極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

I am grateful that I can freely write my daily thoughts

全ては自分が中心

2020-09-24 07:33:07 | 日記

以下文は、「ある通商国家の興亡―カルタゴの遺書」 単行本1989年5月 森本 哲郎 著、「ある通商国家の興亡 カルタゴの遺書」オンデマンド (ペーパーバック)2016年7月 森本 哲郎 著、ウィキペディア等々を参考にしています。

 

当時のカルタゴ(紀元前九世紀頃、フェニキア人がアフリカ北部の地中海岸に建設した都市国家、紀元前六世紀頃、地中海西部を制覇したが紀元前146年、ポエニ戦争でローマに敗れて滅亡)は、不思議と日本の戦後、現代日本に似ている部分があり、このままでは日本の未来は巧妙に間接侵略等々され、気がついた時には“間接”興亡となってしまう可能性はあると思います。

 

通商国家、カルタゴの史実に言えることは・・・

平和ボケしていたカルタゴの市民

孫子の兵法は無視されていた。

全てが自分中心の商いに明け暮れていた生き方

に尽きると思います。カルタゴ滅亡の史実は世界の軍事、一般教育等々、勿論日本の自衛隊等でも、史実の教材として一部参考にされていると思います。

カルタゴと聞いたら、多くの方は遠い昔にあった国で滅亡国だとお分かりだと思いますが、具体的に地理的には何処か、滅んだ真相はと言うと解かり難(に)くいと思います。

カルタゴの名は、フェニキア語のカルト・ハダシュト(Kart Hadasht:新しい町)に由来していると言われています。

カルタゴは、イタリア、シチリアの反対側のアフリカ大陸の地中海側に面し、現在のアフリカ大陸チュニジアに位置しています。

当時のカルタゴは高い造船技術を有し、スペイン、シチリア等の海外領土を支配していました。紀元前3世紀、地中海貿易で富を蓄え、ローマと並ぶ強国になりました。
紀元前264年、ローマとカルタゴの間にあるシシリー島でカルタゴとローマは激突・・・この戦いは23年間の中断をはさんで63年間続きました。

第1次ポエニ戦争(紀元前264年~紀元前241年)、第2次ポエニ戦争(紀元前219年~紀元前201年)です。ポエニという名称は、ローマ人によるフェニキア人の呼び名から名付けられています。

第2次ポエニ戦争でローマに敗戦、“戦勝国から武装解除させられ、戦争を放棄する”ことになりました。

全ての海外領土は放棄、軍船、象もローマに引き渡し、軍隊は自衛のものだけが許されますが自衛戦争の場合でもローマの許可が必要で、後々許可の項が問題となり、カルタゴが滅亡する主因となります。
50年払いで1万タラント(古代ギリシャ・ヘブライの重量単位、貨幣単位)の賠償金をローマに支払うことが決まりますが、何とかカルタゴは残りました。

紀元前187年、カルタゴは50年払いと決められた賠償金を一括払いしたいと申し出します。カルタゴ人の経済力にローマ人達は、羨望と同時に恐怖心をも抱き始めます。
カルタゴの100人会(将軍職は特定の家系の出身が多く、その権限を制限するために設立された会)は貴族の世襲制、戦後代議員が選挙で選ばれるようになり、カルタゴは、民主主義の国家に生まれ変わります。
以後、カルタゴは戦後の復興を経済、経済繁栄を見事に成し遂げ、戦後賠償も終えましたが、その経済繁栄を脅威だと捉えた強国ローマに滅ぼされました。

滅亡直前、カルタゴの愛国者・ハンニバル将軍(紀元前247年~紀元前183年・64才没、古代カルタゴの将軍、ローマと数十年に渡り戦闘を行っています。戦術家としての才能に優れ、現代も各国軍隊からも教育資料として参考にされています。)はローマの野心を見抜き、祖国カルタゴの危機を市民に必死に訴えましたが、平和ぼけしたカルタゴ市民は耳を貸すどころか、ハンニバルを中傷する人さえ現われています。

最終的にハンニバルは、ローマ帝国に洗脳された者達にローマに売られ、自殺にまで追い込んでしまいました。

 

当時、経済大国であったカルタゴの最大の問題は、隣国のヌミディア、騎馬兵を有する強国です。自衛力しか保有しないカルタゴを馬鹿にし領土をどんどん侵犯します。カルタゴはローマに調停をお願いしますが黒幕のローマは取り合いません。
カルタゴとヌミディアの間で戦争勃発、カルタゴは敗北・・・自衛戦争であってもローマの事前許可のない戦争は条約違反、ローマはカルタゴに対して突然宣戦布告、ビックリしたのはカルタゴ、ローマの許しを得ようと、300人の貴族の子供を人質に差し出しますが、8万人の最強ローマ兵がカルタゴに進軍開始、カルタゴの使者がどうしたら許してもらえるか?とローマの司令官に問います。
ローマの司令官の回答は・・・

全ての武器を差し出せ!

カルタゴは20万人分の鎧、投げやり、投げ矢、2000の石弓を差し出します。

司令官は、最後の要求を使者に言い渡します。

我々は、カルタゴの街を根こそぎ破壊することを決めた。カルタゴ市民には、今の街より10マイル内陸部に新しい居住地帯を造ることを許可しよう。
使者からローマの意向を聞いた20万人のカルタゴ人は驚愕、嘆き悲しみ、最後に激怒します。カルタゴ人は、丸腰で戦う覚悟を決めます。
返事の猶予期間の30日間、密かに戦争準備がすすめられます。
武器職人は、連日徹夜で武器を作ります。
若い女性は、長い髪を元から切って石弓の弦が作られます。
こうして、始まったのが、第3次ポエニ戦争(紀元前149年~紀元前146年)で、この戦いはローマによるカルタゴの民族浄化とも言われています。

カルタゴは、ここで奇跡的な粘りを見せます。
丸腰で三年間ローマの猛攻を食い止めました。しかし、戦闘と飢え、疫病で20万人のカルタゴ市民は10万人に減少・・・
ついに、ローマ兵は城壁を破り、街へ進入します。
女、子供までがレンガを投げて抵抗しますが、5万人が虐殺されました。

ビュルサの砦に逃げ込んだ5万人のカルタゴ人は、オリーブの枝を掲げて投降しますが、一部が処刑され、残りは奴隷として売られます。 カルタゴの街は瓦礫となりました。
カルタゴの復活を恐れたローマは、この地に塩を撒き不毛の土地にします。700年続いた経済大国カルタゴと世界の富を独占したカルタゴ人は、BC146年こうして滅亡しました。

 

カルタゴが滅亡した時代は違いますが、背景は戦後、現代日本にも通じるものがあります。この史実は決して他人事ではないように思います。

「ある通商国家の興亡―カルタゴの遺書」・・・遺書とは英語ではfarewell letter note で、直前に迫った死を知って、残された家、友人に向けて残されるもので、この著者は未来の国々への貴重な史実のため遺書と言う言葉を使用していると思います。

世界でこのカルタゴの史実を学び、一番教訓となるのは可笑しな憲法保有国でもある日本意外にはないと思います。私達はこのカルタゴが滅んだ史実を真剣に学ぶ必要があると思います。

平和、秩序と声高々にいくら叫んでいても、世界は報いてくれません。やはり世界の史実を見た場合、国力に応じた防衛力整備、備えあれば憂い無しのもと、その上で理想を求めるのが最も理想のように思えます。

カルタゴの武将、ハンニバルは2000年以上経た現在でも、その戦術、特に包囲殲滅戦術は研究対象として各国の軍隊組織から参考にされるなど戦術家としての評価は非常に高く、今日、チュニジアで流通している5ディナール紙幣にも肖像が使用されていると言われています。

私達は学校でカルタゴの滅亡を学びますが、何故滅んだか、日本の教育現場では軍事力の必要性は全く触れません、タブーのようです。私達、日本人はカルタゴの史実から、学ぶべきものは多々あると思います。

今、日本は安倍政権を経て、新しい菅政権下で、国を守ろうと言う気概を醸成しようとしていると思いますが、メディア等は相変わらず安倍政権同様、菅政権でも憲法問題には重箱の隅を突くようにバッシング機会を伺っているような昨今、憲法改正を目指していなかったら安倍元首相も徹底的なバッシングは無かったでしょう。

憲法改正は国家としての尊厳等、何よりも私達に”夢・希望・誇り”を取り戻すことが出来ます。私達に目に見えない物質的なものを越える、良い意味での大きな影響を与えると思います。

今、日本は未来が決まる岐路にあると思います。諸論等あろうかと思いますが、カルタゴの史実から何かを感じ取ってもらいたいものです。

 


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国連演説から見る、日本の未来

2020-09-19 11:48:58 | 日記

以下文は、外務省HP、ウィキペディア等々を参考に個人の思いを記していますが、素人文です。可笑しな箇所はスルーして下さい。

 

今、世界の未来はトランプ大統領の再選に委ねられていると思います。トランプ大統領からは特別な首相・友人とも言われた安倍元首相、特に第73、74回国連総会での安倍総理の演説は日本の未来の一部がデザインされているのみならず、世界に大きな影響を与えた安倍元首相、過去の海外誌等の一部を見ると如何に世界から高い評価を受けているかが解かりますし、後世、歴史は高く評価すると思います。これまで日本のメディア等々の的が如何に外れた政府策批判であったかが解かると思います。

 

世界を見た場合、歴史は常に雲上人等(旧約聖書・6章に記載されたネフィルムの血流の世界の13血流、その僕のアシュケナージ・ユダヤ人等)に委ねられています。これらの事実は多くの公開情報等々の中から自分なりに比較・精査等々すれば解かり易いと思います。この雲上人等から少しでも主権等を取り戻すことは困難ですが、世界の未来を取り戻すにはトランプ大統領が再選されるかで決まると思いますが、選挙戦では、雲上人等に担ぎ出されたバイデン氏が有利のようで苦戦しているようです。

多くの公開資料等々から、世界には表にこそ出ませんが雲上人等から主権等を取り戻したい、反グローバル化と言うリーダーも多いと思います。共○○・・・トランプ大統領、英国・ジョンソン首相、安倍元首相、ロシア・プーチン大統領、習近平、金正恩等々

 

第73回国際連合総会は2年前、2018年9月18日に開かれています。特筆すべきは、トランプ大統領は演説で、明確に世界に向かって主権無き、グローバル化は可笑しい、反対すると世界に向かって堂々と公言しています。この演説は大統領就任演説同様、雲上人等への米国民の意思表示だと思います。本当に勇気ある大統領です。グローバル化は目的(世界を統一した政府等)を達成するための雲上人等の策で、世界の多くのリーダーは理不尽だと解かっていてもタブーで、反グローバルを口に出来なかった言葉です。

安倍政権下でのグローバル化の位置付け・意味は、第73回国際連合総会演説ではグローバリズムを“日本は格差を減らすためにこそ用います。”と演説されており、主権を存在させ、国益等を考慮した賢い演説だったと思います。最後に第73、74回国連総会、安倍元総理の演説を記しています。

 

トランプ大統領は過去、パリに本部を置く国連教育科学文化機関(ユネスコ)からの離脱、2018年8月4日、地球温暖化対策の国際的枠組みパリ協定から正式離脱、2018年5月8日にはイラン核合意から離脱、2018年年6月19にジュネーブの国連人権理事会からも離脱しました。何故、離脱しているでしょうか・・・離脱の真意はメディア等報道とはかなり違います。

これらの国連、国連機関等の全ては雲上人等の館であり、米国の国益、国民益になっていないし、将来も全く改善はないと判断したでしょう。トランプ大統領の決断はバノン氏の策でもあり、バノン氏の策の全ては徹底した”国民目線”で、国民の意志でもあると思います。何よりも多くの米国民の思いだと言えそうです。多くの世界の主要メディアは正しく報道せず、徹底してこれらの策を批判・・・当然と言えば当然、世界の主要メディアの社主は100%雲上人等のものです。この延長線上に日本のメディア等があり、これらから益を求めるため尻尾は振りすぎ、哀れにも思えます。

 

第73回国連総会ではトランプ大統領は演説で米国の援助は今後、友人だけに限定、これまで多額の援助を受けながら、米国に感謝する国は少なかったと述べています。

“主権の尊重を強調、思想となったグロバリゼーション(国際化)には拒絶”の姿勢を鮮明にしています!この考えの下、米国民、トランプ政権は動いていると思います。

安倍総理大臣も9月23日~26日まで,第74回国連総会出席のため7年連続でニューヨークを訪問しています。何故、米国を訪問しているか・・・

 

第73回国際連合総会での安倍首相の演説

議長、ご列席の皆様、
向こう3年、日本の舵取りを続けることとなった私は、連続6度目となります本討論に、思いを新たにして臨みます。
今からの3年、私は自由貿易体制の強化に向け、努力を惜しみません。北東アジアから戦後構造を取り除くために、労を厭いません。

自由貿易の旗手として立つ思いますに、日本国民は自国の指導者に対し、自由貿易の旗手として立つことを切望しておりました。なぜなら日本自身、戦後、自由で開放された経済体制の申し子として、貿易の利益に浴し、めざましく成長した国だったからです。

自由貿易体制は、アジア諸国を順次離陸させ、各国に中産階級を育てました。背後には、1980年代以降、日本からこれら諸国に向かった大規模な直接投資がありました。
みな、国際経済システムが、ルールに基づき、自由でオープンなものだったおかげです。
このシステムに最も恩恵を受けた国・日本が、その保全と強化のため立たずして、他の誰が立つのを待てというのでしょう。日本の責任は、重大です。
それは、日本の歴史に根差した使命でもあります。
日本には、近代日本の産業化を支えた石炭のほか、めぼしい資源はありませんでした。しかし戦後の日本は、貿易の恵みに身をゆだねたところ、資源が乏しくても、奇跡といわれた成長を実現できたのです。
貿易と成長の間の、今や常識と化した法則を、最初に身をもって証明した国が日本です。日本は、貿易の恵みを、世界に及ぼす使命を負っています。

私は、時に国内の激しい議論を乗り越えて、自由貿易の旗を振りました。TPP11が成り、日本が国会でいち早くこれを承認できたことは、私にとって無上の喜びです。また世界史に特筆される規模と範囲の、日EU・EPA (2018年に締結された日本と欧州連合間における、貿易や投資など経済活動の自由化による連携強化を目的とする経済連携協定)も成立させました。
とはいえ、満足してなどいられません。私は自らにドライブをかけ、さらに遠方を目指します。
WTO(世界貿易機関)へのコミットメントはもちろん、東アジアに巨大な自由貿易圏を生むRCEP(域内包括的経済連携)の交渉に私は全力を注ぎます。
そして何よりも、米国との新貿易協議、いわゆるFFRを重んじます。
日米両国は、長年、世界の中で自由貿易体制を引っ張ってきました。その成熟の帰結として、日本が米国に対し行ってきた直接投資は、英国に次いで多い85万6000人の雇用を全米各州に生み出しました。
いまや日本から米国に輸出される自動車が174万台なのに対し、米国国内で生産される日本車は、377万台です。
これこそウィン・ウィン。そんな関係を、私は日米の間で続けていきたいと思っています。

米国とだけではありません。日本は自由貿易の旗のもと、どの国、どの地域とも、互いが、互いの力になる関係を築いて参りました。これからも、そうしていきます。
アジア・太平洋からインド洋に至る広い地域に、今世紀にふさわしい自由で公正な経済のルールを広げるには、システムを作り、またそこから多大の恩恵を受けて来た国が、すなわち日本のような国こそが、これを主導しなくてはならない。私の、信念であります。

北東アジアの戦後構造を取り除く、私は先刻、北東アジアから積年の戦後構造を取り除くため、労を厭わないと申しました。
私はいま、ウラジーミル・プーチン大統領とともに、70年以上動かなかった膠着を動かそうとしています。
大統領と私は今月の初め、ウラジオストクで会いました。通算22度目となる会談でした。近々、また会います。
両国の間に横たわる領土問題を解決し、日露の間に、平和条約を結ばなくてはなりません。日露の平和条約が成ってこそ、北東アジアの平和と繁栄は、より確かな礎を得るのです。

皆様、昨年この場所から、拉致、核・ミサイルの解決を北朝鮮に強く促し、国連安保理決議の完全な履行を訴えた私は、北朝鮮の変化に最大の関心を抱いています。
いまや北朝鮮は、歴史的好機を、つかめるか、否かの岐路にある。手つかずの天然資源と、大きく生産性を伸ばし得る労働力が、北朝鮮にはあります。
拉致、核・ミサイル問題の解決の先に、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す日本の方針は変わりません。私達は北朝鮮がもつ潜在性を解き放つため、助力を惜しまないでしょう。
ただし幾度でも言わなくてはなりません。すべての拉致被害者の帰国を実現する。私は、そう決意しています。
拉致問題を解決するため、私も、北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金正恩委員長と直接向き合う用意があります。いま決まっていることは、まだ何もありませんが、実施する以上、拉致問題の解決に資する会談にしなければならないと決意しています。

日中関係についても一言させてください。

本年始まった首脳間の往来は、来月、私が訪中し、その後には習近平国家主席を日本にお招きし、といった形で継続し、両国関係に、そしてこの地域に、決定的な安定の軸を加えていくでしょう。

自由で開かれたインド太平洋戦略・・・北東アジアから対立構造を除いた時、北極海から日本海、太平洋、インド洋へと抜ける海の回廊は、一層重みを増していきます。
真上に位置し、広いEEZ(排他的経済水域)をもつ日本は、この海域と、またその上の空域が、安全で、平和であることを望みます。
太平洋とインド洋、「2つの海の交わり」に、ASEAN諸国があります。かつて両洋を越え遠くアフリカに物産を伝えたのは、今で言う太平洋島嶼国の先達でした。
私が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を言いますのは、まさしくこれらの国々、また米国や豪州、インドなど、思いを共有するすべての国、人々とともに、開かれた、海の恵みを守りたいからです。
洋々たる空間を支配するのは、制度に裏打ちされた法とルールの支配でなくてはなりません。そう、堅く信じるがゆえにであります。
先日、マレーシア、フィリピン、スリランカから日本に来た留学生たちが、学位を得て誇らしげに帰国していきました。学位とは、日本でしか取れない修士号です。

海上保安政策の修士号。目指して学ぶのは、日本の海上保安庁が送り出す学生に加え、アジア各国海上保安当局の幹部諸君で、先日卒業したのはその第三期生でした。
海洋秩序とは、力ではなく法とルールの支配である。そんな不変の真理を学び、人生の指針とするクラスが、毎年日本から海に巣立ちます。実に頼もしい。自由でオープンなインド・太平洋の守り手の育成こそは、日本の崇高な使命なのです。

 

ガザから先生を招く・・・さて皆様、本演説の準備に当たり、私はささやかな、新しいプログラムを作りました。
来年初め、ガザ地区から約10人、小中学校の先生を日本に招きます。これを第一陣として、毎年続けます。
日本という異なる文化、歴史に身を置く教師たちは、ガザと中東を広い視野に置き、自分たちのことを見つめ直すでしょう。それは独特の、慰藉の力を彼らに及ぼすのではないでしょうか。
平和とはもちろん、当事者双方の努力が必要なものです。それでも願わくば、私たちのこのプログラムが、ガザの教師と子供たちに、希望のよすがを与えてくれたら。
20年経つと、訪日経験をもつ先生は200人になる。彼らに教えを受けた生徒の数は数千人に達すでしょう。その日を待望いたします。

日本と日本人は、未来を見据える・・・本日、一端を述べて参りました日本外交の目的とは、世界と地域の未来を、確実なものとすることです。
さらにそのうえで、私が願いますのは、日本の未来を生きる若人たちが、たくましくも、チャレンジに立ち向かってくれることです。それをやりやすい環境を生み出すことが、私たち世代の務めです。
あたかも日本にはいま、新しい風が吹こうとしています。

来年4月末から5月初めにかけ、天皇陛下が退位され、皇太子殿下が即位されます。今上陛下の御退位に伴う御代(おだい)替わりは、実に200年ぶり。10月には、お祝いくださる賓客を世界からお迎えします。

来年6月、日本はG20サミットを開きます。世界経済のあり方や環境問題など、国際社会が直面する課題についての議論を、私は議長として引っ張るつもりです。
続けて8月、我々はTICADを開きます。1993年以来日本が孜々として続け、アフリカ各国指導者から不動の信頼を得た会議の、第7回です。例えば私自身幾度も重要性を説いてきた「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」を、論じ合いましょう。
お忘れなきよう。来年日本はラグビー・ワールドカップを開き、2020年には、東京がオリンピックとパラリンピックを開きます。私達の眼は、未来を見続けます。
日本と日本の人々が未来に視線を据えるとき、日本は活力を増します。未来を見つめる日本人は、SDGs(持続可能な開発目標)の力強い担い手となります。そんな次世代の日本の若人は、「国連精神」の旗手として立派に働いてくれるだろう。私の確信です。
最後に申し上げます。安保理改革が停滞する中、今世紀の世界における国連の意義は、今や厳しく問われています。
けれどもだからこそ、日本は国連への貢献をやめません。グテーレス事務総長と共に、日本は安保理改革、国連改革に邁進することをお約束し、私の討論を終わりにします。
有難うございました。

 

第74回国連総会における安倍総理大臣一般討論演説

令和元年9月24日

議長、議長のもと、国連は創立75周年を祝います。
私はこの際、私の国・日本が、国連の理念を奉じ、その目的に対し力を尽くそうとする点において、揺るぎのない足跡を残してきたことを、ご想起願いたく思います。
設立以来3四半世紀を経た国連には、安全保障理事会の変革を主眼とする構造改革が必須です。早期の実現を目指したく思います。
また日本は、2022年の選挙に立ち、再び多くの国の支持を得て、安保理非常任理事国を務め、国連理念のさらなる実現に力を尽くしたいと念じています。皆様の、力強いご支援を賜りますように。

さて日本では、新たな天皇陛下がご即位になり、天皇御自身で内外にそれを宣明なさる儀式が、来月22日に迫りました。
200内外の国、機関から元首や首脳がお越しくださり、新たな御代の始まりを言祝いでくださること、喜び、これにすぐるものはありません。日本国民は、これを無上の機会とし、日本が世界に対し負う役割に、改めて思いを致すことでしょう。

私の国では、長く続いた経済の不調が国民の関心を内に向かせた時期は、過去のものとなりました。
今まさに熱戦が続くラグビー・ワールドカップ、来年東京が開く、オリンピックとパラリンピック、大阪一円がホストする万博2025と、日本の暦には、世界との強い絆を意識させ、人々の眼を外へ、未来へ向かせる日付が特筆大書されています。

国連理念の頼れる担い手が、新たな世代において、つくられつつあるのだとご理解ください。
来年4月に日本にやってくる会議のことも、記憶に留めてください。
国連薬物・犯罪事務所が主体となって5年に1度開く、通称「コングレス」、国連犯罪防止刑事司法会議は、その第14回を京都で開きます。
同会議を、欧州以外で初めて日本が開いたのが1970年でしたから、50年ぶり。桜が盛りの京都は、法執行の専門家たちを喜んでお迎えすることでしょう。
今申し上げたことは、世界と関わるうえで、日本が何に重きを置くかと密接な関連を有します。

人間一人ひとりの力を育てることを一義とし、ゆえに教育を重んじる。ひたすらそれを続けるところに、日本は、世界になし得る貢献の神髄を求めて今日に至ります。
今度京都に集まる法執行の専門家にしても、一度限り呼び集めるのでなく、継続して育てるところに、日本は自らの役割を求めました。
つとに1962年、日本は犯罪防止の知識向上を主眼として、国連初の専門機関を東京に建てました。
国連アジア極東犯罪防止研修所と命名し、犯罪学者として世界的に令名のあった故ノーバル・モリスを初代の長として発足した同機関は、本年9月末までに、膨大な「卒業生」を生んでいます。
その数5900人以上。内訳は例えばアジアから2949人、アフリカから678人です。
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去る3月のことです。東京を訪れたマララ・ユスフザイさんは私の目をまっすぐに見て、「最低12年の教育を受けないと、現代技術を使いこなすのは難しいというのに、その機会をもたない少女が1億人もいる」のだと述べました。
すべての少女が中等教育を経た場合、その世界経済に対する寄与は30兆ドルにも上ると、彼女は言います。
マララさんをお呼びしたのは、6月私が主宰するG20大阪サミットを前にして、女性と少女に力を与える政策に光を当てておきたいと考えたからでした。
女性がそのもてる可能性を思うさま発揮できたなら、世界はそれだけ輝きを増します。当たり前ではありませんか。いま女性の労働参加率が顕著に伸びた日本は、その当然の事実を日々感じています。
G20が首脳宣言と付属文書の両方で、マララさんの主張を汲むことができたのは私の喜びです。

「すべての女児及び女性に対して包摂的で質の高い教育を推進」するのだと、私たちは誓いを立てました。日本はこの努力において、常に先頭を走りたいと念じています。

ご紹介したいのは、タンザニアの事例です。
私がちょうど30歳になろうという頃、東京のマラソン大会に出ては圧倒的能力を見せつけたランナーに、ジュマ・イカンガーという人がいました。
日本を第二の故郷と思うイカンガー氏は、祖国タンザニアに帰国後、日本政府の援助組織JICAで、広報大使になります。
そこに日本から赴任したのが、伊藤美和という、行動力に富む女性でした。
2人は力を合わせます。伊藤さんは日本企業13社から協賛金を得て、そして、イカンガー氏は未来のオリンピアンになりそうな女子を探して開催にこぎつけたのが、同国史上初の、女子陸上大会でした。2017年11月のことでした。
近くに住む女子小中学生1000人を、観客席に招きました。ただ見物させたのではありません。彼女らには若年妊娠を防ぐための教材が渡されました。これを読ませる目的もあったのです。

東北東にキリマンジャロの高峰を望み、マサイの人々などが住む地域、タンザニアのアルーシャに、2016年の1月、日本人の手によって開校したのは「さくら」の名を冠する女子中学校です。
生徒たちに安心・安全な環境を与えるため、学校はあえて全寮制。最初24人だった生徒が今年春には162人に増えました。
日本政府は、資金で応援しています。しかし運営は、日本と現地のNGO。STEMを教え、望まない妊娠をいかに防ぐかを教えます。

私はまたカンボジアでも、ある日本の事業家が、まったく自分一人の発案で、教育向上に努めているのを知っています。
日本から経験豊かな理数科教師を送り、カンボジアでこれから教員になろうという若い男女のコーチをさせるのです。名付けて「国境なき教師団」。
私は、誰の承認を求めるのでもない、純粋に内発的動機から、日本の民間の人々がこうしてタンザニアで、カンボジアで、若者の、とりわけ少女の教育に進んで尽力するさまを見て、心洗われるものを覚えます。

日本政府は、サブ・サハラのアフリカ諸国やアジアの国々を対象として、今後3年、少なくとも900万人の子どもと若者に充実した教育を提供します。
スリランカでは、小学生にいわゆるe-ラーニングが、ルワンダでも、インターネットを活かした理数科教育の拡充を図ります。
しかしこれらは、むしろ民間の人々の努力に大いに触発されての事業だと言わねばなりません。
議長、私は本議場において一般討論に立つこと、今回で連続7度目です。この間一貫して、女性と少女の力をつける大切さ、ヘルスケアを万人に普遍のものとする意義を強調してきました。
本年もこの両議題に関しては、別の会議で発言を致しました。
同時に、いま申しましたような日本の貢献にあります通り、教育をひたすら重んじるところに、日本の対外関与はその神髄をみるのだと強調したいと思うのです。日本は「FP」。フォスター・パワーたらんと望みます。

終わりに臨んで、短く3点申します。
第一、北朝鮮について。
トランプ大統領のアプローチを、日本は支持します。首脳同士が胸襟を開き、未来に光明を見て目前の課題を解こうとするやり方は、北朝鮮をめぐる力学を変えました。
私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するのが不変の目標です。

第二、東情勢への懸念を共有します。
サウジアラビアの石油施設に加わった攻撃は、国際経済秩序を人質にする卑劣極まる犯罪でした。
私は、イランの最高指導者ハメネイ師が私に直接言った核に関する3つの否定、すなわち「持たず、作らず、使わない」ことをファトワーにし徹底したという言明を、貴いものと思います。
今朝も、ローハニ大統領と通算9度目の会談をいたしました。
大国イランに、その豊かな歴史からする叡智に基づく行動を求めることは、私の変わらぬ役割です。

第三に、そして最後に、マルチの枠組みと、“グローバリズムを日本は格差を減らすため”にこそ用います。
TPP、日EU・EPAに続き、RCEPが、日本の牽引力によってまとまろうとしています。
世界は、もっとつながる。貧困から抜け出す人が、それだけ増えます。
私は近年G7とG20、3度のアフリカ開発会議を主宰し、マルチの枠組みにその役割があることを、再々証明してまいりました。
「質の高いインフラ」、「自由で開かれたインド太平洋」が、国際社会の辞書に加わったことなどご想起いただければと思います。

日本が開くアフリカ開発会議・TICADは本年その第7回において、「ニューTICAD」に生まれ変わりました。
今後アフリカを語る言葉は、すべからく投資と成長を語るべきだからです。
現に、併行して開かれた「ビジネス・フォーラム」は、アフリカと日本の事業家たちであふれ、熱気に満ちていました。新しい投資の案件、新規のプロジェクトがさかんに生まれていることを、私も感じ取れました。
アフリカの変化は、私たちを、勇気づけてくれます。やはり、世界は、変わる。私たちの努力によって、変えることができる。本会堂が、その決意を確かめ合う場だと申し上げて、私は討論を終えようと思います。
御清聴ありがとうございました。

 


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永遠の平和と友好を求め・日本人と中国人が共に歩む未来への道(北海道大学出身 孫 麗)

2020-09-15 08:04:31 | 日中

以下の文は、ネット等で見つけた、無名の中国人、北海道大学出身 孫 麗さんが尖閣問題以前の2002年に書いた論文で、若者の素直な気持ちを表現しており、未来の日中のあるべき姿を祈念していると思います。

同じ価値観を有する日米、日本と政治体制が全く異なる共産国中国、今日の日本は貿易相手国中国無くして経済の安定は難しいと思います。日中間には問題山積ですが、何故、理不尽にも思える問題が存在しているか・・・

 

日中等問題をフィクションで考えた場合、一説では特に、白人国・欧米で一番警戒されている国は間違いなく日本、ドイツとも言われ、経済、軍事でも世界の頂点への台頭は絶対に許さないでしょうが、両国の多くの国際的な発言を精査すれば、既に目に見えない大きな楔(くさび)が雲上人等により打ち込まれ、今後、日本・ドイツが世界の頂点になることはないとも言われていますし、日中にも雲上人の強靭な楔が打ち込まれていると思うのが自然にも思えます

 

これらの隙から台頭してきている反グローバル化国、共産国中国、軍事・経済でも世界の頂点は目前とも言われ、核保有、経済大国等でもあり、雲上人等は楔を打ち込むことは難しく、欧米・白人国からしたら有色人種の中国の世界の頂点への台頭は許しがたいでしょう。雲上人等はトランプ大統領を介し、徹底的な反中国政策を行うと思います。

日中が、友好国等になったら、欧米・白人国に対抗する歴史上・世界最強のアジア地域が生まれ、これまでの雲上人等による欧米・白人世界の世界秩序・覇権等は崩壊してしまうことを意味するでしょう。同盟国米国を考えた場合、新型コロナ・ウイルス以降の日本の舵取りは極めて難しくなると思います。幸いトランプ大統領は雲上人側でなく、同じ価値観を有する同盟国、日米は過去と違い、対等な付き合いが可能だと信じています。トランプ大統領が再選された場合、雲上人等への戦い(悲願である米国民の益を取り戻したい、米軍を国民側に取り戻したい等)は理不尽なグローバル化は反グローバル化として本格化するでしょう。世界の未来が決まる米国大統領選挙、日本にも極めて大きな影響を与えると思います。

 

以下文は、未来の日中を考えた北大出身女性の論文です。

「永遠の平和と友好を求め・日本人と中国人が共に歩む未来への道」

北大出身 孫 麗(女性)
日中両国は一衣帯水(いちいたいすい:一本の帯のような狭い川や海のこと。)の隣国であり、両国の間に2000年あまりの友好往来と文化交流の歴史がある。両国人民は長年お互いに支持し合い、協力し合って、深い友情を結んできた。
今年(2002年)は日中国交正常化の30周年にあたり、月日の経つのが早いと嘆くかたわら、両国関係があらゆる分野で世界の近代史の中で例のない大きな発展を遂げたということをつくづく感じた。

20世紀が過ぎ去って平和文化の構築と持続可能な発展を主題としての21世紀の幕が開いた。

新世紀における日中関係をどのように発展させていくか、アジア、また全世界の平和と発展に日中両国がどういう役割を果たすべきか、という問題は世界の未来と呼ばれるわれわれ青年に課せられた新しい課題になる。
われわれは日中友好事業のために力を尽くした先哲からの友好の旗を受け継ぎ、新世紀に日中善隣友好関係を新たな段階に推し進め、永遠の平和と友好を求めるべきである。

このために次の四点が重要だと思う。
第一に、日中関係の伝統を大切にし、21世紀に向けて新しい日中関係を築くことである
1、昔の成果
30年前の1972年、日中両国の賢明な政治家と各領域の日中友好の方々の長期にわたる努力によって、国交正常化が回復し、日中関係史に新な1ページを開いた。30年来、日中両国は各分野の交流と協力において未曽有の発展をみせた。特に経済面では中国の改革開放以来,両国間の交流が飛躍的な発展をして,今や両国は経済的に高度な相互補完関係にある。貿易総額を見ると国交回復当初の10億ドルと比べ、約80倍になった。国交回復当初の人的往来は1万人未満であったが今年(2002年)は既に300万人を超える。つまり人的往来は30年で約300倍になった。友好都市関係も250組以上あり、学術交流も年々増加している。日中友好は実り豊かな成果を収めた。

2、国際情勢認識
ベルリンの壁崩壊から13年たった今日、国際情勢は激動の時代を迎えている。例えば、米国の軍事面での圧倒的優越とそれを背景とした単独主義の傾向、米ロ間のモスクワ条約締結、NATOの東方拡大、EUの独自性強化、上海協力機構の設立、南アジアの緊張等である。経済的にはグローバリゼーションとそのゆり戻しの狭間の中、ITやバイオ、ナノテクなど新技術の革命が進んでいるが、国家間関係の上では多極化が進んでいる。その一方で、アフガン復興に見られるように、NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)という国家以外の主体が国境を越えて重要な影響力を持ちつつある。このような激しい変化の中、日中関係が停滞するようなことがあれば、両国の国益に大きなマイナスである。日中関係を新しい発展の段階に移行させることが新時代からわれわれに課せられた大きな使命である。
世世代代(世々代々)の友好、アジアと世界の平和と発展のためにわれわれは心を一つにして、先人の遺志を受け継ぎ,先人たちが長期に渡り,奮闘してきた得がたい日中友好事業をこれまで以上に大事に守り,平和と発展のための友好協力パートナーシップを築くために努力しなければならない。
第二に、忌憚(きたん:遠慮の無い。なき、素顔の交流を求め、相互理解と相互信頼を深めることである
外交関係は鏡のようなものであり、お互いのイメージが大切である。信頼関係があるか否かは大きな違いがある。信頼関係があると、大きなことでも小さくすることが出来る。しかし、信頼関係がないと、小さい事でも大きくなる恐れがある。問題を解決することを通じて、新たな発展段階を迎えるといった関係が日中関係であり、問題を話し合いながら、解決し、信頼関係を構築していくのが日中関係である。つまり、日中両方が自分の姿を相手に見せた上で、日本は中国に対して率直に注文をつけ、中国も日本に対して、思っていることをぶつける、という関係を作ることが必要である。そのために、以下の事柄に積極的に取り組むべきである。

1歴史認識
日中戦争に関するいわゆる「歴史認識」は日中関係に常に影を落としてきた。日中両国は歴史教育や歴史教科書の違いによって、両方の認識を完全に一致させることは不可能であるが、共同研究等を通じて、互いに事実関係を共有することが望まれる。重要なのは、その認識の違いを理解していくことで、そこで初めて信頼を確立していくことが出来るだろう。それについて、日本側は過去の誤った国策と行為を反省して終戦50周年(1995年)の際の「村山談話」を発表した。小泉総理も芦溝橋の抗日戦争記念館を訪問したときに、「過去の歴史をよく勉強することによって、人間と言うものは反省し、将来、その反省を生かしていかなければならないと思っている。私ども過去の歴史を直視し、二度と戦争を起こしてはいけない。その反省から、戦後、平和な国家として日本は繁栄することが出来た。」と明確に発言した。中国側も朱鎔基総理訪日時(2000年10月)発表した「中国側は歴史の問題で日本の国民を刺激することはしない。日本側もあの歴史を忘れないという事が必要だ」という精神に基づいて、お互いの感情を傷つけることのないように慎重に対応すべきである。
現在、大多数の中国人と日本人が今までの得がたい日中善隣友好関係を大切にし、過去の歴史を操り返さないという基本方針を支持している。お互いがお互いの立場に立って、出来る限りの配慮をして、大きな譲歩をしたことが日中国交正常化をもたらした原点である。この原点の精神に基づいて日中関係を対処すれば、よりスムーズな友好協力関係を造れるだろう。

2、人的交流促進
両国お互いの理解を深めて友好関係を構築するためには、人と人との交流を促進することが最も有効な手段である。両国間の知的交流、文化交流、地域間の交流、青少年交流といった多層的な対話や交流が拡大されなければならない。そして、単なる接待的な友好と交流ではなく、お互いに文化を尊重し合い、対等に協力し、共生し合う精神文化の基盤を育て培わなければなるまい。首脳レベルによる相互訪問はすでに定期化されたが、両国政府間のさまざまな階層でコミュニケーションを密にすることで、相互理解を深化させることが肝要である。さらに、市民交流や地方間交流、ビジネスや留学、NGO活動等を通じた民間レベルでの交流も一層活発にする必要がある。両国人民の人生観、歴史観、世界観、ものの考え方などの異なる面を十分理解するために民間交流は不可欠なものだと言える。日中両国の政府には、民間交流をもっと推進してもらい、特に中長期のビジョンを作って、民間交流に舞台を提供していくことをより積極的に展開していく必要がある。両国民の相互理解と相互信頼を増進し、誤解や不信などの蟠りを取り除いて、日中両国の間に長期的で安定した善隣友好関係のしっかりした基礎を築くために、これからも引き続いて、努力を続けなければならない。
第三に、長期的な視野に立ち、共同利益を基礎とした経済対等パートナーシップ関係を築くことである

1、経済対等パートナーシップ関係の構築の必要性
経済のグローバル化に従い、国際競争が日増しに激しくなってきた。東アジアの金融危機、ユーロ通貨の始動など、中国も日本も一層大きな圧力に直面している。アジアひいては世界の繁栄と安定のために、日中両国は両国間の経済交流の発展を阻害する要因を取り除き、一体化した経済パートナーシップ関係の強化がますます求められている。
2、経済対等パートナーシップ関係の構築の可能性
中国と日本の経済は一面では競合するところがあっても、基本的には相互補完の関係にある。そして、競争と言っても競う事によって、単独なら長い時間かかるものがいち早く実現するというプラスの点が多い。アジアにおける経済大国である中国と日本は経済面で共通の利益がより多い。経済先導と言っても過言でない21世紀において日中両国は共通の利益を求め、イデオロギーと社会制度の違いを乗り越えて、対等なパートナーシップを築かなければならない。中国の進歩は日本のマイナスでないし、日本の進歩は中国のプラスである。日中関係は本来鳩山由紀夫が述べたようにプラスサムゲームである。よって、経済対等パートナーシップの構築は完全にできると認められる。

3、日中経済交流の一層の拡大に向けて
国交正常化してから今日までの30年間に、両国関係はあらゆる分野で、特に経済分野で大きな発展を遂げた。1972年当時と比べ、日中間の貿易総額は約80倍になり、経済団体の協力も盛んに行われてきた。中国から見て日本は10年連続で最大の貿易相手国であり、日本から見ても中国は米国に次ぐ第2の貿易相手国である。このような得がたい成果を新世紀に持ち込んで経済交流を一層拡大するために日中双方が以下の方面での努力を求められる。
経済グローバル化とWTO加盟に従い、中国の市場経済は飛躍的に発展してきたが以下の諸点についてなお一層の改善を求めたい。
(1)経済の総体的な発展において政府の指導が要求されるが、政府の過分な関与を排除しなければならない。必要な制度の整備や透明化を進めつつ、市場原理に任せていくべきである。
(2)外資企業、知的財産権保護に関する立法(例えば特許法、著作権法など)を始め現行の法律を体系的により改善すべきである。
(3)外資の導入がより進み、全国特に内陸部はインフラ整備、投資環境を改善しなければならない。
日本側は、中国の発展が日本の脅威になるという「中国脅威論」を否定し、日本は中国投資から多くの資金を回収し、日本経済の発展を促進していることを認識しなければならない。そして、21世紀における中国の新たな開発戦略特に西部大開発のプロシェクトに長期的な協力をすべきである。対中のODA援助、IT人材の提供、環境、エネルギー問題等、さまざまな方面で日本各界友人同士の協力が期待されている。
第四に、日中両国はお互いを2国間の狭い関係のみで捉えるのではなく、より幅広く、アジアと世界の中での日中関係のありかたや協力関係を真剣に摸索していく必要がある。
1、 政治,経済という側面で冷戦が終わった後世界は政治多極化、経済一体化したと言われ,さまざまな変化が生じている。国々が競争し合い、協力し合い新しい秩序を求めている段階に入った。このような複雑な国際状況においてアジアの隣人である日中両国はこれからの協力関係をより真剣に摸索していかなければならない。例えば,国連やIMF,WTOなど国際機関での活動においては、お互いの活動を牽制し合うのではなく協力して,アジアの声を代弁すべきである。
2、地球的規模の問題という側面で経済の飛躍的な発展に伴い,さまざまな地球的規模の問題が生じてきた。例えば,人口問 題、食料問題、エネルギー問題、環境問題、あるいは麻薬やエイズのような問題である。これらの人類存亡に関わる問題は両国の狭い間だけでは処理し切れない問題で,全世界の範囲での努力が求められている。
3、IT革命を始め科学技術革命という側面で中国では「科学技術は第一の生産力である」と言う言葉がある。経済発展のために科学技術は代えることのできない重要な役割を果たしている。21世紀の科学技術を代表するIT革命への対応にあたって,日中両国はより国際的視野をもって進める必要がある。特に知的財産権、個人情報の保護、ハイテク犯罪への対応、電子商取引のルール整備など、国際的に整合性が必要とされる問題に日中双方も積極的に対応すべきである。
要するに、日中両国が手を携え、国際社会での多岐にわたる共同活動を通じて友情を深め、信頼と希望に満ちた明るい未来を創造する事が重要である。「共存、繁栄」という人類の共同課題に向けて世界の中での日中友好協力関係をより幅広く努力しなければならない。
新しい世紀と新しい情勢における日中両国の友好関係を、輝かしい希望に溢れたものとするために以上の四つの点が重要であろう。そして、日中間の三つの政治文書、すなわち「中日共同声明」「中日平和友好条約」「中日共同宣言」の原則を基礎に、「歴史を鑑とし、未来に向かう」という精神に基ついて、両国の善隣友好関係を新たな段階に推し進めなければならない。これらのことによって、人々が心から祈っている日中両国間の永遠な平和と友好を迎えるのは目前に迫ってくるであろう。


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理不尽か、昨今の米・中

2020-09-11 13:50:59 | 日中

以下文は、NEWSWEEK(9月8日)の引用版(原文)ですが、著作権については、承諾なしに利用できる私的利用範囲で記しています。

強固な日米同盟の中、日本が進むべき道を暗示しているかも知れませんが、一専門家の中国観として見るべきでしょうか・・・

 

著者は丸川知雄氏(1964年生まれ、1987年東京大学経済学部経済学科卒業、2001年までアジア経済研究所で研究員、この間、1991~1993年には中国社会学院工業経済研究所客員研究員として中国に駐在、2001年東京大学社会科学研究所助教授、2007年から教授、「現代中国経済」、「チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える」、「現代中国の産業」等著書多数)です。

経済、軍事でも世界の頂点に立とうとしている有色人種国でもある中国、白人の優位性を譲ろうとしない一部欧米等、世界は益々混沌としてきたようにも思えます。対する日本は強固な日米同盟の中、難しい舵取りになるように思えます。

 

ハイテク企業いじめのような戦略なき輸出管理では自分が傷つくだけだ!

2018年7月に始まったアメリカと中国の貿易戦争は、今年1月に第1段階の合意がなされて、中国がアメリカから2年間で輸入を2000億ドル増やすことに同意したことで、とりあえず一段落したように見えた。

ところが今年5月ぐらいからスマホ・通信機器メーカーのファーウェイをはじめとする中国のハイテク企業に対するアメリカの攻撃が苛烈を極めてきた。中国の経済的な切り離し(デカップリング)がにわかに現実味を帯び、日本企業がアメリカを選ぶのか、中国を選ぶのかと態度決定を迫られる日が刻一刻と近づいてきているようにも見える。

今後、アメリカと中国は新たな冷戦へ突入し、世界経済はブロック化していくのであろうか。

筆者はその可能性は小さくないと思うが、アメリカが冷静さを取り戻すことができれば、アメリカの側から新冷戦へ向かっていく動きには歯止めがかかるはずだと考える。何故ならアメリカがこの新冷戦に勝利できる可能性は、かつての東西冷戦の時に比べて格段に小さいからだ。

 

そう考える理由を説明する前に、2018年以来のアメリカの中国ハイテク企業に対する攻撃の経過を振り返っておこう。

まず2018年4月に、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)がアメリカ製品を組み込んだ通信機器をアメリカの法律に違反してイランに輸出する罪を犯したとして、アメリカからZTEに対する部品やソフトウェアの輸出を7年間禁じる処分を下された。ZTEは2016年3月に同じ問題で同じ処分を下されていたのだが、その1年後に8.9億ドルの罰金支払い、4人の幹部の解雇、35人の従業員に対するボーナス削減を行うことでアメリカ政府と和解していた。ところが、35人の従業員に対するボーナス削減をやっていないとしてアメリカ政府は2018年4月に禁輸を断行したのである。

ZTEはスマホの主要部品が入手できなくなり、工場の操業停止を余儀なくされる危機に陥った。中国の劉鶴副首相が間に入って減刑を求めた結果、2018年7月に14億ドルの罰金支払と引き換えに禁輸措置が解除された。

一方、アメリカ下院は2012年にZTEとファーウェイの通信機器を通じて通信内容が中国に傍受されるリスクがあるのでアメリカ政府が補助金を出している通信インフラから排除するとともに、この2社によるアメリカ企業の買収は拒否すべきだとの報告書を出した。

その提言を受けて、2019年11月に連邦通信委員会(FCC)は通信のユニバーサルサービス実現のための政府補助金を受けている通信ネットワークでファーウェイとZTEの機器を使うことを禁じた。

さらに2020年6月にはこの2社をアメリカの「安全保障上の脅威」と断定し、アメリカの通信網から追放する政策を確定した。

また、2018年8月にトランプ大統領は、2019年国防権限法に署名し、これによってファーウェイ、ZTE、およびハイテラ(トランシーバーのメーカー)、ハイクビジョン(監視カメラのメーカー)、ダーファ(監視カメラのメーカー)の製品を政府機関で調達することが禁じられた。その1年後には、この5社の製品を重要な部品として、あるいは重要な技術として含むシステムを購入することも禁じられ、2020年8月にはこの5社の製品を使っている企業もアメリカの政府調達から排除するとした。つまり、日本企業だろうが何だろうが、例えば社内の監視システムでハイクビジョンのカメラを使っていたり、社内の通信システムでファーウェイの基地局を使っていたらダメであり、アメリカ政府関係に何かを売りたいのであれば、この5社の製品を使っていないことを証明しなければならないのだという。

 

一方、2019年5月に、ZTEと同じく、ファーウェイがアメリカ製品を組み込んだ製品を許可を得ずにイランに輸出したとして関連会社68社とともに輸出管理規則に基づく「エンティティー・リスト」に加えられた。これにより、ファーウェイはアメリカ企業から部品やソフトを購入できなくなった。

ところが、ファーウェイはZTEと違って苦境に陥るどころか2019年に売上を前年より19.1%、純利益を5.6%伸ばす強靭さを示した。ファーウェイにとって、勿論、クアルコムのベースバンドICやグーグルのアプリが使えなくなることは痛手だったが、以前からこうした状況を予期して準備をしてきたのである。

すなわち、ベースバンドICについては子会社のハイシリコンで設計し、台湾のTSMCに生産を委託して調達したし、アプリについてはヨーロッパなどのソフトウェア企業と組んでHuawei Mobile Service (HMS)という独自の生態系を作った。

ファーウェイがZTEと違って音を上げるどころか、スマホの世界シェアでサムスンを抜いて世界一になろうとしていることにアメリカ政府はいら立ちを強め、今年5月に、外国製造の直接生産物(foreign-produced direct product)なる奇怪な言葉を編み出して、要するにTSMCによるハイシリコンのICの受託生産をやめさせようとした。TSMCはアメリカの半導体製造装置を使っているからアメリカ政府の言うことを聞かなきゃならないのだ、というかなり強引な理屈である。

 

アメリカ政府はファーウェイら中国のハイテク企業を目の敵とし、権限が及ぶ範囲はもちろんのこと、他国の権限に属することにまで圧力を加えることで締めあげようとしている。

このうち、中国製の通信機器を通じて情報が抜き取られる、という疑惑についてであるが、本来、情報の漏出を防ぐ責任は通信ネットワークを運営する通信事業者にあるはずである。

情報漏出を防ぐためには、漏出が起きた時に政府が通信事業者を罰するのが有効であると思う。通信の専門家でもない政治家が中国製の機械は危ないから使うなと命令すれば、通信事業者は中国製を使いさえしなければいいんでしょと考えて、かえって情報の漏出防止に対して必要な対策を怠る危険性がある。

日本政府は2018年12月に民間の通信事業者らに情報漏出や機能停止の懸念がある情報通信機器を調達しないでほしいと要望した。字句通りにとらえるならば、この日本政府の対策の方がアメリカよりも適切である。

 

中国製品は危険なので追放したら安心だ、という論法は、2008年1月に日本で起きた、毒ギョーザ事件に端を発する中国産食品追放運動を思い出させる。当時は、スーパーの棚から中国産と表示された食品が軒並み下ろされ、中華料理屋の入り口には、当店は中国産の材料を使っていませんので安心ですという貼り紙がされた。

いうまでもなく、中国産は危険だから追放し、国産は安全だと信じるのは、偽りの安心をもたらすだけで安全はもたらさない。

国産だからといって細菌や寄生虫などへの警戒を怠れば大変なことになる。実際、2013年12月に日本の冷凍食品工場で日本人の従業員が10回以上にわたって食品に農薬を故意に付着させる事件があり、全国で3000人近くの人々がそれを食べて食中毒になった。国産だから安心だという慢心による手痛い失敗である。

 

輸出管理規則によってアメリカ企業から中国の特定企業への製品やソフトウェアや技術の輸出を禁じるというのは東西冷戦の時に作られた輸出管理の枠組を用いている。

第2次世界大戦が終結した直後から、アメリカとソ連はヨーロッパを東西に、朝鮮半島を南北に分割して対峙し、東西冷戦が始まった。特に1949年にはソ連が初の核実験を成功させ、中国では共産党が内戦に勝利するなどソ連陣営の攻勢が強まり、危機感を高めたアメリカはソ連陣営に対して兵器や兵器の製造に役立つ機械や材料といった「戦略物資」を輸出しないようNATO(北大西洋条約機構)に加盟する西ヨーロッパ各国に求めた。各国の輸出規制の内容を揃える調整を行うための政府間の秘密組織としてココム(対共産圏輸出統制委員会)が1949年秋ごろに作られた。まだ占領下にあった日本もアメリカによって輸出を規制され、独立を回復するやココムの一員となった。

 

成立した当初からココムのなかでは何を、戦略物資に含めるかをめぐってアメリカとヨーロッパ各国との間ですったもんだが続いた。ヨーロッパは経済復興のためにソ連や東ヨーロッパとの貿易を拡大したかったが、ソ連を締め上げたいアメリカは幅広い品目を禁輸にしようとしたからである。

両者の意見が鋭く対立した品目の一つが天然ゴムである。1951年にイギリスはソ連との間で、英領マラヤ産のゴムをソ連に輸出し、その見返りに穀物を輸入する契約を結んだが、天然ゴムは戦略物資だと主張するアメリカはこれを止めようとした。結局、ソ連向けのゴム輸出は止められなかったが、中国は朝鮮戦争で国連軍と対峙していたため、国連決議によって中国に対するゴム輸出が止められた。ところが、中国は国連未加盟だったセイロンから米とのバーターでゴムを輸入し、国連(アメリカ)の禁輸の裏をかくことに成功した。

1984年に起きた、西ドイツ産のデジタル式電話交換機のハンガリー向け輸出をめぐるアメリカと西ドイツの対立も興味深い。アメリカは交換機は軍事転用の恐れがあるとして輸出を拒否したが、これに怒った西ドイツの経済大臣は、この程度の機械がソ連の軍事力に転化するというのであれば、アメリカのソ連に対する小麦の輸出の方がよほど問題である、なぜならアメリカの小麦がソ連兵を養うからだ、と反論した。

 

このように対立が絶えなかったとはいえ、東西冷戦が続いていた間は、何が戦略物資であるかをめぐって今よりもまともな議論が交わされていた。

それに対して、いまアメリカがやっている中国のハイテク企業いじめには、いったいどのような戦略的意味があるのか説明がなされていないし、説明することもできないのではないだろうか。

クアルコムのICやグーグルのアプリは軍事転用も可能だから外国の軍用品メーカーへの輸出を禁じるというのならば理解できる。

中国は反抗的だから中国にクアルコムのICやグーグルのアプリを輸出するのは全面禁止だ、というのも米中関係を決定的に悪くするのは必定ではあるものの、理解可能である。

だが、ファーウェイに売るのはだめだが、ファーウェイと同じ中国の民生用スマホメーカーであるシャオミやオッポやZTEに売るのは特に規制しないというのでは道理に合わない。

5Gスマホは軍事転用可能な製品だから中国に持たせたくないのだろうか。それならばファーウェイだけでなく、シャオミ、オッポ、ZTEに対しても同様の規制を行い、さらにアップルの中国向け輸出も禁止し、サムスンの中国向け輸出も韓国政府に圧力をかけて止める必要があるだろう。

世界最新鋭のIC製造技術を持つTSMCの能力が利用できなくなるのは、たしかにファーウェイにとって大きな痛手である。中国国内にもICの製造を受託する企業がSMICなどいくつかあるが、SMICの能力はTSMCより5年ぐらい遅れている。ファーウェイはSMICなど中国国内の製造能力を使って高度なスマホ用ICを作る努力を行うだろうが、このままTSMCへの製造委託ができないと、中高級スマホの分野で競争力を失う可能性が高い。

ただ、アメリカが安全保障上の脅威を理由とする輸出規制という経済冷戦の手段を使って実現できる成果がせいぜいその程度のショボいものでしかないことは認識しておく必要がある。

ファーウェイは自ら5Gスマホを作る道を断たれたならば、自社の技術を他社にライセンスするだろう。その結果、中国の国民が手にするスマホのブランドはファーウェイから他社に変わるかもしれないが、いずれにせよ最新鋭の5Gスマホが入手できるのである。これで安全保障上の脅威が減じることになるのだろうか?

 

アメリカが中国に対して輸出管理という経済戦争に勝利できるかどうかは、アメリカおよびそれに同調する国々が、中国が他から入手できないものをどれだけ効果的に封じ込められるかにかかっている。ファーウェイを封じ込めても、中国が他からいくらでも代替品を入手できるのであれば封じ込めの効果はない。

今日、アメリカが対峙している中国は、東西冷戦の時のソ連陣営に比べて経済的に格段に強力である。1950年の時点で、アメリカは一国で世界のGDPの27%を占める圧倒的な経済力を持っており、ソ連、中国、東ヨーロッパのGDPを合計しても実質的にはアメリカの6割ほどにしかならなかった。

一方、2019年の中国のGDPは、購買力平価で測ればアメリカより10%大きい。アメリカのコロナ対策の失敗により2020年に両者の差はさらに広まるであろう。

また、1950年の時点でソ連陣営(中国を含む)が世界の輸出に占める割合はわずか8%にすぎず、うち5.4%はソ連陣営のなかでの貿易で、世界経済におけるソ連陣営の存在感は小さかった。

一方、2018年の中国は世界最大の貿易大国であり、世界の輸出の13%を占めている。世界の国々の3分の2以上は中国との貿易額の方がアメリカとの貿易額より多い。

このことが何を意味しているかというと、中国が西側から天然ゴムの禁輸に遭った時に窮地を救ってくれたセイロンのような存在になる国が今ははるかに多いということである。

このような中国を相手に経済冷戦を仕掛けるというのはまともな戦略判断に基づく方針だとは思えない。

もちろん経済冷戦になれば中国だって痛い目にあう。しかし、今や貿易額も実質的な経済規模も中国より小さいアメリカの被る痛手はそれ以上であろう。まして、輸出の2割が中国向けである日本が対中禁輸などしたらGDPの縮小は免れ得ない。

欧米がコロナ禍で沈む中、中国がいちはやく危機から抜け出したこともあり、2020年7月には中国との貿易は日本の貿易額全体の26%を占めるに至った。「デカップリング」どころか日本と中国との経済的な結びつきはますます深まっているのが現状である。くれぐれも経済冷戦には参戦しないようにお願いしたい。

(参考文献)
Adler-Karlsson, Gunnar. Western Economic Warfare: 1947-1967. Stockholm: Almqvist & Wiksell, 1968.
山本武彦「ココム実態とらえ直せ」『朝日新聞』1987年9月6日


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新型コロナ・ウイルスとデジタル社会

2020-09-10 20:43:28 | 日本社会

以下文はウィキペディア、NEWS WEEK、海外の個人プログ等々の資料を参考(一部コピー等)に記しています。

 

新型コロナ・ウイルス対応では、海外のデータ等を見ると日本は世界でも、きめ細かな策を行い相応の成果を出していますが、事務処理等でのデジタル化は先進国から比べたら問題は多いようで、今後の対応策が必要だと思います。

今日の安倍政権の支持率でも分かるように多くの国民は、新型コロナ・ウイルス対応ばかりでなく、これまでの内外の策等も評価していることが分ります。世界の主要メディア報道等々を見た場合、一部メディア等が非難するような政府では無く、高い評価をしています。

新型コロナ・ウイルス発生後、米コロンビア大学経済学部のセイハン・エルジン教授は、世界中の同僚と連携し166カ国の対応を追跡しています。

エルジン教授の試算によると、最も積極的な対応の一つが日本政府が打ち出した、同国の国内総生産(GDP)の約2割にあたる108兆円規模の政策パッケージです。日本を上回っているのは、欧州連合の基金からの利益を受けるマルタのみです。

日本の対応は世界から見たら、日本のように対応を取りたいけど経済的な裏づけ・諸般の事情があり、羨ましいと言うのが本音かも知れません。

他国と比べると、アメリカはGDPの約14%、オーストラリアは同11%、カナダは同8.4%、イギリスは同5%、コロンビアは同1.5%、ガンビアは同0.6%にあたる救済支出を打ち出しています。

安倍政権の新型コロナ・ウイルス対応策の目玉でもある、GO TOキャンペーン・・・一部のメディア、テレビ解説者等々は批判しますが、この策は本当に愚策であるか・・・精査すると相応の効果を出しており評価すべきです。新型コロナ・ウイルスで苦しんでいる旅行業界、宿泊施設、間違いなく一助となると思います。

観光は雇用や企業の創出、社会基盤の開発を通じて、社会経済の発展を牽引する重要な役割を果たしてきていると思います。

少し古いですが、2016年の国内観光消費(内部観光消費)は26.4兆円で、観光消費がもたらす生産波及効果(直接効果を含む)は53.8兆円、このうちの付加価値効果は26.7兆円であり、これにより459万人の雇用効果があるという結果となっています。我が国の産出額の5.4%、GDPの5.0%、就業者総数の6.9%に相当します。

昨年、2019年の宿泊旅行統計調査の確定値では、延べ宿泊者 数は前年比10.8%増の5億9592万人泊で、日本にとって極めて重要産業であることが分ります。

国土交通省の赤羽一嘉大臣は2020年8月25日の記者会見で、7月22日に開始された、GoToトラベルキャンペーンについて、割引価格での販売が始まった7月27日から8月20日までの延べ利用者数が約420万人泊、マイカー利用近場旅行が中心、事業者登録は6割の水準に上ったと明らかにしました。

8月24日には菅義偉官房長官が1カ月の延べ利用者数が少なくとも200万人に上ったと発言していることについては、7月27日から8月13日までの主な参加登録事業者からのヒアリングに基づいた数字と言及、観光庁がさらにヒアリング対象事業者を広げたうえで7月27日から8月20日までの速報値が約420万人泊に上ったとしています。

以下文はニッセイ基礎研究所資料です。

政府はキャンペーンの利用形態については、お盆期間中の新幹線や航空機の利用状況の実績が低かったことを踏まえると、遠距離の移動を伴う旅行よりも、マイカーなどによる近場旅行、宿泊が中心だったようで近距離の旅行中心に堅調に利用が進んでいるようです。足元の(新型コロナウイルス)感染状況を踏まえると、全体の事業評価を行うにはまだ早いとしながらも、今後も感染拡大防止策を徹底しながら事業を継続、推進していく考えを示しています。

赤羽大臣はまた、事業に参加登録した宿泊事業者が全体の49%、旅行業者が58%に達しており、現在申請中の事業者も含めると6割を超える水準で順調にスタートでき、秋冬、来春にかけて、しっかりと地方経済を支えてもらえるものだと思っていると述べています。

国内旅行者を増加させることには他にも利点があり、1日当たりの旅行消費額を国内旅行客(宿泊)、国内旅行客(日帰り)、訪日客の別にみると、国内旅行客(宿泊)の旅行消費額は2.4万円と訪日客の1.8万円の1.3倍多いようです。

例年は8月に次いで春と秋の国内旅行需要が多いようです。政府にはコロナ禍の状況を踏まえて、東京を含める形で近隣県への国内旅行に限定してのGo To キャンペーンにするなど、柔軟かつ機動的な運営が必要でしょう。国家予算に制限はあるでしょうが経営難に陥る宿泊施設に対する何等かの支援を実施し、2021年以降にコロナ禍が克服されて訪日客が復活した場合に宿泊するインフラがないという状況にならないような政策が必要でしょう。各種政策により10月、11月の国内旅行需要を少しでも多く取り込むことができれば国内の宿泊施設の売り上げ回復のきっかけになると思います。

安倍政権以降も国民の安全を重視し、更に経済のバランスを取る賢い、道を進むと思います。

 

新型コロナ・ウイルス発生以降、隣国である中国に目を向けた場合、何かと批判に晒(さら)される中国・・・新型コロナ・ウイルス策では3月末には国内感染をほぼ抑え込んでいます。その後は外国からの帰国者、接触者が感染する時期がありましたが4月には収まり、それ以降は如何に経済を再起させるかが課題になっているようです。新型コロナ・ウイルスを封じ込めたと国と言えそうです。

興味ある中国の国民への支援策では・・・

中国国内では3月下旬から消費刺激のために配られた消費券は、買い物の金額を割り引いてくれるクーポンと言われ、杭州市の場合、スマホ決済アプリ・アリペイを起動、杭州消費券を選べばOKのようで、杭州市民は誰でも受け取ることが出来たようです。40元以上の買い物で10元割引してもらえる券が5枚セットで杭州市の実店舗のほとんどで使うことができたようです。使える期間は券の配布が始まってから1週間以内と限定されていました。3月27日消費券の第1弾として200万セットがオンラインで配布、38分で配布完了したようです。

杭州市では3月27日~4月20日の第5弾まで総計880万セットの消費券を配布、毎回短時間のうちに配布を終わっています。消費券を受け取った市民は有効期間内に平均で3.5枚の券を使ったと言われ、1枚使用に対し杭州市政府がお店に10元の補助を出すので杭州市では消費券を受け取った市民は1人あたり35元(526円)の補助、受け取った人は125元(1870円)の消費、杭州市全体で3億元(45億円)弱の補助を行うことで、10.6億元(159億円)の消費支出喚起になったようで、日本から比べたら小額ですが多くの市民は評価しているようです。

5月8日まで全国170余りの都市で杭州市同様の消費券が配布、その額は総計で190億円(2850億円)、ほとんどの都市では杭州市と同じく買い物をしたらその金額の1〜2割を地方政府が補助するクーポンの形式をとっていたようです。日本の商品券のように、自分でお金を足さなくてもそのまま現金の代わりに使える券を出した都市は3か所のみだったようです。多くの都市では消費券は外食店、小売店等での支払に使えますが、ガソリン代として使える消費券を出した都市もあるようです。消費券として配布された金額はどの都市も少額で、平均で人口一人当たり20元(300円)にすぎません。

中国国民に直接届く救済策としてはこの消費券のみで、日本に比べると小さな刺激策にとどまっているようですが、日本語の中国ニュース等を見ると多くの国民は評価しているようです。

補助の配り方にも日本と中国とでは大きな違いがあり、日本の給付金は国民に平等に配ることを重視しており、希望しない人以外は一律に1人10万円・・・これらの策を批判する一部メディア、批判する人達もいますが、世界の補助制度を精査した場合、欧米にも大きなからくりが隠されているようです。日本の政府補助は世界でも恵まれた制度と言えそうです。

一方、杭州市の消費券の場合、第1弾で配布を受けた人は第2弾には申し込めないという制限はあったが、それ以外は一人の人が2回以上受け取ることに特に制限はなかったようです。消費券の目的が経済的に困っている人の所得を補うことよりも消費を喚起することに置かれているようで、日本のような決して恵まれた対応ではありません。

消費券はスマホのアリペイを通じて申し込むことになっているので、日本であればスマホを持っていない人はどうするのか?

アリペイに加入していない人は?

中国ではモバイル・インターネットの加入者数(スマホ保有者数とほぼ同程度)が2018年末に12億7500万人(総人口14億600万人)と、国民がほぼ全員スマホ保有、アリペイなどのスマホ支払サービスにも10億人が登録、そのため、スマホを持っていない人には不平等だと言う声は余りなかったようです。

 

一方、日本では特別定額給付金をオンラインで申し込める仕組を作られましたが申込開始で多くの問題が発生し、地方自治体での事務作業が煩雑だとわかり50以上の多くの自治体がオンライン申請の受付を停止しています。中国ではキャッシュレス化が大きく進んでいて、その基盤を使用した消費券がスピーディーに配布できたのに対し、日本はデジタル化の入り口でつまずいてしまったと思います。中国と日本のデジタル・ソフトの差は極めて大きく大人と子供位の差があり、日本は開発途上国と思います。ウエアの次期首相候補の菅氏もデジタル化の推進を上位にあげられており、今後日本も是正され大きく前進すると思います。

何故、日本のオンライン申請はこれほど手間取っているのか?

地方自治体によれば、申請の半数以上に何らかの不備があるそうです、ミスをする人が多いということは、システムの設計に問題があると思います。

今回、問題となったマイナンバーは政府事務のなかで個人識別のためのもので行政デジタル化の基本となるものです。給付金申請でもマイナンバーによって給付対象者を特定すれば効率的に給付が行えたと思います。

給付金の請求はマイナンバーを自治体に伝えて申し込み、本人確認書類を添えることで申請しているのが本人であることを証明し、本人名義の銀行口座を伝えれば迅速だったはずです。

今回のオンライン申請では、マイナンバーカードを使うのにマイナンバーを給付対象者の識別には私用しないという設計だったと言われています。そのために地方自治体に多大な業務負担をもたらし、混乱を生じたようです。

今回は、世帯主が一家を代表して世帯の給付対象者全員の氏名をネット上の枠の中に書き込むことで給付を申し込む、マイナンバーは給付対象者を特定する手段としては使われていません。

オンライン申請でも郵送申込書同様に、自治体職員が入力された世帯員の氏名と住民台帳とを一つ一つ目で照合、漢字の変換ミスがあったり、異字体が使われていたりすると、申請は不備となったようです、マイナンバーカードはどこで使うのかというと、それは世帯主が本人であることを示す電子ハンコとして使用、マイナンバーカードで電子的にハンコを押すには、パソコンに接続したカードリーダーにカードを差し込むか、またはスマホでカードを読み取ったうえで、署名用暗証番号というものを入力する必要があります!

署名用暗証番号は問題?

署名用暗証番号はマイナンバーカードの申し込み時に一度書きます。

その後使う機会がなくて忘れていた人が続出、暗証番号を記録していた人も、入力してみると、パスワードが間違っていますと拒否されるケースが相次いだそうです。

何故、正確に記録したはずのパスワードを入れても拒否されるのか?

パスワードを手書きで申請するようになっていたことに原因があるそうです。

手書きパスワードを自治体職員がシステムに手で入力しており、その際にoと0、Iと1等、似たような文字、数字を取り違えるケースが多かったとも言われています。

パスワードを忘れた人、入力しても拒否された人がパスワードの確認を求めて自治体の窓口に殺到、運が悪ければ長時間の三密の状態で並ぶ状況となったようです。

今後、マイナンバーと銀行口座の結び付けは必須のようにも思います。マイナンバーと本人確認書類か電子ハンコを出せば迅速に処理されると思います。

登録は世帯単位ではなく、個人単位でマイナンバーと口座とを登録したほうがいいと思います。世帯構成は数年経てば変わってしまう可能性があり、世帯と口座とを結び付けておいた場合、数年後にはまた改めて情報を集める必要が生じます。対し、個人の銀行口座はそれほど頻繁には変わらないでしょう。登録しておけばその情報はかなりの長期間有効でしょう。

日本は他の先進国と違い、個人の主権・プライバシー等が何よりも優先され、銀行口座を把握されるのが嫌だという人も多いようですが問題が生じるのは運用上の問題でクリアできる思います。

今後、更に高齢化が進み、福祉の役割が増大するでしょうが、個人の主権・プライバシー等が何よりも優先される日本社会・・・このままではデジタル化の推進は遅れ、世界からも取り残される可能性があります。

今後、太陽黒点異常が収まらない限り、地球環境は激変・継続するでしょうし、行政が災害、病気、高齢で所得の減少した人に給付金を出す機会も多くなる可能性があります。迅速・効率的なデジタル国家を実現する上で、全国民のマイナンバー参加・個人識別と銀行口座の登録は必須だと思います、より良き社会の発展と個人の主権・プライバシー等は何かと思う昨今です。


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日本の理想像、美しい国へ

2020-09-02 18:25:56 | 日記

以下文は主にウィキペデイア、美しい国へ 安倍晋三・文芸春秋、安倍晋三 新しい国へ・美しい国へ 完全版・文芸春秋等を参考に記していますが、一部コピー文があります。あくまで一個人の解釈で、まとまりの無い,一部フィクションの雑文日記とします。

 

安倍首相の求めた理想の日本像、著書・美しい国へ(2006)を読むと、日本の上に君臨する雲上人・僕のツール”地上波”においてメディア等が報ずる内容とはかなり違います。

美しい国へは、今日の世界が進むグローバル化とは違います。もしかしたら世界を支配する雲上人・僕からしたら許せないリーダーかも知れません。トランプ大統領、ジョンソン首相、プーチン大統領等とは、合い通じるものがあると思います。日本の未来を考えた場合、避けて通れないと思います。多くの日本国民がグローバル化の本音を知ったら拒否するでしょうが、海外との交わりが無ければ生きていくことが厳しい日本、国を司る人達は賢く策することが必要だと思います。

戦後、初めて理想の日本像を私達に分かり易く示した安倍首相、美しい国へは可笑しなメディア、知識人と称する人達の理不尽な横槍等々により多くの国民に正しく伝えることが出来なかったと思います。

美しい国(Beautiful Country)とは、日本の安倍内閣が国民と共に目ざすと宣言した国家像です。「活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた、美しい国、日本と定義」されています。

 

著書・美しい日本

自信と誇りのもてる日本へ、日本という国のかたちが変わろうとしています。保守の姿、対米外交、アジア諸国との関係、社会保障の将来、教育の再生、真のナショナリズムのあり方…解かり易く明確に明示し、次の7章が記されています。

 

第1章 わたしの原点
第2章 自立する国家
第3章 ナショナリズムとはなにか
第4章 日米同盟の構図
第5章 日本とアジアそして中国
第6章 少子国家の未来
第7章 教育の再生

となりますが、私達が今まで気がつかなかったことが多々あり、何時の間にか、日本に蔓延する自虐史観等により可笑しな方向に進んだような戦後日本社会・・・本来の日本の理想像を記されています。

 

2006年7月、小泉内閣でポスト小泉と目され、内閣官房長官を務めていた安倍首相は、同年9月2日に予定されていた自民党総裁選への準備運動として、美しい国へを文芸春秋から新書版で上梓(じょうし:書物を出版すること。)しています。

当時、国内における売り上げは50万部を超え、また、海外(米国・中国・韓国・台湾)でも発売が企画されていたとも言われています。一説では、特に在日米国大使館をはじめ先進国の一部は即、英語版に翻訳し本国へ伝えたと言われています。何故なら、首相になるのは間違いないと本国に伝えていたでしょうし、相手国からしたら、今後、日本の進むべき道を明確に示したからでしょう。自分なりに精査すると歴代首相と違うのは表に出ることはありませんが、今日まで日本のエスタブリッシュ(社会的に確立した体制・制度やそれを代表する支配階級)に支持されている首相でもあるからでしょう。

 

安倍首相は、2006年9月11日に総裁選挙への出馬を正式に立候補する際にも美しい国・日本と題した政権構想のパンフレットを発表、同党所属の国会議員に配布すると共に、一般国民に対しても広く公開しました。安倍首相は総裁に選出、就任後は自身の基本理念を指す用語として美しい国を使用しましたが、2007年7月の21回参議院議員通常選挙敗北後は使用を控えており、参議院選挙後初の国会でもほとんど使用せず、首相辞任後は美しい国への書籍の売れ行きもストップしてしまいました。

2013年、再度内閣総理大臣となった安倍首相は、完全版と称する、「新しい国へ」を文藝春秋から上梓しています。

安倍内閣成立後、安倍首相は、美しい国づくりプロジェクトを提唱、内閣官房に美しい国づくり推進室を設置しています。有識者を集めた美しい国づくり企画会議を設置、座長には平山郁夫氏、座長代理には山内昌之氏が就任しています。

企画会議は2007年4月3日、5月30日の2回討議を行ったのみで安倍内閣の総辞職が予想されたため、安倍首相の指示を待たず同年9月21日付で自主的解散、プロジェクトは終了しています。会議開催、事務所設置等で費やされた経費は4900万円で、後任の福田首相は経費について質問され会議をやっただけでそれだけというのはちょっと高すぎる。高すぎるということは無駄だということだと指摘しています。

2007年12月7日、安倍首相は自身の政権での美しい国づくりを振り返り、美しい国づくりは道半ばだが、礎をつくることはできたと思う。一議員として初心に戻り、新しい国づくりに向けて全力を尽くしてゆきたいと発言しています。

当時の内閣府がまとめた世論調査では、今の日本を美しいとする人は半数を超えていました。一方、美しくないとする人は43%でした。日本の美しさとは何かに関するアンケート調査結果(複数回答可)

1 山や森などの「自然」:80%

2 伝統工芸などの「匠(たくみ)の技」:58.5%

3 田園・里山などの「景観」:52.8%

4 歌舞伎・祭りなどの「伝統文化」: 50.8%

 

影が薄くなりましたが過去、安倍内閣が掲げた環境政策の「美しい星50」も、美しい国へに由来しています。美しい星50(Cool Earth50)は、ポスト京都議定書の枠組みづくりに向けた提案で、この提案は2007年(平成19年)5月24日に、国際交流会議「アジアの未来」晩餐会にて、安倍総理 (当時)の美しい星へのいざない(Invitation to「Cool Earth 50」)という演説の中で使用しています。

更に、普友会合唱団(指揮者関屋晋氏が指導していたさまざまな合唱団により結成された合同合唱団)でも美しい国へが参考にされています。晋友会合唱団の8曲は1996年に録音された夕焼小焼・唱歌の四季から選曲されています。関屋晋氏が率いる晋友会合唱団は小澤征爾氏との一連の録音等でも世界中で高く評価されています

 

今日、世界は近代歴史中でも最大の激動の中にあると思います。勿論、日本も同様だと思います。

その激動とは、世界の富を支配している雲上人・僕から、既存の世界秩序の破壊と言う手法にて世界を取り戻そうとすることに尽きると思います、米国のトランプ大統領の最優先政策は大統領演説で述べたように明白です。11月の大統領再選挙まで雲上人・僕は対戦候補バイデン氏を担ぎ上げ、巨大メディアを使い、徹底的に批判、中傷、罵られ等々されるでしょう。この結果で世界が大きく変化するでしょう。勿論、日本も対外的にもタブーとされたものにも陽があたり、大きく変化するかも知れません。11月の大統領選挙結果で未来の世界・日本の未来が決まると思います。

安倍首相著の美しい国へが訴えている、世界に稀な天皇を有する日本の進むべき道、日本本来の生きかたは一部の方が言われるような危険な思想ではないから、世界の多くの国々のリーダーが理解、認めています。トランプ大統領(バノン氏)も99%ではなく100%理解しているでしょう。日本人であれば誰でも理解出来るような極自然な考えだと思います。

安倍首相が掲げた日本に誇り、夢が持てる日本・・・具現化出来るよう、次期首相はI氏のような政治屋で無く、安倍政権の策、美しい国へを継承する首相である事を願うと同時に、安倍首相も何かの形で健康に影響を与えない範囲で影響力等を行使して欲しいものです。

 


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