極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

I am grateful that I can freely write my daily thoughts

放射能汚染水海洋放出の過程をシミュレーション

2023-08-30 19:30:25 | 日本社会

原発冷却水のトリチウムの海洋放出は世界で行われていると思いますが、世界で初めて福島のメルトダウン等核物質に汚染された汚染処理水を海洋に放出する作業は難問が多いようです。過去、1979年3月28日、米国も規模は福島より小さいですが事故が起きています。3マイル島原発事故の際は冷却水でない汚染処理等水のため、海洋河川への放出は問題であるため中止、即、ニューヨーク州は放出禁止法を作っています。

トリチウムに関しては相応の処理をすれば何ら問題ないと思いますが、汚染トリチウムばかりでなく、東京電力の報告書ではデブリに触れた汚染水には測定不能を含めると210個の核種が含まれているのではと言われており、高度液体処理システム(ALPS:多核種除去設備)ではトリチウム、炭素14、その他100以上の核種を水中に残しながら、62個だけが濃度低減可能のようです。原発冷却水汚染と原発事故汚染は違うのか?

東電ページより・・・

ALPS処理水の海洋放出を行う際には、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の基準を満たすまで再浄化処理(二次処理)を行い、トリチウムの規制基準を十分に満たすよう海水で希釈

他の放射性物質・・・再浄化処理(二次処理)については、ALPS・多核種除去設備は、デブリに触れた汚染水に含まれる62種類の放射性物質(核種)を、環境へ放出する場合の国の基準以下の濃度に低減する浄化能力を持っています。ALPS多核種除去設備出口の放射能濃度という項目では放射性物質の濃度のデータを開示しています。

これらの問題を中国は心配しているようで、今回これらのシュミレーションを清華大学が行っています。(清華大学・・・実質、米国の中国内大学でロックフェラーにより創設され、米国の意向が大きく影響を与えている大学です。)

素人の考えですが、一番の問題は福島の場合、貯蔵タンク水でも放水処理に30~40年かかると言われていますが、厄介なのはデブリを取り除くのが困難で、30~40年後でもデブリ(炉内の溶けた燃料などが冷えて固まったもの。)を取り除かない限り、永遠に汚染水が発生すると言われていますが・・・中国、韓国の冷却水トリチウムは日本のより遥かに高い状態で海洋放水してますが、最悪の状況では止めることが可能だと思いますが、福島の場合は現状ではトリチウム+αを止めることができないと思います。

昨今、グロッシ氏はスウェーデンの首都ストックホルムを訪問中にAFPに対し、「これまでに確認した限りでは、初期に放出された処理水に有害なレベルの放射性核種(物質)は一切含まれていなかった」「第1段階は想定通りだが、最後の一滴が放出されるまで(モニタリングを)続ける」と述べており、互いに理解できる問題だと思います。この辺りを中国等と冷静に「科学・論理的」に話しあう必要はあると思いますが、日本は孫氏の兵法を忘れないで臨む必要があると思います。

国家の発展に極めて大切な経済、日中間の諸問題は日本の未来が決まる問題で、昨今の両国の貿易額からしても切り離すことは出来ないと思います。米国の対中国策に惑わされることなく、日本は凛とした姿勢でトリチウム海洋放出問題を「科学・論理的」な話し合いで奮闘・解決してもらいたいものです。

2022年上半期の日中貿易、日本の輸入は過去最高を更新(中国、日本) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)

 

以下文は、英国、NSR(英国・ナショナル・サイエンス・レビュー」)誌に搭載された論文の紹介です。(素人英訳です、可笑しな文があると思います、了承お願いします。)

ナショナルサイエンスレビュー、第9巻、第1号、2022年209月、nwab10、https://doi.org/1093.209/nsr/nwab<>

清華大の研究チームが日本の放射能汚染水海洋放出の全過程をシミュレーション 240日で中国到達か© CGTN Japanese

【8月24日 CGTN Japanese】23日午前、「研究では日本の放射能汚染水は海への放出後240日で中国に到達」

 この研究は清華大学のチームによるものです。清華大学はこれまで、放射能汚染水が放出された場合、太平洋で拡散するメカニズムについての実験を行ってきました。清華大学深セン国際大学院海洋工程研究院の張建民院士、胡振中准教授のチームは、マクロとミクロの二つの異なる視点からそれぞれ放射性物質の海洋スケールでの拡散モデルを構築し、福島放射能汚染水放出計画に関する長期シミュレーションを行いました。

 この結果から、放射能汚染水放出後の初期には、主としてアジア沿岸への影響を考慮すべきですが、後期には、北米沿岸海域の汚染物質濃度が東アジア沿岸海域の大部分より高い状態が続くため、北米沿岸海域が受ける影響に重点的に注意を払う必要があるということが明らかになりました。

 これに関連した成果は「福島原発事故処理水の放出--マクロとミクロシミュレーション(Discharge of treated Fukushima nuclear accident contaminated water:macroscopic and microscopic simulations)」と題して「ナショナル・サイエンス・レビュー」誌に掲載されました。

清華大の研究チームが日本の放射能汚染水海洋放出の全過程をシミュレーション 240日で中国到達か、科学的な批判に日本はどう応える?

 この研究は清華大学のチームによるものです。清華大学はこれまで、放射能汚染水が放出された場合、太平洋で拡散するメカニズムについての実験を行ってきました。清華大学深セン国際大学院海洋工程研究院の張建民院士、胡振中准教授のチームは、マクロとミクロの二つの異なる視点からそれぞれ放射性物質の海洋スケールでの拡散モデルを構築し、福島放射能汚染水放出計画に関する長期シミュレーションを行いました。

 この結果から、放射能汚染水放出後の初期には、主としてアジア沿岸への影響を考慮すべきですが、後期には、北米沿岸海域の汚染物質濃度が東アジア沿岸海域の大部分より高い状態が続くため、北米沿岸海域が受ける影響に重点的に注意を払う必要があるということが明らかになりました。
 これに関連した成果は「福島原発事故処理水の放出--マクロとミクロシミュレーション(Discharge of treated Fukushima nuclear accident contaminated water:macroscopic and microscopic simulations)」と題して「ナショナル・サイエンス・レビュー」誌に掲載されました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News

・清華大の研究チームが日本の放射能汚染水海洋放出の全過程をシミュレーション 240日で中国到達か

福島原発事故で処理された汚染水の放出:巨視的・微視的シミュレーション

李劉(刘毅)、 郭薛清、(郭雪卿)、 李 孫偉 (李孙伟) 張建民, (张建民) ジェンジョンフー、(胡振中)

2021年8月26日、日本の閣議は核廃水貯留の問題を緩和するために、処理された福島原発事故の汚染水を太平洋に放出する法案を可決しました。2023年より沖合で処理水の放流を開始する。しかし、汚染水には60種類の放射性核種が存在しており、70%のタンクの水は排出基準を満たすために二次処理が必要です。大量の放射性核種は、海洋生物に吸入されると海洋生物の連鎖に影響を与え、海洋漁業と人間の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、海洋における放射性水の拡散プロセスを特定することは重要であり、海洋環境への影響を予測するのに役立ちます。海洋における放射性物質の拡散は、科学の新しい分野です。

GEOMAR(ヘルムホルツ海洋研究センター)は、補間によって福島の放射性核種を数値的にシミュレートした後、全球海洋循環モデルを採用して、福島の核漏れにおけるセシウム137の長期拡散過程を推定しました。2013年、Laiは福島地震と津波における沿岸浸水とセシウム137の初期拡散を再現した。

 

早期の警告と意思決定支援を得るために、研究では、拡散係数の時間変化する品質と大気の安定性を考慮して拡散モデルを最適化しました。福島の処理水放出に関する最近の調査では、6つの排出シナリオのシミュレーションが提供されています。しかし、海洋における放射性物質の拡散則は未だ不明である。海洋環境は長い年月をかけて複雑に変化するため、支配方程式による内部流れ場の記述は困難です。

そこで、海洋における核汚染物質の巨視的および微視的拡散を分析した。巨視的および微視的拡散プロセスは、それぞれ汚染物質の全体的な分布と個々の汚染物質の挙動に焦点を当てています。これらのプロセスは両方とも、いくつかのサブプロセスに分類されました。これらのサブプロセスを個別に分析し、重ね合わせて全体的な拡散シミュレーションを取得しました。サブプロセスの導出には、フィックの法則とアインシュタインの平均二乗変位の理論が採用されました。

 

図1aは、巨視的および微視的拡散分析のサブプロセスとそれらの関係を示しています。

(a)巨視的および微視的拡散分析のサブプロセスとその関係

(b)巨視的および(c)微視的拡散分析の結果

(d)沿岸3都市(宮崎、上海、米国サンディゼゴ)近海域の汚染物質濃度の変動(e)マクロ法とミクロ法による汚染物質濃度曲線の比較

トリチウムは、日本が排出を計画している処理水の主な汚染物質です。したがって、トリチウム拡散は適切なパラメータでシミュレートされました。

図1のbおよびcは、10単位相対濃度∼に対する1年間の結果を示す0.29Bq/m30.29Bq/m3⁠、退院計画に従って。シミュレーションは、補足資料で提示された小規模拡散分析の推論に基づいています。

海面流のデータは、Earth & Space Research [9]から取得されています。

マクロシミュレーションの結果、汚染物質排出の初期段階では、汚染地域は急速に増加し、30日以内に緯度40°×経度120°に達することが明らかになりました。

海流のため、汚染物質の拡散速度は経度方向よりも緯度方向の方がかなり速くなります。高濃度ストリップ領域は35°N付近のままです。

1200日後、汚染物質はそれぞれ東と南の北米とオーストラリアの海岸に到着し、したがって北太平洋地域のほぼ全体を覆います。

その後、これらの汚染物質は赤道海流のためにパナマ運河に沿って移動し、南太平洋に急速に広がります。2400日以内に、太平洋への拡散とともに、汚染物質のごく一部がオーストラリアの北の海域を通ってインド洋に広がります。

3600日後、汚染物質は太平洋のほぼ全体を占めます。

日本列島付近では汚染物質の排出が起こりますが、時間の経過とともに、汚染物質濃度の高い水(黄色と赤色の部分)が北緯35度に沿って東に移動します。

図1bとdは、北緯30度付近の沿岸都市と、それぞれ隣接する水域の汚染物質濃度の変化を示しています。これらの都市のうち、汚染物質は最初に宮崎の近くで発生し、次に上海とサンディエゴが続きます。

この順序は、主に福島からの距離によって決まります。

曲線の傾向によると、各地域の汚染物質濃度は最初は急速に増加しますが、その後安定します。汚染物質は最後にサンディエゴに到達しますが、隣接する水域の汚染物質の定常状態の濃度は、他の都市の近くよりも高くなっています。

この現象は、日本近傍の強い海流に起因しています。

具体的には、福島県は黒潮(北向き)と親潮(南向き)の合流点に位置しています。したがって、ほとんどの汚染物質は陸地の端に沿って南北に移動するのではなく、北太平洋の西風のドリフトとともに東に広がります。

この結果は、処理水排出の初期段階において、核汚染物質がアジアの沿岸海域に与える影響に着目すべきであることを示している。

しかし、その後の段階では、北米に隣接する沿岸水域の汚染物質濃度は、ほとんどの東アジア沿岸の汚染物質濃度よりも高いままであるため、汚染物質が北米に与える影響を考慮することが重要です。

ミクロシミュレーションでは、汚染物質粒子の数が限られているため、マクロ結果よりも濃度が低くなります。マイクロシミュレーションは各汚染物質粒子の位置を提供するため、汚染物質の軌跡分析をサポートします。

図1eは、完全に異なる物理的および数学的原理に基づく4つの方法の結果が一貫していることを示しています。さらに、実際の連続排出計画、更新されたデータ、高精度のモデルとパラメータ、太平洋とインド洋が考慮されているため、GEOMAR [6]およびZhaoら[4]の結果よりも具体的です

GEOMARとZhaoは、期間を数週間または6年と見なしましたが、最新の計画では年の期間を考慮しました。

しかし、これまでのシミュレーション結果は、本研究で初めて提案された「北米に隣接する沿岸海域の汚染物質濃度は、ほとんどの東アジア沿岸の汚染物質濃度よりも高いままである」という結論を支持しています。したがって、結果は実行可能で信頼性があります。

さらに、福島沿岸のトリチウムの最大バックグラウンド濃度です290Bq/m3290Bq/m3 [10]濃度増加のシミュレーション結果は、長期的な放射性核種拡散の定量的予測、放出計画への合理的な対応、その後の環境影響に関する実験、および放射性物質に対する生態学的感受性に関するさらなる研究にとって引き続き重要です。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナの現況・未来

2023-08-27 16:00:00 | 日記

もう終わった!

ウクライナの結末は今年の秋に決まる。(英国・ファイナンシャル タイム)

相変わらず日本ではウクライナの勝利が報道されていますが、もう戦いは終わっており、正規ウクライナ軍は皆無で、ウクライナでは15歳前後の若者、60歳以上の男子が強制的に徴兵されている一方で、脱走は日常茶飯事の末期症状になっているとも言われています。今後の問題はウクライナの戦後復興の主経済負担(日本は既に、ウクライナや周辺国に世界銀行への信用補完や資金提供などを通じて計1兆1000億円を支援しています。一説では今後、巨額の支援を有無を言わずに実施させられると言われています。)国が日本であるとも言われています。欧米各国はウクライナへの供与武器等(巧妙な仕組み)の資金回収・徴収に血眼になっているとも言われています。メディア・専門家等による徹底したプロパガンダ情報に見切りを付け、自分なりの思考が大切だと思います。

 

(123) 島倉大輔 - YouTubeさんの動画紹介です。

ホワイトハウス ウクライナ大統領 交代を決断    アンドレイ・スモリエンコ ru-novosti   ロシア語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) (eritokyo.jp)

 

(123) FABVOX - YouTubeさんの動画紹介です。

(123) 「週刊西田」 - YouTubeさんの動画紹介です。

 

 

 

日本で報道されないニュース

 

「必死の行動に出た」 英対外情報部の元諜報員が宇軍の反攻を語る

「必死の行動に出た」 英対外情報部の元諜報員が宇軍の反攻を語る

ウクライナ軍は同盟国に対して自らを正当化するために必死になってロシアの防衛線を突破しようとしているが、成果は出ていない。英対外情報部(MI6)の元諜報員アラステア・ク...

Sputnik 日本

 

 

誰が「ノルドストリーム」を爆破したのか 独メディアの最有力視はウクライナ関与説

誰が「ノルドストリーム」を爆破したのか 独メディアの最有力視はウクライナ関与説

ガスパイプライン「ノルドストリーム」と「ノルドストリーム2」の爆発の捜査の進展に詳しい消息筋らは、爆破テロにウクライナが関与した痕跡があると確証している。第2ドイ...

Sputnik 日本

 

 

米国はウクライナ紛争の平和的解決について考えるべき=専門家

米国はウクライナ紛争の平和的解決について考えるべき=専門家

...

Sputnik 日本

 

 

ロシアがオペレーターのほぼ不要なドローンを開発

ロシアがオペレーターのほぼ不要なドローンを開発

ロシア人エンジニアが最大限、自動制御で動作する電気無人機を開発した。開発した学研製造企業「レーダーmms」のイヴァン・アンツェフ常務理事はスプートニクからの取材に、...

Sputnik 日本

 

 

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

待ったなしのALPS処理水問題

2023-08-27 07:54:30 | 日本社会

 日本が抱える福島原発ALPS処理水問題、今後、世界の英知を集めて対応することも必要だと思います。まだ、デブリ(燃料を冷やすための電源が津波で喪失し、炉内の構造物と燃料が溶けた。溶けた燃料などが冷えて固まったもの)は全く手つかずのようで、この問題は福島県だけの問題ではなく全日本の問題であると認識する必要があると思います。この問題を解決しなければ日本の未来に夢を持つことは不可能でしょう。中国等が反発す主因はトリチウムばかりでなく、以下記事の中にもあるように不信感が大きいのは事実だと思います。互いの信頼等々があれば解決出来ると思います。

 世界でも最も恵まれた自然を有してきた日本、何とか解決してもらいたいものです。このままでは風評被害は更に大きくなると思います。ALPS処理水問題の主因(人類が初めて経験しているデブリ、対応?)の解決が鍵となり解決しない場合、永遠にデブリに触れた水が汚染水となると思います。最悪、廃炉不可の場合、一説では1986年のチェルノブイリ原発のように原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物石棺で封じ込め、人に対して脅威となる放射性物質のセシウム137(半減期30年)とストロンチウム90(半減期28年)・・・100年経過すれば放射能は10分の1、200年では100分の1、この頃には遠隔技術、遮蔽技術等が進み、デブリを取り出すことができると言われています。厳しい現実を無視できないと思います。悲惨な結果となった、チェルノブイリの二の舞は何とか避けなければならないと思います。

先ずは大切なエネルギー源でもある原発に関心を寄せることが大切だと思います。

 

チェルノブイリ・日経新聞の記事紹介です。

悲劇から30年 チェルノブイリの実相

悲劇から30年 チェルノブイリの実相

2016年04月26日1986年4月26日におきたチェルノブイリ原発事故から30年。その教訓から日本が学べることはあるのか。現地を訪ねた。

日本経済新聞社 〜ビジュアルデータ

 

 

国際環境NGO FoE Japanさんの記事紹介です。

以下文は、【Q&A】ALPS処理汚染水、押さえておきたい14のポイント  国際環境NGO FoE Japanの記事紹介です。中庸で素人にもわかり易く説明された記事です。(以下のQをクリックすれば、図面等にリンクします。)

【Q&A】ALPS処理汚染水、押さえておきたい14のポイント

2023年8月1日作成
2023年8月21日更新

2023年8月末にも海洋放出が開始されようとしているALPS処理汚染水。押さえておきたい14のポイントをまとめました。
Q:「処理水」? 「汚染水」?
Q:何が含まれている?
Q:東電はすべてのタンクについて放射性物質を測っている?
Q:トリチウムって何?
Q:トリチウムは安全?
Q:トリチウムは世界中の原発から排出されているから問題ないのでは?
Q:トリチウム濃度を排出濃度基準の『40分の1』に希釈する?
Q:海に流すしかないのでは?
Q:「大型タンク貯蔵案」と「モルタル固化案」は検討された?
Q:敷地は本当に足りないの?
Q:「関係者の理解」って何? 「関係者の理解」は得られるの?
Q:福島県内の自治体の意見は? 近隣県は?
Q:公聴会は開かれたの?
Q:汚染水を増やさない対策は?
Q:IAEA(国際原子力機関)の「お墨付き」をどう考える?

Q:「処理水」? 「汚染水」?

図1 処理水発生のメカニズム

福島第一原発のサイトでは、燃料デブリの冷却水と原子炉建屋およびタービン建屋内に流入した地下水や雨水が混ざり合うことで発生した汚染水を、多核種除去装置(ALPS)で処理し、タンクに貯蔵しています(図1)。その量は、134万m3(2023年7月現在)。

政府・東電は、この水を「ALPS処理水」と呼んでいます。一方で、トリチウムやそのほかの放射性物質が残留しているので「汚染水」と呼ぶ人もいます。

正確には「処理されているが、放射性物質が残留する水」というべきなのでしょう。しかし、長いので、ここでは「ALPS処理汚染水」または「処理汚染水」と呼ぶことにします。 ちなみに、政府は「ALPS処理水」の定義を「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」としています(注1)。

しかし、現在、タンクに貯められている水の約7割については、トリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留しているため、「処理水」とは言えません。詳しくは次の項目をご覧ください。[TOP]

Q:何が含まれている?

東京電力の発表では、処理汚染水には約780兆ベクレルのトリチウムが含まれています(2021年5月時点)。

2010年、福島第一原発からは2.2兆ベクレルのトリチウムが海に放出されていたので(注2)、その約350倍の量となります。

注目すべきは、トリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留していることです。

残留しているのは、ヨウ素129、ストロンチウム90、ルテニウム106、テクネチウム99、セシウム137、プルトニウム239、炭素14、カドミウム113mなど。

当初、東京電力は、ALPSを通すことにより、トリチウム以外の放射性物質は除去できており、基準を満たしていると説明していました。

2018年8月に開かれた説明公聴会の資料(図2)では、基準を満たしているデータのみが示されていました。

ところが、共同通信をはじめとしたメディアの報道により、トリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留していることが明らかになりました。(注3

図2 2018年8月の説明・公聴会の資料より

トリチウム以外の放射性物質(左からセシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129、ルテニウム106、コバルト60、アンチモン125)について、ALPS処理後は基準内に収まっている時期のデータを使用している。

報道のあった当時、FoE Japanなどが、ALPSの出口データを確認したところ、ヨウ素129、ストロンチウム90などで、多くの基準超えが発生していました。>詳しくは「ALPS処理水、トリチウム以外核種の残留~「説明・公聴会」の前提は崩れた」(2018年8月29日)

図3 トリチウム以外でも基準超えしている水の割合(2021年12月31日時点)

その後の東電の発表により、現在タンクにためられている水の7割弱で、トリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍近く(注4)となっていることが明らかになりました(図3)。

東電は海洋放出する前に二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしています。

 

問題なのは、タンクに残留するこれらの放射性物質の総量が示されていないことです。また、二次処理した結果、どのくらい残留するかもわかっていません。全体の水の量が膨大であるため、濃度を下げたとしても放出される放射性物質の量はそれなりに大きいでしょう。 何がどのくらい放出されるのかという基本的な情報が明らかにされていないのです。[TOP]

Q:東電はすべてのタンクについて放射性物質を測っている?

東電は「放射線影響評価」を行い、これをもとに政府は処理汚染水の海洋放出の人や環境への影響は無視できるくらい小さいとしています。しかし、東電がソースターム(放出する放射性物質の種類と量)として示しているのは、3つのタンク群(合計3.6万m3)のみ。タンクの水全体の3%弱にすぎません。64の放射性物質(ALPS除去対象の62核種、トリチウム、炭素14)のデータがそろっているのは、この3つのタンク群だけであったためです(注5)。

東電は、ほかのタンク群については、放出する前に順次30核種を測定するとしています。放出が完了するのには30年以上かかるとみられますが、それまでまたないと、結局、どのような放射性物質が、どのくらい放出されたか、わからないということになります。 なお、主要7核種およびトリチウム、炭素14については、すべてのタンク群での測定データが公開されていますが、データを見る限りタンクごとのバラツキが大きく、前述の3つのタンク群がタンク水全体を代表しているとはとても言えない状況です。[TOP]

Q:トリチウムって何?

水素の同位体である「三重水素」で、陽子1個と中性子2個から構成されます。半減期12.32年の放射性物質で、ベータ崩壊をし、ヘリウムに変わります。 放出するエネルギーは小さく、最大で18.6keVで、セシウム137の最大値512keVの30分の1程度です。

トリチウムは自然界にも水の形で存在しますが、核実験や原発施設からの放出によって増加しています。[TOP]

Q:トリチウムは安全?

トリチウムの影響については専門家でも意見が分かれています。政府は、トリチウムからの放射線は紙一枚でも遮ることができる、水と同じ性質を持つため人や生物への濃縮は確認されていないなどと安全性を強調しています。

トリチウムが出すベータ線はガンマー線と比べて飛距離が短いのですが、こうした放射性物質が問題になるのは、体内に入ったときの影響です。トリチウムが有機化合物中の水素と置き換わり、食物を通して、人体を構成する物質と置き換わったときには体内に長くとどまり、近くの細胞に影響を与えること、さらに、DNAを構成する水素と置き換わった場合には被ばくの影響が強くなること、トリチウムがヘリウムに壊変したときにDNAが破損する影響などが指摘されています。(注6)[TOP]

Q:トリチウムは世界中の原発から排出されているから問題ないのでは? なぜ、今回の放出だけ問題にされるの?

今回の処理汚染水の放出が、いままでの原発からの排水と大きく違う点は、処理されているとはいえ、デブリ(核燃料が溶け落ちたもの)に触れた水の放出であるということです。これは、トリチウム以外にも、さまざまな放射性物質を含んでいることを意味します。

トリチウムに関して言えば、確かにトリチウムは国内外の原発から放出されています。日本の沸騰水型原発(BWR)からは1年間に数百~数兆ベクレル、加圧水型原発(PWR)からは数十兆ベクレル、まだ完成していませんが、六ヶ所再処理工場からはけた違いに多くのトリチウムが排出されます。海外の原発でもトリチウムが放出されています。 ただ、環境中のトリチウムの量が少しずつ多くなることの累積的影響についてはまだわかっておらず、世界中の原発から出されているからよい、ということにはなりません。[TOP]

Q:トリチウム濃度を排出濃度基準の『40分の1』に希釈する?

政府・東電は、処理汚染水を海水で希釈し、トリチウム濃度を1リットルあたり1,500ベクレルにして放出するとしています。これは、トリチウムの排出濃度基準1リットルあたり6万ベクレルの「40分の1」と説明されていますが、果たしてそうなのでしょうか?

6万ベクレル/リットルというのは、原発敷地内に排水以外に考慮すべき放射線源がない場合、かつ排水中にトリチウムのみが含まれている場合の基準になります。

法令上、福島第一原発の敷地境界線における追加線量を、年間1ミリシーベルトにすることが求められていますが、敷地上のさまざまな放射線源を考慮すれば、液体廃棄物の線量は0.2ミリシーベルト程度に抑える必要があり、また、セシウム134、137、ストロンチウム90など他の放射性物質も含まれていることも考慮し、トリチウムの濃度は1,500ベクレル/リットルと決められたという経緯があります(注7

Q:海に流すしかないのでは?

技術者や研究者も参加する「原子力市民委員会」(座長・大島堅一龍谷大学教授)は、海洋放出や大気への放出ではなく、「大型タンク貯留案」と「モルタル固化処分案」を提案しています(注8)。詳しくは次の項目をご覧ください。[TOP]

Q:「大型タンク貯蔵案」と「モルタル固化案」は検討された?

「大型タンク貯留案」は、石油備蓄などに実績のある、ドーム型屋根、水封ベント付きで10万立方メートルの大型タンクを建設する案です。建設場所としては、福島第一原発の敷地内の7、8号機建設予定地や土捨て場、敷地後背地等などを提案しています。

東電は大型タンク貯留に関して、「雨水混入の可能性がある」「破損した場合の漏えい量大」といった点をデメリットとして挙げ、これがこのまま政府見解にも使われていますが、大型タンクは、石油備蓄などに多くの実績があります。当然、雨水混入対策や破損漏洩対策はされています。

モルタル固化処分 
出典:Savannah River Remediation LLC (SRR)

「モルタル固化処分案」は、アメリカのサバンナリバー核施設の汚染水処分でも用いられた手法で、汚染水をセメントと砂でモルタル化し、半地下の状態で保管するというものです。

利点としては、安定的に保管でき、放射性物質の海洋流出リスクを遮断できます。こうした利点により、原子力市民委員会としては、大型タンク保管よりは、モルタル固化を推奨しています。しかし、東電・政府は、「水和熱が発生し、水が蒸発する」としていますが、これについても、提案を行った原子力市民委員会は「分割固化、水和熱抑制剤投入で容易に対応できる」としています。 こうした代替案が、公の場で提案者をまじえた形できちんと議論されたわけではありません。[TOP]

Q:敷地は本当に足りないの?

現在の東電の敷地利用計画は、デブリ(溶け落ちた燃料)の取り出しが前提となっています。取り出したデブリの一時保管場所として広大なスペースを確保しているのです。しかし、デブリの取り出しは暗礁にのり上げています。たとえ取り出せたにしろ、その先どうするのか決まっていません。

そもそも、現在の廃炉ロードマップがすでに破綻しているという指摘もあります。現実的な廃炉計画を策定しなおすべきではないでしょうか。[TOP]

Q:「関係者の理解」って何? 「関係者の理解」は得られるの?

政府および東電は2015年、福島県漁業組合連合会(県漁連)に対して、処理汚染水に関して「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と文書で約束をしました。

それにもかかわらず、政府は2021年4月、処理汚染水の海洋放出方針を決定しました。

その後も、県漁連、全漁連は、放出に対して繰り返し反対の意思表明をしており、4年連続で放出反対の特別決議を採択しています(注9)。また、相馬双葉漁業協同組合は、2023年7月、「断固反対」の考えを国に伝えました(注10)。

「関係者」の範囲は曖昧ですが、最たる関係者である漁業者の理解が得られているとはいえません。[TOP]

Q:福島県内の自治体の意見は? 近隣県は?

2020年10月の段階で、福島県内59市町村のうち、44の市町村が、処理汚染水の放出に関する意見書や決議を可決。そのうちの27が放出の反対や陸上保管を求めるもの、14が関係者からの丁寧な意見聴取や風評対策を求める内容でした。(図4、注11

図4 決議や意見書を採択した福島県の市町村

政府が海洋放出方針を決めた2021年4月以降では、23市町村議会が意見書を可決。そのうちの16市町村議会が、方針の撤回や反対、処理水の「陸上保管」を求める内容で、6議会が風評対策や丁寧な説明を求める内容でした。いわき市議会は、政府や東電に対して、漁業者との「約束」の履行を求める内容でした。(注12

近隣県では、宮城県議会は、2023年7月、海洋放出に反対する意見書を全会一致で採択しました。(注13)[TOP]

Q:公聴会は開かれたの?

政府は、2018年8月、福島で2箇所、東京で1箇所、「説明・公聴会」を開催しました。意見を述べた44人のうち、42人が明確に海洋放出に反対しました。その後、公聴会は開催されていません(注14)。[TOP]

Q:汚染水を増やさない対策は?

建屋内への地下水の流入を止めない限り、汚染水は発生し続けます。現在までに、凍土壁、地下水バイパス、建屋近傍の井戸(サブドレン)からの汲み上げなどの対策が取られ、一定の効果は得られているものの、地下水の流入は続いています。福島大学の柴崎直明教授らの研究グループは、現在の凍土壁のさらに外側に「広域遮水壁」を建設し、敷地内への地下水流入を止めるべきと提言しています。「広域遮水壁」は、コンクリートや粘土などを用いる、従来型の工法で、費用は凍土壁の半分くらい、工期は数年程度です。(図5、注15) さらに、「広域遮水壁」で囲まれるエリアに「集水井と水抜きボーリング」を設置することで、効果的に地下水位を下げることができことも提案されています。

図5 広域遮水壁の提案
出典:地団研ブックレットシリーズ16「福島第一原発の汚染水はなぜ増え続けるのか」p.26

しかし、この提案は真剣に検討されないまま、現在にいたっています。[TOP]

Q:IAEA(国際原子力機関)の「お墨付き」をどう考える?

IAEAが2023年7月、処理汚染水の海洋放出は国際的な基準に整合しているという趣旨の包括報告書を発表しました。これにより、海洋放出がIAEAの「お墨付き」を得たと報道されています。

しかし、IAEAのレビューは、基本的に日本政府・東電から提供された情報に基づくものであり、たとえば、海洋放出以外の代替案についてはレビュー対象となっていません。また、前述の通り、東電が「放射線影響評価」の元となるソースターム(放出する放射性物質の種類と量)として示しているのは、わずか3つのタンク群のデータ(タンク水全体の3%弱)にすぎませんが、それをよしとしてしまっています。

IAEAは原子力の利用を促進する立場の機関であり、中立とは言えません。 また、IAEAの安全基準と照らしてみても、少なくとも「正当化(justification)」、「幅広い関係者との意見交換」に適合していないはずなのですが、日本政府の見解を繰り返すような結論となっています。詳しくは、原子力市民委員会の「見解(注16)をご参照ください。[TOP]

注1)経済産業省「東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の定義を変更しました」(2021年4月13日)

注2)経済産業省「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第16回)」資料4

注3)共同通信「基準値超の放射性物質検出/トリチウム以外、長寿命も」2018年8月19日配信

注4)経済産業省「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第10回)」資料3

注5) FoE Japan質問に対する東京電力からの回答(2022年2月8日)

注6)たとえば以下参照。

馬田 敏幸「トリチウムの生体影響評価」(『産業医科大学雑誌』Vol.31 No.1 (2017) p.25)

Ian Fairlie, A hypothesis to explain childhood cancers near nuclear power plants, Journal of Environmental RadioactivityVolume 133, July 2014, Pages 10-17

上澤千尋「福島第一原発のトリチウム汚染水」(「科学」2013年5月)

Tim Deere-Jones (Marine Radioactivity Research & Consultancy: Wales: UK),Tritiated water and the proposed discharges of tritiated waterstored at the Fukushima accident site

注7)東京電力「地下水バイパスの運用目標(排水の基準)について」(2016年12月16日)

注8)原子力市民委員会 「ALPS 処理水取扱いへの見解」

注9)NHK NEWS WEB「“処理水の放出反対”県漁連 が4年連続で特別決議採択」(2023年6月23日)

朝日新聞「全漁連、原発処理水の海洋放出に「反対」決議 東電は夏に放出予定」(2023年6月22日)

注10)朝日新聞「相双漁協「断固反対」 迫る処理水放出」2023年7月19日

注11)福島民報「決議や意見書、44市町村議会で可決」2020年10月9日

注12)朝日新聞「地方議会の4割が意見書」2023年7月6日

注13)NHKオンライン「処理水の海洋放出に反対 宮城県議会が全会一致で可決」2023年7月4日(7月31日閲覧)

注14)政府が「関係者」とした人たちを対象とする会合は多く開催されていますが、誰もが参加でき、意見を述べることができる公開の会合は、政府主催では開催されていません。

注15)地団研ブックレットシリーズ16「福島第一原発の汚染水はなぜ増え続けるのか」p.26

注16)原子力市民委員会「 見解:IAEA 包括報告書はALPS 処理汚染水の海洋放出の「科学的根拠」とはならない海洋放出を中止し、代替案の実施を検討するべきである 」(2023年7月18日)

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023・ヨハネスブルグ BRICS宣言・全文

2023-08-26 22:24:09 | 日記

世界は大きく変わっています!

情報難民大国日本ではBRICS関連ニュースは報道することは少ないようですが、世界の軸足が変わったと言えると思います。欧米・日本と真逆な平和、繁栄、互助等、夫々の国の国益、国民益の向上、切磋琢磨を目指したBRICS宣言内容です。(素人英訳で可笑しな内容文があるかも知れません、了承下さい。)

参考原英文:Johannesburg BRICS declaration (FULL TEXT) — RT World News

 

その前にワグネル関連のRT・SNS等々ニュース

小型ジェット機は何故か、事故前1週間以上整備をしていますが、この間に爆発物を仕掛けられたか?(ミサイル攻撃はありえないようです。)整備開始後等に突然、機長が消息不明になっており、代わりの機長?が代行したとも言われているようです。ロシアは整備場の出入り者等を徹底的に調査中、死亡者のDNA鑑定をやっています。答えは出ると思いますが、結果によっては欧米・日本メディアは無視し続けるでしょう。今回の事件も典型的な・・・を示しており、世界の見方はロシアにとって得にはならないことで、子供でも思考すれば誰がやったか分かるようにも思います。

 

共同声明は、2023年8月23日に南アフリカで開催された第15回経済圏サミットで採択されました

BRICSとアフリカ:相互に加速する成長、持続可能な開発、包摂的な多国間主義のためのパートナーシップ

南アフリカ ハウテン州 サントン 2023月8月23日

前文

1 我々,ブラジル連邦共和国,ロシア連邦,インド共和国,中華人民共和国及び南アフリカ共和国の首脳は,2023年8月22~24日まで,南アフリカのサントンにおいて,「BRICSとアフリカ相互に加速する成長のためのパートナーシップ」をテーマに開催されたXV BRICSサミットのために会合した。

 持続可能な開発と包括的な多国間主義」。

2 我々は,相互尊重と相互理解,主権平等,連帯,民主主義,開放性,包摂性,強化された協力及びコンセンサスというBRICSの精神へのコミットメントを再確認する。我々は、15年間のBRICSサミットを基礎として、政治・安全保障、経済・金融、文化・人的協力の三本柱の下で、互恵的なBRICS協力の枠組みを強化し、より代表的な平和の促進を通じて国民の利益のために戦略的パートナーシップを強化することにさらにコミットする。 より公正な国際秩序、再活性化され改革された多国間システム、持続可能な開発及び包摂的な成長

包摂的な多国間主義のためのパートナーシップ

3 我々は,包摂的な多国間主義及び国際法の支持へのコミットメントを改めて表明し,国連憲章にその不可欠な礎石として掲げられた目的及び原則,並びに主権国家が平和及び安全を維持し,持続可能な開発を前進させ,民主主義の促進及び保護を確保するために協力する国際システムにおける国連の中心的な役割を含む。 すべての人の人権と基本的自由、連帯、相互尊重、正義、平等の精神に基づく協力の促進。

4 我々は,国連憲章の原則と両立せず,特に開発途上国において負の影響をもたらす一方的な強制措置の使用について懸念を表明する。我々は、より機敏で、効果的で、効率的で、代表的で、民主的で、説明責任のある国際的及び多国間システムを促進することにより、グローバル・ガバナンスを強化及び改善するとのコミットメントを改めて表明する。

5 我々は,新興市場国及び開発途上国が重要な役割を果たす国際機関及び多国間フォーラムにおいて,より大きな代表権を有することを求める。我々はまた、国際機関における異なるレベルの責任において、EMDCsにおける女性の役割及びシェアを拡大することを求める。

6 我々は,全ての国が,平等及び相互尊重の原則の下,人権及び基本的自由の促進及び保護に協力する必要性を改めて表明する。我々は、開発の権利を含むすべての人権を、公正かつ平等な方法で、同じ立場で、同じ強調をもって扱い続けることに合意する。我々は、非選択的、非政治的、建設的な方法で、二重基準なしに人権を促進し、保護し、実現する必要性を考慮しつつ、BRICS内及び国連総会及び人権理事会を含む多国間フォーラムの双方において共通の利益の問題に関する協力を強化することに合意する。私たちは、民主主義と人権の尊重を求めます。この点に関し、我々は、これらが国家レベルのみならずグローバル・ガバナンスのレベルでも実施されるべきであることを強調する。我々は、互恵的な協力に基づく国際社会のより明るい共有された未来を構築することを目的として、全ての人々の民主主義、人権及び基本的自由の促進及び保護を確保するとの我々のコミットメントを再確認する。

7 我々は,国連をより民主的,代表的,効果的かつ効率的にし,理事会の加盟国における開発途上国の代表性を高め,現行のグローバルな課題に適切に対応し,アフリカの新興国及び開発途上国の正当な願望を支援できるようにするため,安全保障理事会を含む国連の包括的な改革を支持する。 ブラジル、インド、南アフリカを含むアジアとラテンアメリカは、国際問題、特に安全保障理事会を含む国連においてより大きな役割を果たす。

8 我々は,世界貿易機関(WTO)を中核とし,後発開発途上国を含む開発途上国に対する特別かつ差別的な待遇(S&DT)を伴う,開かれた,透明で,公正で,予測可能で,包摂的で,公平で,無差別で,ルールに基づく多角的貿易体制への支持を再確認する。我々は、第13回閣僚会議(MC13)における問題に関する前向きで有意義な成果に向けて取り組むことへの支持を強調する。我々は、MC13に具体的な成果を提示するため、必要なWTO改革を追求するために建設的に関与することにコミットする。我々は,2024年までに全ての加盟国がアクセス可能な完全かつ十分に機能する拘束力のあるWTO紛争解決制度を回復し,新たな上級委員会メンバーを更に遅滞なく選出することを求める。

9 我々は,公正で市場志向の農業貿易システムの達成,飢餓の撲滅,食料安全保障及び栄養改善の達成,持続可能な農業及び食料システムの促進,強靱な農業慣行の実施に向けて前進する必要性を求める。我々は,食料安全保障のための公的株式保有に関する恒久的な解決策(PSH)及びLDCsを含む開発途上国のための特別セーフガード・メカニズム(SSM)に関するマンデートをそれぞれの交渉の文脈において尊重することの重要性を認識しつつ,農業協定第20条のマンデートに従って農業改革を実施する必要性を強調する。BRICS加盟国はまた、農産物貿易に影響を与える制裁などの一方的な違法措置を含む、WTOルールと矛盾する貿易制限措置にも懸念を抱いている。

10 我々は,クォータを基礎とし,十分な資金を投入した国際通貨基金(IMF)を中心とする強固なグローバル金融セーフティ・ネットを支持する。我々は、国際通貨基金(IMF)による第16次クォータ一般見直しを2023年12月15日終了することを求める。見直しは、IMFにおけるクォータの主要な役割を回復するべきである。クォータ・シェアの調整は、最貧国の発言権と代表を保護しつつ、新興市場国・発展途上国(EMDCs)のクォータ・シェアの増加をもたらすべきである。我々は、ブレトンウッズ機関における指導的地位を含め、新興市場国及び開発途上国にとってより大きな役割を含むブレトンウッズ機関の改革を求め、<>は世界経済におけるEMDCsの役割を反映する。

平和と発展の環境を育む

11 我々は2023年6月1日に開催されたBRICS外務・国際関係大臣会合の共同声明を歓迎し,2023年7月15日に開催された第13回BRICS国家安全保障顧問・国家安全保障上級代表会合に留意する。

12 我々は,世界の多くの地域で進行中の紛争を懸念する。我々は,協調的かつ協力的な方法での対話及び包摂的な協議を通じた相違及び紛争の平和的解決へのコミットメントを強調し,危機の平和的解決に資する全ての努力を支持する。

13 我々は,紛争予防及び紛争解決,平和維持,平和構築,紛争後の復興及び開発,並びに持続的な平和を含む和平プロセスへの女性の参加の増加の重要性を認識する。

14 我々は,平和と安全を維持するための前提条件である多国間主義及び国連の中心的役割に対する我々のコミットメントを強調する。我々は、国際社会に対し、パンデミック後の経済回復に向けて各国が協働することを支援するよう求める。我々は,紛争後の国々の復興及び開発に貢献することの重要性を強調し,国際社会に対し,各国が開発目標を達成するのを支援するよう求める。我々は,国際法及び国連憲章に基づかないいかなる強制的措置も控えることが不可欠であることを強調する。

15 我々は,紛争状況における国際人道法の完全な尊重及び国連総会決議46/182に定められた人道,中立,公平及び独立の基本原則に従った人道援助の提供の必要性を改めて表明する。

16 我々は,平和と安全の維持,平和構築の促進,紛争後の復興及び開発を含む地域の課題に対処するための,特に国連安全保障理事会とアフリカ連合平和安全保障理事会との間の協力を含む,国連,アフリカ連合及び準地域機関による継続的な共同の努力を称賛し,外交を用いてこれらの努力に対する国際社会による継続的な5つの支援を求める対話、交渉、協議、調停、グッドオフィスなどの手段で、国際紛争や紛争を解決し、相互尊重、妥協、正当な利益のバランスに基づいて解決します。我々は、「アフリカの問題に対するアフリカの解決策」という原則が、紛争解決の基礎として引き続き役立つべきであることを改めて表明する。この点に関し、我々は、アフリカ諸国の関連する能力を強化することにより、アフリカ大陸におけるアフリカの和平努力を支持する。我々は、スーダンにおける暴力の悪化を懸念する。我々は,敵対行為の即時停止を求め,スーダン国民の人道支援への妨げのないアクセスを求める。我々は、サヘル地域、特にニジェール共和国における状況を引き続き懸念する。我々は,リビアの主権,独立,領土の一体性及び国民の統一を支持する。我々は、国連主導の調停を主要なチャネルとする「リビア主導及びリビア所有」の政治プロセスへの支持を改めて表明する。我々は,関連する国連安保理決議に従い,また,国連西サハラ国民投票ミッション(MINURSO)のマンデートを果たすために,西サハラ問題に対する永続的かつ相互に受け入れられる政治的解決を達成する必要性を強調する。

17 我々は,中東における前向きな進展及び地域の発展,安全及び安定を支援するBRICS諸国による努力を歓迎する。この点に関し、我々は、26年2023月<>日のBRICS中東・北アフリカ担当副外相及び特使による共同声明を承認する。我々は,サウジアラビア王国とイラン・イスラム共和国との間の外交関係の再確立を歓迎し,対話及び外交を通じて緊張を緩和し,相違を管理することが,世界のこの戦略的に重要な地域における平和的共存の鍵であることを強調する。我々は、イエメンの主権、独立及び領土の一体性に対する支持を再確認し、停戦をもたらし、紛争を終結させるための政治的解決を模索することに関与する全ての当事者の積極的な役割を賞賛する。我々は,全ての当事者に対し,包摂的な直接交渉に関与し,イエメンの人々に対する人道支援,救援及び開発援助の提供を支持するよう求める。我々は,シリアの主権及び領土の一体性を尊重する政治的及び交渉による解決並びにシリア危機の永続的な解決の促進に資する全ての努力を支持する。我々は,シリア・アラブ共和国のアラブ連盟への再加盟を歓迎する。我々は、イスラエルによる継続的な占領の下での暴力の激化及び違法入植地の拡大による被占領パレスチナ地域における悲惨な人道状況に深い懸念を表明する。我々は,国際社会に対し,主権を有し,独立し,存続可能なパレスチナ国家の樹立につながる二国家解決に向けた,関連する国連安保理決議及び総会決議並びにアラブ和平イニシアティブを含む国際法に基づく直接交渉を支持するよう求める。我々は,国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)による広範な作業を賞賛し,パレスチナ人の人道状況を緩和するためのUNRWAの活動に対する更なる国際的支援を求める。

18 我々は,ハイチにおける治安,人道,政治及び経済情勢の悪化が続いていることに深刻な懸念を表明する。現在の危機には、地元の政治勢力、機関、社会間の国民的対話と合意形成を含むハイチ主導の解決策が必要であると私たちは信じています。我々は,国際社会に対し,ギャングを解体し,治安状況を強化し,同国における長期的な社会的・経済的発展のための基盤を整えるためのハイチの努力を支援するよう求める。

19 我々は,国連安保理及び国連総会を含む適切な場で表明されたウクライナ内及びその周辺の紛争に関する我が国の立場を想起する。我々は,アフリカの指導者平和ミッション及び提案された平和への道を含む,対話及び外交を通じた紛争の平和的解決を目的とした調停及びグッドオフィスの関連する提案に感謝の意をもって留意する。

20 我々は,世界規模を維持するための化学兵器の完全性及び有効性の保護及び維持におけるその役割を認識しつつ,細菌兵器及び毒素兵器並びにその廃棄に関する条約(BTWC)並びに化学兵器の開発,生産,貯蔵及び使用並びに廃棄の禁止に関する条約(CWC)を含む軍縮及び不拡散の強化を求める安定と国際の平和と安全。我々は、特に効率的な検証メカニズムを規定する条約の法的拘束力のある議定書を採択することを含め、BTWCを遵守し強化する必要性を強調する。我々は、関連する法的拘束力のある多国間文書を採択するための交渉を通じたものを含め、宇宙活動の長期的な持続可能性を確保し、宇宙空間における軍拡競争(PAROS)及びその兵器化を防止することへの支持を再確認する。我々は、2014年に軍縮会議に提出された、更新された宇宙空間への兵器の配置、宇宙物体に対する武力による威嚇又は武力の行使の防止に関する条約草案(PPWT)の価値を認識する。我々は、透明性及び信頼醸成措置(TCBMs)のような実際的かつ拘束力のないコミットメントもPAROSに貢献し得ることを強調する。

21 我々は,イランの核問題を国際法に従った平和的及び外交的手段により解決する必要性を再確認し,JCPOA及び国連安保理決議第2231号を国際的な不拡散並びにより広範な平和と安定に維持することの重要性を強調し,関係者がJCPOAの完全かつ効果的な実施を早期に回復することを希望する。

22 我々は,あらゆる形態及びあらゆる形態のテロリズムに対し,いつでも,どこでも,だれが犯したかによるテロリズムに対する強い非難を表明する。我々は、テロリズム、テロリズムを助長する過激主義及び過激化から発せられる脅威を認識する。我々は,テロリストの国境を越えた移動,テロ資金供与ネットワーク及び安全な避難所を含む,あらゆる形態及び兆候のテロとの闘いにコミットしている。我々は、テロリズムがいかなる宗教、国籍、文明又は民族グループとも結びつくべきではないことを改めて表明する。我々は、国際法、特に国連憲章及び人権の尊重に基づき、テロの脅威を防止し、対抗する世界的な努力に更に貢献するとの揺るぎないコミットメントを再確認し、国連がこの分野において中心的かつ調整的な役割を果たし続けるとともに、各国がテロとの闘いにおいて主要な責任を有することを強調する。我々はまた、現在のパンデミック環境を含め、深刻な脅威をもたらすテロ活動を効果的に抑制するために、国際社会全体の包括的かつバランスのとれたアプローチの必要性を強調する。我々は,テロリズム及びテロリズムを助長する過激主義への対抗における二重基準を拒否する。我々は,国連の枠組みの中での包括的国際テロリズム条約の迅速な最終化及び採択,並びに軍縮会議において,化学・生物テロ行為の抑制のための国際条約に関する多国間交渉を開始することを求める。我々は、BRICSテロ対策作業部会及びBRICSテロ対策行動計画に基づくBRICSテロ対策作業部会及びその<>つのサブグループの活動を歓迎する。我々は、テロ対策協力が更に深化することを期待する。

23 我々は,情報通信技術(ICT)の成長及び発展のための恐るべき潜在力を強調しつつ,ICTが犯罪活動及び脅迫にもたらす既存及び新たな可能性を認識し,ICTの犯罪的誤用のレベル及び複雑さの増大に懸念を表明する。我々は、犯罪目的のためのICTの使用に対抗するための包括的な国際条約を策定するための特別委員会における進行中の努力を歓迎し、国連総会決議75/282により採択されたマンデートの実施に時宜を得た形で協力するとの我々のコミットメントを再確認する。

24 我々は,開かれた,安全で,安定し,アクセス可能で平和的なICT環境の促進に対するコミットメントを再確認し,ICT及びインターネットの利用における共通の理解を増進し,協力を強化することの重要性を強調した。我々は,2021-2025年のICTのセキュリティ及び利用に関する国連オープンエンド作業部会内を含め,ICTセキュリティの確保に関する建設的な対話を促進し,この分野における普遍的な法的枠組みを策定する上での国連の主導的役割を支持する。我々は、ICT製品及びシステムの開発及びセキュリティに対する包括的でバランスのとれた客観的なアプローチを求める。我々は、ICTの利用における安全保障の確保に関するBRICS諸国間の協力の法的枠組みを確立することの重要性を強調する。我々はまた、ICTの利用における安全保障の確保に関するBRICS実務協力ロードマップ及びICTの利用における安全保障に関するBRICS作業部会の活動の実施を通じて、BRICS内の実際的な協力を前進させる必要性を認識する。

25 我々は,国際協力及び腐敗に対する協力を強化するとのコミットメントを再確認し,この点に関する関連する国際協定,特に国連腐敗防止条約を引き続き実施する。腐敗の惨劇は地理的な境界を知らず、社会や人道上の大義を尊重しないことを認識しの下、我々は、訓練プログラムの実施及び各国で適用されている現在のベストプラクティスの共有を含む、能力構築を通じて腐敗と闘うための強固な基盤を共同で整備した。我々は、これらの努力を引き続き強化し、新たな道に関する我々の知見を増大させる。我々は、協力的な情報共有ネットワーク及び相互の法的支援を通じて、不正な資金の流れと闘い、安全な避難所に対抗し、BRICS諸国の国内法及び規制の対象となる盗まれた資産の捜査、訴追及び回収を支援するための国際協力を強化する。

相互成長を加速させるパートナーシップ

26.私たちは、パンデミックのショックと困難からの不均衡な回復が世界中の不平等を悪化させていることに留意します。貿易の断片化、長引く高インフレ、世界的な金融環境のタイト化、特に先進国の金利上昇、地政学的緊張、債務脆弱性の高まりにより、世界経済の成長モメンタムは弱まり、経済見通しは低下しました。

27 我々は,国際金融機関及び国際機関に対し,経済政策に関する世界的なコンセンサスを構築し,経済の混乱及び金融の分断というシステミック・リスクを防止する上で建設的な役割を果たすことを奨励する。我々は、国際開発金融機関(MDBs)に対し、MDBsの長期的な金融安定性、強固な債権者格付け及び優先債権者の地位を保護しつつ、融資能力を向上させるため、国際開発金融機関のガバナンス枠組みの中で自発的であるべき提言を引き続き実施することを求める。

28 我々は,地政学的及び地経学的な分断から生じるリスクを制限し,貿易,貧困及び飢餓の削減,エネルギー,水及び食料,燃料,肥料へのアクセスを含む持続可能な開発,並びに気候変動の影響の緩和及び適応を含むがこれらに限定されない相互の関心分野に関する取組を強化するためには,多国間協力が不可欠であると信じる。 教育、健康、パンデミックの予防、準備、対応。

29 我々は,一部の国における高水準の債務が,外的ショック,特に先進国における急激な金融引き締めによる波及効果によって悪化する進行中の開発課題に対処するために必要な財政余地を縮小していることに留意する。金利の上昇と資金調達環境のタイト化は、多くの国で債務の脆弱性を悪化させている。我々は、各国の法律及び国内手続を考慮しつつ、経済回復及び持続可能な開発を支援するために、国際債務アジェンダに適切に対処することが必要であると考える。とりわけ、債務の脆弱性に共同で対処するための手段の一つは、共同行動と公正な負担分担の原則に沿って、公式の二国間債権者、民間債権者及び国際開発銀行の参加を得て、G20債務処理共通枠組みの予測可能、秩序ある、時宜を得た、調整された実施を通じてである。

30 我々は,G20が,先進国及び新興市場国並びに主要経済国がグローバルな課題の解決策を共同で模索する開発途上国からなる国際経済・金融協力の分野における主要な多国間フォーラムの役割を継続することの重要性を再確認する。我々は、インドのG18議長国の下、ニューデリーにおいて第20回G20サミットが成功裡に開催されることを期待する。我々は、20年から2023年にかけてG2025を議長するインド、ブラジル及び南アフリカによる変化のための持続的なモメンタムを構築する機会に留意し、G20議長国における継続性及び協力への支持を表明し、全ての努力の成功を祈念する。したがって、我々は、20年のインド議長国、2023年及び2024年のブラジル及び南アフリカの議長国の下で、G2025アジェンダにおけるグローバル・サウスの声を増幅し、更に統合し続けることにより、バランスのとれたアプローチにコミットする。

31 我々は,BRICS諸国が世界経済に対するリスク及び課題に対処するために協働することにおいて,世界的な回復及び持続可能な開発を達成する上で重要な役割を認識する。我々は、マクロ経済政策の協調を強化し、経済協力を深化させ、強固で、持続可能で、均衡のとれた、包摂的な経済回復を実現するために取り組むとのコミットメントを再確認する。我々は,全ての関連する閣僚級トラック及び作業部会において,BRICS経済連携2025戦略の継続的な実施の重要性を強調する。我々は,持続可能な開発のための2030アジェンダの実施を加速するための解決策を特定することを検討する。

32 BRICS諸国が世界の食料の2021―2024を生産していることを認識しつつ,我々は,BRICS内及び世界の双方の食料安全保障を強化するため,農業協力を強化し,BRICS諸国の持続可能な農業及び農村開発を促進するとのコミットメントを再確認する。我々は、世界の食料安全保障を確保する上で、農業投入物への着実なアクセスを促進することの戦略的重要性を強調する。我々は,BRICS諸国の農業協力のための行動計画を実施することの重要性を再確認し,BRICS諸国の食料安全保障協力に関する戦略を歓迎する。我々は、強靭な食料サプライチェーンの必要性を強調する。

33 我々は,世界経済の成長を可能にするデジタル経済のダイナミズムを認識する。我々はまた、持続可能な開発、国家及び地域の工業化、持続可能な消費及び生産パターンへの移行を促進する上で、貿易及び投資が果たし得る積極的な役割を認識する。我々は、デジタル時代において貿易及び投資の発展が直面する課題を認識し、BRICSメンバーがデジタル開発の異なるレベルにあることを認識し、したがって、様々なデジタルデバイドを含むそれぞれの課題に対処する必要性を認識する。我々は、BRICSデジタル経済作業部会の設立を歓迎する。我々は、開放性、効率性、安定性、信頼性が、経済回復の課題に取り組み、国際貿易及び投資を促進する上で極めて重要であることを再確認する。我々は、貿易及び投資の流れを促進するため、サプライチェーン及び決済システムの相互連結性を強化するため、BRICS諸国間の更なる協力を奨励する。我々は、BRICSサービス貿易協力ロードマップ及び専門サービス貿易における協力のためのBRICS枠組みを含む関連文書の実施を促進することを目的として、BRICSビジネス評議会及びBRICS女性ビジネスアライアンス(WBA)との間で、サービス貿易に関する協力のためのBRICS枠組みに確立されたサービス貿易における交流及び協力を強化することに合意する。

34 我々は,アフリカ連合アジェンダ2063及びアフリカ大陸自由貿易地域の運用開始を通じたものを含め,統合に向けたアフリカの努力への支持を改めて表明する。我々は、AfCFTAが、特にインフラ開発への投資のための予測可能な環境を創出する態勢を整えており、アフリカ大陸における協力、貿易及び開発に関するパートナーとの相乗効果を見出す機会を提供していることを強調する。我々は、貿易、投資及びインフラ開発の増加のための互恵的な機会を解き放つため、BRICSとアフリカの間のパートナーシップを強化することの重要性を強調する。我々は,貿易における女性及び若者に関するAfCFTA議定書に向けた進展を歓迎し,その議定書が,アフリカ経済への女性及び若者の経済的及び財政的包摂の触媒となる可能性を認識する。我々は、工業化、インフラ開発、食料安全保障、持続可能な成長のための農業近代化、保健医療、アフリカの持続可能な開発のための気候変動への取り組みを含む問題の重要性を強調する。

35 我々はさらに,アフリカ大陸が依然として世界貿易体制の周縁にあり,BRICSの協力を通じて得るものが多いことに留意する。アフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)とBRICSの協力は、アフリカ大陸が一次産品輸出国としての歴史的な役割から、より高い生産性付加価値に移行する機会を提供します。我々は、アフリカ連合がニューデリーG20サミットにG20のメンバーとして参加することを歓迎し、支持する。

36 我々は,新産業革命に関するBRICSパートナーシップ(PartNIR)を強化し,産業開発を加速する新たな機会を創出するために,BRICS内の協力を強化することにコミットする。我々は,包摂的かつ持続可能な産業化のためのNIRの課題に対処するための訓練プログラムを実施するため,BRICS産業能力センター(BCIC),BRICSPartNIRイノベーションセンター,BRICSスタートアップフォーラム及び他の関連するBRICSメカニズムとの協働を通じて,新技術に関する人材育成におけるBRICS内の協力を支援する。我々は、BRICS諸国間のインダストリー4.0技能開発の発展を共同で支援し、新産業革命におけるパートナーシップ及び生産性の向上を促進するため、UNIDOと協力してBCICの設立に関する議論を継続するとのコミットメントを改めて表明する。我々は、UNIDOとの協力を期待するとともに、PartNIRアドバイザリーグループに対し、UNIDOとの調整を要請する。

37 我々は,BRICS諸国の潜在力を最大限に引き出す上で零細・中小企業(MSMEs)が果たす極めて重要な役割を認識し,生産ネットワーク及びバリューチェーンへの参加の重要性を再確認する。我々は、容易に入手できる情報や資金調達の不足、スキル不足、ネットワーク効果、過度な事務負担の規制、調達に関する制約、容易な情報や資金調達の確保、スキルアップの段階化、市場連携といった制約の解消を目指した共同の取組を継続する。我々は、見本市や展示会に関する情報交換、及び取引を確保し得る零細・中小企業間の相互作用及び協力を強化するために、選択されたイベントへの零細・中小企業の参加を奨励するような問題に関するBRICS協力を促進するBRICS零細・中小企業協力枠組みを支持する。加盟国は、ビジネスミッションの交換を促進し、MSME間のセクター固有の企業間(B2B)会議を促進し、特に女性所有のMSMEと若者が所有するMSMEに焦点を当てて、BRICSのMSME間の企業間協力とビジネス提携を強化します。加盟国は、BRICS諸国におけるMSMEの発展のためのMSMEs、事業開発の機会、およびパートナーシップの可能性に関する情報を提供します。また、零細・中小企業の国際貿易への参加を増やすため、通商政策に関する情報共有やマーケット・インテリジェンスの共有を促進する。我々は、零細・中小企業が経済及びグローバル・バリューチェーンへの参加を改善するのに資するスキル、知識ネットワーク及び技術等の資源及び能力へのアクセスを促進する。我々は、地域統合アプローチがMSMEsの発展をどのように支援できるかに関する経験を共有することを含め、BRICSのMSMEを世界貿易及びグローバル・バリューチェーンに統合するための措置及びアプローチについて意見交換する。

38 我々は,強靭な回復を確保するための技能の開発,ジェンダーに配慮した雇用及び労働者の権利を含む社会的保護政策の開発を含め,持続可能な開発のための雇用を促進するとのコミットメントを改めて表明する。我々は、すべての人々のためのディーセント・ワークを尊重し、促進し、実現し、社会正義を達成するという我々のコミットメントを再確認する。我々は,ダーバン行動要請に基づく児童労働を効果的に廃止するための取組を強化し,2030年までにすべての人のための普遍的な社会的保護に向けた進展を加速する。我々は、経済的、社会的及び環境的に持続可能で包摂的な経済の生産性の向上を追求するにあたり、インフォーマル経済の労働者及び新しい形態の雇用形態の労働者の適切で質の高いスキルへのアクセスを改善するための技能開発システムに投資する。ディーセント・ワークのための生産性エコシステムを実装するためのBRICSプラットフォームの開発を探ります。

39 我々は,観光産業の回復の緊急の必要性及び相互の観光客の流れを増加させることの重要性を認識し,より強靭で持続可能かつ包摂的な観光部門を形成し得る措置を促進するため,グリーンツーリズムのためのBRICS同盟の更なる強化に向けて取り組む。

40 我々は,標準化の分野における交流及び協力を強化し,持続可能な開発を進めるために標準をフルに活用することに合意する。

41 我々は,BRICS諸国間の競争に関する協力を引き続き深め,国際経済・貿易協力のための公正な競争市場環境を創出することに合意する。

42 我々は,BRICS知的財産権協力メカニズム(IPRCM)を通じて,知的財産権に関する対話と協力を強化することに合意する。我々は、知的財産庁長官の協力の<>年を祝うにあたり、彼らの作業計画が持続可能な開発目標に整合していることを歓迎する。

43 我々は,データ,統計及び情報が情報に基づいた効果的な意思決定の基礎を形成することから,BRICS内の統計協力の強化を支持する。創刊から10周年を迎えるにあたり、我々は、より幅広いユーザーを引き付けるために、BRICS共同統計出版2023及びBRICS共同統計出版スナップショット2023の継続的なリリースを支持する。

44.私たちは、迅速、安価、透明、安全、包括的な支払いシステムの広範な利点を認識しています。我々は、BRICS諸国におけるクロスボーダー決済に関するG20ロードマップの様々な要素のマッピングに関するBRICS支払作業部会(BPTF)による報告を期待する。我々は、国境を越えた決済システムの相互リンクを含む、決済インフラに関するBRICSメンバーによる経験の共有を歓迎する。我々は、これにより、BRICS諸国間の協力が更に強化され、BRICS加盟国と他の開発途上国との間の貿易及び投資の流れを促進するための支払手段に関する更なる対話が促進されると信じる。我々は、BRICS及びその貿易相手国との間の国際貿易及び金融取引における現地通貨の使用を奨励することの重要性を強調する。我々はまた、BRICS諸国間のコルレス銀行ネットワークの強化及び現地通貨での決済を可能にすることを奨励する。

45 我々は,我々の財務大臣及び/又は中央銀行総裁に対し,適切な場合には,現地通貨,支払手段及びプラットフォームの問題について検討し,次回のサミットまでに我々に報告することを指示する。

46 我々は,加盟国のインフラ及び持続可能な開発の促進におけるNDBの重要な役割を認識する。我々は、ジルマ・ルセフ元ブラジル連邦共和国大統領が新開発銀行(NDB)総裁に就任したことに祝意を表し、同氏がNDBのマンデートを効果的に達成するためにNDBの強化に貢献することを確信している。NDBは、2022年から2026年までのNDBの一般戦略の達成に向けて、持続可能な開発、会員拡大の着実なプロセス、コーポレートガバナンスと運用効率の改善のための最も効果的な資金調達ソリューションを提供および維持することを期待しています。我々は、NDBの新メンバー、すなわちバングラデシュ、エジプト及びアラブ首長国連邦を歓迎する。我々は、NDBが、知識共有プロセスにおいて積極的な役割を果たし、そのガバナンス・メカニズムに従い、また、国家の優先事項及び開発目標を考慮しつつ、加盟国のベストプラクティスをその運用政策に組み込むことを奨励する。NDBは、EMDCがEMDCのために創設した機関としての独自の地位を考えると、グローバルなMDBファミリーの重要なメンバーであると考えています。

47 我々は,2022年中にBRICS金融シンクタンク・ネットワークが設立され,同ネットワークを運用可能にする努力を歓迎する。我々は、加盟国からの有力シンクタンクの特定及び指定に向けて取り組む。我々は、南アフリカの議長の下で策定されたBRICSシンクタンク・ネットワーク・フォー・ファイナンスの運用ガイドラインを承認し、BRICSシンクタンク・ネットワーク・フォー・ファイナンスのガバナンス、成果の提供及び資金提供の観点から、ネットワークがどのように運営されるかについてのガイダンスを提供する。

48 我々は,インフラ投資が人的,社会的,環境的及び経済的発展を支援することを認識する。我々は、インフラに対する需要が増大しており、規模、革新及び持続可能性に対するニーズが高まっていることに留意する。我々は、BRICS諸国がインフラ投資のための優れた機会を提供し続けていることを強調する。この点に関し、我々はさらに、民間資本、専門知識及び効率性を促進するために政府の限られた資源を活用することが、BRICS諸国におけるインフラ投資ギャップを埋める上で最も重要であることを認識する。

49 我々は,全ての加盟国の利益のためのインフラの効果的な開発及び提供に関する知識,グッド・プラクティス及び教訓を共有するための官民パートナーシップ(PPP)及びインフラに関するタスクフォースの作業を引き続き支持する。この点に関して、タスクフォースは、インフラ提供におけるプログラム的アプローチの採用を促進し、インフラ開発および提供におけるPPPおよびその他の混合金融ソリューションの使用を促進する指針を照合しました。我々は、インフラ整備におけるグリーン、トランジション及び持続可能な資金の利用を促進するために民間部門と協力する方法について、BRICS諸国の政府、投資家及び金融業者の間で議論するために、本年後半にインフラ投資シンポジウムを開催することを期待する。

  1. BRICS緊急準備金取極(CRA)は、危機的状況の影響を緩和し、既存の国際金融・金融取極を補完し、グローバルな金融セーフティネットの強化に貢献するための重要なメカニズムであり続ける。我々は、CRAの継続的な強化へのコミットメントを再確認し、2023年後半に試験が成功裡に完了することを期待する。我々はまた、中央銀行間協定に関する未解決の技術的問題の修正に向けた進展を支持し、2023年のBRICS経済速報「ポストCOVID-19環境における課題」のテーマ案を承認する。

51 我々は,持続可能な資金及び移行資金,情報セキュリティ,金融技術及び支払いに関する相互の関心事項に関する継続的な協力を歓迎し,金融セクターにおける気候データ・ギャップに対処するための技術の活用に関する提案された研究を含む,関連するワークストリームの下でこれらの分野における作業を発展させ,サイバーセキュリティの強化及び金融技術の開発を目的としたイニシアティブ案を支持することを期待する。 この分野における知識と経験の共有を含みます。

持続可能な開発のためのパートナーシップ

52 我々は,持続可能な開発のための2030アジェンダが,2030アジェンダの実施に必要な手段を動員することにより,バランスのとれた,統合された方法で,経済,社会及び環境の側面において実施することへの要請を再確認する。我々は、ドナー国に対し、政府開発援助(ODA)のコミットメントを尊重し、被援助国の国家政策目標に沿って、開発途上国への能力構築及び追加開発資源とともに技術移転を促進するよう要請する。我々は、この点に関し、2023年9月にニューヨークで開催されるSDGsサミット及び2024年9月に開催される未来サミットが、2030アジェンダの実施に関する国際的なコミットメントを新たにする重要な機会を構成することを強調する。

53 我々は,持続可能な土地利用及び水管理,生物多様性の保全,並びにその構成要素及び生物多様性の持続可能な利用並びに遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な分かち合いを促進しつつ,特に貧困撲滅及び気候変動との闘いを通じて,統合的かつ全体論的な方法でSDGsを実施することの重要性を認識し, 生物多様性条約(CBD)の第1条に従い、各国の状況、優先事項および能力に従って、遺伝資源への適切なアクセスを含む。我々はまた、技術及びイノベーション、国際協力、南南協力を含む官民パートナーシップの重要性を強調する。

54 我々は,保全技術の研究開発,保護地域の開発,野生生物の違法取引との闘いといった,生物多様性の保全及び持続可能な利用の問題に協力することの重要性を強調する。また、生物多様性条約(CBD)等の生物多様性に関する国際条約に積極的に参加し、その議定書、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)、国連砂漠化対処条約(UNCCD)の実施を進め、土地劣化の削減と強化に関するグローバル・イニシアティブに向けて取り組んでいきます陸域生息地の保全。

55 我々は,15年15月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP-15)において,昆明・モントリオール地球規模生物多様性枠組(KMGBF)が歴史的に採択されたことを歓迎する。したがって、我々は、生物多様性の損失を阻止し、逆転させるというKMGBFの使命と自然と調和した生活のビジョンを達成するために、共通だが差異のある責任、各国の状況、優先順位及び能力の原則に従って、KMGBFのすべての世界的な目標及びターゲットの実施に向けて努力することを約束します。我々は、先進国に対し、KMGBFを完全に実施するための資金源、キャパシティ・ビルディング、技術・科学協力、技術へのアクセス及び移転を含む、十分な実施手段を提供するよう要請する。我々はまた、地域の経済発展、工業化、雇用創出及び持続可能なビジネス機会を支援するために、ビジネスにおける生物多様性の持続可能な利用に関する協力の可能性を認識する。

56 我々は,国連気候変動枠組条約(UNFCCC)及びそのパリ協定並びに低コストの気候技術移転,能力構築を強化するとともに,環境的に持続可能なプロジェクトのために,安価で十分かつ適時に提供される新たな追加資金を動員する,共通だが差異のある責任及びそれぞれの能力の原則(CBDR-RC)を実施することの重要性を再強調する。我々は、気候変動に対する多国間の対応を擁護し、促進し、強化し、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)の成功裡の成果に向けて協働する必要があることに合意する。我々は、実施手段は、手頃な価格の気候資金、技術協力、キャパシティビルディング及び気候行動のための技術移転の適切かつ時宜を得た流れを通じたものを含め、先進国によって強化されるべきであることを認識する。さらに、UNFCCC COP27で合意された損失と被害に関する基金を運用し、開発途上国に利益をもたらすことを含め、気候変動による損失と被害に対処するための包括的な資金取極が必要である。

57 我々は,各国の様々な状況に照らし,CBDR-RCの原則に沿って,低炭素・低排出経済への公正で,手頃で持続可能な移行を確保しつつ,気候変動がもたらす課題に対処することに合意する。我々は,国が定義した開発の優先事項に基づき,公正で公平かつ持続可能な移行を提唱し,先進国に対し,模範を示し,そのような移行に向けて開発途上国を支援するよう求める。

58 我々は,GHG排出を回避し,削減し,除去し,気候変動に対処するための適応行動を強化する既存及び新興の低排出技術及び解決策へのアクセスのための開発途上国に対する先進国の支援の必要性を強調する。我々はさらに、低コストの技術移転を強化し、環境的に持続可能なプロジェクトのために、安価で十分な新規かつ適時に提供される追加的な資金源を動員する必要性を強調する。

59 我々は,実施及び協力に焦点を当てつつ,本年後半にドバイで開催されるCOP28の成功に貢献するとの強い決意を表明する。パリ協定の目的及びその長期目標の達成に向けた集団的進捗を評価し、UNFCCCの下でのパリ協定のあらゆる側面における気候変動対策を促進するための主要なメカニズムとして、グローバルストックテイクは効果的でなければならず、気候変動への世界的な対応に関する実施上のギャップを特定すると同時に、すべての人による野心を高めるための基礎を前向きに築くものでなければならない。 特に先進国によって。我々は、先進国に対し、開発途上国における緩和及び適応行動の実施手段における未解決のギャップを埋めるよう求める。

60 我々は,2025年が気候変動に対する世界的な対応のまさに将来の鍵となることから,ブラジルがCOP30、2025を主催することへの立候補を歓迎する。

61 我々は,さらに,先進国に対し,開発途上国における気候行動を支援するため,2025年まで年間100億米ドルを動員することを含め,そのコミットメントを尊重するよう要請する。また、適応行動を実施するためには、2019年までに適応資金を2025年ベースから倍増させることの重要性も重要です。さらに、我々は、開発途上国のニーズ及び優先事項に従い、2025年までに野心的な「新たな集団的定量化目標」を設定することを期待する。そのためには、先進国からの資金支援の強化が必要であり、追加的、助成金ベース及び又は譲許的であり、適時に提供され、バランスのとれた方法で適応及び緩和行動を前進させるのに十分なものとなる。これは、国が決定する貢献(NDC)の実施への支援にまで及びます。

62 我々は,環境及び気候変動プログラムの実施を支援するための資金メカニズム及び投資を強化する必要があり,これらの金融メカニズム並びに国際開発金融機関及び国際金融機関を改革するための機運を高める必要があることを認識する。この点に関し、我々は、これらの機関の株主に対し、気候変動に関連するSDGsの達成に向けた支援のための気候資金及び投資を拡大するための断固たる行動をとり、その制度的取り決めを目的に適合させるよう求める。

63 我々は,特定の先進国によって課された気候変動に取り組むという口実の下にあるものを含む貿易障壁に反対し,これらの問題に関する協調を強化するとの我々のコミットメントを改めて表明する。我々は、気候変動及び生物多様性の損失に対処するためにとられる措置は、WTOと整合的でなければならず、恣意的若しくは不当な差別又は偽装された国際貿易の制限の手段を構成してはならず、また、国際貿易に対する不必要な障害を生じさせてはならないことを強調する。そのような措置は、異なる国の状況に照らして、共通だが差異のある責任とそれぞれの能力の原則(CBDR-RC)によって導かれなければならない。我々は、国際貿易を歪め、新たな貿易障壁のリスクを冒し、気候変動及び生物多様性の損失に対処する負担をBRICS加盟国及び開発途上国に転嫁するWTOの一貫性のない差別的措置に懸念を表明する。

64 我々は,世界的流行の予防,準備及び対応のための我々の集団的能力を向上させ,将来,そのようなパンデミックを集団で撃退する能力を強化するための努力を強化することにコミットする。この観点から、我々は、BRICS仮想ワクチン研究開発センターへの支援を継続することが重要であると考える。我々は,2023年9月国連総会において開催されるパンデミックの予防,準備及び対応に関するハイレベル会合の開催を期待し,この問題に関する政治的意思及び継続的なリーダーシップを動員する成果を求める。

65 我々は,プライマリー・ヘルスケアの基本的な役割を,国民皆保険及び保健システムの強靭性,並びに健康上の緊急事態の予防及び対応のための重要な基盤として認識する。2023年3月に国連総会で開催されるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関するハイレベル会合は、SDG(すべての人に健康と福祉を)達成するための礎石として、UHCに対する最大の政治的支持を動員するための重要なステップであると考えています。我々は、結核(TB)への対処に関するWHOのリーダーシップによる国際的なイニシアティブへの支持を改めて表明し、本年<>月にニューヨークで開催される結核に関する国連ハイレベル会合に積極的に関与することを期待し、断定的な政治宣言を奨励する。

66 BRICS諸国の国内法及び優先事項を考慮しつつ,我々は,BRICS保健大臣のこれまでの会合及びその結果並びに伝統医学に関するBRICSハイレベル・フォーラムに沿って,伝統医学における協力を継続することにコミットする。

  1. BRICS諸国は、核医学および無線薬剤学の分野で重要な経験と可能性を持っていることに留意します。我々は、この分野における協力を拡大するため、核医学に関するBRICS作業部会を設置するとの意思決定を歓迎する。

68 我々は,南アフリカがBRICS科学技術イノベーション(STI)運営委員会の会合を2023年を通じて主催し,BRICSのSTI活動の開催を成功に導くための主要な調整メカニズムとして歓迎する。我々は、運営委員会に対し、現在のBRICS政策の優先事項との適切な整合性を確保するため、BRICS STI作業部会のテーマ別重点分野及び組織的枠組みの戦略的見直しを行うよう求める。我々は、南アフリカが第8回BRICS若手科学者フォーラムを主催し、第6回BRICS若手イノベーター賞を同時開催したことを称賛する。我々は、BRICS諸国間の研究プロジェクトの印象的なポートフォリオへの資金提供を通じて科学者をつなぎ続けるBRICS STIフレームワークプログラムの成功を称賛する。我々はまた、2024年にBRICS STIフラッグシップ・プロジェクトの提案募集を開始するための議論を促進するBRICS STIフレームワーク・プログラム事務局の努力を評価する。我々は、イノベーション協力のためのBRICS行動計画(2021-24年)の実施において達成された進展を認識する。この点に関し、我々は、BRICS技術移転(BRICS技術移転センター)及びiBRICSネットワーク(BRICSイノベーション専門ネットワーク)のようなイニシアティブについて、更なる行動をとることを奨励する。我々はまた、特にBRICS STIEP(科学技術イノベーション・アントレプレナーシップ・パートナーシップ)ワーキング・グループにより、例えば、BRICSインキュベーション・トレーニング・アンド・ネットワーク、BRICS技術移転トレーニング・プログラム、BRICSスタートアップ・フォーラムへの支援を通じて、イノベーション及び起業家精神の分野において、より多くの行動がとられることを歓迎する。

  1. 我々は、我々の宇宙機関がBRICS衛星コンステレーションのデータサンプルを交換することによりBRICSRSSC協定を成功裏に実施したことを祝福する。2022年11月に第2回BRICS RSSCアプリケーションフォーラムを開催。2023年7月にBRICS宇宙協力合同委員会の会議を開催、BRICSコンステレーションパイロットプロジェクトを引き続き成功裏に実施します。我々は、BRICS宇宙機関に対し、BRICS諸国の経済的及び社会的発展のためのデータ支援を提供するため、リモートセンシング衛星データの共有及び応用における協力のレベルを引き続き強化することを奨励する。

70 我々は,SDGsの達成におけるエネルギーへのアクセスの基本的な役割を強調しつつ,エネルギー安全保障に対する概説されたリスクに留意しつつ,エネルギー製品及びサービスの主要な生産国及び消費者としてのBRICS諸国間の協力を強化する必要性を強調する。我々は、エネルギー安全保障、アクセス及びエネルギー転換が重要であり、バランスをとる必要があると確信する。我々は、エネルギー転換のためのサプライチェーンへの協力の強化及び投資の増加を歓迎し、クリーンエネルギーのグローバル・バリューチェーンに完全に参加する必要があることに留意する。我々はさらに、重要なエネルギー・インフラを含むエネルギー・システムの強靭性を高め、クリーン・エネルギー・オプションの利用を促進し、エネルギー科学技術における研究とイノベーションを促進することにコミットする。我々は、エネルギー投資の流れを奨励することにより、エネルギー安全保障の課題に対処するつもりである。我々は、全てのエネルギー源、すなわち、バイオ燃料を含む再生可能エネルギー、水力発電、化石燃料、原子力エネルギー及び、より柔軟で強靭かつ持続可能なエネルギーシステムへの公正な移行に不可欠なゼロ及び低排出の技術及びプロセスに基づいて生産される水素の効率的な利用に関し、各国の優先事項及び状況を考慮しつつ、共通の見解を共有する。我々は、エネルギー安全保障及びエネルギー転換の支援における化石燃料の役割を認識する。我々は、BRICS諸国間の技術的中立性に関する協力を求め、排出量の評価、持続可能なプロジェクトの互換性のある分類法の精緻化、ならびに炭素単位の会計処理のための、共通で、効果的で、明確で、公正かつ透明な基準及び規則の採択を更に求める。我々は、BRICSエネルギー研究協力プラットフォームにおける共同研究及び技術協力を歓迎し、BRICSユース・エネルギー・サミット及びその他の関連活動の開催を賞賛する。

71 我々は,人口の年齢構成のダイナミクスが変化し,特に女性の権利,青少年の育成,障害者の権利,雇用及び仕事の未来,都市化,移住及び高齢化に関して,課題及び機会をもたらすため,人口問題に関するBRICSの協力を強化することに引き続きコミットする。

72 我々は,災害管理の分野におけるBRICSの協力の重要性を改めて表明する。我々は、強靭なコミュニティの構築に向けた防災措置、ベストプラクティスに関する情報交換、気候変動適応イニシアティブの採用、先住民の知識システムの統合、早期警戒システム及び災害に強靭なインフラへの投資の改善の重要性を強調する。我々はさらに、政府及びコミュニティベースの計画における災害リスク削減を主流化することにより、災害リスク軽減における全体論的包括性の必要性を強調する。我々は、国家緊急システムの能力強化のための共同活動を通じたBRICS内協力の拡大を奨励する。

73 我々は,南アフリカがBRICS議長として,将来に向けた教育及び技能開発の変革を重視していることに合意する。我々は、BRICS諸国間の学術資格の相互承認を促進し、熟練した専門家、学者及び学生の移動並びに適用される国内法の遵守を条件として、互いの国で取得した資格の承認を確保するという原則を支持する。我々は、第10回BRICS教育大臣会合において、起業能力の開発、変化する世界のためのスキル、学校に通っていない若者、気候変動、労働市場情報、幼児期の発達及び大学の世界ランキングといった教育及び訓練における重要な分野に焦点を当てた具体的な提案を歓迎する。我々は、教育及び技術職業教育訓練(TVET)協力の進展、特に、コミュニケーションと対話の強化に焦点を当てたBRICS TVET協力同盟の運用化及びBRICSテレビ協力同盟憲章の早期完成により、TVETにおける実質的な協力を促進し、TVETを産業界と統合したことを評価する。

74 我々は,BRICS諸国間の技能交流及び協力を強化することにコミットする。BRICS各国は、教育へのアクセスと公平性を確保し、質の高い教育の発展を促進することに国内で取り組んでいるため、教育とTVETスペースのデジタルトランスフォーメーションをサポートします。我々は、BRICSデジタル教育協力メカニズムに関する機会を模索し、デジタル教育政策に関する対話を開催し、デジタル教育リソースを共有し、スマート教育システムを構築し、BRICS諸国における教育のデジタルトランスフォーメーションを共同で促進し、BRICSネットワーク大学内の協力及びこの分野における他の機関間イニシアティブを強化することにより、持続可能な教育を発展させることに合意する。 BRICS大学リーグを含む。我々は、BRICSネットワーク大学のメンバーシップを拡大し、BRICS諸国からのより多くの大学を含むようにBRICSネットワーク大学国際理事会の検討を歓迎する。我々は、BRICS諸国内の子どもたちにより良い人生のスタートを提供するために、ホリスティックな幼児ケア及び教育へのアクセスを拡大するためのベストプラクティスを共有することの重要性を強調する。我々は、複数の学習経路を通じて、学習者に将来にふさわしいスキルを身に付けさせることに関するBRICS諸国内の交流を促進するという決定を歓迎する。

人的交流の深化

75 我々は,相互理解,友好及び協力を強化する上でのBRICSの人的交流の重要性を再確認する。我々は,2023年の南アフリカ議長国の下で,メディア,文化,教育,スポーツ,芸術,青少年,市民社会及び学術交流の分野を含め,進展が達成されたことを評価し,人的交流が我々の社会を豊かにし,我々の経済を発展させる上で不可欠な役割を果たすことを認識する。

76 我々は,若者が持続可能な開発目標の達成を加速するための原動力であることを認識する。若者によるリーダーシップは、世代間の連帯、国際協力、友情、社会変革の原則を前提とした公正な移行を加速するための基本です。起業家精神とイノベーションの文化は、若者の持続可能な発展のために育まれなければなりません。我々は、若者の問題に関する有意義な関与のためのフォーラムとしてのBRICSユース・サミットの重要性を再確認し、BRICSへの若者の関与のための調整構造としてのBRICSユース・サミットの価値を認識する。我々は、BRICS青年評議会枠組みの最終化を歓迎する。

77 我々は,BRICSビジネスフォーラムの成功裡の開催を称賛する。10周年にあたり、我々は、達成されたマイルストーン及び改善分野に焦点を当てたBRICSビジネス評議会の内省を歓迎する。我々はさらに、BRICS内の貿易フローを追跡し、貿易実績が期待に応えられていない分野を特定し、解決策を提言するとのBRICSビジネス評議会の意図を歓迎する。

78 我々は,経済発展における女性の重要な役割を認識し,BRICS女性ビジネス同盟を称賛する。我々は、包摂的な起業家精神及び女性のための資金へのアクセスが、ビジネスベンチャー、イノベーション及びデジタル経済への参加を促進することを認識する。我々は、農業生産性並びに女性農民のための土地、技術及び市場へのアクセスを向上させるイニシアティブを歓迎する。

  1. 15周年を迎えるにあたり、私たちは、今日私たちが直面している問題について、主要なBRICS学者による審議と議論のプラットフォームとしてのBRICSアカデミックフォーラムの価値を認識しています。BRICSシンクタンク評議会はまた、BRICS諸国の学術コミュニティ間の研究と能力開発における協力を強化してきた10年を祝います。
  2. BRICS諸国の政党間の対話は、コンセンサスを構築し、協力を強化する上で建設的な役割を果たします。我々は、2023年7月にBRICS政党対話が成功裡に開催されたことに留意し、他のBRICS諸国が将来同様のイベントを主催することを歓迎する。

81 我々は,文化分野における協力に関するBRICS諸国政府によって署名され採択された全ての文書及び協定の下での我々のコミットメントを再確認し,BRICS文化作業部会を通じた緊急の問題として行動計画(2022-2026)の運用開始にコミットする。

82 我々は,国連の持続可能な開発のための2030アジェンダに定められた目標を達成するための推進力及び実現要因として,我々の国家開発政策への文化の統合を確保することにコミットする。我々はまた、文化と持続可能な開発に関する世界会議MONDIACULT22で採択されたグローバルな公共財としての文化及び創造経済を促進するとの我々のコミットメントを再確認する。

83.私たちは、有形および無形の遺産の両方を含む私たちの文化遺産の保護、保存、修復、および促進を支援することに同意します。我々は,我々の文化財の不法取引と闘うために強力な行動をとることにコミットし,文化及び遺産の利害関係者間の対話を奨励し,技術的に革新的な解決策を見いだし,文化的コンテンツが制作され,普及し,アクセスされる方法を変革する政策を推進することにより,文化及び創造部門のデジタル化を促進することにコミットする。我々は、BRICS諸国が主催する国際展示会及びフェスティバルへの文化企業、博物館及び機関の参加を支援するとのコミットメントを再確認し、そのようなイベントの開催における相互支援を拡大する。

84 我々は,2023年の南アフリカ議長国において,BRICSスポーツ協力枠組みを策定するためのスポーツに関する合同作業部会の設立を歓迎する。我々は、2023年<>月に南アフリカでBRICSゲームが成功裡に開催されることを期待する。我々は、BRICS諸国が、関連する規則に従って自国で開催される国際スポーツ大会及び会合に参加するために必要な支援を提供することにコミットする。

85.我々は、すべてのBRICS諸国が豊かな伝統的スポーツ文化を有し、BRICS諸国間および世界中の伝統的および先住民族のスポーツの促進において互いに支援することに合意する。私たちは、スポーツ団体がオンラインとオフラインの両方でさまざまな交流活動を行うことを奨励しています。

86 我々は,BRICS都市化フォーラムを通じたものを含め,都市の強靭性を促進するBRICS諸国による進展を賞賛し,2030アジェンダの実施及びSDGsのローカライゼーションの促進において,全てのBRICS諸国において,あらゆるレベルで政府と社会との間の包摂的な協力を更に強化するとのコミットメントを評価する。

制度開発

87 我々は,我々の戦略的パートナーシップを更に強化するため,我々の相互の利益及び主要な優先事項に基づき,BRICSの連帯及び協力を更に強化することの重要性を再確認する。

88 我々は,BRICSの制度開発に関する進展に満足の意をもって留意し,BRICSの協力は変化を受け入れ,時代に遅れないようにする必要があることを強調する。我々は、コンセンサスに基づき、幅広い協力において引き続き明確な優先順位を設定し、我々の戦略的パートナーシップをより効率的、実用的かつ結果指向なものにする。我々は、シェルパに対し、協力の強化を含むBRICSの制度開発に関する定期的な議論を継続するよう指示する。

89 我々は,南アフリカのBRICS議長としての招待により,2023年にヨハネスブルグで開催されたXV BRICSサミットの期間中,サミットレベル以下のBRICS会合及びBRICSアフリカアウトリーチ及びBRICSプラス対話に,「BRICSの友人」として他のEMDCが参加することを歓迎する。

  1. 我々は、BRICSの加盟に関して、グローバル・サウスの国々が示したかなりの関心に感謝する。BRICSの精神と包括的な多国間主義へのコミットメントに忠実に、BRICS諸国は、BRICS拡大プロセスの指導原則、基準、基準、および手順についてコンセンサスに達しました。

91.私たちは、アルゼンチン共和国、エジプト・アラブ共和国、エチオピア連邦民主共和国、イラン・イスラム共和国、サウジアラビア王国、アラブ首長国連邦を2024年1月1日からBRICSの正会員に招待することを決定しました。

92 我々はまた,我々の外相に対し,BRICSパートナー国モデル及びパートナー候補国のリストを更に発展させ,次回サミットまでに報告するよう指示した。

93.ブラジル、ロシア、インド、中国は、2023年の南アフリカのBRICS議長職を称賛し、XV BRICSサミットを開催した南アフリカの政府と国民に感謝の意を表します。

94.ブラジル、インド、中国、南アフリカは、2024年のBRICS議長国とロシアのカザン市でのXVI BRICSサミットの開催について、ロシアを全面的に支援します。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何故、世界は揉め事が絶えないか・生き続けるネフィリムの末裔

2023-08-25 16:46:54 | 日本社会

以下文は、映画スライブ、シュメールの粘土板(第1粘土版~第13粘土版)、旧約聖書、神々の指紋(グラハム・ハンコック)、ウィキペディア等々を参考にした素人の人類・世界観で、まとまりの無い、表現が可笑しい雑文・日記です。

 

先ず、動画スライブの紹介です。

この動画は、世界の諸問題の根源でもある金融の仕組み等を検証・説明しています。元・トランプ大統領、プーチン大統領が最も非難・危惧等している内容でもありますが、多くの日本人は思考停止で理解は不可能だと思います。

第三者により確認された長い動画ですが、「52分30秒~1時間38分00秒」位を視聴すれば金融、支配、世界統一等の問題等を理解できると思います。

 

 今後、世界はウクライナ問題、mRNAワクチンの後遺症等々で人類は有史以来の激変を迎えようとしていると思います。この激変は世界の有り方のみならず、私達の生きかたを大きく変えると思います。この激変に対応する第一歩には多くの人達が、世界のタブー・真相を知ることだと思います。

 このタブー・真相とは人類の本当の歴史、世界の仕組みだと思います。トランプ大統領の登場で世界の多くの人達は米国の構図、支配者の真相を知るきっかけとなったと思います。米国においては国民の多くが間違いなくトランプ元大統領を支持していましたし、今日も変化はないと思います。揺ぎ無いロシアの反グローバル・・・もう世界、人類は良い意味で後戻りは出来ないでしょう。

 日本にはウクライナ問題、mRNAワクチン、拉致、憲法、食料、エネルギー、原発、教育等々、難問が続々と巧妙な形で発生していると思いますが、全ては一つの核、雲上人・僕の存在に行き着くと思います。世界・日本に君臨する大統領、首相の上位に位置する雲上人は私物でもある国連をはじめとした全ての国際機関、世界・日本のメディア、御用学者・専門家等を利用し、世界のタブーを封じている構図が明らかになりつつあると思います。戦後、日本においては私利私欲に取りつかれた政治家、メディア、評論家等は尻尾を振ることでこれらの恩恵を受けており、日本を可笑しな方向に導いていると思います。

 世界・日本の理不尽な根源を知ることは、より良き世界・日本を夢ある未来を構築できる一歩になると思います。世界のタブーを知ることにより、今まで私達が知り得た世界・日本の常識等々が大きく変わりますが、より良き未来へ近づくと思います。

 

 雲上人・僕(ネフィリム、その僕等であるアシュケナージ・ユダヤ人「旧約聖書とは何の関係も無い、非血流・旧カザール人ユダヤ教信者」等)が煙たがるとも言われる、旧約聖書は5000年前のシュメール粘土板(紀元前3000年以前から西暦紀元直後までの記録)に記されている世界・人類の歴史・・・このシュメール粘土板には人類創造から始まりネフィリムのルーツ、ピラミッド建造者・目的等々が記されており、私達が知り得た知識とは違います。旧約聖書には人類の核心が具体的・細部にわたり記されており、シュメール粘土板と旧約聖書は表裏一体であることが分ります。

 人類の歴史書でもある聖書・旧約聖書・・・聖書は宗教の書ではありません、宗教とは何の関係もありません。あれ?と思うかも知れませんが素直に読むと間違いなく、人類の歴史書であることが判ります。シュメール粘土板、神々の指紋等々を検証すると結論に導かれるように思います。

 有史以来の世界の大ベストセラーである聖書は、宗教家でない人達にとっても人類への正確な歴史書として古来から読まれています。世界は聖書で動いていることが判りますが雲上人・僕は絶対に触れてほしくないようで、聖書を巧妙に宗教書にしてカモフラージュしているようにも思います。自分なりに調べると欧米人の思想の根底は聖書思想であり、日本も歴史、文化・伝統が旧約聖書に極めて大きく影響されていることが分かります。

 過去、NHK等で報道された日本人の40%程度がYap遺伝子(旧約聖書上の血統的スファラディ・ユダヤ人)を持っており、日本人の多くは旧約聖書のアブラハム→イサク→ヤコブの流れの純粋な血統的スファラディー・ユダヤ人であることが証明される結果となっていますが、この結果に対する反響は封じているようですが、世界の一部の国は日本に対する妬み、ひがみ等は大きく、この事実は聞きたくない、知りたくないと言うのが現実のように思います。 正に日本は世界で一番旧約聖書に関わりがある国であることが判り日本文化・伝統、日本人の心も旧約聖書を理解すると分かり易いと思います。

 私達は世界から見たら、旧約聖書が宿る日本と言う凄い国に生きていることになります。聖書の中でもネフィリムとは何の関係も無い、旧約聖書・人類の頂点に位置する善を旨とする人類最高宝でもある天皇、皇室に対する見方も大きく変わると思います。

 

旧約聖書・創世記6:1〜4

6章
1 And it came to pass, when men began to multiply on the face of the earth, and daughters were born unto them,

2 That the sons of God saw the daughters of men that they were fair; and they took them wives of all which they chose.

3 And the Lord said, My spirit shall not always strive with man, for that he also is flesh: yet his days shall be an hundred and twenty years.

4 There were giants in the earth in those days; and also after that, when the sons of God came in unto the daughters of men, and they bare children to them, the same became mighty men which were of old, men of renown.

欽定(きんてい:君主等の命により一方的に書かれたもの等)聖書では、ネフィリム(Nephilim・ネピリム)という語は巨人(giant)と訳語しています。ヘブライ語訳では天から降りてきた者と訳されます。

 ノアの洪水が起きる前、この世界には巨人が居り、人を食ってしまうような巨人が存在していたことになります。今日の世界でも巨人の遺骨が多くの世界で発見されていますが、タブーとされています。このような反神の巨人が多数存在していたから神は、ノアの洪水を起こし、ノアの一族を除き、巨人を一掃した。

 神の(息)子たち、the sons of Godという言葉は、シュメール粘土板、神々の指紋等と照らし合わせた場合、最も自然な言葉は地球外の神(人類を創造した生命体の人達を神と称しているようです。)に仕えていた天使(地球外)が堕落(反神)した天子である、堕落天使となり(悪を崇拝)自分も神になりたいと神に反抗した者達と解釈するのが最も自然だと思います。

 この堕落天使達が地球上の人間の子(娘)に生ませた子供がネフィリムであり、今日の世界の13血流・家族(ネフィリムの血流=イルミナティ)イルミナティ13血族 - 日々徒然スピ日記(にゃべ♪) - カクヨム (kakuyomu.jp)となるようで悪を崇拝(儀式あり)すると言われ、日本へは一部、李の血流として入っているとも言われ、天皇に寄り添っているとも言われています。現在もネフィリムは血流を最も重視しており、13血流・家族は厳然と地球、世界で生き続けています。現在、ウクライナと戦っているロシアの相手のウクライナ・米国の奥の院はネフェリムと言えそうです。

 世界の13血流・家族(ネフィリムの血流、雲上人)は表に出ない本当の世界の支配者であり、自分達のものである地球、人類を金融等で支配するのは当然と考えていると思います。その僕としてアシュケナージ・ユダヤ人等が使われている構図が見えてくると思います。この僕は世界を金融、戦争・対立、エネルギー、原発、食料、情報等々で支配していると言われていますが、より良く支配するため世界に難問題を作っていると思います。

 その延長線上が世界・日本が抱えている難問題に行き着くと思います。ユーチューブで公開されている「スライブ」は分かり易く世界に訴えかけていると思います。このことに気づき、対応しているのが世界で影響力がある人物が元トランプ大統領、プーチン大統領、イーロン・マスク氏等であるかもしれません。雲上人・僕からしたらこれらの人達は絶対に世界に台頭しては困る人達でもあり雲上人・僕の宝刀である世界のメディア等々を利用して封じ込め、世界のメディア等の全ての情報操作を行っている構図が見え隠れします。私達の身近な新型コロナ・ウイルス、mRNAワクチン後遺症問題、停戦の兆しが無いウクライナ問題等にも大きく関わっていると思います。

 敗戦後、GHQ策により貪欲な私利私欲になった一部の日本人に目をつけた雲上人・僕達は利権等々を巧妙な形で間接的に与えた結果が今日の日本の姿だと言えそうです。昨今の政府は民意が反映されない異常事態下の日本の行く末が案じられますが、日本の諸問題の根底に潜むグレーゾーンの多くは雲上人・僕等による間接策と言えそうです。

 今後、グローバル化のもと日本は歴史上初めて経験するmRNAワクチン後遺症による社会的影響、理不尽なウクライナ問題は日本の多くの思考停止者により針路を大きく変わろうとしていると思います。私達はメディア・専門家等々に左右されることなく自分なりの安全な新たな生き方、生活環境を作ることが必要だと思います。

 国民により選ばれた首相が民意を反映できない現実、今日も敗戦国でもあり米国の影響力下ですが、如何なる事態になろうとも私達は凛とした姿勢で今日を生きる必要があると思います。グローバル化の美名に騙されてはなりません、世界でも稀な天皇制、皇室を有する素晴らしい歴史、文化等を有する日本を如何に未来に繋ぐかは私達一人々が、メディア・御用専門化等の情報に惑わされないかにかかっていると思います。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の気配は感じない日々、更にウクライナ問題はヒートアップ

2023-08-25 08:00:51 | 日記

何としてもロシアを崩壊させ、地球上に残されたロシアの膨大な資源等を自由にしたい雲上人・その僕、世界の覇権・ドルを守りたい人達、日本はドルを守るために問答無用の円安を指示され、ロシア制裁のブーメーラン効果が間接的に少しずつ効いてきているようにも思います。

ガソリン価格だけでなく、経済活動で無視できないオイルショックが起きる可能性、インフレの進行、株価下落等の可能性があると思いますが、その裏で巧妙に益を得ている一部の人達がいることも事実だと思います。世界は大きく動いていますが、プロパガンダ一色で情報・言論等を封じ、大戦・核戦争に持ち込みたいのか・・・

孫氏の兵法を堅持しているロシア、プリコジン氏搭乗機墜落も可笑しな問題が多々有り、欧米の報道と違い、何処が関与しているか、CIAを凌駕する情報網を持っているロシアは真相を知っていると思います。

 

日本で報道されない動画、ニュース等の一部を紹介します。

(119) FABVOX - YouTubeさんの動画紹介です。

 

 

 

 

プーチン大統領 トベリ州墜落機の遺族に哀悼の意

プーチン大統領 トベリ州墜落機の遺族に哀悼の意

8月24日、プーチン大統領は前日夜にトベリ州で起きたプライベートジェット機墜落事故の犠牲者の遺族らに対して、深い哀悼の意を示した。同機には民間軍事会社「ワグネル」代...

Sputnik 日本

 

 

バイデンはこの紛争を止められない=トランプ前大統領 ウクライナ、裁判について語る

バイデンはこの紛争を止められない=トランプ前大統領 ウクライナ、裁判について語る

億万長者、前米大統領、次期大統領候補、そして被告人など様々な肩書きを持つドナルド・トランプ氏。24日にも大統領選介入事件の審理でジョージア州の裁判所に出頭する見込...

Sputnik 日本

 

 

【視点】「日本の規制当局は間違っている」 英原子力専門家、トリチウム水の安全基準は時代遅れと主張

【視点】「日本の規制当局は間違っている」 英原子力専門家、トリチウム水の安全基準は時代遅れと主張

東京電力は24日、福島第一原子力発電所から出る低濃度のトリチウムを含む処理水の海洋放出を開始した。日本政府は健康や環境への被害はないと説明しているが、これに真っ向...

Sputnik 日本

 

 

独立系メディア 青山貞一・ (eritokyo.jp)氏の記事紹介です。

BRICS・首脳会議本会議におけるプーチン大統領の演説
2023年8月23日

本文
 尊敬するラマポーザ大統領、尊敬するルーラ大統領、尊敬するモディ首相、尊敬する習近平国家主席!親愛なる友人、同僚の皆様!
はじめに、我々の南アフリカの友人たちが今年のそのBRICS議長国の過程で行ったことすべてに対して彼らに感謝したいと思います。

 演説した同僚たちはすでにBRICSの活動を肯定的に評価しており、全体として我われもそれらの評価に同調しています。我々「5か国」は十分な根拠を持って国際舞台において権威ある組織として確立され、世界情勢におけるその影響力は首尾一貫して強化されています。
 団結の戦略的路線は未来を志向しており、国際社会の主要部分、いわゆる世界の多数派の願望に応えています。我われは同権、パートナー支援、互いの利益を考慮する原則に基づいて足並みをそろえて行動し、世界的および地域的な議題の最も差し迫った問題に取り組んでいます。

重要なのは、国連憲章の最も重要な原則を遵守しながら真に公正で国際法に基づいた多極世界秩序の形成を我われ皆が一致して支持していることです。そこには主権とすべての人々の独自の開発モデルの権利の尊重が含まれています。我々はいかなる覇権にも、また一部の国が宣伝している自分たちの優位性にも、そしてこの仮定に基づいた新植民地主義を継続するという新たな政策にも反対しています。

 私は、まさに世界におけるその覇権の維持を目指すこと、この覇権の維持を一部の国が目指していることが、ウクライナの深刻な危機を引き起こしたことを指摘したいと思います。はじめに西側諸国の助けによって、この国(ウクライナ)で憲法違反のクーデターが実行され、その後、このクーデターに同意しない人々に対して戦争が開始されました。残酷な戦争、殲滅する戦争が8年間にわたって続きました。
 ロシアは自分たちの文化、自分たちの伝統、自分たちの言語、自分たちの未来のために戦う人々をサポートすることを決めました。ウクライナにおける我々の行動はただ一つ、西側諸国とその衛星国がウクライナでドンバスに住む人々に対して始めた戦争に終止符を打つことに基づいています。
我々は、この状況を終わらせ、平和的手段で公正な解決を達成する試みに積極的に参加しているBRICSの同僚に感謝しています。

尊敬する同僚の皆さん、重要なのは我々皆が一致して真に公正で国際法に基づいた多極世界秩序を支持していることです。
BRICS諸国は年々その可能性を拡大しています。すでに述べられたように、そこに30億人以上の人々が住む「5か国」のGDPが世界にが占める割合は、購買力平価に関してすでにいわゆる「G7」の割合を超えています。過去10年間でBRICS諸国の世界経済への投資は倍増し、輸出総額は世界全体の20%に達しました。
 2025年までの加盟国の経済パートナーシップ戦略は順調に実施されています。特に、サプライチェーンの多様化、相互決済における脱ドル化と自国通貨への切り替え、デジタル経済、中小企業支援、公正な技術移転などの分野に関する5か国の協力が強化されています。そしてもちろん、経済界はこれらのプロセスに参加し、イニシアチブを発揮しています。本日の会議の主催者であるラマポーザ大統領がすでに述べたように、BRICSビジネス評議会とBRICS女性ビジネス・アライアンスのラインで多くの作業が行われており、これらの組織の責任者たちが同会議に出席しています。


 BRICSの協力の重要な優先事項は、安定かつ安全な新しい輸送網の構築です。BRICSビジネスフォーラムの参加者を前に演説し、私はすでに北部の海やバルト海のロシアの港とペルシャ湾およびインド洋の海岸にある海洋ターミナルを結ぶ「南北」回廊などの大陸横断ルートの開発加速が緊要であることについて述べました。 将来的に年間最大3000万トンの貨物輸送が可能となるでしょう。
我々は、BRICSの枠組みの中で常設の運輸委員会を設立する時期が訪れたと考えています。同委員会は「南北」プロジェクトだけでなく、より広い視野での地域間および世界的な物流と輸送回廊の開発にも取り組むでしょう。パートナー国が同意した場合、ロシア側は2024年のBRICS議長国の一環としてこの構想を練ることが可能です。

そしてもちろん、我われはグローバルイノベーション分野における「5か国」の協力強化を歓迎します。BRICS研究インフラのグローバルネットワーク構想の枠組みの中で協力を強化することを期待しています。その支援と発展には特別信託基金が取り組むことができるでしょう。ロシア側としては、デジタル変革や人工知能の利用などの分野で蓄積された経験や先進的な実地経験を伝える用意があります。
 我々はまた、核医学に関する共同作業部会の設立に関する合意の履行に積極的に参加する意向であり、中等職業教育における協力に関するBRICSアライアンスの活動をできるだけ早く実践に移すことに関心を持っており、女性問題に関する個別の閣僚級会合を開催するという南アフリカの同僚たちの提案を全面的に支持しています。我われの国々の政治、経済、社会生活における女性の役割は間違いなく拡大しなければななりません。

尊敬する同僚の皆さん!
 来年、BRICSの議長国はロシアに移ります。我われは「公正でグローバルな発展および安全保障のための多国間主義の強化」をモットーに議長国を務めます。約200の政治、経済、社会的な行事が計画されており、それらはロシアの十数都市で行われます。また2024年10月にカザン市でBRICS首脳会議を開催する予定です。具体的な日程は外交ルートを通じて同僚たちと調整します。そこでは、その良さをしっかりと発揮した「BRICSプラス/アウトリーチ」形式の行事も開催されます。
 我々は議長国の任期中に、加盟国拡大に関するものを含め、今回のサミットで承認された決定の実施に効果的に寄与するためにあらゆることを行う意向です。
我々は、外交政策文書に関してパートナー国と緊密に連携し、国連をはじめとした最も重要な国際的な場で力を合わせて作業し、安全保障に関する上級代表者たちの定期的会合の実施を継続します。

 もちろん、テロやテロリストの思想拡散との闘いなどの緊急課題、マネーロンダリング対策や犯罪的な方法によって取得された資産の返還にも優先的に注意を払います。
なお、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)への支援に対してパートナーの皆さんに感謝申し上げます。この連携の気概が今後も維持されることを期待しています。

 

田中宇の国際ニュース解説 (tanakanews.com)さんの記事紹介です。

日米韓壕の中国敵視は茶番から自滅に

2023年8月22日   田中 宇

8月18日に日米韓の首脳が米キャンプデービッドで開いたサミットは、3か国が結束して中国の台頭・脅威に対抗する決意を示す意味があったと喧伝されている。だが、会合で取り決めた声明文(キャンプデービッド精神)を見ていくと、中国の「脅威」「悪さ」についての十分な指摘すらできていないことがわかる。
ちまたでは、いずれ米中が台湾をめぐって戦争し、日豪など同盟諸国も巻き込まれるという「予測」が飛び交っている。だが、日米韓は今回の声明文で「台湾に関する我々の基本的な立場(台湾が中国の一部であるという中共の認識を日米韓が理解・尊重。一つの中国の尊重)に変更はなく、我々は両岸問題の平和的な解決を促す」と明言している。
日米韓首脳共同声明「キャンプ・デービッドの精神」
U.S., Japan, South Korea alliance sends clear message to China

米国は1978年に中共を国家承認して以来、台湾が中国の一部であることを一貫して認めている(米中共同声明)。この間、台湾が中国から分離独立する流れを米国が肯定したことはない。対米従属の日韓も、米国と同じ姿勢だ。
その一方で米国は、台湾軍に戦闘機の部品を供給したり、数十人規模の米軍を軍事顧問として駐留している。これは、米国が中共を国家承認する前にやっていた中華民国(台湾)への軍事支援の名残りであるが、米国はこれを対中挑発としてやっている。
中共はこれを共同声明違反として怒り、正当防衛として中国軍が台湾近海で軍事演習をする。米日のマスコミなどは、米国の共同声明違反の部分をわざと無視して「中国が藪から棒に台湾に侵攻しようとしている」と歪曲喧伝する。藪から棒ではない。米国が煽ったのでこうなっている。
The Spirit of Camp David

現実論として、米国が台湾への軍事支援をさらに増やすには米中共同声明を放棄せねばならない。だが今回の日米韓の声明文には、米中共同声明と同じ「台湾が中国の一部であるという認識」が盛り込まれている。
台湾をめぐる米国の扇動は今後も続き、一触即発っぽい感じが醸成され続ける。日本などの人々は騙され続ける。台湾の人々はかわいそう。しかし、米中戦争にはならない。その流れが、今回の米日韓の声明文で再確認された。
日韓は、米国に守ってもらっているので、仕方なく米国主導の中国敵視に付き合っている。日韓政府の本音は、大きな貿易相手である中国と対立したくない。その本音にそって日韓が米国に頼んで、声明文に「一つの中国の原則を尊重します」と盛り込んだのだろう。
U.S. seeks to bring Japan and South Korea closer with eye on China

今回の声明文では、台湾問題でなく南シナ海問題で、中国の軍事行動を「危険かつ攻撃的」と名指しで非難している。南シナ海問題で中国と対立するASEAN諸国と日米韓との協調関係を強化することが盛り込まれている。「名指し非難が画期的」と喧伝されている。
だが、この分野もすでに底が抜けている。ASEAN諸国は以前、南シナ海の領有権をめぐっで中国と鋭く対立していたが、近年は中国の経済影響力が大幅に拡大し、ASEANは中国との対立を回避して経済でよろしくやった方が良いという結論に達している。
ASEAN諸国は、まだ建前的に南シナ海の領有権を主張しているし、米国から促されれば中国を非難するが、実際はすでに南シナ海での中国の軍事施設拡大・人工島の建設などを黙認している。
米国(と日韓)は、そんな現状を知りつつ、声明文で中国を名指しで非難し、ASEANと関係強化すると言っている。米日韓がASEANと関係強化しても、すでに中国の経済圏・影響圏に入っているASEANが方向転換することはない。
Indonesia’s audacious Ukraine play is a message from the Global South

中国(中共)を非難する事案といえば従来、新疆ウイグル自治区や香港での人権侵害や民主破壊が米側で喧伝されていた。それらの分野の状況は今も変わっていない(香港民主化はもともと英国による茶番劇)。だが、今回の米日韓サミットにおいて、それらの批判は姿を消している。米日韓が中国を非難したのは、すでに底が抜けて無効な南シナ海問題だけだった。茶番ばかり。戦うなら、もっとちゃんとやれよ。
そもそも中国の台頭がもたらす世界の多極化、非米化は、人類を豊かにするし、平和にする。米国は戦争ばかりしているが、中国はトウ小平以降、戦争していない。途上諸国を借金漬けにして搾取した頻度は中国より米欧の方がはるかに高い。米国側がやっている歪曲に基づく中国敵視は、中国を非米側の雄にして強化してしまう隠れ多極主義的な策略になっている。
The Alliance

声明文は冒頭でちらりと「地政学的競争」のキーワードを載せている。これはウクライナ開戦以来、中露が結束して非米諸国を取り込んで資源利権を結集し、米国側が弱まっていく非米化・多極化のことだ。
声明文は、自分たちの領域を示す言葉として「インド太平洋」を使っているが、インドはすでに非米側の国だ。ASEANも非米側だ。中露を非難する国が米国側、非難しない国が非米側なので見分けられる。
Why China’s ‘united Asia’ is a tough sell

米国側の諸国は、米国から加圧されて中露を非難しており、米国の「同盟国」でなく「傀儡国」である。米国側には、国家主権がなく、今後は資源もない。崩壊寸前の金融バブルだけ。昔は先進国が途上諸国より上位だったが、今やすっかり逆転した。米国側は、非米側に馬鹿にされる存在に成り下がっている。
米国側は、もう非米側に勝てないのに、まだ「地政学的競争」とか言って、勝ち目があるかのように書いている。だが、どうやって勝つかは書かれていない。どんな競争になっているかすら明確にされていない。非米側が金資源本位制を形成しつつあることも無視されている。負け組確定。
Biden’s Trilateral Summit With South Korea, Japan Aimed at ‘Accelerating’ Anti-China Policy

声明文は「グローバル・サプライチェーン(国際流通網)の混乱に関する政策連携」も提唱している。コロナ超愚策の無意味だった都市閉鎖、米諜報界が誘発した米中間の流通網の混乱によるインフレ激化、そして米国側から非米側への資源利権の移転による米国側の資源不足、などが連続する結果、米国側の物不足とインフレが激化していくことが、私が見るところの「流通網の混乱」だ。
権威筋は、そんな風に言ってない。米諜報界やウクライナ戦争がインフレを誘発したのに、米連銀の低金利策のせいにされて間違った利上げが強要され、米経済が自滅させられている。これに象徴されるように、米国側では、混乱に関する政策も大間違いなものになり、混乱がますますひどくなる。専門家たちの頓珍漢が激化する。
複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ

日米韓は「気候危機」への対策も協調するが、これも頓珍漢。気候危機は起きていない。気候は通常の循環変動をしているだけで危機になっていない。人為の排出が気候に悪影響を与えている証拠もない。米英の学者が作ったインチキなシミュレーションモデルだけが根拠だ。
米国側はインチキな気候危機を軽信して石油ガスの利権を手放し、その利権が非米側に移転している。自然エネルギーは非効率で使い物にならないのに、それも米国側で無視されている。
気候危機のウソがバレ、やっぱり石油ガスしかないねという話になるころ、米国側は利権を持たない貧しい国々になっている。これが「地球温暖化問題」の本質だ。非米側は勝ち組なので、温暖化対策をやると言いつつやっていない。日韓は、対米従属に固執したばかりに自滅させられている。
歪曲が軽信され続ける地球温暖化人為説
温暖化対策で非米化の加速

米国覇権の衰退は日韓政府も知っている。とくに韓国の尹錫悦大統領は、米国の衰退に備えて日本との安保関係を強化することに積極的で、昨年5月に就任後、嫌日的な韓国民に反対されつつ、安保や「戦争責任問題」などで日本との和解を進めてきた。
米国自身、以前から、極東での軍事負担を減らすため日韓を和解させて安保協定を結ばせようとしてきた。だがこれまで日韓とくに日本は、対米従属を恒久化したいので、米国を撤退させてしまう日韓和解を嫌がり、日韓対立を温存してきた。
それが今回は、尹錫悦の日韓接近策に、バイデン米政権の中国敵視策が乗っかって、米日韓の結束で中国(非米側)に対抗する図式の今回のサミットになった。バイデンには、中国に強硬姿勢をとることで来年の大統領選を少しでも有利にしたい、不人気を挽回したいという思惑もある。
Camp David summit: a trilateral march toward instability?

日米韓のサミットでは、サミットや各分野の閣僚会議の定期開催など、日米韓の安保関係の「機関化」(制度化)が進められることになった。日米韓がNATOみたいな国際安保機関を形成していくという趣旨だ。
欧米のNATOはロシア敵視が目的で、日米韓の安保機関は中国敵視が目的だ。アジア太平洋地域では近年、AUKUS(米英豪)やクワッド(米豪日印)、NATO東京事務所設立(NATO拡大)構想など、NATOみたいな中国敵視の機関を作りたがる動きが続いている。今回の日米韓もその流れになる。
AUKUS, QUAD transforming alliance-like - Indian Punchline

中国敵視のアジア版NATOを作ることは、日韓豪を自滅に追い込む超愚策、もしくは中国とロシアを結束させて非米側を強化する隠れ多極主義の策だ。
NATOはウクライナで実質的にロシアと戦争している。アジア版NATOが中国と戦争することはない。すでに書いたように、台湾も南シナ海も戦争にならないからだ。だがアジア版NATOは、日韓や豪州に対し、中国への経済制裁を強要する。
日韓や豪州は、米国の言いなりにならざるを得ないので、アジア版NATOにおける機関決定の場において、米国の提案に賛成する。以前のハブ&スポークの2国間関係の体制なら、表向き米国の言いなりになりつつ実質的に動かない・のろのろ動くといった「ご無理ごもっとも」の対策が可能だった。米国はすべての同盟国に別々に発破をかけねばならず、やり切れなかった。
だが、アジア版NATOでの機関決定になると、同盟諸国間の相互監視がきつくなり、従来のハブ&スポーク時代よりはるかにマジに中国敵視をやらされるようになり、日韓豪の経済自滅がひどくなる。
Does Australia really want to be at the front line of US aggression against China?

日米韓のサミット開催の少し前、8月13日には日豪の軍事的な「円滑化協定」(合同軍事演習時の軍人の出入国手続きの簡素化など)が発効した。これまで米豪と日米という別々の2国間安保体制だったのが合体して日米豪の3か国の安保体制になっていく動きが進んでいる。これは、8月18日の日米韓サミットで、日米と米韓が日米韓に合体していくのと同じ流れだ。
日米豪はインドも入れて中国包囲網として「クワッド」を形成し、8月11日からは豪州沖で4カ国の定例のマラバール軍事演習を行っている。インドはまだクワッドに参加しているが、BRICSの一員として中露との関係を深めている。
インドは、BRICS内で親米的な存在ではあるものの、米国と疎遠になる傾向だ。日米韓と日米豪の2つの3カ国同盟ができていくことは、クワッドからインドが抜けて韓国が入ってくる感じの流れでもある。だが韓国は、日豪よりも中露敵視の度合いが少なく、中国との経済関係も緊密だ。
US Cements ‘Game-Changing’ Military Ties Between Japan and Australia
QUAD in action: India, Japan, US, Australia to hold Malabar naval exercise

豪州は、保守系のモリソン前政権時代(2018-22年)に、中国との経済関係を本気で断絶する敵視策をやり、米英豪の中国敵視網AUKUSに加盟したり、中国が豪州の石炭や大麦を輸入しなくなったりした。だが、これによって豪州経済は打撃を受け、外交関係も失敗し、中国だけでなくインドネシアもAUKUSに反対し、インドネシアと中国が結束してしまった。
2022年5月の総選挙でモリソンが辞任し、その後の今の労働党アルボ政権は、中国敵視したがる米国との安保関係を表向き保ったまま、中国との経済関係を改善していき、中国は石炭や大麦の豪州からの輸入を再開した。
China's renewed appetite for Australian coal disrupts Asia flows
Australia should forge closer relations with China

韓国も豪州も日本も、安全保障を米国に依存しているので米国の中国敵視策に付き合っているが、その裏で中国との経済関係を良好なものにするという、裏表のある国策をとっている。
米国は従来、日韓豪の表裏のある対中政策を黙認してきたが、これからは容認しなくなっていく可能性が高い。米国は、自国の業界と日韓などに対して半導体製造装置の中国の輸出を規制させている。
中国は中長期的に、この経済制裁を乗り越えて自国内や非米側での半導体調達を増やしていく。中国との関係を切った日韓など米国側の方が半導体業界の縮小という失敗に直面する。
Australia invites China’s new foreign minister to Canberra, sees ‘no downside’ in Wang Yi’s return

ロシアとの経済関係を断絶させられ、石油ガスが不足して経済破綻が続いているドイツなど欧州は、米国との同盟関係を続けていると経済を自滅させられる先例を示した。今後は、日韓豪などアジア側の同盟諸国が、中国を相手に同じような目にあわされていく。
中国もロシアも、米同盟諸国にとって脅威といえるほどの存在でないのだが、脅威の分析からして米同盟諸国の専門家たちは米国から洗脳歪曲させられ、まっとうな判断ができなくなっている。脅威でないものを脅威だと言って敵視する大間違いの連続をやらされ、細かく管理されて自滅させられていく。米国の隠れ多極主義が巧妙に機能している。
‘Extreme’ US-China rivalry could be ‘disastrous’ for global economy: Singapore’s Lawrence Wong

この流れがどんどん進む前に、米国金融が破綻してくれたら対米従属できなくなって良いのにと、4.2%から4.3%に上がった10年もの米国債金利を見ながら祈っている。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暑い日々が続いています。

2023-08-21 05:23:37 | 日本社会

世界は人類の歴史上最も困難な時期にあるかも知れません。

旧約聖書では3つの大きな大戦が記してあります、2つの大戦は経験しましたが、残りの大戦が気になるところです。この困難は一握りの雲上人・その僕達がグローバル、NOW・統一世界を目指すためには世界で一番の問題である人口問題を解決手段として昨今のワクチン問題、大戦、核戦争等に帰依(仏法用語・拠り所)するかも知れません。

この目的のために一番の邪魔な国であるロシア・・・ウクライナでの戦いも、ロシアの勝利は間違いないと言われていますし、明日にでも停戦、終戦可能ですがウクライナの敗戦は許されないでしょう。停戦・終戦は米国の覇権等維持のために阻止されていると言われています。今後は、あらゆる手段でロシアの崩壊を目指し、トランプ氏の再大統領登場を阻止するでしょうが、世界の良心・良識を壊すことは出来ないでしょう。

世界・日本の平和、発展を考えた場合、困難な問題ですが人口問題は解決できると思います。先ずは、この困難な世界、日本を自分なりに思考することが大切だと思いますが、日本人の8割位は思考ではなく、思考出来ないと思います。

100年前のユダヤの議定書に記してあるように、政治に無関心・愚民になるように「芸能、スポーツ、クイズ」を民に与え続けたら目的が達せられる・・・

(ユダヤの議定書・シオン賢者の議定書( The Protocols of the Elders of Zion、ロシア: Протоколы сионских мудрецов)は、秘密権力の世界征服計画書という触れ込みで広まった会話形式の文書、1890年の終わりから1900年の初めにかけてロシア語版が出て以降、シオンの議定書、シオン長老の議定書とも呼ばれれています。内容はユダヤ人(アシュケナージ・ユダヤ人)が、世界の頂点に君臨する世界の13血流の下で、僕として世界支配するというもので陰謀論と言われていますが、昨今の世界から見たら陰謀論では済まされないでしょう。)

世界でも稀な日本社会、現状の日本社会は、メディア等は毎日、これらの情報が流し続けています。これではまともな思考は出来るはずがありません。8割の方が該当すると思います。残された2割位の方々が諸問題を思考され、より良き世界、日本を作る一歩を歩んでいると思います。

トランプ元・大統領が述べているように諦めたら負けです。世界・日本の未来のためにも2割の方々の役割は大きいと思います。2割は少ないかも知れませんが、世界にはトランプ氏、イーロンマスク氏、プーチン大統領等の存在は大きいと思います。互いの情報共有、自分なりの思考は大切だと日々感じています。

 

国内で細部報道されないニュースの紹介です。

(110) FABVOX - YouTubeさんの動画紹介です。

 

「ルナ25号」 月と衝突で消滅=ロスコスモス

「ルナ25号」 月と衝突で消滅=ロスコスモス

8月20日、ロスコスモスは、現段階の判断から、月探査機「ルナ25号」が想定外の軌道へとコースを外れ、月と衝突して消滅した可能性があると発表した。

Sputnik 日本

 

 

日本 岸田首相、福島第1原発を視察 処理水の放出判断へ対策確認

日本 岸田首相、福島第1原発を視察 処理水の放出判断へ対策確認

岸田文雄首相は20日、福島県を訪れ、東京電力福島第1原発(大熊、双葉両町)を視察した。処理水の海洋放出に向け、放射性物質で汚染された水を浄化する多核種除去設備(ALPS...

Sputnik 日本

 

 

露中、原発処理水放出めぐり日本に質問状=中国外務省

露中、原発処理水放出めぐり日本に質問状=中国外務省

中国外務省は9日、福島第一原発から出た処理水の海洋放出計画をめぐり、中国がロシアと共同で日本側に質問状を送達したと発表した。質問状は放出計画に疑問を呈するものとな...

Sputnik 日本

 

 

英MI6、アフリカ諸国向けウクライナ人工作部隊を養成か=情報筋

英MI6、アフリカ諸国向けウクライナ人工作部隊を養成か=情報筋

英国の諜報機関「SIS(秘密情報部、通称MI6)」がアフリカ諸国での工作活動のためのウクライナ人部隊を養成したとみられることが、スプートニクの軍事外交筋への取材で分か...

Sputnik 日本

 

BRICS首脳会議は開幕前、「既に勝利」20カ国以上がBRICSへの参加に関心  Sputnik Afrique   フランス語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) (eritokyo.jp)

苦い真実: ウクライナにはロシアを倒す本当の方法がない  InoSMI  ロシア語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) (eritokyo.jp)

The Hard Truth: Ukraine Has No Realistic Path to Victory Over Russia - 19FortyFive、上記文の参考原文

 

*******

新しい世界体制の立ち上がり (tanakanews.com)さんの記事紹介です。

新しい世界体制の立ち上がり

2023年8月19日   田中 宇

8月末に南アフリカでBRICSサミットが開かれるのを前に、BRICSをめぐっていろんなことが言われている。その一つは、BRICSがドルに対抗する共通通貨を作るかどうかという話だ。
How Far West Are The BRICS?

主催国の南アフリカの代表が、共通通貨は今回のサミットの議題になっていないと表明した。BRICSは反米組織でないし、非ドル化・ドル潰しをやりたいとも思ってない。新興諸国の国益に沿って動いているだけで、非ドル化でなく各国が自国通貨で貿易できるようにしたいだけだ、と南アは言っている。
なるほど。新興の諸大国が自国通貨で貿易決済すると、結果的に非ドル化が進む。言い方は違っても結果や現実は同じ。さすが外交官(=詭弁屋)。
BRICS is not anti-West - South African envoy

非ドル化は、単にドルを使わないことだけでない。ドル建てで作られている米国製の各種の金融ツールを使わないようにすることでもある。。米国の金融ツールを使うと、米国勢が形成する各種の金融相場の変動の影響を受ける。
将来的に米国の脅威になるかもしれない新興諸国に対し、米国勢はヘッジファンドや投機筋を使って金融的な攻撃を仕掛け、相場を急変させ、経済破綻を誘発する。
激化する金融世界大戦

新興諸国は1997年のアジア通貨危機以来、もしくはそれ以前から、株価や金利や為替やコモディティ価格などを暴落・暴騰させられ、破壊されてきた。これは、資本主義の中で生きる以上、仕方がないことなんだとされてきた。市場原理なのだから仕方がないと。
金融覇権をめぐる攻防

しかし、それは実のところ洗脳されたインチキだった。実は、米国勢が金融ツールを使って新興諸国を破壊し続け、米国覇権を防衛してきた。一見無害で有益っぽい金融ツールが、実は金融兵器だった。(中共は米国債を旺盛に買うことで許されてきた)
BRICS通貨であれ、自国通貨での決済であれ、非ドル化を進めると、米国勢に金融兵器で攻撃されにくくなる。非ドル化は、人類の85%を占める非米側の経済が安定し、人々が米国側に妨害されずに豊かになれる。
'BRICS bank' looks to local currencies as Russia sanctions bite

BRICSという言葉を作ったゴールドマンの幹部オニールは「BRICS共通通貨は実現不能であり、考えること自体が馬鹿げている。BRICSの中枢にいる中国とインドが対立している限り(共通通貨の運営に不可欠な)協調ができない。BRICSは象徴以外の何も成し遂げてない」と言い放った。米国側マスコミ権威筋は「そのとおりだ」と合唱。
Brics creator slams ‘ridiculous’ idea for common currency

・・・ということは、中国とインドが和解したらBRICS通貨がうまく機能するわけだ。そう思ってニュースを見ると、中国とインドが国境紛争で和解すべくヒマラヤ山中の国境で司令官どうしが話し合ったと書いてある。国境での協議を踏まえ、南アのBRICSサミットの傍らで中国とインドが首脳会談すると。
India and China agree to resolve border issue

まさか、中印がそんなに簡単に和解するわけないよね。しかし、もし和解したらどうなる?。BRICS共通通貨がうまく機能してしまう。まずいじゃん。ドル崩壊だよ。トランプもそう言ってる。
Trump issues warning on dollar

中国は、ロシアとの国境紛争は2000年に一気に全て解決したのに、インドとの国境紛争は解決せずに放置している。
2009年にBRICSを形成して以来、中印は何度も話し合っている。それなのに和解していない。巨大な中印が和解し結束したら、世界における中印とBRICSと非米側の影響力や地位が上がり、相対的に米国側の地位が下がって、世界はもっと早く多極化していた。それがわかっているのに中印は和解しない。これはもしかして意図的にやっているのでないか。
A BRICS currency replacing the dollar is a ‘ridiculous’ idea - unless China and India become allies

インドとロシアは仲が良い。中印が和解結束したら、ユーラシアの3大国である中露印の和解になり、地政学的に非米側の優勢と米国側の劣勢が確定する。だが非米側の雄(覇権勢力)である中国(中共)としては、自らの優勢を確定する前に、いろいろやっておかねばならないことがある。
中共内部の習近平独裁体制の確立(対米従属的なトウ小平路線の集団指導体制の破棄)はその一つだった。非米側の経済体制を、ドルや米金融(兵器)に依存しないもの(金資源本位制)に転換することも必要だ。非米側の他の諸大国どうしを仲の良い状態にしておくことも必要だ。
それらの準備が整うまで、中印和解という「龍の絵」に眼を描き入れず、命を吹き込まない・具現化しない「画竜点睛」の状態にしてあるのでないか。
非米化や多極化の準備が整う前の不完全な状態で中印が和解し、多極型世界という「龍」が命を得てしまうと、それは「弱い龍」であり、米国側から金融兵器や外交手段、戦争などの方法で破壊・分裂させられかねない。だから、全ての準備が整うまで、中印は敵対を解かずに放置しているのでないか。
China, India hold new round of border talks days before Xi, Modi head for Brics summit

中共内部の習近平独裁化は昨秋に完了した。決済の非ドル化は今まさに進めているところだ。どのぐらい複雑なシステムが必要なのか。ほとんど発表されていないので分析が難しい。
資源貿易に関しては、多くが価格固定の長期契約なので、バーター貿易に毛が生えたぐらいのもので良さそうだ。「毛」の部分は、決済に使えるCBDC(中銀デジタル通貨)を売り手もしくは買い手の国が作り、SWIFTなどの銀行送金システムがなくても直接に決済できるようにすることとか。
CBDCは利用者に対する当局のプライバシー侵害が批判されているが、資源貿易は政府系企業の間のやり取りなので、プライバシーとか関係ない。「金資源本位制」は、バーター貿易とCBDCを組み合わせたもので成立しうる。
BRICS' new gold-backed currency is coming, but first watch this move from Saudi Arabia at the BRICS summit

非ドル化のシステム構築は、それほど時間がかからない。BRICS共通通貨があれば便利だが、なくてもBRICS各国の通貨を別々に使ってやれる。諸通貨間の両替が必要なら相対取引でやれば良い。ときどき金地金の現物で過不足分を決済するとか。
国家間の取引なので、政治的な要素が多く入る。価格は需給関係だけで決まらない。取引価格は非公開が多いから、一物一価でなくても良い。米英流の「透明性の高い(しかし詐欺度も高い)市場」は要らない。
そもそも米英金融は騙しや歪曲ばかりで、実は透明から程遠い。米国側の「需給に基づく市場原理」も大ウソだ。金資源本位制は、機能するなら原始的で良い。
資源戦争で中国が米国を倒す

私は以前、金資源本位制を、透明度の高いシステムとして勝手に考えて「1グラムの金地金を2バレルの原油と等価とする固定相場制」などと(ゾルタン・ポズサーを引用して)考えていたが、今後の非米側の経済システムがそんな確定的なものになる必要はなく、もっと曖昧・非公式・多様・政治的なシステムでかまわないはずだと思い直した。
ロシアを皮切りに世界が金本位制に戻る

・・・などなど、考えていくと、すでにBRICSは非米的な世界経済システムを稼働できる状態になっている。ウクライナ開戦後、ロシアは米国側に厳しく経済制裁されているので、ロシアが絡む取引のほとんどが非米的なシステム利用だ。
中東からの石油輸入は、中国もインドも自国通貨建てを増やしている。すでに非米システムが稼働している。
非米システムの準備が整い、非米側が米国側の金融システム(金融兵器)に頼らなくなったら、米国側が非米側を潰すことができなくなるので、安心してBRICSサミットで多極型世界の完成を宣言し、中国とインドが和解して「龍」の眼が描き込まれる。それは今年かもしれないし、来年以降かもしれない。
Beware The Great Unwind

いつやるかを決める要素は、米国の金融状況も関係する。米連銀のQT本格開始から1年以上が過ぎ、米金融システムの余裕がしだいになくなっている。(全く効かない)インフレ対策としての利上げも続き、10年もの米国債の金利は危険水域の4.3%になっている。
この金利を再び4%以下まで下げられるのなら延命状態が続くが、このまま金利上昇していくと、金融崩壊が顕在化する。米国の社債の担保として使われることが多い商業不動産の市況が、全米各都市で悪化し続けている。米国の金融覇権の根幹に位置する債券金融システムが崩壊に瀕している。
Markets On Edge As Global Yields Hit 15 Year High, China Woes Mount

もし米国が今秋このまま金融危機になっていくのなら、非米側が独自の金資源本位制を本格稼働させるのは8月末のBRICSサミットが良い。米国が金融崩壊する前に、非米側が米金融システムから資金を引き出して金地金あたりに転換しておいた方が良い。米国金融がもう少し延命するなら、非米側はゆっくりやれば良い。
FOMC Minutes Signal Hawkish Fed Fears "Significant Upside Risks To Inflation"

中長期的に、米国側は経済崩壊していく。日本や韓国は中国経済圏の一部になっているので崩壊が少ないが、米国と欧州は今後さらに打撃を受ける。世界経済の中心はBRICSなど非米側になる。
非米側はなぜ金資源本位制を採るのか。非米側の雄である中国が、サウジアラビアやイラン、インドネシアなどの資源大国と戦略関係を積極的に強化しているのを見ると、非米側が金資源本位制を採用していることは間違いないと感じられる。
中国自身は資源大国でないが、製造業大国である。中国は資源大国から燃料や原材料を輸入し、工業製品を輸出する。この貿易の決済通貨をドルでなく人民元などで行う。
(人民元はまだ為替をドルペグしているが、これも画竜点睛の寸止め戦略だろう。非米システムが本格稼働する時までドルペグを続ける)
世界各国が米欧から距離を置いて非米化しており、中国はそれらの国々に接近し、インフラ整備などと抱き合わせで資源開発を受注し、世界的に地下資源の利権を急拡大している。
米国は自作自演的なテロ戦争などで世界を不安定化するばかりだったが、中国はロシアなどと協力して世界を安定化している。中国自身の資源利権も拡大している。
アフリカの非米化とロシア

中国は自国の利権拡大だけでなく、ロシアやインドやブラジルなど他の非米大国にも、国際的な資源利権の拡大を勧めている。非米諸国が競って利権拡大するほど、米国側の利権が縮小し、覇権が転換する。米国側が地球温暖化人為説のウソを自分で作って信じ込んで石油ガス利権を手放す大馬鹿(隠れ多極主義)を続けてくれるので、非米側にどんどん利権が移転する。
US world's largest driver of instability, says Chinese foreign minister

インドは、中国のような工業製品の旺盛な輸出はまだやれない。しかし、資源類を輸入する際にドルでなくルピーで支払えることは、これまでの外貨獲得の苦労が要らなくなるのでありがたい。
インドのように巨大な国内消費市場がある国は、内需用の製造業を発展させて経済大国になっていける。アフリカも人口が急増しており、今は貧しいが、これから内需用の製造業を発展させていける。米欧から内戦を誘発されず、援助のふりをした経済破壊をされないだけでも、アフリカは発展の可能性が増大する。非米化は、欧米人以外の人類を豊かにする「良いこと」である。
Another Blow To The Petrodollar: India & The UAE Complete First Oil Sale In Rupees

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何故、ウクライナは戦いに負けたのか・・・負けを認めない人達

2023-08-19 12:23:26 | 日記

森喜朗元首相「ロシアが負けることは考えられない」発言の正当性|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)さんの記事、「ロシアは間違いなく勝つ。だが、西側諸国はそれを敗北として見せるだろう。」・青山貞一(東京都市大学名誉教授)のロシア誌の翻訳記事の2つの記事紹介です。

 

私達は、今日のロシアと旧ロシア、ソ連を欧米メディア・御用専門家のプロパガンダ等の可笑しな情報によりロシア=悪と混同していると思います。何故、ロシアはウクライナで軍事力を行使しているか・・・2022年2月24日以前のロシアを取り巻く環境が全てを語っています。安全保障・人道上も、まともな国であれば軍事力行使は致し方ないでしょう。今後、BRICS等の世界は欧米とは違い、資源国が発展途上国を支援し、国の大小に関わらず夫々の国が主権を持ち発展、進歩すると思います。

ウクライナでの戦いも、実質は米国・NATO VS ロシアの戦いでウクライナ国民がどんなに被害を受けようが米国・NATOさえ勝利すれば米国は関係ないよのようにも思えます。もう、ウクライナ・米国側に残された戦法は勝るものが少なく、得意とする世界で行ってきたテロ攻撃が主になるでしょうが、覇権を失いたくないがため、敗戦を避け、最低でも世界をリセットにするため世界大戦への誘導、偽旗先制核使用等が起きる可能性は否定できないと思います。これらの旗振り役の先頭の日本の存在は大きいと思います。

【越境3.0チャンネル】石田和靖 - YouTubeさんの動画紹介です。

 

戦略・戦術で勝利するには「孫氏の兵法」厳守したほうが勝利することは歴史の事実です。

戦略は戦いの期間ばかりではありません!

どちらが勝利するか、一目瞭然です!

ウクライナ以降、中国と米国・同盟国が戦った場合、米国・同盟国は敗戦するでしょう。何故ならウクライナ同様、戦略・戦術において、戦い前の孫氏の兵法を厳守しないようで、戦いになっても厳守できるはずがないからです。この典型的な逆の例が、揺ぎ無い大義に基づくロシアの戦い方です。戦の教科書に出てくるような理想的な戦い方で、孫氏の兵法の見本になると思います。

孫氏の兵法を理解、厳守することは、国益を失わずに済みます。日本が揺ぎ無く、孫氏の兵法を厳守したら対中国・北朝鮮等とも戦いを避けることができ、何も恐れることも無く、国益を守ることは間違いないと思います。孫氏の兵法は軍事だけでなく企業活動でも同じような結果になるようです。

 

森喜朗元首相「ロシアが負けることは考えられない」発言の正当性 日本外交と政治の正体

日刊ゲンダイ

2023年8月17日 日刊ゲンダイ

孫崎享・外交評論家

 森元首相が会合で「ロシアが負けることは考えられない」「(日露関係について)せっかく積み立ててここまで来ているのに、こんなにウクライナに力を入れてしまっていいのか」と発言し、袋叩きにあったことを記憶されているだろうか。1月下旬のことだ。」

孫崎享氏

1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数

 

TBS NEWS・DIGTAL

2023年1月26日

「こんなにウクライナに力入れていいのか。」

欧米が支援を強化する中、日本の外交姿勢に疑問を呈した森元総理の発言が、物議を醸しています。

昨夜、岸田総理も参加する都内の会合に出席した森元総理

森喜朗元総理
今のロシアの問題もそうです。せっかく積み立ててここまで来ているのに、こんなにウクライナに力入れちゃっていいのかなと政府のウクライナ支援の方針に疑問を投げかけたのです。さらに、今後の見通しについて、次のように語りました。

森喜朗・元総理
ロシアが負けるってことは、まず考えられない。そういう事態になれば、もっと大変なことが起きる。その時に日本がやっぱり大事な役割をしなきゃならない。それが日本の仕事だと思います。

親しい呼び方をしようということで、2人で私のことをヨシ、大統領閣下のことをバロージャと呼ぶことに2人で確認をいたしました。

総理就任後、初めての外遊先にロシアを選んだ森氏は、退任後も特使としてプーチン大統領と会談するなど、日ロ関係のキーマンとなってきました。日本としての対ロシア外交の重要性を訴えた形ですが、自民党内でも波紋を呼んでいます。

現役閣僚
G7の主要議題なのに、とんでもない。

自民・ベテラン議員
サービス精神でああなっちゃうんだよな。

今回の発言を受けて、日本政府は…

木原誠二官房副長官
森元総理のご発言につきましては、承知をしておりますが、その逐一について、政府としてコメントすることは差し控えたいと、このように思います

日本政府は、ロシアへの制裁を維持し、ウクライナ支援を進める方針に変わりはないと強調しています。

 

 TBSは当時、現役閣僚からも、とんでもないと批判の声と報じ、佐瀬防衛大名誉教授は森喜朗さんのお名前は、もり・よしろうと読みますが、一部のメディアなどでは、しんきろうと呼ばれています。ウクライナ戦争を巡る国際情勢を鑑みれば、森さんのロシアは負けないとの発言は非現実的であり、まさに蜃気楼を見ているかのようですと述べていた。

立憲民主党の蓮舫議員は、もう、黙っていてくださいとツイートし、デヴィ夫人は森元首相と鈴木宗男は老害以外の何者でもないと発信していた。

この頃、ロシアのプーチン政権は次の3つの要因のいずれかで崩壊するとみられていた。

  • ウクライナとの戦闘でロシア軍が敗北
  • 経済制裁でロシア経済が崩壊
  • ロシア国民のプーチン大統領への支持率が低下

しかし、これら予測はことごとく外れた。

ウクライナ軍は、春からの反攻と宣伝していたものの、地雷の敷設やウクライナ側の砲弾不足、ロシア側が制空権を支配といった理由で反攻の成果は極めて限られている。つまり、軍事的な視点で捉えれば、ロシアが負けることは考えられない状況にあるのだ。

そして、プーチンの支持率はウクライナへの侵攻後に上昇し、70%台から80%台前半で推移している。

西側諸国は、ロシアの石油・天然ガスの輸入を禁じたほか、貿易決済にドルを使用させない、西側企業をロシア国内から撤退させる、などの措置を取り、ロシア経済の崩壊を目指した。

その結果、どうなっただろうか。2022年のGDPはマイナス2%にとどまり、ロシア連邦統計局は11日、今年4~6月期のGDPが前年同期比で4.9%増になったと発表、ロシア銀行は、26年までに1.5~2.5%のGDP成長率を達成するであろうとの見通しを示した。

佐瀬防衛大名誉教授や蓮舫議員、デヴィ夫人は森氏に対して、ごめんなさい、私が間違っていましたと詫びるべきではないだろう。

そして、ロシア敗北について報じてきた日本のマスコミもまた、同様の対応を取るべきだろう。

******

「ロシアは間違いなく勝つ。だが、西側諸国はそれを敗北として見せるだろう。」
Россия обязательно победит, но Запад будет подавать это как поражение 
13 August 2023
ロシア翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)
Translaeted by Teiichi Aoyama, Emeritus Professor, Tokyo City University
独立系メディア E-wave Tokyo 2023年8月13日

 ロシアは間違いなく勝つだろうが、西側諸国はそれを敗北として発表するだろう。
 ウクライナ戦争でロシアが優位に立っているという事実は西側報道機関でも認識され始めているが、米当局はロシアは負けていると繰り返していると元米海兵隊情報将校スコット・リッター氏が語っている。
 元スコットランド政治家ジョージ・ギャロウェイのトークショーでスコット・リッター氏が語ったように、このような不条理に見える意見の相違は計算された動きである。こうして西側諸国は避けられない交渉に向けて準備を始めているのだ。

スコット・リッター氏によれば、それらはロシアの敗北として有権者に提供されるだろう。

 しかし、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、あるいはロンドンのタイムズ、テレグラフのような本格的な出版物では、ウクライナはあらゆる面でこの戦争に負けたということ、そして今、唯一の疑問が真実に少しずつ近づき始めている。

ロシアがどこまで移動するか。国民はいわば第一の立場から第二の立場へとどのように導かれるのか?

 スコット・リッター・元米国海兵隊情報将校、それは興味深い質問です。

何故なら、あなたが言ったように、あなたが言及した話の一部を以前に伝え、さらには印刷した非常に深刻な出版物が一般的は受け入れようとしない、彼らは真剣ではない、愚かで幼稚なジャーナリズムは決して彼らにとって異質なものではない。

今、彼らは対応しなければならない現実に直面しており、これらの現実はロシアがこの戦争で優位にあるという事実です。

最後には必ず勝利するだろうし、ウクライナは戦略的完全敗北を待っている。これらすべての出版物が対応している一方では、トニー・ブリンケンとジョー・バイデンは、プーチンはこの戦争に負け、ロシアは敗北したと言っている。

 そして、そのような反対のメッセージを同時に広めることは、ある種の不条理であるように見えるが実際にはそうではない。これらすべてを、先週サウジアラビアのジェッダで起こったことで考える必要があるだけだ。ゼレンスキー氏の10項目の和平案を議論するために40カ国が参加するのだ。
 もちろん、これら10項目はロシアに対する要求である。

降伏すること。

プーチン大統領を降伏させること。

戦争犯罪で裁かれること。

クリミアや他の一部の領土を放棄すること。

等々である。つまり、これら10項目は決して受け入れることはないであろう。

世界の他の国々がウクライナに提示したのはまさにこれらの現実であった。彼らはそれを次のように説明しただけだ。二度とNATO に加盟することはできないかもしれないと。
 では、どうやって米国を説得し、交渉による解決の必然性を米国に受け入れさせるにはどうすればよいのか?

ロシアの勝利がそのような結果の理由であってはならず、それはロシアの敗北が理由である必要があることを意味する。
ばかげているように聞こえるのはわかっているが、それでも、たとえゼレンスキー大統領が10項目のどれも得られなかったとしてもアメリカが確信しているのなら。
 アメリカはこれを信じるほど愚かです、彼らはこう言うであろう、ほら、私たちがどれほどうまくやっていたかを見てください。私たちはロシアに交渉のテーブルに着いてすべての条件を受け入れるよう強制しました。
 真実は、ロシアがウクライナ軍に対して、そしてNATOに対しても優位に立っているということであり、最初に交渉のテーブルに着くのはNATOと米国であり、ウクライナに同席を強いている。

 彼らは、ロシアがこの戦争に負け、戦い続けることができないと悟り、和平合意の条件を受け入れたと彼らは言う、これが最も重要なことであり、それを提出するだろう。

しかし、まさにこれらの条件を見て欲しい、ロシアが要求したすべてがそこにある。
 繰り返すが、もしウクライナがこの点で屈しないなら、戦争は続くであろう、そしてあなたがすでに言ったように、ウクライナはさらに多くの損失を被ることになる。これがクライマックスになるように私には思われる。

 ウクライナ軍が完全に崩壊し、防空機能が機能しなくなり、もしウクライナが紛争を続ければ領土のより大きな部分を失うことが明らかになった時だ。私たちは、ウクライナがどのように、ロシアが提示する条件を受け入れるかを見ることになると思う。しかし、それはロシアの敗北として表されるだろう。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何故、国民は豊かにならないか?

2023-08-18 06:48:28 | 日本社会

成長しない日本のGDP、停滞の20年で米国は日本の4倍、中国は3倍の規模に:「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(2)(1/3 ページ) - MONOist (itmedia.co.jp)さんの記事紹介です。

何故、国民は豊かにならないか?

 

以下記事、執筆者の紹介

小川真由(おがわ まさよし)
株式会社小川製作所 取締役

 慶應義塾大学 理工学部卒業(義塾賞受賞)、同大学院 理工学研究科 修士課程(専門はシステム工学、航空宇宙工学)修了後、富士重工業株式会社(現 株式会社SUBARU)航空宇宙カンパニーにて新規航空機の開発業務に従事。精密機械加工メーカーにて修業後、現職

 医療器具や食品加工機械分野での溶接・バフ研磨などの職人技術による部品製作、5軸加工などを駆使した航空機や半導体製造装置など先端分野の精密部品の供給、3D CADを活用した開発支援事業等を展開。日本の経済統計についてブログやTwitterでの情報発信も行っている。

小川製作所ブログ:https://ogawa-tech.jp/blog/

 


※バブル崩壊後も日本のGDPは成長を続けていたが、自公政権が始まってからGDPは下降に転じ20年以上にわたってGDPは下降を続けている。(上図参照。データ提供:内閣府)



成長しない日本のGDP、停滞の20年で米国は日本の4倍、中国は3倍の規模に
itmedia 2021年04月19日号
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2104/19/news005.html

苦境が目立つ日本経済の中で、中小製造業はどのような役割を果たすのか――。「ファクト」を基に、中小製造業の生きる道を探す本連載。第2回では、GDP推移から見た日本経済の停滞について解説します。

統計データという事実(ファクト)から、中小製造業の生きる道を探っていく本連載ですが、われわれ中小製造業がこの先も生き残っていくために何が必要かを見定めていくために、以下の流れで記事を進めています。

日本経済の現状を知る
その中で起きている変化と課題を把握する
あるべき企業の姿を見定める
今後考えていくべき方向性を共有する

 前回は、われわれ労働者の平均給与が実は減少していて、右肩上がりで所得が上がり続ける先進国の中ですっかり置いていかれている事実を共有しました。

 日本経済の変調は、労働者の所得だけではありません。さまざまな経済指標でその変調ぶりを確認することができます。そこで、第2回となる今回は、国の経済の指標として最も重視されている「GDP(国内総生産)」を基に、日本経済の現状を掘り下げていきたいと思います。
そもそもGDPとは何か

 「GDP」もそうですが、経済用語として出てくる「付加価値」や「生産性」など重要な指標ほど、曖昧な解釈やイメージで捉えられがちです。GDPと、われわれ企業の事業活動と密接に関係のある付加価値や生産性は深い関係があります。

 まずは、手始めに「GDP」の定義について確認してみましょう。GDPは、Gross Domestic Productの略で、日本語では「国内総生産」とも呼ばれています。内閣府が公開している「用語解説」によれば、GDP(国内総生産)は「居住者たる生産者による国内生産活動の結果、生み出された付加価値の総額である」と説明されています。

 この「付加価値」とは「産出額から中間投入を控除したもの」です。より具体的にいえば、「産出額」とは企業活動でいう「売上高」に当たります。「中間投入」は「仕入れ」に相当します。つまり、付加価値とは、企業活動における粗利とほぼ同じ意味だといえます。別の言い方をすれば、付加価値とは私たちが自分の仕事を通じて加えた金額的な価値となります。そして、国内で生み出された付加価値の合計がGDPということになります。GDPには「金融投資」による配当金や、海外での事業活動による利益などは含みません。

 GDPには、生産活動によって生み出された付加価値を合計した「生産面」と、給与所得や営業余剰などの付加価値の分配を合計した「分配面」、消費支出や資本形成などの支出を合計した「支出面」の3つの側面があります。そして、この3つの指標はいずれも同じになる「三面等価の原則」もよく知られていますね。つまり「生産=分配=支出」が成り立つということになります。

 ここまで見てきたように、GDPはその国の経済活動を知るための最も基本となる指標といえます。そして、われわれ企業による事業活動の成果そのものでもあるわけです。
日本のGDPは20年以上も停滞

 日本の経済統計で、GDPを扱っているのは、内閣府が公表している「国民経済計算」です。まずは、この国民経済計算における、GDPのグラフから見ていくことにしましょう。

 図1は、日本のGDP支出面の推移をグラフ化したものです。GDPの統計データは、生産面や分配面もありますが、この支出面のデータが一般的なものとして活用されています。

 グラフでは、経済に関する重要なイベントのあった年に赤線を入れています。1990年のバブル崩壊、1997年の消費税増税と金融危機、2008年のリーマンショックです。民間最終消費支出を青色、政府最終消費支出を赤色、総固定資本形成(民間)を緑色、総固定資本形成(公的)をピンク色、財貨・サービスの純輸出をオレンジ色で示しており、GDP支出面はその総和となります。

 最終消費支出は、民間(ほとんどが家計支出)や政府による、新規の財貨やサービスへの消費支出を合計したものです。総固定資本形成は、建造物や機械などの固定資産への支出ですね。つまり投資(設備投資)です。純輸出は、輸出から輸入を差し引いた正味の金額で、海外との貿易収支です。まとめると、GDPの支出面は、消費と投資と純輸出から構成されているといえます。

 これらを踏まえてあらためて図1を見ると、GDPの合計値は、1997年でピークとなった後、減少および停滞をしており、リーマンショックを底にしてまた上昇傾向になっているという傾向が読み取れます。最近では上昇傾向にあるものの、長期視点で見れば、長い間停滞していることが分かります。1997年のピークを超えたのは、2015年になってからのことで、なんと日本は20年以上もほぼ経済が成長していないということになります。

 図1からは、民間最終消費支出(青)がGDPの大部分(約55%)を占めることが分かりますが、この項目も停滞しています。民間最終消費支出は、私たち国民の消費ですが、この20年間で人口もほとんど変わりませんので、1人当たりの消費がほとんど変化していないということがいえます。さらに、総固定資本形成=投資も停滞しています。唯一上昇傾向がある政府最終消費支出も上昇の程度が鈍化しているように見えます。

 これらの事実(ファクト)から見ても、日本経済は民間の消費や投資が停滞・減少していて、全体としても「停滞」していることがよく分かるのではないでしょうか。このように書くと、物価変動を加味した「実質値」では成長している、というご指摘をいただくと思いますが、「物価」や「名目値と実質値の違い」については今後取り上げていきたいと考えています。

主要国で経済成長がないのは日本だけ

 日本経済の状況を把握するためには、自国のデータだけではなく、国際比較をすることが重要です。日本のように経済が停滞しているのは、他の国々も同じなのでしょうか。OECD(経済協力開発機構)の統計データから、GDPの国際比較を行っていきます。

 図2は、OECD各国のGDPの時系列データです。名目値のドル換算値を示しています。また、OECD加盟国だけでなく、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカのいわゆるBRICSも追加しました単位はG$(ギガドル)です。ギガは10の9乗ですね。

さて、グラフを見てみると、まず目につくのが、米国の圧倒的な存在感と、中国の急伸、そして日本の停滞ではないでしょうか。1995年までは、ドル換算値でも日本のGDPは右肩上がりでしたが、その後停滞しています。

 その間も米国はずっと成長し続けています。さらに、中国が急伸して日本を抜き去りました。また、日本はドイツなどの他の先進諸国に追い上げられている状況も見て取れるのではないでしょうか。こうして見ると、経済が停滞しているのは、主要国では日本だけのようです。

 GDPはその国の経済規模そのものを表しますので、中国は今や世界第2位の経済大国です。日本は第2位から第3位へと転落しているわけですが、このままだとその地位すら危ういように見えます。
日本停滞の間に米国は4倍、中国は3倍の規模に

 もう少し分かりやすく、特徴的な年を切り出して、GDPの大きい順に並べたグラフも見てみましょう。図3は、日本のGDPがピークとなった1997年の時のグラフです。

1997年の日本のGDPは4415G$で堂々の第2位です。米国(8578G$)の半分程度の水準があり、第3位のドイツにも2倍程度の差をつけています。

 一方、図4は2018年のグラフです(インドだけ2017年のデータとなります)。

2018年の日本のGDPは4955G$で「世界第3位の経済大国」という立場を維持しています。しかし、その相対的な水準は1997年と比べると大きく低下しています。首位米国の約4分の1の水準で、中国と比較しても約3分の1という状況です。4位のドイツとの差も縮まっており約1.3倍という水準となっています。

 つまり、1997年と比較して米国との差は大きく広がり、最近抜かされたばかりの中国はすでに日本の3倍の経済規模になっています。また、ドイツをはじめとするその他の国々との差も詰まっています。国内で20年以上も経済が停滞している間に、国際的な存在感は明らかに低下していることが明確に示されているのではないのでしょうか。

 その間、国内経済が穏やかで安定していたということはいえるかもしれませんが、世界の各国は右肩上がりで成長しているわけです。全体が急速に成長している世界の中で、「停滞している」ということは相対的に見て「国際的に後退した」ということがいえます。

図5は1980年の各国のGDPを1.0とした場合の、成長率を表したグラフです。1980年の時点に対して、何倍になったかを数値として表現しています。

この40年ほどで、カナダや米国は約7倍、イタリアが約8倍、フランスが約5倍で、低成長のドイツでも4倍近くGDPが増大しています。中国や韓国はもはやこのグラフの枠に収まらない成長率となっています。直近の2020年のデータが反映された国では、コロナ禍の影響で成長率が下がっている様子も確認できますね。

 ただ、日本だけ1990年ごろから停滞が続き、2019年で2倍強といった低成長となっています。どうやら日本は、前回紹介した労働者の平均所得だけでなく、そもそもの国全体の経済活動自体が停滞しているようです。

 現在、日本は世界第3位のGDPを誇る「経済大国」という立場を維持しています。しかし、経済が停滞し続けていることで、その存在感は年々薄れてきているようです。今後もこの傾向が続くようだと、世界第3位を保ち続けるのも難しいかもしれません。

 それでは、そもそも、なぜ日本は経済大国となることができたのでしょうか。

 多くの皆さんが気付いていることだと思いますが、日本は1億人以上もの人口を抱えている「人口大国だったから」という点が最も大きな理由です。人口が多ければ、たとえ一人一人の生み出す付加価値が低くても、合計値であるGDPは大きくなります。中国が先進国と位置付けられていなくても、GDP世界第2位の経済大国であるのはそういう要素が大きく影響しています。

 ただ、日本は、先進国の中でもより早く大きく人口が減っていくことが確実視されている国です。人口が減る中で今のやり方を続けていれば、経済規模を維持していくことが難しいのは明らかです。その中で、より一層、一人一人の経済的豊かさや、労働者1人当たりの生産性を重視していくことが求められているのです。
次回は1人当たりの豊かさに焦点

 さて、今回はGDPの推移をさまざまな角度から取り上げることで、国としての経済規模の推移と課題について紹介してきました。ここまで見てきたように、日本は、バブル崩壊後から長い間、国全体としての経済成長が停滞してしまっているということが分かりました。そして、急速に成長し続ける世界各国の中で「唯一停滞している先進国」という特殊な立場にあることが見えてきました。

 それでは、1人当たりの豊かさについては、どのように変化したのでしょうか。GDPは国全体の経済規模を表しますが、人口1人当たりのGDPは国民一人一人の豊かさのレベルを表す指標となるはずです。次回以降で1人当たりの指標について取り上げていきたいと思います。

主要国で経済成長がないのは日本だけ

 日本経済の状況を把握するためには、自国のデータだけではなく、国際比較をすることが重要です。日本のように経済が停滞しているのは、他の国々も同じなのでしょうか。OECD(経済協力開発機構)の統計データから、GDPの国際比較を行っていきます。

 図2は、OECD各国のGDPの時系列データです。名目値のドル換算値を示しています。また、OECD加盟国だけでなく、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカのいわゆるBRICSも追加しました単位はG$(ギガドル)です。ギガは10の9乗ですね。

図2 GDPの国別推移 名目値 ドル換算(クリックで拡大)出典:OECD資料などから筆者が作成

 さて、グラフを見てみると、まず目につくのが、米国の圧倒的な存在感と、中国の急伸、そして日本の停滞ではないでしょうか。1995年までは、ドル換算値でも日本のGDPは右肩上がりでしたが、その後停滞しています。

 その間も米国はずっと成長し続けています。さらに、中国が急伸して日本を抜き去りました。また、日本はドイツなどの他の先進諸国に追い上げられている状況も見て取れるのではないでしょうか。こうして見ると、経済が停滞しているのは、主要国では日本だけのようです。

 GDPはその国の経済規模そのものを表しますので、中国は今や世界第2位の経済大国です。日本は第2位から第3位へと転落しているわけですが、このままだとその地位すら危ういように見えます。

日本停滞の間に米国は4倍、中国は3倍の規模に

 もう少し分かりやすく、特徴的な年を切り出して、GDPの大きい順に並べたグラフも見てみましょう。図3は、日本のGDPがピークとなった1997年の時のグラフです。

図3 1997年のGDPの国別比較 名目値 ドル換算(クリックで拡大)出典:OECD資料から筆者が作成

 1997年の日本のGDPは4415G$で堂々の第2位です。米国(8578G$)の半分程度の水準があり、第3位のドイツにも2倍程度の差をつけています。

 一方、図4は2018年のグラフです(インドだけ2017年のデータとなります)。

図4 2018年のGDPの国別比較 名目値 ドル換算(クリックで拡大)出典:OECD資料から筆者が作成

 2018年の日本のGDPは4955G$で「世界第3位の経済大国」という立場を維持しています。しかし、その相対的な水準は1997年と比べると大きく低下しています。首位米国の約4分の1の水準で、中国と比較しても約3分の1という状況です。4位のドイツとの差も縮まっており約1.3倍という水準となっています。

 つまり、1997年と比較して米国との差は大きく広がり、最近抜かされたばかりの中国はすでに日本の3倍の経済規模になっています。また、ドイツをはじめとするその他の国々との差も詰まっています。国内で20年以上も経済が停滞している間に、国際的な存在感は明らかに低下していることが明確に示されているのではないのでしょうか。

 その間、国内経済が穏やかで安定していたということはいえるかもしれませんが、世界の各国は右肩上がりで成長しているわけです。全体が急速に成長している世界の中で、「停滞している」ということは相対的に見て「国際的に後退した」ということがいえます。

経済が成長しなくなった日本経済

 図5は1980年の各国のGDPを1.0とした場合の、成長率を表したグラフです。1980年の時点に対して、何倍になったかを数値として表現しています。図5 1980年を1.0とした場合のGDP成長率推移 名目値(クリックで拡大)出典:OECD資料から筆者が作成

 この40年ほどで、カナダや米国は約7倍、イタリアが約8倍、フランスが約5倍で、低成長のドイツでも4倍近くGDPが増大しています。中国や韓国はもはやこのグラフの枠に収まらない成長率となっています。直近の2020年のデータが反映された国では、コロナ禍の影響で成長率が下がっている様子も確認できますね。ただ、日本だけ1990年ごろから停滞が続き、2019年で2倍強といった低成長となっています。どうやら日本は、前回紹介した労働者の平均所得だけでなく、そもそもの国全体の経済活動自体が停滞しているようです。 現在、日本は世界第3位のGDPを誇る「経済大国」という立場を維持しています。しかし、経済が停滞し続けていることで、その存在感は年々薄れてきているようです。今後もこの傾向が続くようだと、世界第3位を保ち続けるのも難しいかもしれません。 それでは、そもそも、なぜ日本は経済大国となることができたのでしょうか。 多くの皆さんが気付いていることだと思いますが、日本は1億人以上もの人口を抱えている「人口大国だったから」という点が最も大きな理由です。人口が多ければ、たとえ一人一人の生み出す付加価値が低くても、合計値であるGDPは大きくなります。中国が先進国と位置付けられていなくても、GDP世界第2位の経済大国であるのはそういう要素が大きく影響しています。 ただ、日本は、先進国の中でもより早く大きく人口が減っていくことが確実視されている国です。人口が減る中で今のやり方を続けていれば、経済規模を維持していくことが難しいのは明らかです。その中で、より一層、一人一人の経済的豊かさや、労働者1人当たりの生産性を重視していくことが求められているのです。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ停戦は日本が世界に貢献できる最大の役割

2023-08-15 07:53:30 | 日記

もうとっくに決着がついているウクライナの戦い・・・米英の供与武器はロシアよりも劣っていた現実、特に極超音速ミサイルは1発も迎撃できませんでしたが、今もプロパガンダで撃墜したという哀れさ、北朝鮮の極超音速ミサイル対応も日米でも対応できません。昨今、米国はこれらのミサイルを開発しようとしましたが全てが失敗しています。世界はウクライナの真実を知ってしまったと思います。このロシアの武器が優っていたと言う現実・衝撃は米国のみならず、米国製武器採用国にとってあまりにも大きかったと思います。米国政権はウクライナの敗戦は認めないようで戦闘内容の一面を見ると酷い戦い方でウクライナ人の命はどうでもいいようです。先の大戦でも米国は日本人は人間とサルの中間種で殺害に罪を持つ必要はないと米国内の子供たちに教育していました。(容赦なき戦争 (平凡社ライブラリー)単行本 – 2001/12/10ジョン・ダワー(著))今回の戦いも根底には人種差別があり、ロシアと同族でもある多くのスラブ人が住むウクライナにも当てはまりそうです。

今回のウクライナの戦いで堂々と公言する民間人を盾としての活用、ブチャ虐殺、ノルドストリーム2ガスパイプ爆破、ダム爆破、原発攻撃等々、全世界が明確な証拠を根拠に理解したことは、現米国政権の本性、世界のテロ国家、テロリストは誰であったか!もう世界は騙されません!

今後、日本は対ロシア制裁のブーメーラン効果が少しずつ効いてくると思います。EUが対ロシア制裁でどれほど経済的に苦しんでいるか、笑うに笑えない状態が日本に近ずく可能性があると思います。ドル防衛のために経済的にも苦しい円安を指示されているとも言われる日本の現実、トップの個人欲・利権のために・・・今後、ウクライナの復興支援を日本が問答無用で引き受けるでしょう。今後は、各国はウクライナ支援武器(支援武器は巧妙な仕組みの有償で、現在のウクライナの国土の8割位が抵当権となっているようです。)の徹底資金回収に必死になるでしょう。

哀れな日本に見えますが、対ロシア策で日本の国益を守った最大の策はサハリンの液化ガスの権益を手放ししなかったことです!日本の未来がかかった問題だったと思います、日本のトップは自身の欲・利益のため簡単に米国策に従う予定だったかも知れませんが、 安部派の西村 康稔・ 経済産業大臣の尽力により守られたことは計り知れない国益、日本国民を守ることが出来たと思います。故・安部氏と最も親交があったプーチン大統領の影響があったかも知れません。サハリン権益を失った場合、世界から液化ガスを取得することは極めて難しく、世界の国々は腹黒い一面があり他国からの入手は極めて困難で、今頃、計画停電は間違いなく、日本の産業はガタガタになり日本が崩壊する可能性を秘めていたと思います。批判を受けながらも信念を曲げることなく奮闘された西村 康稔・ 経済産業大臣に対し、国民は感謝すべきだと思います。

一日も早く、ウクライナの戦いが停戦となることは日本の計り知れない国益ばかりでなく、世界・人類の未来が明るくなることを意味すると思います。その役割を平和を愛する日本が率先垂範することを世界は求めていると思います。世界でも稀な長い歴史、文化、恵まれた自然、何よりも天皇制を有する、素晴らしい日本を守るためにも、勇気を持って政府ばかりでなく、私達一人々が自分なりに思考して「NO」と言う勇気を持つことが問われていると思います。

 

「ウクライナの敗戦責任を取るよりも、世界大戦の持ち込みたい米国政権」

どうしても大戦をに誘導したい米国・・・

(102) 及川幸久THE WISDOM CHANNEL - YouTubeさんの動画紹介です。

 

 

(102) 【越境3.0チャンネル】石田和靖 - YouTubeさんの動画紹介です、日本のロシア報道が如何に嘘、プロパガンダであるかが分かります。

 

 

日本で報道されないマリウポリ

マリウポリは私たちの目の前で変化しています 今日の都市の修復と生活

マリウポリの大衆イベントは、今日の修復と都市生活をより頻繁に行っています。

 

(102) FABVOX - YouTubeさんの動画紹介です。

 

 

 

ロシアは間違いなく勝つ。だが、西側諸国はそれを敗北として見せるだろう    rusvesna.su    ロシア語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) (eritokyo.jp)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アフリカは変わろうとしています。

2023-08-14 13:42:19 | 日記

ウクライナばかりに目が行きそうですが、R/T(ロシア・ツディ)8月13日の紹介です。素人日本語訳です。(原文もリンクを張っておきます。)、田中宇氏の記事紹介です。

 

反乱のアフリカ:第二の反植民地解放が間近に迫っているのか?

一連のクーデターの後、次々と旧帝国の痕跡を追放するために動いています

Africa in rebellion: Is a second anti-colonial liberation on the horizon? — RT World News

ラテンアメリカを拠点とするロシア系オーストラリア人のジャーナリスト兼ライター、チリ最大の独立系メディアソースの1つであるエルシウダダノメディアプラットフォームの国際ディレクターであるデニスロガチュク氏の記事です。

 

アフリカは人類文明の発祥地であり、天然資源の面で地球上で最も豊かな大陸です。しかし、ブルキナファソのイブラヒム・トラオレ大統領によると、若い世代は、その豊かさにもかかわらず、アフリカが世界で最も貧しい地域であり続けている理由を理解できません。

大陸全体で、ヨーロッパの帝国主義勢力、特にフランスから主権を取り戻そうとした反植民地主義の軍事指導者による蜂起と武装反乱が起きました。ギニア、ブルキナファソ、マリ、ニジェールは、西アフリカの旧フランス植民地の集合体を構成する国のほんの一部です。彼らは長い間、フランスや他のヨーロッパの大国にとって重要な天然資源の供給源として機能してきました。ニジェールはフランスの原子炉に必要なウランの15%を供給しています。ブルキナファソは金の主要な輸出国であり、ギニアはフランスとその旧植民地との間の貿易の重要な出入り口です。

マリは金のもう一つの主要な輸出国であり、政府がさまざまな武装イスラム主義グループと戦ってきた戦場でした。

西アフリカの地図は2021年に根本的に変化し始めました。ドミノと同様に、親フランス政権は、2021年2021月のマリと、フランス軍にすぐに国外退去を要求したアッシミゴイタが率いるクーデターを皮切りに、軍事蜂起に陥り始めました。中央アフリカ共和国も2021年にフランス軍を追放しました。これに続いて、元フランス軍団兵のママディ・ドゥンブヤがギニアで軍事的乗っ取りを行いました。

2023年後、トラオレはブルキナファソで権力を掌握した後、世界最年少の大統領になり、フランス軍の追放を進めました。最後に、現在大統領に就任しているアブドゥラハマネ・チアニが率いるニジェールでの軍事反乱もフランス軍を追放し、フランスへのウランの輸出を禁止しました。

ブルキナファソとトラオレの事例は特に興味深い。ロシア・アフリカ首脳会談のためにサンクトペテルブルクを訪れたトラオレは、ロシアをアフリカの家族の一員と呼んだスピーチをしました。彼はヨーロッパの大国による大陸の略奪を非難し、祖国か死か!私たちは勝ちます!–エルネストチェゲバラの言葉とキューバの国のモットーを反映しています。多くの人がトラオレを、1983年~1987年までブルキナファソの革命指導者であり、アフリカのチェ・ゲバラとも呼ばれたトーマス・サンカラと比較しています。サンカラも同様に、親フランスのクーデターで暗殺される前に、フランス軍を追放し、国の資源を国有化し、再分配の社会主義政策を実施しました。

 

では、フランスとそのパートナーは今何をする可能性が高いのでしょうか?

米国と英国は、フランスへのウラン輸出の禁止に対応して、ニジェールとその同盟国へのすべての援助をすでに削減しています。フランスの旧植民地の多くを含む連合である西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、ニジェールに最後通告を出しました。チアニは辞任するのに猶予があり、さもなければ軍事介入はフランスの支援から始まります

この地域の主要なフランスの同盟国であり、ECOWASのリーダーであるナイジェリアは、軍事介入の可能性の出発点として選ばれました。しかし、ナイジェリア上院は、隣国に対する軍事行動を承認するという非常に人気のない大統領、ボラ・ティナブの要求を拒否しました。最後通告はその後期限切れになり、ニジェールは民間航空機に対して空域を閉鎖し始めました。ブルキナファソとマリの大統領は、ニジェールへのいかなる軍事介入も彼らに対する宣戦布告に相当すると答えた。しかし、アフリカ諸国には、ロシアとの長年の友情というエースもいます。

49のアフリカ諸国からの代表団が、サンクトペテルブルクで開催された最近のアフリカ・ロシア首脳会議に出席しました。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、新植民地主義に対するアフリカの戦いへの支持を宣言し、モスクワが合計23億ドルのアフリカ債務を帳消しにし、50,000トン以上の穀物が大陸に無料で配達されることを確認しました。

アフリカとロシアの人々の間の友情は18世紀にまでさかのぼります。ロシア軍に仕えるアフリカの将軍であり、伝説の詩人アレクサンドルプーシキンの曽祖父であるアブラムガンニバルの物語は、ロシアとアフリカの関係の伝承の中で最も関心を寄せる部分です。コンスタンティノープルからピョートル大帝の子供奴隷として連れてこられ、彼は奴隷状態から解放され、皇帝の宮殿で教育を受けました。彼はロシア軍の高官になるだけでなく、多くの戦争でオスマン帝国を打ち負かした有名な将軍である若いアレクサンドル・スヴォーロフの家庭教師にもなりました。

アフリカの争いの黄昏時に、植民地征服の海の中で独立した国はエチオピアだけでした。イタリアの侵略と征服の試みは、植民者にとって壊滅的な失敗に終わり、ロシアはその主権と独立のために戦っているエチオピア国家に重要な支援を提供しました。ソ連で生産された武器と弾薬が、アンゴラのMPLA、南アフリカのANC、PAIGCとその指導者など、この地域の多くの革命的および反植民地勢力に届けられたため、ソビエト連邦は植民地支配者からの独立を求めるアフリカの多くの若い国々にとって「抑圧された武器庫」になりましたギニアビサウのアミルカルカブラル、 そして他の多く。この連帯の記憶は、老いも若きも多くのアフリカ人の心にまだ生きています。

ロシアへの支持と賞賛は、フランスの旧植民地を超えて、アフリカ大陸全体に響き渡っています。南アフリカの経済自由戦士の大衆集会で、グループのリーダーであるジュリアス・マレマは、大陸でのフランスの行動を非難し「私たちはプーチンであり、プーチンは私たちです!そして、私たちはプーチン大統領に対する帝国主義を決して支持しません!」真の変化の感覚は、古いヨーロッパの植民者から離れて、新しい多極世界に向かって、アフリカ全体に広がっているようです。

 

******

アフリカの非米化とロシア

2023年8月13日   田中 宇

西アフリカのサヘル(サハラ砂漠の南縁)にあるニジェールで7月26日、軍部がクーデターを起こし、米仏と親しかったバズム政権を転覆し、新たな軍事政権を作った。この政権転覆は、ニジェールが「テロ戦争」に失敗した旧覇権国の米仏を見限り、より信頼できるロシアに頼る体制に転換するために起こされた。2021年以降、近隣のマリやブルキナファソなどが同様の趣旨でクーデターによる政権交代をしており、近隣諸国に勧められてニジェール軍部も非米化に立ち上がった。
ニジェールは、近隣のマリやブルキナファソといった他のサヘル諸国と同様、911後の2002年から米国が自作自演的な「テロ戦争」を展開してきた。米軍は、サヘル各地でイスラム教徒を扇動して過激化させ、裏から武器や資金を流し込んでテロ組織に仕立て、米仏が地元の政府をしたがえて長期の低強度戦争を展開した。
The Wagner Group in Mali: Another Failed EU Strategy in Sahel?

2001年の米国によるテロ戦争開始まで、サヘルにはイスラム過激派がいなかった。2002年に米軍がサヘルで広範な「テロ監視活動」を開始した後、過激派が現れた。マリの北隣のアルジェリアにいたアルカイダ(GIA)がマリ北部に移動して活動を開始し、数年かけてマリを内戦に陥れたりした。
米軍は、この動きを監視しつつ黙認した。米軍が設けた地元の下請け勢力がアルカイダをそそのかしてマリに移動させた可能性が高い。今や世界で最も強いアルカイダとISは、中東でなくサヘルにいる。
In the Sahel, 20 Years of War on Terror Has Created More and Stronger Enemies
The Sahel Now Accounts for 43% of Global Terrorism Deaths

米国のテロ戦争は、米英が作った債券金融システムが1990年代後半から世界(今の非米側)に拡大して新興諸国が発展していきそうだったので、それを防ぐために起こされた。新疆やインドネシアからサヘルまでの広大なイスラム地域を扇動して混乱させ、地政学の「敵方」である非米側の経済発展を阻害するのが目的だった。
だが実際のテロ戦争は過激にやりすぎてイスラム諸国を潰してしまい、アフガンからサヘルまでいくつも失敗国家が作られ、米国の手に負えなくなった。米覇権が低下し、事態の安定化に中露など非米側の台頭が必要になった。この「やりすぎ」は、テロ戦争で世界経済の発展を邪魔された「資本の側」が米諜報界に隠れ多極派を作ってやらせたと考えられる。
How to Lose an Unwinnable War: Why Intervention in the Sahel has Failed
資本の論理と帝国の論理

2009年からのオバマ政権がテロ戦争を解消しようとしたので、米軍と諜報界は解消を妨害するため、2011年に中東各地でイスラム主義を扇動して政権転覆させる「アラブの春」を起こし、シリアやリビアが内戦に陥り、オバマの解消策は失敗し、事態はテロ戦争に逆戻りした。アラブの春の影響で、サヘルも2012年にかけてテロ組織の支配地が急拡大し、マリなどは政府機能が低下して国家崩壊に至った。
オバマは、米軍をテロ戦争の泥沼にはめたくないので、サヘルの宗主国でアフリカの覇権国を気取るフランス(実は米傀儡)など欧州に軍を出させ、サヘルを安定させようとした(仏軍5000人、米軍1000人)。仏軍などはサヘルの治安を最低限守ったが、米軍が仏にやらせた戦略が(意図的に)稚拙だったらしく、依然として広大な乾燥地帯がテロ組織に占領されたまま事態はあまり好転せず、経済も治安も悪い中、人々はフランスと自国政府への不満を強めた。
Wikipedia - Islamist insurgency in the Sahel
軍産複合体と闘うオバマ

(2度の世界大戦で覇権が英国から米国に委譲された後、英国は旧植民地での軍事活動をほとんど停止し、その代わりに米諜報界を英国系が乗っ取って英国好みの覇権運営を米国にやらせる策略に転換した。英国と対照的にフランスは、戦後も米国とは別の覇権勢力として残ろうとしたが国力低下で旧植民地を支配できなくなった。英国は米仏より狡猾。アフリカを細かく分割したのも英国の戦略。もともと戦前のフランスの帝国拡大も、英国が世界の分割と支配を単独でやるより列強間の競争構造を意図的に作ってやった方が良いと考えて各地で対仏譲歩した結果実現した)
田中宇史観:世界帝国から多極化へ

サヘルの行き詰まった事態は、2019年ごろからロシアの登場によって変わり始めた。
ロシアは2015年に、米軍を使いたくないオバマに頼まれてシリア内戦に軍事介入し始め、2017年ごろまでに内戦をアサド政権の勝利で事実上終わらせた。米国が壊したシリアをロシア(とイラン)が救った。安保面でロシアの信用が上がり、近隣の中東やアフリカの国々が「うちも米国に壊されているので救ってほしい」とロシアに頼み込んできた。
米国の自滅的なテロ戦争の結果、中東からアフリカにかけての諸国が、破壊的な米国を敬遠して、ロシアに覇権拡大を頼むようになった。
エジプトは、米国がカダフィを殺して壊したままになっている隣国リビアの内戦の終結をロシアに頼んだ。スーダンは、内戦の解決をロシアに頼んだ。そして、マリなどサヘル諸国も、米仏と付き合っている限り終わらない自滅的なテロ戦争を終わりにしてほしいと頼んできた。
The Wagner Group’s Playbook in Africa: Mali
The Wagner Group’s Growing Shadow in the Sahel: What Does It Mean for Counterterrorism in the Region?

ロシアは、米国から頼まれたシリアには自国の正規軍を派遣したが、リビアやスーダンやサヘルでは米国が、表向き事態を改善しようとする(実は悪化させる)テロ戦争を続けている。そこにロシアが正規軍を派遣すると、米露が対立して世界大戦になりかねない。
米国のテロ戦争は表向き「テロ退治」の善行だったし、ロシアもアルカイダが入り込んだチェチェン人などによるテロと戦ってきた。テロ戦争の有事体制がロシア国内政治で諜報界出身のプーチンの立場を強化した利点もあった。そのため国連など公式な外交の場では、ロシアもテロ戦争におおむね賛成してきた。
だがその一方で、中東やアフリカの諸国が、ロシアに覇権拡大を頼み込んでいるのも事実だった。中東アフリカ諸国に頼まれて仕方なく、という姿勢をとりつつ、自滅した米国覇権の空白を無理なくロシアが埋めるには格好の機会だ。
ロシア本土からグルジア、アルメニア、トルコ、シリア、ヨルダン、イスラエル、エジプト、スーダン、リビア、アルジェリア、ニジェール、マリ、ブルキナファソまで、ずっと陸路で親露的な国々を通っていける。ロシアにとって無理のない影響圏の拡大策だった。
Shifting sentiments in the Sahel: Anti-France or pro-Russia?

米国との衝突を避けるため、ロシアの正規軍は出さず、代わりにプーチン腹心のエフゲニー・プリゴジンがやっている露政府系の民兵団(傭兵団)ワグネルを出すことにした。露政府は中東アフリカ諸国の政府と軍事協定を結んで兵器支援などは行うが、派兵するのはワグネルになった。
ワグネルは、米国による政権転覆でウクライナ内戦が始まった2014年に、米傀儡のウクライナ極右政権に殺されるウクライナ・ドンバスのロシア系住民を救うための援軍・義勇軍として、それまで露軍の諜報機関の在外要員として、露企業の在外警備などをする警備隊・傭兵団を組織していたドミトリー・ウトキン(活動名ワグネル)らが軍事組織を立ち上げ、プーチンの傘下で民間企業を運営して巨額資産を築いたプリゴジンが運営費を出して作られた。
Russia establishes a foothold in the Sahel through the Wagner group after the French pullout

露軍が直接ドンバス(ウクライナ領)に出ていくと軍事侵攻になるので、国際政治上の配慮として、民間組織のワグネルが出ていった。ロシアの在外邦人であるドンバスの露系住民を助けるのは、ロシアとして当然の行為だった。
ロシアは翌年、米国に頼まれてシリア内戦に介入したが、正式に派兵したのは空軍が主体で、地上軍はリスクが高すぎるので出さず、正規陸軍の代わりにワグネルが派兵された(もし米国がシリアに本格派兵していたら米露戦争になった。露空軍はすぐ撤退できるが陸軍は簡単に出ていけない)。ワグネルは、ヒズボラなどイラン系民兵団と協力してアサドのシリア政府軍を助け、米育成のテロ組織(ISカイダ)と戦った。
(ヒズボラもワグネルも正規軍でないが、地元では感涙される英雄たちだ。彼らを極悪組織と歪曲して描き続ける米欧日のマスコミや専門家こそ極悪な人道犯罪者)
The Last Domino Falls in the Sahel

ドンバスやシリアへの派兵は露国家として必要な行為であり、対米配慮で正規軍でなくワグネルを出した。現場の派兵要員はワグネル帰属だったが、戦略立案や諜報活動、兵站など周辺機能はすべてロシアの正規軍が担当して支援してきた。そのためワグネルの技能は露軍とほぼ同じだ。
シリアでのワグネルの活動を聞きつけた中東アフリカ諸国が「うちにもワグネルをこっそり派兵してほしい」とプーチンに頼むのは自然だった。
Macron’s Africa policy has failed, senators say

米国側マスコミはワグネルについて、アフリカなどで虐殺や犯罪行為を頻発する無能な傭兵団だと喧伝するが、ワグネルはロシアがアフリカ諸国を傘下に入れる覇権拡大活動のために派兵されており、地元の人々に嫌われる犯罪行為をするはずがないし、無能でもない。
逆に言うと、ロシアとしては「ワグネルは無能な犯罪者集団なのでロシアの中東アフリカ支配が成功するはずがない」と米国側が思い込んでいた方が、米国に妨害されずに覇権拡大できるので好都合だ。
Russia is making its biggest geopolitical shift for 300 years. Here’s how it’s playing out.

6月末にプリゴジンがプーチンに反逆して大騒ぎになり、「これでワグネルを使ったロシアの中東アフリカ支配も失敗するぞ」と米側専門家たちがぬか喜びしたが、あれはプーチンが米側にそう思い込ませるための茶番劇だった可能性が高い。
さらに言うと、ワグネルは昨年から兵力不足を補うためにロシアの監獄で囚人たちに募集をかけて入隊させていると喧伝され、ワグネル自体もそれを認めているが、これも事実であってもなくても、「ワグネルは質が悪い」というロシアにとって好都合な米国側の歪曲喧伝を補強する目的があるかもしれない。
ロシアでワグネル反乱の意味

話をサヘルに戻す。マリなどサヘルでは2019年ぐらいまでに、米仏に頼り続けても事態を好転できないのでワグネルなどロシアに頼んだ方が良いという考えが、治安担当者(軍部)の間で出てきた。
だが、サヘル各国の政府は米仏の息のかかった者たちが支配している。米仏でなくロシアと組んだ方が良いと主張する政治家が出てきても、米仏系プロパガンダに攻撃されて権力に就けない。民主的な転換の道は閉ざされている。となれば、軍部がクーデターを起こして政権転覆するしかない。
米仏は「民主化」によってアフリカ(など非米側)を支配してきたのでクーデターを容認しない。米仏の仲間が当選すれば称賛して支援するが、反米人士が当選すると難癖つけて経済制裁して潰す。ロシア(など非米諸国)は、こうした米国側の偽善策を知っていて現実主義だから、表向きクーデターを受け入れなくても事実上容認する。
Africa in rebellion: Is a second anti-colonial liberation on the horizon?

米国側から露側に転換するには、クーデターで政権転換するのが好都合だった。クーデターでできた政権は、米仏から敵視されて仕方なくロシアに頼ったことにできる。
それで、2021年5月にマリで軍部がクーデターを成功させ、新政権は米仏から敵視されるとすぐにロシアにすり寄り、ワグネルと契約を結んでテロ退治を開始した(露政府は表向きクーデター不支持を表明しているが)。
マリの転換は成功した。それを見て、マリの南隣のブルキナファソの軍部が2022年2月にクーデターを成功させ、米仏から敵視されるとすぐにロシアにすり寄ってワグネルと契約した。
How the Niger coup can shake up the balance of power in and around Africa

さらに、マリとブルキナファソの転換が成功したのを見て、今回両国に隣接するニジェールの軍部がクーデターを成功させ、すぐにフランスと縁を切った。クーデターを非難すると露側に転向してロシアの影響圏を拡大させるばかりなので、米国は今回ニジェール新政権をあまり批判せず、説得して転覆を元に戻そうとしている。
Poll reveals over 60% of Nigeriens consider Russia country's most reliable partner

米国がニジェールに派遣したヌーランド国務副長官代行はネオコンで、2014年にウクライナの政権転覆を引き起こした黒幕として有名だ。ヌーランドが扇動した米露対立はロシアを潰すどころか強め、民主主義の戦士であるはずの彼女がニジェールの親露転向を防ぐためクーデターを半ば容認せざるを得ない皮肉な事態を生んでいる(この皮肉を演出するために隠れ多極派がヌーランドをニジェールに派遣したともいえる)。
いずれの国でも、国民は米仏のテロ戦争が自国を破壊したことを知っているので、国民の大半がクーデターを支持している。
Nigeria could send thousands of troops to invade neighbor - media
Victoria Nuland, Washington’s ‘regime change Karen’, wants to speak to the manager in Niger

サヘル諸国の軍隊の幹部の中には米国の軍学校(ウエストポイントなど)に留学した者が多く、彼らは米軍学校で反乱鎮圧や市街戦などのやり方と防ぎ方の軍事技能を習得したが、その技能は彼ら自身が母国でクーデターを起こす時に役立った。
米軍は、サヘルを不安定化しておくテロ戦争と並ぶ策略の一つとして意図的に、クーデターのやり方をサヘル諸国の軍幹部たちに教えた可能性がある。だが、近年サヘルで連続的に起こされたクーデターは、サヘルを不安定にするものでなく、むしろ米国をサヘルから追い出し、サヘルがロシアに頼って自分たちの地域を安定化していくためのものになっている。
Washington’s Undemocratic Military Offspring

軍事面の米覇権(軍事支配)を強化するはずのテロ戦争が米覇権自滅と中露台頭を招いて世界を多極化する「隠れ多極主義」になってしまった(そうなると知りつつテロ戦争が遂行された)のと同様、米軍がサヘルの軍幹部たちにクーデターのやり方を教え込んだのも隠れ多極主義的な策だったといえる
アフリカのクーデター頻発の意味

サヘルを含む西アフリカはナイジェリアが地域の覇権国で、ナイジェリアが主導するECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体、15か国)はニジェールに軍事侵攻してクーデター勢力を潰し、追い出されたバズム前政権を再就任させると言っている。ECOWASは西アフリカでEUを真似た国家統合を進めようとするフランス肝いりの策なので米仏に対して従属的だ。
ECOWASのニジェール侵攻策を進めているのはナイジェリアの新任のティヌブ大統領だ。だが強気でやりすぎるとティヌブも自国の軍にクーデターを起こされて政権転覆されかねない。
多民族国家のナイジェリアで強い政治力を持つのは北部に住むハウサ人で、彼らは北隣のニジェールにも住んでいて行き来も多い。ナイジェリアのハウサ人は、自国の軍がニジェールに侵攻して同胞を殺すことに強く反対している。ECOWASはニジェールを軍事制裁しにくい。
No More Coups in West Africa, Nigeria’s Leader Vowed. Niger Called His Bluff.

今回ニジェールでクーデターが起きたら、以前にクーデターを起こしたマリやブルキナファソの軍事政権は、すぐにニジェールの新政権を支持した。マリとブルキナファソの軍は、外部勢力(ECOWAS)がニジェールの政権を元に戻すために軍事介入するなら、ニジェール新政権を助けるため自分たちも越境してECOWASと戦争すると言っている。
こうした積極的な肩入れから考えて、マリやブルキナファソの軍事政権は、サヘルから米仏を追い出そうとたくらみ、ニジェールの軍部に対して「君たちもクーデターを起こし、米仏から離れてワグネルと組むのが良い」とそそのかし、ニジェールの軍部をその気にさせたのでないか。
英国系の世論調査によると、ニジェール人の78%が今回のクーデターを支持し、60%が最も頼れる外国はロシアだと答えている。米仏が最も頼れると答えたのはそれぞれ5%未満だった。
Poll reveals over 60% of Nigeriens consider Russia country's most reliable partner

ロシアは、ナイジェリア、アルジェリア、南アフリカといったアフリカの中の大国群が、自国周辺の地域を安定化する「極」として機能することを望んでいる。ロシアは、ナイジェリアが今のような米国覇権に従う国でなく、対米自立した国になってもらいたい。ナイジェリアの??大統領がクーデターで倒され、ニジェールやマリのように米仏と縁を切って親露な国に転換してくれた方がロシアにとって好都合だ。
ECOWAS vs Niger: Why Russia may attempt coup in Nigeria - Adeyanju warns Tinubu govt

ロシアはアフリカを非米化している。だが、アフリカの非米化が加速化するには、ロシアの策略だけでは足りない。世界最大の経済大国となった非米側の雄である中国の姿勢や戦略が重要だ。
中国は、ロシアより前からアフリカの非米化、欧米からの自立を支援している。中国とアフリカの定例サミットは2000年からだが、中国とロシアのサミットは2019年からだ。すでに書いたように、ロシアはシリア内戦で成功してアフリカ諸国から頼られるようになってから、中国と似た形式で3年ごとのサミット開催を始めた。
China and Africa: In It for the Long Haul?

中国はアフリカとの関係が経済と外交だ。米欧を刺激したくないので、軍事面はあまりやっていない(米欧が批判するジプチの中国軍基地は、アフリカ対策よりも、インド洋の自国船の航路安全確保、海賊対策が中心)。
米国がテロ戦争を自滅させてアフリカの治安を悪化させても、以前の中国はあまり対策できなかった。それだけに、近年ロシアが地元諸国に頼まれてアフリカに軍事面で進出し、米国が破壊した治安をロシアが回復してくれるのは中国にとってありがたい。ロシアのアフリカ進出は、中国にもアフリカにも感謝されている。
10 Things to Know about the U.S.-China Rivalry in Africa

アフリカでは全ての国(55)が参加して「アフリカ連合」を作り、アフリカ内部を安定・統合させ、国際政界でアフリカとして統一的な動きをして影響力を増そうとしている。エチオピアにあるアフリカ連合の本部ビルを援助活動として作ったのは中国だ。
多極型世界を望む資本家だったロックフェラーが戦後、ニューヨークに多極型国際組織である国連本部ビルを作って寄贈したように、中国(中共)は、アフリカを多極型世界の極の一つにするためのアフリカ連合の本部ビルを作って寄贈した。
習近平の中共は、衰退している米国覇権体制に替わる、多極型の世界体制を作ろうとしている。アフリカ連合は、国連安保理やG20の中に、自分たちの場所を設けようとしている。
アフリカは極の一つになる。そのことはプーチンも、最近のロシア・アフリカサミットの挨拶の中で宣言した。この件で、ロシアと中国は組んでいる。ロシアのアフリカ進出は、裏で中国と組んで展開している。
Putin: Africa Becoming Center of Power
アフリカの統合

アフリカの非米化と発展、世界の極の一つになる動きは、これから20-50年ぐらいかかりそうだ。ロックフェラー番頭キッシンジャーの訪中から今の習近平まで、中国の台頭(引っ張り上げ)に50年かかっている。アフリカも今後20年だと発展途上の感じかもしれない。その前に米国側の衰退も起きる。
世界のデザインをめぐる200年の暗闘

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ戦争と、停戦への日本の役割

2023-08-12 02:42:58 | ウクライナ

欧米・日本のメディア、御用専門家等の威勢がいいウクライナの活躍報道等、本当にウクライナは有利に戦っているでしょうか?

事実を知ると多くの方は驚かれるかも知れませんが、以下動画の内容はロシアが戦う大義、米軍等からの情報、ワグネルの役割等を分析等、発言されており、明確な根拠、事実にもとづいており自身の考えと同じです。

日本に蔓延する嘘、プロパガンダ情報、如何に大本営報道が嘘にまみれたプロパガンダであるかが分かります。世界でも日本はウクライナが有利に戦っているという情報難民大国の現実、米国でさえ多くの国民はウクライナの敗戦を認識しています。対し日本人はウクライナの勝利を信じています。今こそ日本の役割を私達は真剣に思考し、政府に声を届ける努力をしなければ、世界でも稀な友好国が少ない寂しい国に成り下がるでしょう。以下動画を多くの方が視聴され日本の進むべき道、役割を思考されることはより良き未来への一歩となると思います。

 

(98) 松田政策研究所チャンネル - YouTubeさんの動画紹介です。

 

日本国内で報道されないニュース

ウクライナが債務不履行に陥った場合、「保証人」の日本が世界銀行の損失を負担=消息筋 - 2023年7月1日, Sputnik 日本 (sputniknews.jp)

ポーランド大統領もウクライナ反攻が成功していない事実を認める - 2023年8月11日, Sputnik 日本 (sputniknews.jp)

バイデン政権の追加予算要求 ウクライナ支援が内政の支出を超える - 2023年8月11日, Sputnik 日本 (sputniknews.jp)

7月のロシアの石油収入、昨年11月以降で最大に=IEA - 2023年8月11日, Sputnik 日本 (sputniknews.jp)

 

南アフリカの外交官、ジェッダで交渉されたゼレンスキー氏の「非離脱」和平計画を非難  Sputnik Africa    フランス語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) (eritokyo.jp)

with English translation  前代未聞 JAL123 520人大虐殺!?  JAL123 520 People Massacre!? 青山貞一(Teiichi Aoyama )東京都市大学名誉教授 (eritokyo.jp)

反乱のアフリカ: 第二の反植民地解放は目前に迫っているのか?新多極世界に向け、本当の意味での変化がアフリカ中に広がりつつある。    Op ed RT    ロシアラン語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) (eritokyo.jp)

中国、シンガポールとの利益共有に注目 覇権主義、保護主義に反対 張漢、李宣民     GT(中国, 环球时报)     英語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) (eritokyo.jp)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大規模抗議デモ「ユーロマイダン」裁判、捜査

2023-08-11 09:23:22 | ウクライナ

ロシアの軍事力行使要因の一部は大規模抗議デモ「ユーロマイダン」に行き着く!

ウクライナ戦争の誘因「マイダン・クーデター」仕掛けた米国 - アリの一言 (goo.ne.jp)さんの記事紹介です。

 

寺島メソッド翻訳NEWSさんの記事紹介です。

マイダン虐殺裁判と捜査から明らかになった事実

ウクライナ・ロシア戦争と関係事項にとっての意味
The Maidan Massacre Trial and Investigation Revelations: Implications for the Ukraine-Russia War and Relations
https://brill.com/view/journals/rupo/8/2/article-p181_5.xml?language=en(原文)
イワン・カチャノフスキー(オタワ大学)
BRILL 2023年6月21日
The Maidan Massacre Trial and Investigation Revelations: Implications for the Ukraine-Russia War and Relations in: Russian Politics Volume 8 Issue 2 (2023) (brill.com)


概要
 本研究は、2014年2月20日にキエフで起こった大量殺戮に関するウクライナの裁判と捜査から明らかになったことを分析する。このマイダンでのデモ隊と警官隊の虐殺は、ヤヌコビッチ政権の転覆、ひいてはロシアによるクリミア併合、内戦とドンバスへのロシアの軍事介入、そしてロシアが2022年にウクライナに不法に侵攻したことで激化したウクライナ対ロシアの紛争、そして西側対ロシアの紛争へとつながった。

負傷したマイダンのデモ隊の絶対多数、100人近い検察側と弁護側の証人、同期した動画、政府の専門家による医学的・弾道学的検査は、マイダンのデモ参加者がマイダン[デモ隊]支配下の建物に配置された狙撃手によって虐殺されたという事実を明確に指摘している。しかし、これらの発見と隠蔽が政治的に微妙な問題であるため、今日に至るまで、この虐殺で有罪判決を受けた者はいない。

本稿では、ウクライナ・ロシア戦争とロシア・ウクライナ関係の将来に対するこれらの事実の影響について論じている。

 殺すことは禁じられている。したがって、すべての殺人者は、大勢でラッパを鳴らして殺さない限り罰せられる。それがルールだ。 事実は頑固なものであり、われわれの願望や傾向や情熱の指示がどうであろうと、事実と証拠の状態を変えることはできない。


 2014年2月20日にウクライナで起きた大規模抗議デモ「ユーロマイダン」でのデモ隊と警官隊の双方の虐殺は、ウクライナ紛争、ウクライナ・ロシア紛争、西側諸国・ロシア紛争の転換点となった3。この大量殺戮によってウクライナのヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領政権は転覆し、ロシアによるクリミア併合や内戦、ドンバスへのロシア軍の介入など、紛争の激化の連鎖が始まった4。ロシアは2022年2月24日、違法な侵攻とウクライナとの戦争によってこれらの紛争を激化させ、西側諸国との代理戦争となった。

 マイダンの虐殺は、政治的暴力の重大な事例であるだけでなく、人権、民主主義、法の支配、紛争解決の観点からも重要である。本研究では、マイダン虐殺の裁判とウクライナ政府の調査によって明らかになった証拠を分析する。研究課題は以下のとおりである:裁判と政府調査によって公開された証拠から、この大量殺戮にどの紛争当事者が関与していたのかについて何が明らかになるのか?

 ウクライナと西側諸国の支配的な説明は、マイダンでのデモ参加者虐殺をヤヌコビッチ政権によるものとし、警官たちが殺害されたことをほとんど無視している6。一部の例外を除き、西側諸国とウクライナのメディアも、マイダン[デモ隊]支配下の建物における狙撃兵に関するマイダン虐殺裁判と調査で明らかになったことを報道しなかった。

 ウクライナ検察総局による公式捜査は、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領とウクライナ治安局および内務省の責任者の命令により、2月20日にマイダンのデモ隊を虐殺したとして、ベルクート警察を起訴した。ウクライナ検察総局は、ヤヌコビッチの命令により、2月20日にマイダンのデモ参加者49人のうち48人を殺害し、157人の負傷者のうち80人を殺害しようとしたテロ容疑で、ベルクート警察の指揮官2人とこの警察部隊の隊員3人を逮捕・起訴した。2019年、ウクライナ検事総長はマイダン虐殺事件の捜査が完了したと発表した。

 その後、ヤヌコビッチは内務省、内戦部隊、ウクライナ保安庁の長官、ベルクート司令官とともに、マイダンでのデモ隊虐殺を命令したとして欠席裁判で起訴されたが、そのような命令は明らかにされなかった。ヤヌコビッチ、閣僚、ベルクート司令官らは、虐殺を命令したことを否定し、デモ隊と警察官はマイダンの狙撃兵に撃たれたと述べた。しかし、彼らの主張を裏付ける具体的な証拠を彼らは示さなかった。

 西側メディアの支配的な説明とは対照的に、ドイツのテレビ局ARDは、狙撃手がホテル・ウクライナを拠点にしていたこと、政府の調査は操作されたものであることを示す証拠を提示した7。BBCの調査報告書も同様の証拠を提示し、音楽院から警察を狙撃したマイダン狙撃兵の一人の自供を紹介した8。その後、極右に連なるマイダン組織の他の数人のデモ参加者が、ウクライナのメディアやソーシャル・メディアで、警察を狙撃し殺害したことを認めた。

 その後、アメリカ、イタリア、イスラエル、マケドニア、ロシアのメディアのインタビューに応じた7人のグルジア人自称マイダン狙撃手団の構成員は、自分たちやグルジア、バルト三国の他の狙撃手団、ウクライナの極右系狙撃手団は、ヤヌコビッチと反政府の指導者たちによる和平協定の調印を阻止するために、反政府の指導者たちやグルジアの元政府指導者たちの特定の構成員から、デモ隊と警察の両方を銃撃するよう命令を受け、武器、支払いを支給されたと証言した。彼らは、音楽院とホテル・ウクライナから狙撃手が警察とデモ参加者を狙撃したと述べている。

 ウクライナ検察総局、マイダン犠牲者の弁護団、自称「真実点検」ウェブサイト、そして稀な例外を除いて、ウクライナのメディアは、これらのグルジア人は偽物か役者であると主張した10。彼らの証言を裏付けるために、これらのグルジア人のほとんどは、名前、パスポート番号、入国印、航空券の写し、グルジア軍の写真、彼らの一人がオデッサの虐殺の際に労働組合会館ビルで撮影した動画を提供した。彼らは、「ユーロマイダン」の際、偽造パスポートで偽名を使ってウクライナに入国し、国境で止められなかったと述べた。グルジア国防省の身分証明書の綴り間違いのため、身元と証言が偽物と見なされているグルジア人の一人が、同省の顧問を務めていたことを、グルジア軍団の長が事実上確認した。

 ウクライナと世界の紛争にとって重要であるにもかかわらず、マイダンの虐殺を分析した学術研究はわずかである。ほとんどの研究が発見したことは、マイダン虐殺は、「ユーロマイダン」中の非対称紛争に勝利し、ウクライナの権力を掌握するために、マイダンの指導部と極右の分子によって組織され、秘密裏に行われた「偽旗作戦」であったことだ。同期された動画、目撃者、銃弾の跡や傷の位置を分析した結果、警官もデモ参加者も、マイダン[デモ隊]が支配する建物から銃撃されていたことがわかった12。これらのマイダン虐殺の研究は、他の100以上の研究で、圧倒的に好意的に引用されている。

 セルヒー・クデリアは、二次資料に基づき、暴力は極右のマイダン・デモ隊によって開始され、彼らは多くの警官を殺傷し、ベルクート警察はその後、非武装のデモ隊を今度は虐殺したと主張している14。他の少なくとも2つの研究も、デモでの暴力に極右が大きく関与していることを発見しているが、マイダン虐殺を具体的には検証していない。

 いくつかの研究は、この虐殺をベルクート暴動対策警察、あるいはウクライナ治安局や国内軍の狙撃兵によるものだとしている。しかし、これらの研究は虐殺を具体的に調査したわけではなく、この虐殺の実行犯や組織者に関するマイダンの政治家や同情的なウクライナや西側のメディアによる主張に無批判に依拠している。いくつかの研究は、ニューヨークの建築会社によって行われた殺害の3D演算再構成に依存していた17。しかしこの演算は、犯罪科学報告書に明記された傷の位置、ひいては狙撃者の位置を誤って伝えていた18 。SITU調査部長は、「......結局のところ、第三者が行動していたというのが共通理解だ」、「犯罪科学的証拠から、人々が背後から撃たれたのは明らかだ」、「誰かが屋上から撃っていた」と述べている。

 最も重要なことは、これまでの研究は、マイダンの虐殺の裁判と捜査によって明らかになった証拠を包括的に検証していないことである。

 私の分析では、マイダン虐殺裁判、ヤヌコビッチ反逆罪裁判の約1000時間に及ぶ公式録画映像と、ウクライナの公式オンライン判決データベースにある2500以上の判決に含まれるこの虐殺事件の捜査に関する情報を調べた。
 私の研究はまた、負傷したデモ参加者や検察側証人、弁護側証人など、裁判や捜査における証人の証言も分析している。また、公判で提示された動画、犯罪科学的弾道検査と医学的検査の結果、政府の専門家が捜査と公判のために行った捜査実験についても検証している。2本のオンラインの編集物には、公判と捜査における負傷したデモ参加者と検察側証人の証言のうち、関連する短い部分が含まれている。

 検察側は、特定のデモ参加者がベルクート警官に銃撃された証拠として、ベルクート警官と特定のマイダン・デモ参加者のさまざまな動画や写真を提出した。検察側は、約24名のベルクート特殊部隊の構成員が、ゾフトネヴィイ宮殿付近で警察が短時間前進している間にデモ隊を虐殺し、その後、インスティトゥツカ通りの2つのバリケードの背後からデモ隊を虐殺したと告発している。

 ウクライナ検察総局が資金源となり、ジャス・タリオニス・グループが匿名で制作し、ベルクート警察がデモ隊を虐殺した証拠として裁判で提出されたシンクロビデオ集は、しかし、ベルクート警察による銃撃の時間や方向が、マイダン・デモ隊が殺害された時間と一致していないことを示している。

 さらに、公判中に提出された同期された動画やその他の証拠により、ベルクート特殊部隊が最初に登場して銃撃を開始する前から、3人のデモ参加者がインスティトゥツカ通りで殺害されていたことが確認された。

 これに対し、ベルクート警官の弁護団は、動画や写真に写っているデモ参加者が猟銃で発砲した時間と方向が、ベルクート警官が殺害された時間と、政府の犯罪科学専門家が割り出した発砲の方向と一致していることを示した。彼らはマイダンの狙撃犯を特定したが、その男性は起訴されなかった。

 裁判で検証されたいくつかの動画には、マイダンの狙撃手、特にホテル・ウクライナにいた司令官と極右関連企業の構成員が映っていた。極右政党スボボダは虐殺の前に、ホテル・ウクライナを自分たちの支配下に置き、警備していると述べている。

動画には、スボボダの代議士や活動家がホテルの入り口を警備し、極右に連なるマイダン企業の狙撃兵に同行して建物に入り、虐殺の最中にホテルを厳重に調べる様子が映っている24。エスプレッソTVの生放送の録画には、警察とのにらみ合いの最中、マイダンの活動範囲の前のマイダン・バリケードで、マイダン抗議者がカラシニコフ型の銃器を別の抗議者に渡す様子や、別の抗議者が猟銃から警察に向かって発砲する様子が映っている。

 ベルギーのテレビ局VRTが作成した動画の未放送部分が裁判で実演され、2人のマイダン抗議者が、銃撃される直前にマイダンの抗議者団のひとつを誘い出し、前進させたことが示された。この映像には、ある抗議者が、ホテル・ウクライナの狙撃兵が抗議者全員を撃っているので、この団他の抗議者たちに前進するなと叫んでいる様子が写っている。そして、その抗議者がそこから銃弾の閃光を見たことが映っている。その後、VRTの映像には、弾丸がこの抗議者団の方向にあった樹木に命中しているところが映し出され、この団の抗議者たちが引き返し、ホテルを指さして、そこにいる狙撃兵に撃つな、と叫ぶ様子が映っている25。セリー・トラぺズン(Serhii Trapezun)とセリー・ティティク(Serhii Tityk)を含む、この団の負傷した抗議者たちの大多数は、自分たちや自分たちのグループが、このホテルやその近くの他のマイダン支配下の建物から銃撃されたこと、そこで狙撃手を目撃したこと、あるいは他の抗議者たちからそのことを聞かされたことを証言している。

 ウクライナ治安部隊のアルファの狙撃手と指揮官は、裁判で検察側証人として、彼らが傍受した無線通信の録音は選択的に編集されたもので、虐殺がほぼ終わった後、マイダンが支配するホテル・ウクライナやその他の建物にいる狙撃手の居場所を突き止めるために閣僚ビルに配備されたときに作られたものだと証言した。これらの音声記録は、マイダンの虐殺後、政府の狙撃兵がマイダン・デモ参加者を虐殺した証拠として、ウクライナのメディアで広く公表された。

 目撃者の証言
マイダン虐殺裁判で、マイダン支配下のホテル・ウクライナでの狙撃について証言する負傷したマイダン抗議者。研究「ウクライナのマイダン虐殺」より: イワン・カチャノフスキ著『ウクライナのマイダン虐殺:裁判と捜査から明らかになった事実』より。2021年8月3~8日に開催された第10回国際中東欧研究評議会世界大会で発表。

 負傷したマイダン抗議者72人のうち51人について、彼らを2月20日に銃撃したとしてベルクート警察が起訴され、その反政府抗議者たちの証言も明らかにされている。その負傷したマイダン抗議者は、裁判や調査で、マイダンが支配する建物や場所から狙撃された、そこで狙撃者を目撃した、あるいは他のマイダン抗議者からそのような狙撃者について聞いたと証言している。これらの負傷した抗議者のうち31人は、公判および/または捜査において、ホテル・ウクライナ、アルカダ銀行、ジョフトネヴィ宮殿、ムゼイニイ通りおよびホロデツキー通りの建物、あるいは他のマイダン支配下の建物や場所から狙撃されたと証言した。少なくとも33人の負傷した抗議者は、そこで狙撃兵を目撃した、および/または、他の抗議者から、これらのマイダン支配地域(主にホテル・ウクライナ)に狙撃兵がいることを聞かされたと証言した。

 

負傷した抗議者の絶対多数は、公判および調査において、ホテル・ウクライナから狙撃されたか、そこで狙撃兵を目撃したと証言している。他の抗議者たちは裁判で、ホテル・ウクライナで抗議者たちを虐殺した狙撃兵はマイダンの狙撃兵だったと証言した。ある抗議者は、ホテルからの狙撃兵が自分たちを撃っているのを目撃した後、他の抗議者やBBCの記者たちとともに逃げ惑う姿をBBCに撮影されたが、そのとき他の抗議者たちから、これは 「我々の味方の狙撃兵 」だと言われたと明かした。彼は、この銃撃の後、ホテル・ウクライナの別の階にいた狙撃兵が、ホテル内の狙撃兵の存在を明らかにしないよう、デモ参加者に視覚的な合図を出したのを目撃した。(付録動画B、2:33)。ウクライナ検察総局の調査により、極右スボダダの指導者の一人が虐殺当時そのホテルの部屋に住んでいたことが明らかになった。別のデモ参加者は、大虐殺の最中に他のデモ参加者がホテル・ウクライナに狙撃兵がいることを話し、なぜ「自分たちの仲間が自分たちを撃つのか」不思議がっていたと証言した。

彼は『ウィンター・オン・ファイア』というドキュメンタリーに登場したが、この暴露はアカデミー賞大賞候補に挙げられたそのドキュメンタリーでは紹介されなかった。

 多数の西側メディアにおいて、マイダンで負傷したと報道されたマイダンの女性衛生兵は、裁判では負傷者としてではなく証人として証言した。彼女はウクライナのジャーナリストとのインタビューで、自分は負傷していないことを認めた。このジャーナリストが報告したことは、このマイダンの衛生兵の負傷はマイダン[デモ隊]の自衛隊指導部によって演出されたものであり、彼女が虐殺の直前に受けた手術は新しい傷である、と事実を曲げて伝えられたということだ。

 別の抗議者は、郵便局本館の屋上から狙撃兵が狙撃し、この女性衛生兵の隣で撃たれたビクトル・スモレンスキーに似た人物を殺害するのを目撃したと証言した。この建物は当時、右翼セクターの本部だった。

 負傷したデモ参加者の絶対多数の証言は、これらの建物で狙撃兵が撮影した動画や、デモ参加者が勾配の急な方向から側面や背後から撃たれたという犯罪科学的検査の所見と概ね一致している。また、このような狙撃手に関するソーシャル・メディア上の数百人の目撃証言とも一致している。マイダンの政治家や活動家たちは、少数独裁政党や極右組織の特定の反政府指導者たちが虐殺や狙撃手の隠蔽に関与しているのを目撃したと証言した。何十人もの反政府勢力の抗議者、ウクライナ人や外国人ジャーナリストが、ホテル・ウクライナや他のマイダン支配下の建物で狙撃兵を目撃したと証言した。

 裁判では、マイダンの狙撃手団の一員であると告白したグルジア人の一人の証言を認め、証拠として示した29。ウクライナの国境警備隊は彼の身元を確認し、彼がユーロマイダン開始直前にキエフを訪れていたことを認めた。彼と他の2人のグルジア人は、ベルクート警官の弁護団による訴えを受け、ウクライナ検察総局の要請でベラルーシ検察総局において証言した。自称グルジア人狙撃手3人も、裁判のために供述書を提出し、ビデオリンクを通じて証言することを申し出た。アルメニア、ベラルーシ、そして前述のようにウクライナ当局はすべて、これらのグルジア人の身元を確認した。

 彼らの証言と、負傷したデモ参加者の大多数による、マイダンが支配する場所での狙撃に関する証言は、数十人の検察側証人や殺害された人々の親族の証言と一致している。これらの検察側証人は、検察側を支持する証言をすることになっていたが、その代わりに、マイダン支配下の建物や場所に狙撃手が存在し、デモ参加者や警察を虐殺したと証言した。

 [ヤヌコビッチ政権側の]アルファ、オメガ、UDOの狙撃兵部隊の指揮官は、政府軍の狙撃兵が配備されたのは虐殺が始まってからであり、警察やデモ隊を撃っている狙撃手の居場所を突き止める命令を受けていたと証言した。彼らはまた、マイダン支配下の建物に狙撃兵が配置され、それらの狙撃兵が抗議者だけでなく、警察や自分たちの部隊の狙撃兵も撃っていたことを認めた。数十人の弁護側証人も、マイダン支配下の建物や場所にいたマイダン狙撃兵や狙撃手が、特に警察やデモ隊を撃っていたと証言している。

 対照的に、虐殺容疑で逮捕・起訴されたベルクート警官と2人のオメガ軍人は、デモ隊を銃撃したことを否定した。負傷したデモ参加者の証言の絶対多数は、現場でベルクート警察に撃たれた、あるいは政府支配下の建物の狙撃兵に撃たれたというもので、動画や犯罪科学的検査、その他の証拠によって裏付けられたものではない。残りの事例でも、彼らの関与を示す証拠はないか、あるいは矛盾している。

 政府の調査やその後の裁判でも、当時のヤヌコビッチ大統領や、内務省部隊、警察、ウクライナ治安部隊の指揮官がデモ隊に発砲するよう命令したという証拠は何一つ明らかにされていない。ヤヌコビッチ政権が雇った「ティトゥシキ」や「第三勢力」についても同様である。ウクライナ検事総長と同検察のマイダン虐殺捜査担当部長は、マイダン虐殺にロシア政府とロシア人狙撃手が関与している証拠はないと述べている 。

 国家反逆罪に問われたヤヌコビッチの裁判では、彼がキエフから、そして後にはウクライナから逃亡したのは、(検察側が主張したように)虐殺を命じたからではなく、命を狙われる暗殺未遂事件が多発したからであることを示唆する証言や証拠が明らかになった。彼の裁判の証人は、マイダン虐殺の直後、大統領の車列が極右の右派セクターとスボボダの活動家が配置された検問所で発砲されたと証言している。これは、銃弾の跡が見える大統領の車の写真によって裏付けられた。また、彼の元ボディーガードは、ハリコフでの会議中に彼を暗殺するというスボボダの活動家の計画について、彼の警備部隊が情報を持っていたと証言している。大虐殺の後、ヤヌコビッチを現地に送ったヘリコプターの操縦士は、管制官から、軍用機による撃墜の恐れがあるためヤヌコビッチを乗せたヘリコプターを着陸させるようにとのマイダン指導者からの命令が伝えられたと証言した。ウクライナの初代大統領レオニード・クラフチュクはこの裁判の中で、マイダン虐殺の直前に、ヤヌコビッチを暗殺する「チャウシェスク」というコードネームの陰謀に関する情報を受け取ったことを明らかにした。

ルーマニア最後の共産主義指導者チャウシェスクは、偽旗作戦で反政府デモ隊を狙撃手が虐殺した直後に暗殺された。ルーマニアの元大統領、首相、そして「革命」の他の多くの指導者たちは、1989年に権力を掌握した直後に自分たちの支持者の殺害を画策したとして、2018年と2019年にルーマニア検察によって人道に対する罪で起訴された。

 犯罪科学的検査の結果
 検察側のために政府の専門家が行った犯罪科学的検査の結果は、マイダンの虐殺裁判の中で初めて公表され、デモ参加者の絶対多数は横や後ろから、上から下に撃たれたことが明らかになった。しかし、ほとんどの動画や写真が示していたことは、死傷者の絶対的多数はベルクート警察の正面と地面の高さに位置していたのに対し、マイダン支配下の建物は一般に背後と左右に位置していたことである。

 犯罪科学的検査によると、死亡した48人のデモ参加者のうち40人は高い角度から撃たれている。そのうち少なくとも36人は、ベルクート警官隊が現場で撮影されているときに殺された。ただ一人、水平に出入りした弾丸で殺された抗議者がいたが、彼は横から撃たれていた。死亡した抗議者7人のうち、傷に関する犯罪科学的情報がない4人は、ベルクート特殊部隊がマイダンに現れる前に狩猟用の小球で撃たれていた。

 負傷したデモ参加者51人のうち48人は急勾配の差入創の傷跡があり、マイダン支配下の建物、あるいはその屋上にいた狙撃兵に撃たれたという説と一致している。

 裁判に提出された犯罪科学的弾道検査によると、2月20日、19人のデモ参加者が、AKMカラシニコフ突撃銃だけでなく、狩猟用カラシニコフやその他の武器の口径と一致する弾丸によって殺害されたことが判明した。イワン・ブリオクがカラシニコフ機関銃の狩猟用バージョンで殺されたことがわかった34 。動画には、虐殺の間、ホテル・ウクライナで狩猟用銃器を持ったデモ参加者が映っていた。4人のデモ参加者は狩猟で使用されるペレット弾で殺され、2人はベルクート警官隊が使用したものとは口径が異なる拡張狩猟弾で殺された。

 政府の専門家が自動コンピュータベースのIBIS-TAISシステムを使用して実施した犯罪科学的弾道検査では、殺害されたデモ参加者、樹木、ホテル・ウクライナの部屋から抽出された弾丸は、配備されたベルクート特別部隊を含むキエフ・ベルクート連隊全体の隊員のカラシニコフ突撃銃の警察データベースと一致しなかった。

 その代わりに、政府の弾道鑑定専門家は、ホテル・ウクライナと他のマイダン支配下の建物や場所から、マイダンの抗議者6人が殺害され、少なくとも10人が負傷したことを発見した。検察は、マイダンのデモ参加者の絶対多数を撃った銃弾の弾道と狙撃者の位置を特定するために、犯罪科学弾道学の専門家を使用しなかった。また、捜査当局は、デモ参加者のほぼ半数(157人中77人)が、ベルクート警察が配置されていない区域で負傷したと、彼らの証言、実地捜査、犯罪科学的検査に基づいて判断し、これらの銃撃で誰も起訴しなかった37。デモ参加者がマイダン支配地域で狙撃手によって負傷したことを確認するこの証拠は公表されなかった。

 政府の犯罪科学報告書で確認された弾痕は、ベルクート警察が一般的にデモ参加者の上方、ホテル・ウクライナの2階とその上方、電柱、樹木を撃っていることを示していた。政府調査官による犯罪科学的検査では、デモ隊の高さに位置するホテルの1階には銃弾の穴は一つも報告されていない。

隠蔽工作の証拠
 驚くべきことに、歴史上最もよく記録された大量殺人事件のひとつから9年以上たった今でも、マイダンでのデモ隊と警官隊の虐殺で有罪判決を受けた者が一人もいない、あるいは逮捕されていない。前述したように、2月20日に77人のデモ参加者、つまり負傷者全体のほぼ半数を負傷させたことについて、ベルクート警官隊の拠点からではなく他の場所から撃たれたと捜査で確定した後、検察は誰も起訴しなかった。同様に、グルジアの前大統領ミヘイル・サアカシュヴィリの政党に所属するグルジア人デモ参加者の殺害についても、誰も起訴されなかった。彼の死亡状況は明らかにされていない。彼の遺体は虐殺の直後にマイダン支配地域で発見されたと伝えられている。

 その理由として考えられるのは、スボボダ党と人民戦線党の政治家か、ポロシェンコ大統領とゼレンスキー大統領の側近のどちらかが検察総局を率いていることだ。スボボダ党や人民戦線党の主要構成員が検察総局の長に選ばれたという事実は、これらの党が他のマイダン活動家やマイダン狙撃団の自称グルジア人構成員から虐殺に直接関与していたと非難されているにもかかわらず、隠蔽工作と妨害工作があったことを示唆している。自身もマイダン活動家であったマイダン被害者の弁護士たちは、当初に批判を受け、政府の捜査と訴追を支持した。

 マイダン後、ウクライナ検察総局の市民評議会の議長を務めたあるウクライナ人ジャーナリストが述べたことは、マイダン虐殺の検察総局の調査の責任者をマイダン指導者の一人が選んだということだ38。彼は2月18日、警察とデモ隊の銃撃戦が始まったとき、スコープ付きライフルを持ったマイダンのデモ隊を避難させているところをウクライナのテレビに撮影された。彼を助けた人物は、「ユーロマイダン」後すぐに内務大臣補佐官になった。

 同様に、親マイダン派の主要政党は、ペトロ・ポロシェンコ大統領の任期中に、マイダンの虐殺に関する議会委員会の設置を阻止した40。2014年2月21日にウクライナ議会で採択された恩赦法は、殺人、テロ、権力掌握を含むさまざまな重大犯罪について、デモ参加者の訴追を全面的に免除することを認めた。同法はまた、そうした犯罪についてデモ参加者を捜査することを禁止し、すでに収集された証拠はすべて破棄しなければならないと規定した。

 大虐殺で起訴されたベルクート中隊の指揮官が、刑務所から自宅軟禁となりウクライナから逃亡したことは、隠蔽説と一致している。2014年に検察総局の市民評議会を率いていたウクライナのジャーナリストは、ウクライナ内務大臣がこのベルクート特殊中隊指揮官のウクライナからロシアへの移送に関与していたと述べている41。ゼレンスキー大統領の命令により、マイダン虐殺の罪で裁かれたベルクート警官5人全員が、2019年に予想される判決から数カ月以内にドンバス分離主義者と引き換えに釈放された。この決定によってマイダン虐殺裁判は中断されたが、このうち2人のベルクートの構成員が無実を証明するために分離主義者が支配するドンバスから自主的に帰還した後にのみ再開された。

 裁判では、ベルクート警察がマイダンのデモ隊を虐殺したとは考えられないことを示唆する証拠が提出されたにもかかわらず、2023年秋に予想される裁判所の最終判決で公平な判断を下すことは難しいだろう。ウクライナの裁判所は独立性に欠け、特に注目度が高く政治色の強い事件では、大統領府の指示に基づいて判決を下すことが多い。特に、マイダンの虐殺事件でキエフの裁判所に欠席裁判で裁かれている交換されたベルクート警官3人は、ウクライナとロシアの戦争中にロシアに併合されたドンバスにいるため、公平性は難しいだろう。加えて、裁判は極右活動家たちからも繰り返し攻撃や脅迫を受け、裁判長は親マイダン活動家に殴られた。

 検察総局の捜査官は、マイダンが支配する建物に狙撃手がいたことを事前に否定しただけで、捜査はしなかった。同様に、8人の異なるマイダンの政治家や活動家、数人の自称グルジア人狙撃手による、マイダンの狙撃手やマイダンの指導者が虐殺に関与したという公式声明の調査はされなかった。犠牲者はすぐに「天の百人」と呼ばれたが、西側政府の代表が虐殺の前に、抗議者の死傷者が100人に達した場合、西側政府はヤヌコーヴィチに矛先を向けると伝えていたとするスボボダの構成員二人の供述も調査されなかった。

2014年にマイダン広場で亡くなった「天の百人」
 検察総局は当初、2014年3月に、狙撃手とその位置を特定し、武器まで押収したと述べていた。2014年4月に検察総局は、デモ参加者がホテル・ウクライナからシモノフ製の「狙撃銃」で撃たれたとの声明を発表した44。しかし、すぐ後に、検察総局、ウクライナ治安当局、内務省の長官は、ホテル・ウクライナに関する調査結果を覆し、代わりにベルクートの特殊部隊がマイダンのデモ参加者を虐殺したと主張した。

 2015年、欧州評議会の国際諮問委員会は、公式発表とは異なり、ウクライナの公式調査では、ホテル・ウクライナまたは音楽院からの射撃で少なくとも三人のマイダンの抗議者が殺害された証拠があり、少なくとも他の10人の抗議者が近くの屋上からの狙撃兵によって殺害されたと報告した。報告書はまた、特に内務省と検察総局による捜査が行き詰っていると主張した45。検察総局は、少なくとも三人の抗議者がホテル・ウクライナで殺害され、他の10人もかなりの高さから殺害されたという以前の捜査結果を何の説明もなく覆し、これらの抗議者全員の殺害についてベルクート警官を起訴した。検察総局は当初、抗議者のうち10人を殺害したとしてベルクート警察の警察官を起訴していなかった。

 また、特にこれらの弾道がマイダンの支配下にある建物からのものであるかどうかを判断するために、マイダン虐殺の裁判判事がそのような調査を命じた後でも、犯罪科学弾道専門家による弾道の究明をその調査では行うことができなかった。ベルクートの弁護士が述べたことは、政府の犯罪科学専門家が、最初の数人のマイダン抗議者がマイダンの支配するホテル・ウクライナと音楽院から撃たれたと究明した後、これらの裁判で命じられた捜査実験は中止されたと述べた。

 政府の犯罪科学専門家はこの裁判で、捜査官がレーザーを使って狙撃者の位置を特定するのを目撃したことを明らかにしたが、検察側はこの重要な証拠を除外した。捜査は、一部の例外を除き、弾道学の専門家の代わりに、医療専門家による複雑な犯罪科学的検査を使って、現場視察も測定も説明もなしに、発砲箇所を決定した。犯罪科学医療専門家は、彼らの経験上初めて、弾道の専門家ではなく、彼らが狙撃者の位置を特定するためにこのような検査を行うよう依頼されたと証言した。裁判官は、彼らの報告書の所見に疑問さえ呈した。特に、彼ら自身の犯罪科学医療検査や、マイダンが支配する建物や地域から発砲されたとする負傷したデモ参加者の証言を覆したことに疑問を呈した。

 ニューヨークの建築会社がマイダン犠牲者の弁護団48のために作成した、マイダン抗議者3名の殺害を再現したSITUの3D演算は、マイダン抗議者がベルクート警察によって虐殺された決定的な証拠として、これらの弁護団、ウクライナ検察総局、メディア、特にニューヨーク・タイムズ紙によって引用された。

 しかし、この3D演算では、マイダンで殺害された3人のデモ参加者の傷の位置が、政府の犯罪科学による遺体や衣服の検視で示された出入り口の傷の位置と一致していない。この演算は、犯罪科学医療検査で正確な位置、高さ、方向が特定されている急角度の傷跡をほぼ水平に変更し、殺された3人の抗議者の前にあるベルクート警察のバリケードの位置と一致させるために、その傷跡を遺体の側面や背面から前面に移動させた。そのSITU演算はマイダン虐殺裁判では証拠として認められなかった。

 裁判での負傷したデモ参加者の証言が、捜査中の証言と何度も逆転していることも、もみ消しか証拠の隠蔽を示唆している。弾丸の犯罪科学的検査が、検察が法廷に採決を乞う数週間前に、そして2019年に再び覆ったことも、同様にもみ消しか証拠の隠蔽を示唆している。ベルクート警察のカラシニコフから発射された銃弾がデモ隊を殺害したという新たな発見は、過去40件近くの犯罪科学的弾道検査の結果を、説明なしに覆した。この検査には、同じ専門家が同じ方法で実施し、自動コンピュータベースのIBIS-TAISシステムによって実施されたものも含まれていた。

 ベルクート警察とそのような殺傷されたデモ参加者数名の映像の同期化された内容分析によれば、そして犯罪科学的検査における傷の位置と方向、マイダンのデモ参加者の目撃者の証言、政府の弾道専門家による現場での調査実験によれば、マイダンのデモ参加者はマイダン支配下の建物から撃たれており、新たな弾丸検査の所見に反してベルクートの陣地から物理的に撃たれた可能性はなかった。これは特に、虐殺で起訴されているベルクート警官に関わることである。

 マイダン虐殺裁判では、証拠改ざんの例も明らかになった。殺傷されたデモ参加者のものとされる銃弾が、一連の保管文書なしに現れたり、消失したり、大きさや形や包装が変わったりした。例えば、マクシム・シムコの検死報告書には、3つの灰色の弾丸片と1つの黄色の弾丸片が記載されていたが、犯罪科学的弾道検査では、灰色の弾丸片に代わって、はるかに大きい黄色の弾丸片が新たに記載されていた。この新しい弾丸片は、何の説明もなく、これまでの複数の犯罪科学的検査を覆し、ベルクート警察のカラシニコフと照合され一致した。この新発見の銃弾は、ドンバス分離主義者と交換されて欠席裁判にかけられているベルクート警察官と銃撃事件とを結びつける唯一の証拠となった。一方、犯罪科学的検査は、このデモ参加者は急角度から撃たれたことを示していた。

 ドイツの国営テレビ(ARD)が撮影した長時間の動画が、マイダンの犠牲者側の弁護団によって裁判で紹介されたが、虐殺の最も重要な部分の音声がなかった51。あるウクライナのジャーナリストがソーシャル・メディアに書き込んだところによると、彼はARDのためにこの動画を撮影し、裁判で上映された動画は削除されたという。映像の内容も彼の発言も、この映像がドイツのテレビ局ZDFが借りた同じホテル・ウクライナの部屋から撮影され、極右に連なるマイダン部隊の狙撃手がマイダンのデモ隊を銃撃する様子が撮影されたことを示している。この動画には、デモ参加者の殺傷とベルクート警察の位置が同時に映っていたため、見当たらない動画が見られるならば、特定のデモ参加者が銃撃された特定の時刻が、このマイダン支配下のホテルからの大きな銃声と一致し、バリケードからのベルクート警察の銃声のような遠くの音と一致しなかったことを証明できたかもしれない。

 マイダンの虐殺裁判は2016年に再開されたが、ゼレンスキー大統領による5人のベルクート警官と分離主義者の交換の後、1年間中断された。ネオナチのC14や他の極右組織による数回の攻撃は、裁判を混乱させ、脅かした。ヤヌコビッチ政府指導部とベルクート警察による組織的隠蔽工作のような証拠はない。結局、マイダンの虐殺容疑で数年間逮捕され裁判にかけられたベルクート警官5人のうち2人は、特定のデモ参加者を殺傷したという証拠がないため、2019年に釈放された。

 さらに、2014年2月20日の大虐殺の重要な証拠の断片は、マイダン反対派やマイダン政府の管理下にあったり、検察総局が所持していたりする間に、消えてしまった。これには、死傷したデモ参加者の盾やヘルメット(弾痕があれば、狙撃者の位置を特定できたはずだ)、デモ参加者や警官の遺体から抜き取られた数発の銃弾、マイダンの建物の木や土、フラワーボックスから抜き取られた数発の銃弾が含まれている。弾丸や弾痕のある樹木の一部は、検察側の要請もあって伐採された。2月20日早朝のマイダンのオンライン・ストリームやウェブカメラの録画の多くも、ホテル・ウクライナ、アルカダ銀行、その他のマイダン支配下の建物の防犯カメラの録画とともに、虐殺の直後に消えた。

 ホテル・ウクライナで発見された、マイダン自衛隊のアンドリー・パルビイ代表が報告した狙撃位置の証拠も、ホテル・ウクライナの調査中にスボボダの活動家がガーディアン紙のジャーナリストに見せたカラシニコフの弾丸箱も行方不明になっている。

 ゼレンスキー大統領によって任命されたウクライナの初代検事総長、ルスラン・リャボシャプカは、マイダンの虐殺とその他のマイダン犯罪の捜査が妨害され、証拠のかなりの部分が事前の捜査で消えてしまったことを認めた。

 警官隊とデモ隊の虐殺の捜査は、同じ日、同じ場所で起こったにもかかわらず、別々に行われた。警官隊とデモ隊が同じ狙撃団によって撃たれたというさまざまな証拠があるにもかかわらず、警官隊とデモ隊の遺体から摘出された銃弾の犯罪科学的検査による比較は行われなかった。複数の狙撃手がメディアやソーシャル・メディアで自白し、犯罪科学的弾道検査で確認されたにもかかわらず、警察を殺傷した犯人として有罪判決を受けた者も逮捕された者もいない。

 極右に連なるマイダン部隊の指揮官は、彼の部隊の数人の構成員とともに、音楽院から警察を狙撃したことをメディアのインタビューで公に認め、抗議者虐殺の際にホテル・ウクライナで彼の部隊の狙撃手とともに撮影されたにもかかわらず、検察総局の取り調べさえ受けなかった。彼はマイダンの舞台から、マイダンの虐殺をヤヌコビッチになすりつけることで、武器を使ってヤヌコビッチを打倒すると脅し、また、彼の部隊がウクライナ議会の議員に、ヤヌコビッチとその政府を政権から解任し、代わりにマイダンの野党指導者を選出するための投票に参加するよう強制したことを認めた。

 ベルクート警察の弁護団は、この裁判を通じて、また最終弁論においても、虐殺で起訴されたベルクート警官が特定のマイダン抗議者を虐殺したという証拠はないと述べている。弁護団が述べたことは、負傷したマイダンの抗議者数十人の証言、弁護側と検察側の証人、動画、現場での調査実験、医学的・弾道学的な犯罪科学的検査に基づいて、ホテル・ウクライナや他のマイダン支配下の建物や地域にいた狙撃兵が警察と抗議者の両方を狙撃したということだ。ベルクート弁護団が示唆したところによれば、銃弾や、最後の数回の犯罪科学的弾道検査といった重要な証拠が改ざんされた。55。その数回の犯罪科学的弾道検査は、過去約40回の犯罪科学的弾道検査の結果を覆した検査だった。

 政府によって提案されたマイダン虐殺記念館は、その景観と街路を完全に変えてしまうだろう。虐殺の跡地は公園となり、新たなマイダン虐殺記念館が建設される予定だ。この記念館の建設によって、残された証拠はすべて消去され、銃弾の弾道を特定するための現場での調査実験は物理的に不可能になる。

 マイダンの虐殺と同様に、「ユーロマイダン」期間中に起きた3つの関連事件についても、ウクライナ政府の調査によって、これらの関連事件は偽旗作戦として演出された証拠が発見されたが、これらの発見を隠蔽し、責任者を訴追することができなかった。ウクライナ警察は2020年、「ユーロマイダン」時のオートマイダン(訳注)指導者の一人であったドミトロ・ブラトフの誘拐、拷問、磔刑に関する捜査を打ち切った。その理由は、他のオートマイダン指導者の証言と犯罪科学的検査に基づいて、この犯罪は「存在しなかったの」であり、「演出」された可能性があると判断したからである57。 リヴィウの軍事検察庁が、弾丸の弾道に関する犯罪科学的検査に基づき、発見したことは、フメルニツキーで高齢の女性デモ参加者が殺害され、数人のデモ参加者が負傷したのは、当時マイダンのデモ参加者によって占拠されていたウクライナ治安局の地方本部から、別のマイダンのデモ参加者によってであるということだった。しかし、検察総局はこの捜査を政治的に不適切だとして取り消し、デモ隊を銃撃した特別警備隊SBUアルファ将校を起訴した。政府の捜査はまた、犯罪科学的検査に基づき、2014年1月に最初の3人のマイダン抗議者がマイダン支配地域で数メートルの距離から殺害されたのに対し、警察の隊列はマイダンの陣地から数十メートル離れていたと断定した。これらの犯罪科学的検査の結果もまた、何の説明もなく覆され、彼らの殺害で起訴された者は誰もいない58。
(訳注)オートマイダンは、ユーロマイダンの出現の中で2013年後半にキエフで最初に始まった抗議の手段としての自動車やトラックの使用を伴う親欧州ウクライナの社会政治運動である。

 結論
 マイダン虐殺の裁判と捜査の過程で明らかになった公開証拠を注意深く分析すれば、4人の殺害された警官と数十人の負傷した警官、そして49人の殺害されたマイダン抗議者と157人の負傷したマイダン抗議者のほぼ全員が、マイダン支配下の建物や地域にいた狙撃手によって撃たれたことは、合理的で疑いの余地がない。ウクライナ検察総局の捜査でさえ、マイダン抗議者の約半数がベルクート警察陣地以外からの銃撃で負傷させられたと判断し、殺人未遂では誰も起訴しなかった。ウクライナ検察総局の調査も当初は、ホテル・ウクライナの狙撃手がデモ隊を虐殺したと認定していた。このホテルは当時、極右政党スボボダが支配しており、虐殺の前にスボボダはこのホテルを支配下に置き、警備していたと述べている。

 負傷したマイダンのデモ参加者の絶対多数は、ベルクート警官がそのデモ参加者を銃撃したとして起訴され、そのデモ参加者の証言が裁判で明らかになったが、裁判と捜査で、ホテル・ウクライナや他のマイダン支配下の建物から狙撃された、あるいは狙撃を目撃したと彼らは証言している。また、検察側証人数十人を含む200人近くの証人が、マイダン支配下のこれらの場所で、特に警察やデモ隊を虐殺した狙撃手について証言している。

 公判で提出された同期された動画によれば、ベルクート警官による発砲の時間と方向は、特定の抗議者が殺害された時間と方向とは一致していない。他の動画では、マイダンの抗議者たちがホテル・ウクライナのようなマイダン支配下の建物から狙撃兵に狙われる位置に誘い込まれている様子が映っていた。

 政府の専門家による犯罪科学的医療検査では、デモ参加者の大半は急角度で側面や背後から撃たれたと究明された。これは、マイダンが管理する建物の位置と一致しており、地上のベルクート警察の位置とは矛盾している。また、最初の弾道検査では、死傷者の体から抽出された弾丸とベルクート警察が使用したカラシニコフ・ライフルは一致しなかった。

 また、裁判や捜査の結果、ヤヌコビッチ大統領やその法執行機関の大臣や司令官がその虐殺を命じたという証拠も発見されなかった。政府の専門家による弾痕の犯罪科学的検査と、彼らが提出した動画によれば、ベルクート警官隊は主にマイダンのデモ参加者の上方、特にホテル・ウクライナに向けて狙撃していた。ホテル・ウクライナは狙撃手たちが主にいた場所だった。

 ベルクート警官隊が発射した跳ね返った銃弾によって、あるいはマイダンが支配する建物内の狙撃手との銃撃戦によって、少数のデモ参加者を偶発的に殺傷したことは、完全に排除することはできない。というのは、公開されているデータが不足していたり、矛盾するデータがあったりするからだ。しかし、他のデモ参加者とともに殺傷されたことから、彼らもマイダンの狙撃手に撃たれた可能性が高い。

 重要な証拠が隠蔽され、隠蔽されたことを示すさまざまな兆候がある。注目すべきは、マイダン支配下の建物や地域から発砲された銃弾により、13人以上のデモ参加者が死亡し、少なくとも77人が負傷したという政府独自の最初の調査結果にもかかわらず、マイダン支配下の建物に狙撃兵がいたことを否定したことである。政府の弾道学専門家とレーザーによる現場調査実験で、多くのマイダン抗議者がホテル・ウクライナや他のマイダン支配下の建物から撃たれたことが判明すると、この結果は隠蔽され、弾道学専門家はもはや使われなかった。検察総局は、裁判官と陪審員から命じられた後も、弾道と狙撃者の位置を決定するために弾道学の専門家を使用しなかった。

 ベルクート警察のカラシニコフの弾丸がマイダンのデモ参加者の遺体から出た弾丸と一致しないことを示したコンピューターによる鑑定を含む、約40の犯罪科学的弾道検査の結果の説明のつかない破棄も、もみ消しと証拠改ざんを示唆している。ベルクート警察と殺傷されたデモ参加者の映像の同期化された内容分析、犯罪科学的検査における傷の位置と方向、マイダン・デモ参加者の目撃者の証言、政府の弾道専門家による現場での調査実験は、マイダン・デモ参加者がベルクート陣地から物理的に撃たれるはずがなかったことを示している。

 マイダンの虐殺は、歴史上最もよく記録されている大量殺人事件のひとつであり、独立ウクライナにおける最も重大な人権侵害のひとつであるにもかかわらず、9年以上にわたる捜査と裁判の結果、有罪判決を受けた者も、現在逮捕されている者も一人もいない。この大量殺人と、それに続くヤヌコビッチ大統領に対する暗殺未遂事件は、ウクライナ政府の暴力的転覆をもたらした。この「偽旗」大量殺人は、この暴力的で非民主的なウクライナ政府転覆の重要な一部と見なされなければならない。

 これらの発見は、「ユーロマイダン」を理解する上で、そしてウクライナでの暴力的紛争、そしてロシアとウクライナ、ロシアと西側の対立の起源を理解する上で大きな意味を持つ。この偽旗の大虐殺は、事実上、西側が支援したウクライナ政府の暴力的転覆につながり、ロシアによるクリミア併合、内戦、ドンバスへのロシアの軍事介入へと飛び火した。

 裁判と捜査によって明らかになったことは、ヤヌコビッチ政権転覆の決め手となったのは、民衆による「ユーロマイダン」抗議ではなく、演出された大量殺戮とヤヌコビッチに対する暗殺未遂であったということだ。これらは、ウクライナや西側諸国における支配的な説明に反して、「ユーロマイダン」の最中の政治的移行が非民主的であったことを示している。このデモ参加者と警官隊の大量殺戮は、ウクライナ独立史上、最も重大な政治犯罪と人権侵害のひとつでもあった。

 マイダン虐殺事件でウクライナの法執行機関と司法制度が適切な公正さを提供できなかったことは、法の支配とウクライナ社会内の和解の見通しを損なった。この社会は、マイダン抗議行動への支持という点で、また「ユーロマイダン」の最中とその後における他の多くの政治的問題という点で、さまざまな程度で、主に地域的な線に沿って分裂していた。マイダンの虐殺裁判の評決は、特にウクライナとロシアの戦争時に、この事件が政治化され、司法府の独立性が欠如しているため、正義が確保される可能性は低い。国際刑事裁判所、欧州評議会、国連安全保障理事会などの国際機関が、この重要な事件で正義を確保できなかったことも同様である。

 極右がマイダンの警官隊とデモ参加者の虐殺に関与し、この大量殺人に対する極右の捜査、訴追、処罰が行われなかった結果、極右はウクライナの政治に大きな影響力を持つようになり、他の暴力や暴力の脅威に対する事実上の免罪符を得ることになった。

 マイダンの大虐殺は、ウクライナとロシア、西側諸国とロシアの対立の発端となり、ロシアは2022年2月24日にウクライナに侵攻することでこれを劇的に激化させた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をはじめとするロシアの指導者たちは、ウクライナでのファシスト・クーデターは西側政府の関与のもとマイダン[反政府運動]の最中に行われ、ナチス政権がウクライナで権力を握っていると主張している。彼はこの主張を、2022年2月24日のロシア侵攻を正当化するために使っている。しかし、学術的な研究によれば、ロシア政府はマイダン期間中とその後にネオナチが果たした役割を誇張しており、ウクライナ政府はナチスでもネオナチでもなく、ロシアの侵攻は国際法上違法である59。簡単に言えば、マイダンの虐殺はロシアの違法なウクライナ侵攻を正当化するものではない。逆に、ロシアの侵攻は、マイダンでの警察やデモ隊の虐殺を正当化しない。

 マイダンの虐殺、この大量殺戮に関与したオリガルヒ的・極右的要素、そしてこの重大な政治的暴力事件における正義の欠如は、ウクライナとウクライナ国民に直接的・間接的に重大な悪影響をもたらした。つまり、それが引き起こした紛争の激化という結果がもたらされた。これは、ロシア併合の結果、ウクライナが主に親ロシア派のクリミアを失い、2014年8月と2015年1月に分離主義者の反乱とロシアの軍事介入の結果、ドンバスの大部分を失った間接的な要因の一つであった。マイダンの虐殺を理解し、その犯人を裁くことは、ウクライナの紛争とウクライナ・ロシアの紛争を平和的に解決し、ウクライナ・ロシア戦争を防ぐのに役立ったかもしれない。

 マイダン虐殺と、この大量殺戮に関与した者たちが紛争スパイラルを引き起こし、紛争の激化を防げなかったことで正義を実現できなかったことも、間接的にウクライナ・ロシア戦争につながった。この戦争で、ウクライナとウクライナ人に多大な人的・経済的犠牲をもたらし、併合されたドンバスとウクライナの他の東部・南部地域の一部を永久に失う可能性がある60。ウクライナは、この戦争への西側の直接的な参加なしには、ロシアを打ち破れそうにない。

 このことは、ロシアがウクライナへの不法な侵略、軍事介入、併合、そしてウクライナ・ロシア戦争による人的・経済的被害に対する直接的な責任を免罪するものではない。この戦争の結果は、ウクライナの未来だけでなく、ウクライナとロシアの関係や世界秩序の未来をも左右する。

 マイダン虐殺の裁判と調査では、この決定的な大量殺戮にロシアや西側政府が関与した証拠は明らかにされなかった。マイダンの虐殺とヤヌコビッチ大統領の暗殺未遂によって、ウクライナで民主的に選出された比較的親ロシア的な政府は暴力的に倒された。このことを西側諸国が事実上支持したことは、クリミアとドンバスにおける紛争、ロシアとウクライナ、ロシアと西側諸国との間の紛争を引き起こす一因となった。それが今やウクライナ・ロシア戦争、ウクライナにおける西側諸国とロシアとの代理戦争へと激化した。そしてウクライナは「ユーロマイダン」後に米国のお得意様国家となった。

 したがって、マイダン大虐殺と正義を確保できなかったことは、最終的には間接的に世界的に重大な影響を及ぼす。この影響は、可能性は低いが除外することもできない事例として、ウクライナをめぐる核戦争の危険を伴うNATOとロシアの直接戦争にさらに拡大する可能性がある。西側諸国によるマイダン虐殺の不可解不正確な説明と、この事件における正義を確立できなかったことについては、さらなる研究が必要である。

 マイダンの虐殺とウクライナの政権交代をめぐるさまざまな物語は、クリミアとドンバスの紛争、ウクライナとロシア、西側諸国とロシアの紛争の平和的解決を複雑にし、ロシアとウクライナの関係を害している。また、それは欧米とロシアのウクライナをめぐる代理戦争にもなっているため、戦後もウクライナとロシアの関係を長く複雑化させる可能性が高い。ウクライナのマイダン虐殺の実行犯を裁くことは、困難ではあるが、こうした危険な対立を解決するために必要な一歩である。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日も搾取され続けているアフリカ

2023-08-11 08:55:36 | アフリカ

以下記事はイラン・Pars Today、田中 宇氏の記事紹介です。昨今ニュースに出てくるニジェール(西アフリカのサハラ砂漠南縁のサヘル地帯に位置する共和制国家)、やはりロシア同様、資源大国でした。

ニジェールのクーデターに対する外国の介入

  • 2023年8月1日

ニジェールのクーデターに対する外国の介入 - Pars Today

ニジェールでクーデターが起きてから1週間。同国の政治的危機は拡大しています。

ニジェールでは先月26日、大統領警護隊のチアニ司令官がクーデターを起こし、バズム大統領を監禁、自身を国家元首として宣言しました。

今回のクーデターは、ニジェール国内外で異なった反応を呼んでいます。ニジェール国内では、数百人のクーデター支持派が、首都ニアメーにあるフランス大使館前で抗議活動を行いました。彼らはバズム大統領を、西側とくにフランスの同盟者とみなしており、同大統領の退任を支持し、西側諸国の内政不干渉を求めました。また、抗議に際してはロシア国旗が掲げられ、反フランスのスローガンが叫ばれました。

ニジェールは、ウランやダイヤモンド、金、石炭といった天然・鉱物資源に恵まれ、西アフリカ地域でも重要な国のひとつです。

同国の鉱物資源は西側諸国にとって常に重要であり続けてきました。その一例がフランスの原子力産業であり、ニジェールからのウラン輸入に大きく依存しています。

ニジェールのクーデターは、フランスがアフリカに持つ権益に大きな影響を及ぼすとみられます。ニジェールの隣国であるマリやブルキナファソでも、地域におけるフランスの存在に反発する声が出ているからです。

フランスのジャーナリストでアフリカ専門家でもあるアントワーヌ・グラセール氏は、西側やフランスにとって多くのものが危機に瀕していると語っています。

ニジェールは近年、テロとの戦いを理由とした西側諸国の介入の場となってきました。ニジェール国内に軍事基地を設置してテロとの戦いを名目に駐留し、ロシアの影響力を排除しようとしてきたのです。こうしたことから、アメリカはクーデターを即座に非難し、バズム大統領の解放を求めたのです。

西側諸国は、ニジェールにおける自らの地位と権益を失うことだけでなく、ロシアのアフリカに対する影響力が拡大することを恐れています。

こうしたことから、西側諸国に協調する一部のアフリカ諸国は、ニジェールに対し、経済制裁を行使し、場合によっては軍事行動も辞さないと脅迫しているのです。これに対しニジェールのクーデター政権は、いかなる侵略的行為にも対抗措置をとると表明しています。

いずれにせよ、クーデター後のニジェールの動向は、地域のもろい政治・経済情勢に不安な影を落とし、地域外勢力の競争に拍車をかけています。そうした競争は、ニジェールのようなアフリカの貧困国に対し、破壊的な影響をもたらしうるものです。

 

ニジェール軍の拠点を仏軍が攻撃

2023年8月10日

ニジェール軍の拠点を仏軍が攻撃 - Pars Today

11日、ニジェールでクーデターを起こした国軍による組織「祖国救済国家評議会」は、同軍の拠点がフランス軍の攻撃を受けたと発表しました。

ニジェールでは先月26日、フランス寄りだった同国のバズム大統領が官邸で大統領警備隊に拘束され、その後解任を宣言されました。

ECOWAS西アフリカ諸国経済経済共同体は同月30日、クーデターを起こしたニジェールの軍事政権に対し、8月6日までにバズム大統領を復職させなければ軍事介入も辞さないと警告しましたが、軍事政権側がこれを聞き入れることはありませんでした。

イルナー通信によりますと、祖国救済国家評議会は9日水曜、「フランス軍は、テロリストたる自国同盟者らを解放しようと、ニジェールの領空を侵犯して複数の軍拠点を攻撃している」と発表しました。

同評議会は、このフランス軍の行動を受けて同評議会は厳戒態勢を取るとしています。

カタール衛星通信アルジャジーラは、同評議会が「フランス軍はリプタコ・グルマ地域のニジェール軍拠点を攻撃し、収監されていたテロリスト16人を解放した」と発表したと伝えています。

この報道によれば、攻撃を行ったフランス軍機は、チャドの首都ンジャメナから離陸していたということです。

130万平方キロメートルの国土を持つ西アフリカ最大の国・ニジェールは、人口約2540万人の大多数がイスラム教徒です。同国は世界で最も貧しい国の一つではあるものの、ウラン埋蔵量は世界最大級を誇っています。ニジェールはおよそ一世紀にわたりフランスの植民地支配を受けていましたが、1960年に独立を宣言しました。

 

*********

中国が台湾に侵攻するように策する欧米・日本、対し、軍事力をバックに孫氏の兵法を厳守する中国、メディア・御用専門家情報の鵜呑みは幼稚過ぎです。

夢が叶うなら・・・中国・世界が台湾の民意の結果、台湾を日本国として認め、平和な先進国として共存出来たら真の平和なアジアとなると思います。中日両国にとっても計り知れない益をもたらすと思います。カイロ宣言・ポツダム宣言等、複雑な問題がありますが、台湾の未来は米国、中国が関与を控え、台湾人が未来を決めるのが自然に思えます。

米中戦争は起きない

2023年5月14日   田中 宇

台湾をめぐって米国と中国が戦争しそうな感じが強まっている。5月11日には、米国主導のNATOが中露敵視策の一環として東京に事務所を開く計画が発表された。NATOの東アジア進出は中国とロシアの結束強化を誘発する超愚策だが、そんなのおかまいなしに米国は東京にNATO事務所を作り、日本に中国敵視を強要していく。 また、最近日本と韓国が結んだ防衛協力の新体制は、米国との3カ国で中国と敵対するためのものだと喧伝されている。 (Warming South Korea-Japan ties sends chill through China over potential US pivot, analysts say) (Nato office in Japan risks further entangling ties with China: analysts

4月下旬には米議会下院の委員会が、中国が台湾に侵攻する想定の机上の軍事シミュレーションを行い「米国が台湾に対する防衛協力をもっと本格的に行う必要がある」との結論に達した。 5月に入ると、今年中に交代する米軍の次期の統合参謀本部長に中国敵視の傾向が強いC.Q.ブラウンを任命する可能性が高いと言われ始めた。米軍の幹部たちは昨年から「中国と戦争する準備を急がねばならない」と言い続けている。 (Lawmakers Stage War-Game ‘Conflict’ with China, Hoping to Deter Real One) (Reported Joint Chiefs pick a boon for China hawks

これらに呼応して中国政府は、米国債を売り、金地金を買い貯める経済面の戦争準備を進めている。これ米国側が中国敵視を強めた昨秋からの傾向だ。 米国は、日本など同盟諸国を巻き込んで中国敵視を強め、台湾防衛を口実に、中国と戦争する準備を進めている。米国側で唯一、中国主導の「一帯一路」に参加しているイタリアは、米国から加圧されて脱退させられそうだ。 中国も、以前のように米国から押されるとへこむのでなく、最近は、米国が戦争する気ならやるぞという態度になっている。いずれ米中戦争が起きるのだろうか。 (China Sells US Debt, Stockpiles Gold Amid De-Dollarization Trend) (Italy's Meloni To Pull Trigger On Belt & Road Exit In Major Blow To China

私の答えは記事の題名に書いたとおり「米中戦争は起きない」だ。その理由の一つは「国連安保理(P5)の核保有国どうしは戦争しない」からだ。 その不文律は米国の単独覇権主義によって消えたのでないか、と思う人もいるだろう。しかし、米国はウクライナ戦争に際して「米国やNATOはロシアと戦争していない」と言い続けている。 米国がウクライナを加勢してロシアと戦わせる「代理戦争」をやっていることは、米上層部も非公式・間接的に認めている。だが米上層部は、米国がロシアと直接戦争しているとは決して言わない。

概念的にであれ、米露が直接戦争していることになると、事態が一気に核戦争に近づく。それを避けるため、米国はロシアと戦争していると言わない。P5どうしは戦争しないという不文律がしっかり生きている。 NATOには規約5条があり、NATOの戦争は米国の戦争だから、NATOもロシアと戦争していると言わない。 米国がロシアとの戦争を宣言せず、P5不戦の不文律を守っているなら、米国は中国とも戦争しない。

ウクライナは米国が始めた代理戦争だ。これと同じ構図で、米国が台湾をけしかけて中国の侵攻を誘発し、米国の代理戦争として台湾で戦争が始まる可能性はないのか。私が見るところ、その可能性もほとんどない。 台湾は基本的に、米国にけしかられられても中国を軍事攻撃しない。攻撃したら中台戦争になり、台湾は諸都市を中国軍に破壊されて膨大な死者が出る。台湾(民進党)は、中共独裁の中国から分離独立したいが、戦争はしたくない。 米軍や諜報界が、台湾軍の中に、台湾側の上官の言うことを聞かずに中国を攻撃する勢力をこっそり作り、その勢力が中国を攻撃して中台戦争を誘発し、台湾政府が止めようと動いている間に本格戦争になってしまう、といった米国の謀略があれば戦争になりうる。 だが、それとて台湾政府は米国を軽信せず、その手の懸念への準備をしているはずだから、米国が謀略をやっても途中で抑止される可能性が高い。 (To Avoid a War With China Over Taiwan, the US Needs To Back Down

台湾側が中国本土を軍事攻撃しない限り、中国側は台湾を威嚇するだけで、一線を越えて本格的な軍事攻撃をしない。 なぜなら中国は、台湾を破壊せずに置いておくだけで、そのうち台湾の唯一の後ろ盾である米国の覇権崩壊が進み、米国が台湾を支援できなくなり、後ろ盾を失った台湾は中国との敵対をやめて、政治交渉しつつ中国の一部になっていくからだ。 中国が台湾に対し、威嚇だけで止めておいて放置すれば、そのうち台湾の資産がすべて中国のものになる。台湾と戦争したら、中国は将来の資産を破壊することになる。カネの亡者である中国は、そんなもったいないことをしない。 中国は、できるだけ台湾と戦争しないようにしている。台湾も、中国と戦争したら全破壊だから、できるだけ戦争したくない。台湾人も、カネの亡者である中国人(漢民族)の一部だ(主に南福建人)。台湾は、戦争でなく、中共とうまく交渉して、失うものを減らしたい。

米国が中国にミサイルを撃ち込めば米中戦争になるが、すでに述べたように安保理P5どうしが戦争しないので米中の直接戦争はない。米国は待っていれば覇権崩壊していくので、中国の方から米国を攻撃する理由もない。 台湾は、中国に戦争を仕掛けたら自滅なので、米国にけしかられられても戦争しない。中国は、米国覇権が崩壊して台湾が政治交渉に乗ってきて譲歩するまで待ちたいので、台湾を攻撃して破壊したくない。直接的にも間接的にも、米中戦争は起きない。 (Ron Paul Says Forget Ukraine, DC Hawks Dragging NATO Into Taiwan War

それでも米国は中国敵視を強化し、今にも中国と戦争しそうな感じを醸成し続けている。これは何なのか??。私の答えは、いつもの「隠れ多極主義」。 米国が台湾を使って中国を挑発し続けると、中国は苛立ち、早く米国覇権を崩壊させようとする。米覇権を崩壊させるには、核戦争でなく、ドル崩壊の誘発とか、プーチンが始めた非米側の金資源本位制の確立を急ぐのが良い。 だから習近平は、プーチンとの結束を強めつつ、サウジアラビアとイランの和解を仲裁した。ロシアもサウジもイランも、世界最大級の石油ガス産出国だ。 イラクやベネズエラなど他の産油国も含め、世界の石油ガスの大半が、中国主導の非米側のものになっている。米国側は少ししか持っていない。金地金の大半も非米側にある。すでに金資源本位制が形成されている。 (複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ

米国側の資産のほとんどは金融バブル(債券金融商品)だ。米国の銀行システムは今すでに丸ごとゾンビだ。中国(など非米諸国)は、いずれ(早ければ今年中?)米国が債券崩壊(金利高騰)する前に、米国債を静かに売っている。 米国側が金融崩壊すると、人類にとって重要な財産は、石油ガスや穀物や金地金になる。いずれのコモディティも、すでに中国主導の非米側が大半を握っている。 (Why China & Its Trading Allies Are Well Placed To Topple The Dollar) (If China Ditches Dollar Amid 'Emerging New Trade Order,' Consequences for US 'Could Be Stark'

自動車や半導体などの工業製品も、製造技術は中国が最強だ。米国が崩壊して対米従属できなくなった日本が中国に逆らわなくなると、工業製品も中国の傘下に入る。米覇権が崩壊すると、台湾とその技術も丸ごと中国のものになる。 中国は、米国から敵視され戦争を挑発されるほど、戦争に乗るふりをしつつ、実際は金資源本位制の確立と米金融崩壊の誘発を加速する。米国の崩壊、つまり中国の勝利は時間の問題だ。中国は戦争なんかしない。 米国が中露を敵視するほど、米覇権の崩壊が早まる。米国は何でこんな馬鹿な自滅策をやっているのか??。隠れ多極派に牛耳られているから、というしかない。 彼らはおそらく資本家群(とその手先)であり、米英覇権を崩した方が長期的な人類の発展(と資本家の長期の儲け)につながると考え、こっそり多極化を進めてきた。金融バブルは経済成長でない。崩壊してプラマイゼロになる詐欺・利益の前借りである。 (The Chinese Have Already Won the Race for EVs and Batteries

米政府は、中国敵視を強めつつ、米中高官協議を8時間もやって対話している。中国との経済関係は米国にとって重要なので、米上層部には中国と敵対するなと政府を加圧する人々もいる。 彼らをなだめるため、米政府は中国と高官協議してみせる。対話によって戦争も寸止めされる。しかし、米国が中国を苛立たせ、米国が非米諸国を率いて米覇権を崩していく流れは止まらない。 (Surprise high level talks could calm US-China tensions over Taiwan

米政界では議員(Seth Moulton)らが、中国が台湾に侵攻しそうになったら、台湾の最先端の半導体技術を中国に取られないよう、米軍が台湾の半導体工場(TSMC)を爆破すべきだと言い出している。 台湾はこれに強く反対し、国防相が「台湾軍は工場を破壊しようとする動きを阻止する」と言っている。台湾軍は米軍と交戦して工場破壊を止める、という意味だ。 台湾人は、過激で無謀で、台湾を破壊しようとする米国から距離を置きたいと思うようになる。台湾独立(反中国)派の民進党の蔡英文政権が、無謀な米国の言いなりになっていると、台湾人の支持を失う。 (Taiwan Says Its Military Won’t Let the US Blow Up Semiconductor Factories

代わりに、台湾独立を放棄して中共とうまく交渉していくのが良いと主張する国民党の馬英九への支持が増える。馬英九は4月に中国を回ってきたばかりだ(中国の犬と呼ばれぬよう、中共の要人とはなるべく会わぬようにした)。 米国が台湾に過激な戦争策を強要し続けると、来年1月の選挙で馬英九の国民党が勝ち、米国から一気に距離を置くことになる。そうなると、米国は馬英九を敵視し、馬英九はますます中国に寄り、米国が台湾を使って中国と戦争する策が潰れていく。これが最も平和的な解決策だったりする。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

執拗な原発施設攻撃

2023-08-10 06:38:19 | 日記

以下文は8月10日のロイターの記事、スプートニク、日本で報道されない動画等の紹介です。

ウクライナ・米国・NATOにとってロシアに勝利することは絶望であることはプロパガンダ報道と違い、世界は知っています。残された戦い方はウクライナ(CIA)が得意とする「テロ攻撃」のみしか無いようで、ウクライナはロシア国内で更にテロ攻撃を拡大するでしょう。歴史の明確な事実として、反ロシアを醸成するために、対する勢力と称し自作自演テロを米国、日本等でテロ攻撃を行う可能性があります。

過去のウクライナの原発攻撃も明確に攻撃弾道経路等々を調査した証拠をロシア側は国際機関等に示しましたが無視され続けています。原発攻撃破壊は周辺国等ばかりでなく、地球規模の甚大な被害をもたらすことは明白で、被爆国日本は福島原発の件も有り、もっと関心を寄せるべきです。原発攻撃を無視続ける日本、ウクライナ側の攻撃だから無視するのか・・・思考停止している日本人には理解できないでしょう。

 

今回の原発攻撃は攻撃したドローンの飛行経路等、残骸を証拠品として世界に発表しています。これが否定されたら世界は怒り狂うでしょう。ウクライナ側は証拠を提示しても否定続けています。今回の原発攻撃は根拠が単純・明白、科学・論理的にも否定できず、ロシアの仕業とは世界は思わないでしょう。今回の原発攻撃はウクライナ・米国の末期症状と言えると思います。

ウクライナ・米国はロシアを混乱させ、交渉で有利にしたいでしょうがウクライナ、米国、NATOにはもう武器・弾薬は枯渇、生産するにも経済的に困窮しており、残された道は世界を巻き込んで世界大戦に持ち込み、戦術核兵器を局所的に使用する戦いしかないようですが、「孫氏の兵法」からしてウクライナ・米国の勝利は厳しいと思います。

 

以下記事はスプートニク(国際版)の素人日本語概訳です。

Ukrainian Drone Targets ZNPP Spent Nuclear Fuel Storage Facility - Russian Security Forces

Ukrainian Drone Targets ZNPP Spent Nuclear Fuel Storage Facility - Russian Security Forces

A strike drone of Ukrainian military moving in the direction of the Zaporozhye nuclear power plant (NPP) was intercepted in Energodar, the Russian security agenc...

Sputnik International

 

8月10日の記事

[9日 ロイター] - ロシア治安部隊は9日、ロシアが掌握するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所について、ウクライナが同原発の使用済み核燃料貯蔵施設をドローン(小型無人機)で攻撃しようとしたと表明した。ロシア通信(RIA)が報じた。 RIAは、治安部隊は撃墜したドローンの飛行経路を分し、核燃料貯蔵施設に対する攻撃が意図されていたと結論付けたと伝えている。治安部隊は撃墜したとするドローンの写真を公開した。 一方、ウクライナ側はこれを否定。ポドリャク大統領顧問は「ウクライナは同原発に対しいかなるドローン攻撃も行っておらず、計画もしていない。理論的に考えて今後も行うつもりはない。それは間違いない」との声明を出した。

 

*******

以下記事はスプートニク国際版(8月10日)

ウクライナのドローンがZNPPの使用済み核燃料貯蔵施設を標的に攻撃

ロシアの治安部隊

メリトポリ(スプートニク)・水曜日

ウクライナがザポリージャ原子力発電所(ZNPP)の使用済み核燃料貯蔵施設をドローンで攻撃しようとした、とロシアの治安部隊はスプートニクに語りました。ドローンの進路の分析は、攻撃ドローンがZNPPの領土にある使用済み核燃料貯蔵施設に向かって移動していることを示しました。核燃料容器の損傷は、核の大惨事と人々の死を引き起こす可能性がありますと治安部隊は述べています。

その日の早い段階で、ZNPPに向かって移動するウクライナのドローンがエネルゴダールで確認されていました。ザポリージャ原子力発電所の方向に向かっていたウクライナのUAVがエネルゴダール上空で発見、治安部隊の巧みな行動により破壊しました。調べてみると、このUAVはストライキUAVであることが判明しました。標的はザポリージャ原子力発電所でしたと治安機関は述べています。

 

キエフの反撃は、ザポリージャ原子力発電所でさらなる安全上の懸念を生み出します (sputnikglobe.com)

ウクライナの反撃は、ザポリージャ原子力発電所で安全上懸念を引き起こします。

グロッシ

モスクワ(スプートニク)

2023年6月30日

ウクライナの反撃は、ザポリージャ原子力発電所(ZNPP)の安全性について「追加の懸念層」を生み出すと、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ長官は木曜日に述べました。

私が[ZNPP]を訪問したとき、プラントの隣接する冷却池にすでに含まれている水の量を維持するために、プラントの管理者によって最初の初期措置が取られたことがわかりました」とグロッシはフランスのメディアに語っています。

しかし、これが中長期的にこれを継続するのに十分ではないことは明らかであるため、代替措置、追加措置、緩和措置を採用し、講じる必要があります。

必要に応じて、このプラントが最前線に座っているため、それ自体が非常に不安定な状況に対する懸念のこの追加の層があります...したがって、進行中の反撃とそこでの軍事活動の文脈では、そこでの戦闘では、プラントは信じられないほど壊れやすく、そこで戦闘攻撃した場合に損傷を受けやすいことは明らかですと彼は付け加えました。

ウクライナは、ドネプロペトロフスクとニコラエフの地域、およびウクライナが支配するザポリージャとヘルソンの地域の一部でZNPPで緊急事態が発生した場合の行動を練るための大規模な演習を発表しました。

クレムリンのスポークスマン、ドミトリー・ペスコフは、演習についてコメントし、ウクライナ側による挑発の脅威は一定であり、それはカホフカ水力発電所での破壊によって実証されたと述べ、IAEAの代表は、最近のプラント訪問中にZNPPで安全を確保するためのロシアの努力を記録したと付け加えています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は以前、ウクライナの諜報機関と治安機関の報告を引用して、ロシアがウクライナの安全保障に関心がなかったためにZNPPを爆破する準備をしていると非難しています。

ロシアは、6月に原発を訪れたグロッシが率いるIAEAミッションは、これらの声明がナンセンスであると確信できると言って、これらの主張を否定しました。実際、ロシアのワシリー・ネベンジア国連大使は、木曜日の国連安全保障理事会の会合で、ロシアはプラントを爆破する意図はまったくないと強調しています。

 

*******

日本で報道されないニュース

(96) 新党やまと チャンネル - YouTubeさんの動画紹介です。ウクライナ問題の核心を突いていると思います。

 

バイデン氏は奇跡を期待しており、自身のウクライナ戦略がすでに失敗したことに気づいていない=メディア

バイデン氏は奇跡を期待しており、自身のウクライナ戦略がすでに失敗したことに気づいていない=メディア

ロシアに対して前例のない制裁を科し、ウクライナに数十億ドルの支援を行い、またウクライナに兵器を供与し続けたものの、何の成果も得られなかった。米国はロシアを骨抜き...

Sputnik 日本

 

 

長崎「原爆の日」の式典 加害者・米国には誰も言及せず

長崎「原爆の日」の式典 加害者・米国には誰も言及せず

米国による長崎への原爆投下から78年を迎えた9日、長崎市で平和祈念式典が行われた。広島での式典と同様、演説した政治家らは加害者である米国には一言も触れなかった一方、...

Sputnik 日本

 

サウジのウクライナ平和的解決 協議は空振りに終わった   inosmi   ロシア語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授 (eritokyo.jp)

西側諸国はゼレンスキーを排除するため2つの選択肢を準備している。 社会学者:ウクライナ人は汚職の責任を大統領に押し付ける  VZ新聞   ロシア語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授 (eritokyo.jp)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする