極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

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日米問題の根底にあるもの。

2016-02-16 20:07:01 | 日米
1952年に発効、1960年に改定された日米安保条約の現状をどう捉えるか・・・今から約57年前の日米安保条約改定の際、アイゼンハワー大統領は日米関係は完全に平等なパートナーとなったと発言しています。

2010年4月15日、米上院外交委員会、東アジア及び太平洋問題小委員会での公聴会で、ジョージ・パッカード米日財団理事長がおこなった発言が、米国内では権威あるとされる外交問題専門誌「フォリン・アフェアーズ」3、4月号に載っています。
内容は日本国内の米軍基地問題等々で、内外に大きな反響をもたらしたと言われています。

ジョージ・パッカード氏は米国保守派で米国政治の重鎮である方です。
朝日新聞電子版(Globe版100706)によれば、1956年米軍情報部員として来日、一度帰国してライシャワー氏の弟子になり、再来日、安保反対阻止、全学連指導者の唐牛健太郎氏等々と親しく付き合っていたと言われ、敗戦後の日本人の気持ちを理解したかも知れません。
その後1965~75年にはニューズウィークなどの記者、1979年、ジョンズホプキンス大高等国際問題研究大学院(SAIS)学院長、1998年、米日財団理事長に就任しています。

2007年には日米友好親善への貢献により、旭日重光章を受賞しています。
米国内では非常に強い力を持った方です。
やはり、日米問題は単に2国間問題ではなく、世界をも動かしてしまう問題を秘めてるように思います。

証言原文:ジョージ・パッカード(George Packard)米日財団理事長

日米関係の将来について、特に政治及び安全保障問題に焦点を当てて証言する。

日米同盟は双方にとって利益があった。日本は独立を回復し、世界最強の国により低コストで安全を保障され、再軍備化を避け、核兵器競争の外側にとどまり、戦後の荒廃した経済の再建に際して米国市場へのアクセスを確保した。
また、米国が占領期に蒔いた議会制民主主義の種を育てる期間を与えられた。他方米国は、西太平洋における勢力の保持が可能になった。
しかしながら、このような同盟が未来永劫続くわけではない。それは次の5つの理由による。

第1は、この条約が1952年に初めて締結された際、両国は戦勝国と被占領国という関係にあったため、主権国家間の交渉ではなかったこと。

第2に、日本は歴史上、外国の軍隊の駐留経験がない国であるが、いまや10万近い軍隊を受け入れて、その75%が沖縄にあること。

第3は、大規模な米軍駐留が続き、環境悪化、犯罪、事故、騒音がもたらされていること。

第4に、米軍のプレゼンスは地位協定(SOFA)によって管理されているものの、このSOFAは決して国会で承認されず(原文のまま)、思慮深い日本人の間では、19世紀のアジアにおける帝国主義を特徴づける治外法権の延長として映ること。

第5に、日本はその重商主義的貿易政策に対する批判を緩和させようと、1978年に駐留経費負担(HNS)の供与に合意したが、年間43億ドルと費用がかさむことである。日本人はこれを思いやり予算と呼んでいるが、この単語は双方を当惑させる(embarrass)。冷戦を知らずに育った日本の新世代が、なぜ外国軍隊が日本に駐留しなければならないのかと疑問を持ち、米国が韓国、フィリピン、ドイツからは兵力を削減していることに、より不満を抱くのは当然である。

他方米国側にも不満がある。この条約は互恵的ではない。日本には米国を防衛する義務がない。国連憲章によって付与された集団的自衛権を保持しながら、日本は憲法第9条によってこれを行使できないとしており、この解釈を変更するようにとの米国の努力は、これまで繰り返し失敗している。しかし、日本は「タダ乗り」を享受しているとの米国の憂慮に慎重に応え始めた。軍事装備の相互運用、共同計画及び訓練等がその例である。

日米関係の重要な転機は、昨年8月の政権交代によって起こった。鳩山新首相は東アジアとの緊密な関係を追求し、日本における米軍のプレゼンスを削減することを望んだ。これによって、インド洋における給油活動を終了した。昨年10月にゲーツ国防長官が訪日し、2006年に合意された普天間基地の移設問題を履行するよう要求したことは、誤りであったと私は信じている。鳩山内閣は準備不足であり、またこの問題に関して幅広い意見がある連立政権であったからである。沖縄県民にも、2級の扱いを受けているとの感情を抱かせることになった。米国は鳩山首相にもっと時間を与えるべきであった。しかしより重要なことは、日本が2大政党制になり、かつて米国が創設を手伝った民主主義が根づいているという証拠があったことを祝福すべきであるということである。同盟の将来は世論が基地を受け入れるかどうかにかかっているため、日米は包括的で新しい大戦略について幅広く議論し、日本国民にその決定を説明しなければならない。

これまで米国は、なぜ海兵隊・空軍基地が沖縄にあるのかについて、効果的な説明をしてこなかった。ストルダー海兵隊大将の説明は、北朝鮮崩壊に備えること及び崩壊した際には核物質が北朝鮮政府内のならず者の手に渡らないようにすることを沖縄駐留の意義としているが、韓国や中国政府がそのような任務を歓迎するとは考えにくい。重要な点は、普天間の問題を日米関係の第1の決定要因にしてはならないということである。

日米両国は東アジアにおける最強の民主主義国であり、この地域の平和と安全は両国のリーダーシップによってのみ維持される。しかし気がかりなのは、日本の若年層の対米観に変化の兆しが見られることである。留学生が大幅に減少していることは注目すべきことである。

同盟は両国関係の一部であり、50年間注意深く関係を構築してきた。普天間の問題がこれを頓挫させるのは悲劇である。結論として、同盟は再検討されるべきであり、賢人会議を設置すべきであり、特に日米の若い世代が相互交流できるような仕組みが必要である。

最後に、私の願いはオバマ大統領が広島を訪問し、核のない世界の象徴としてこれを利用すること、また鳩山首相が、先のような攻撃が再び起こることのない世界を作ることに日本が取り組む姿勢を示すため、真珠湾を訪れることである。最後に繰り返すが、同盟の将来は日本の有権者にどの程度受け入れられるかにかかっている。日本の政治家は皆、このことを理解している。我々米国人も、日本に民主主義が根付いたという事実を尊重し、祝福すべきである。

日米関係において、極めて重要な役割を果たしている米国人のなかから率直な見解が述べられていることは、未来の日米両国の友好親善に寄与するヒントを示しているかも知れません。

日米の友情は、支配、従属のもとでは決して作ることは出来ないと思います。米国から見たら日本は敗戦国ではありますが、やはり対等、平等の関係が重要と思います。

日米関係に関する上院公聴会(海外立法情報課・木 綾氏)の資料を参考にしています。


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