商細蕊の一座「水雲楼」の面々が、金持ちの程鳳台から支援を引き出せないかとやきもきするあたりまで。于正作品特有のかましやハッタリなどもなく、常にはない于正の意気込みのようなものを感じます。程鳳台と同様に京劇の知識には乏しいので、敷居の高さも感じてしまいますが……
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