しかし、こうした米国側の見方は間違っている。このシナリオでオルバンが動いても、ゼレンスキーは会ってくれない。 オルバンは、ゼレンスキーに招待されてウクライナに行っている。しかも前回記事に書いたとおり、ゼレンスキーは、ロシアに一方的な譲歩を求める非現実的な米国主導・ロシア排除のスイス和平サミットが6月中旬に失敗した後、ロシアと対話して停戦する方向に発言を転換し、その後でオルバンが動き出している。 対露和解を望み始めたゼレンスキーが親露なオルバンに仲介役を頼み、オルバンがその話を受けてウクライナを訪問した可能性が高い。オルバンの妄想的な行動でなく、ゼレンスキーが対露和解を模索してオルバンを動かしたので、プーチンも習近平も急遽やってきたオルバンに会った。 (Poll: Zelensky's star fading among NATO countries)
米国もEUも、自滅が進んで内部混乱が拡大しており、ウクライナ(の跡地)の面倒を見る余裕が低下している。米欧の上層部やマスコミ権威筋は、頓珍漢なロシア敵視しか語らず、ウクライナ国家の壊滅傾向を全く無視して考えない。 米諜報界は、ゼレンスキーが対露和解にさらに進んだら、暗殺するか、アゾフ連隊系の勢力を動員して政権転覆の策動を進めかねない。ウクライナ当局はすでに、反政府暴動を政権転覆に発展させようとする勢力がいることを指摘している。 (Analyzing The Alleged J6-Like Plot That Was Just Foiled In Kiev)
米国側は「ウクライナの政権転覆を画策するのはロシアだ」と決めつけるが間違いだ。ウクライナの隣りにあるロシアは、地域の混乱を望まず、ウクライナを米傀儡から引き抜いて中立化して地域の安定を維持したい。 ウクライナがロシアを倒せないなら、使い捨てでウクライナ自体を混乱・亡国化・内戦化し、隣国ロシアを苦しめたいと考えているのは、ウクライナから遠い米国の方だ。ウクライナ政府に国内露系住民を殺させてロシアに邦人保護策を発動させてウクライナ戦争を起こしたのも米国だ。 ウクライナが壊滅したら、米同盟国のEUも不安定化して苦しむが、米国は傀儡勢力であるEUのことも軽視している。同盟国は馬鹿を見るだけだ。 (Doomed From the Start: Ukraine Lacks Manpower, Motivation, & Hardware For Counteroffensive)
ゼレンスキーは今、米国に使い捨てにされたので、習近平に仲介を依頼して対露和解して国体護持しようとしている。 それに対して米国は、ゼレンスキーが渇望してきたNATO加盟の可能性をむしろ低め、ゼレンスキーを落胆させて中露側に押しやる逆効果(隠れ多極主義的)な策をやっている。 NATOや米政府は昨年から、ウクライナが政治腐敗しているので汚職撲滅の改革を強めない限りNATO加盟の話を進めないと言っている。 (The NATO Summit Is On July 9, But Zelensky Is Already Angry)
NATOのストルテンベルグ事務総長は「ウクライナはロシアに勝つまでNATO加盟できない」と言っている。バイデンも以前に同じことを言っていた。今のウクライナをNATO加盟させると、壊滅しているウクライナ軍に替わって米国などNATOの軍勢がロシアと戦争せねばならなくなる。NATO諸国は、それが嫌なので、政治腐敗など他の理由をつけてウクライナの加盟を遠ざけている。 (No promise Ukraine will join NATO in a decade - Stoltenberg)
今後、近いうちに習近平がウクライナ和平の仲裁に動き出すのだろうか。それは、ゼレンスキーが本当に対露和解に転換できる状態なのかどうかによる。 ゼレンスキーは開戦直後の2022年3月にも、トルコの仲裁でロシアと交渉していったん停戦に合意した(イスタンブール合意)。だが、露軍が合意を履行してキエフ周辺から撤兵すると、とたんに米国(米英)が邪魔に入ってゼレンスキーを加圧して合意を反故にさせ、米諜報界傘下のウクライナ内務省が「ブチャ虐殺」を捏造して露軍に濡れ衣をかける策を展開し、露ウクライナ間の相互信用を破壊した。 ゼレンスキーは米傀儡から抜け出せず、負けていく対露戦争を続けるしかなかった。今回は違う流れになるのかどうか怪しい。それはプーチンも指摘している。 (Russia uncertain if Ukraine would reciprocate with ceasefire - Putin) (市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア)
エリート層は、傘下のマスコミ権威筋を動かして右派に「危険な極右」の濡れ衣レッテルを貼って台頭を阻止しようとしたが、しだいにレッテル貼りのウソがバレ、人々はむしろエリートとマスコミへの不信を強めた。 エリート層は、自分たちの支配を崩したくないので、右派政党を非合法化する民主主義の否定や、右派支持の言論を違法化する言論自由の否定までやり始めている。ドイツの上層部は、右派政党AfDを非合法化することを検討している。民主主義と自由言論で世界から尊敬されていた欧州は、すでに消失している。 (Freedom of speech has disappeared in Europe) (欧州極右の本質)
EUのエリート層の中には、自分たちの失敗に気づいている人も多いはず。目立たないように方向転換して超愚策をやめていけば延命できるのに、彼らはそれをやれていない。欧州を傀儡化している米国(諜報界の隠れ多極派)によって阻止されている。 EUは上層部が交代し、新たなEU外相(外務安保上級代表)に、エストニアのカヤ・カラス首相が就くことなった。旧ソ連の小国であるエストニアは、冷戦後に独立してEUやNATOに入り、米国に誘導されてロシア敵視の小道具として使われてきた。 (Is EU foreign policy chief Kaja Kallas in the right job after all?)
欧州エリートは今後も超愚策をやり続け、崩壊していく。その方向性がすでに不可逆的に確定していることは、欧州エリートを誘導して各種の自滅策をやらせてきた世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議の主催者)の50年以上の指導者・創設者であるクラウス・シュワブが5月に辞任し、その後在任中のセクハラ問題が噴出して汚名にまみれたことからも感じられる。 (WEF Kingpin Klaus Schwab Accused Of Sexual Harassment)
大リセットは、最初から欧米の自滅を目的とした米諜報界の隠れ多極派の策であり、諜報界がシュワブを乗せ、シュワブが子飼いの欧米指導者たちを乗せてやらせたのだろう。 シュワブが以前からやっていたセクハラが問題にされて辞任に追い込まれた時点で、大リセットは当初の目的を達成し、欧米エリートの自滅への道が不可逆的に確定したのだと考えられる。 大リセットの策が途上である限り、シュワブがいくらセクハラをしようが、それが問題にされて辞任に追い込まれることはなかったはずだ。シュワブがいなければ大リセットの推進が難しくなるからだ。シュワブのセクハラ露呈は、大リセットが目的を達成し、シュワブとWEFが「用済み」になったことを意味している。 (Klaus Schwab Steps Down As World Economic Forum Executive Chairman) (人類を怒らせるための大リセット)
東南アジアのASEANは丸ごと親米・対米従属的だが、最近タイとマレーシアがBRICSへの加盟を希望し始めた。ベトナムはプーチンの訪問を歓迎し、米国からの非難を無視してロシアを称賛した。 ASEANは昔から、米国と中国の両方と親密にしていたが、以前は中国自身が経済面で米国の傘下にいたので、親米と親中が矛盾しなかった。だが今は違う。かつて親中国だった日本は、対米従属の一環として中国敵視になった。ASEANはそうでない。米国から非難されても、中国やBRICSとの関係強化を進めている。 (As Putin visits, Vietnam says will boost ties with Russia for global peace)
英国の一部である豪州ですら、資源類を買ってもらわねばならないので、中国敵視をやめて対中和解した。日本も経済面で中国敵視を強められないが、国内の権力機構が対米従属を基盤にしているので非米側に引き込まれると国内の権力構造が壊れかねず、豪州よりもずっと目立たない形でしか中国と関係維持できない。 日本が非米側に引き込まれると、自民党が官僚独裁を壊して非米化に動きかねない。かつて安倍晋三がそれをやりそうだったので、官僚機構が米国に頼んで消した。マスコミも野党も、統一教会の話を急に持ち出してきて、殺された安倍が悪いんだみたいな言い方をし続け、米傀儡性を露呈した。 後継の岸田は「あなたは消されたくないよね」と官界や米国系から脅され、慎重になっている。官界の傘下にいるマスコミは、非米化や中露BRICSの台頭結束を軽視・偽悪化し、国民を無知なままにしている。 (US Forming Anti-China ‘Squad’ With Japan, Philippines, and Australia)
ウクライナ開戦で世界の非米化が加速した後、米単独覇権・ロシア敵視・非米化拒否を信奉する米国側は、米国・欧州(EU、NATO)・英国系(英豪NZ加)・日本・韓国あたりで構成されてきた。しかし最近、欧州が崩れている。 ウクライナ戦争でロシアの優勢が確定し、欧州では、厭戦機運と、対米従属エリート支配への不信感が強まり、選挙のたびにエリート支配が崩れ、対米自立・親露を希求する右派が強まる傾向になった。 欧州のエリート支配の崩壊は今後さらに進む。欧州も米国も、エリート層は、言論統制や右派弾圧など全体主義的な手法を強めているが、この傾向がまた人々の怒りを増やす。欧州は、かつて自慢していた民主と自由を自ら潰し、世界からの尊敬を失っていく。途上諸国は、欧米を信用しなくなって非米化を加速する。 (Macron Has Gambled... And Lost)
右派親露なハンガリーのオルバン首相は、欧州でドナルド・トランプ式の「欧州第一主義(MAGAならぬMEGA)」の政治運動を開始し、欧州を対米自立・非米化に導こうとしている。欧州は、エリート層と右派の対立が激化して政争と混乱・経済難が加速する。欧州は弱体化しつつ非米化していき、米国側から外れていく。 (Hungary unveils MEGA slogan for EU presidency)
米国の株価は史上最高値を更新している。株価は米経済・米覇権の強さだと喧伝され、米国の経済や覇権が強いのだから非米化とか多極化とかしてないよ、あんたの妄想でしょ、という話になる。だが実のところ株高は、経済の強さと無関係だ。米国の実体経済は、不況とインフレが続いている。 米政府による経済テコ入れによって作られた雇用はすべて違法移民に取られ、中産階級は所得と住環境が悪化して貧困層に転落し、消費できなくなっている。米経済の大半は消費によるものだから、経済は悪化している。 (The Music Just Stopped)
BRICSは、中露主導でドルに替わる国際決済システムを構築している。ドルが唯一の国際基軸通貨であることが米覇権の強さの源泉だっただけに、米国はBRICSを脅威と見なす傾向を強めている。 BRICSは米国を敵視していないが、米国側はBRICSを敵視している。米国に敵視制裁されてドル使用を制限されるので、BRICSはドルに頼らない決済システムを作っているが、それが米国のBRICS敵視を強めている。 米国の同盟国であるサウジアラビアは今年初からBRICSに加盟し、すべての会議に参加しているが、米国から文句を言われ、まだ加盟していないという話を意図的に流布した。米国側のマスコミは、このウソ話を喜んで報じ、米国側ではサウジが未加盟ということになっている。 (Saudi Arabia has not yet joined BRICS - Saudi official source) (BRICS - The Project Of The Century)
トルコはNATO加盟国であり、サウジ以上の米同盟国だ。NATOやG7の中でBRICS加盟を希望した国は初めてだ。トルコもサウジ同様、表向き未加盟なままの隠然加盟になるかもしれない。 トルコでは、エルドアン大統領がシリア内戦で劣勢になって反ロシアから親ロシアに転向後、2018年に初のBRICS加盟希望を表明したが、米国に加圧されてその後沈黙していた。 今回エルドアンは、自分でなく格下の外相に、訪問先の中国での質疑に答える形をとらせてBRICS加盟希望を表明させた。米国からの非難を避けた観がある。 (In China, Turkey’s Fidan says he plans to attend BRICS meeting in Russia)
BRICSは今年、ドル代替の決済システムを始動しそうだ。単独のBRICS共通通貨の創設は困難なので先送りし、とりあえず加盟各国が自国通貨をデジタル化したもの(CBDC)を作り、それらのCBDCを束ねて一つのアプリに入れ、送金や両替ができるようにして、各国の政府や大企業が、そのアプリで貿易決済をする新システム「BRICSブリッジ」を開始する。 米国側のBIS(国際決済銀行)が(隠れ多極主義的にこっそりBRICSのために?)試行している「mブリッジ」という複数CBDC決済システムがあり、BRICSはそれをパクってBRICSブリッジにする。これだけで、今のバラバラな非ドル決済体制がかなり便利になる。 (CBDCとBRICS通貨) (BRICS currency is coming soon, Iranian ambassador)
6月3日、これまで実験(パイロット)段階だったCBDCのデジタル人民元の名称から「実験」を外すと中国当局が表明したと国内報道された。デジタル人民元は、実験段階から本格段階に入ったという意味だ。 デジタル人民元は、間もなく始まるBRICSブリッジの一部になるので、それに先立って中共が実験段階から本格段階に移行させたのでないか。 ドルのライバルになっていくBRICSブリッジやデジタル人民元のことで米国側を大騒ぎさせぬよう、中国当局は自国のマスコミにデジタル人民元の本格段階入りを報道させた後、そんなことは言ってないと訂正する目くらましまでやっている。 (China’s digital yuan app drops ‘pilot’ label, but no announcement)
ロシアの軍勢が多忙なので、プーチンから頼まれたエルドアンのトルコが、諜報界に元ISカイダの民兵団を組織させて、アフリカに警備員などとして派遣している。ロシアは、モスクワから東方に伸びるシベリア・中央アジア・中国へのルートや、南東方向に伸びるイランやアフガニスタンから印度へのルートのほかに、コーカサスからトルコ、シリア、エジプト、スーダン、リビア、アフリカに伸びる南方のルートも、自国の影響圏拡大の戦略対象にしている。 (Pro-Turkey Syria mercenaries head to Niger to earn cash)
トルコは冷戦後、独自の東方戦略として、中国新疆から中央アジア、アゼルバイジャンまでのトルコ系諸民族を統合していく策を進めようとしていた。ソ連崩壊で、ソ連南部のトルコ系諸民族が分離独立して新しい国々になったので、トルコはそれを束ねようとした。当時はまだ米覇権が強く、中露は弱かった。トルコは米国のユーラシア戦略の片棒担ぎを装いつつ、中央アジア進出を試みた。 トルコ当局は、新疆ウイグルの活動家たちをトルコに住まわせ、半ば公然とウイグルの中国からの分離独立を支援していた。エルドアンは2009年にウイグルに対する中共の人権侵害を非難し、2012年の訪中時には新疆ウイグル自治区を訪問して中国批判を展開した。その後、近年は中国が台頭し、エルドアンはウイグル支持を言わなくなった。トルコのウイグル人たちは冷遇されている。 (FM Fidan pays highest-level Turkish visit to Xinjiang since 2012)
今回のフィダン外相の訪中は、2012年のエルドアン以来、トルコ高官の12年ぶりの訪中だった。フィダンは12年前のエルドアン同様、新疆ウイグルを訪問し、ウイグル人がトルコ系であることを強調しつつ「中国はウイグル人の文化を尊重するよう、姿勢を変えるべきだ」と中共批判を表明した。 これからトルコがBRICSに入るには中国の了承が必要なのに、トルコが再びウイグル人をトルコの傘下に入れて中国批判を展開したら、中国を怒らせてBRICS加盟を阻止されのでないか。そんな懸念が出てくるが、フィダンの発言は事前に中共の了解をとったものらしく、中共は何も反応していない。 (China should take steps to reverse negative image on Uyghurs: Fidan)
この裁判は、トランプが2016年の選挙前に、以前の不倫相手だったストーミー・ダニエルズに弁護士経由で13万ドルの口止め料を払い、その支払いを、口止め料でなく、弁護士への一般的な報酬であるかのように偽装したという(不確定な)話に基づき、この偽装がNY州の選挙法17条152項の、不正な手段で候補者を支援もしくは妨害する謀議をする行為を軽犯罪に指定した条項に違反するとして、検察がトランプを起訴した。 トランプは、ダニエルズとの不倫も、口止め料の支払いも、偽装工作も否定してきた。ダニエルズは、カネを受け取ったと言っている。トランプの顧問弁護士だったマイケル・コーエンは、検察側に味方し、トランプから口止め料(裁判の途中で、契約的な口止め料でなく、見返りの不確定な心付けだったと言い方を変えた)の支払いと偽装を依頼されたと法廷で証言し、トランプはうそつきでコーエンが正しいとみなされて有罪評決が出された。 トランプとコーエンは当時、不倫を隠し口止め料を偽装してトランプ自身を不正な手段で有利にする謀議をしたとみなされ、NY州法違反になった。この州法の条項は、これまでほとんど使われていない。軽犯罪にしかならない条項だが、この件は米大統領選という重要案件での偽装なので、禁固刑(投獄)を含む重犯罪が例外的に適用された。 (Mistrial? Trump 'Hush Money' Judge Suggests Juror May Have Had Predetermined Guilty Verdict)
共和党支持者を含む米国民の多くが、トランプの過去の素行から考えて、ダニエルズと不倫したのだろうと思っている。不倫も、口止め料の授受も、違法行為ではない。不道徳・反社会的な行為かもしれないが、それでも支持者たちは男女問わずトランプを強く支持している(民主党側の方がはるかに根深く悪質だから)。 口止め料を、一般の弁護士料のように見せかけたいという偽装も、支持者から見れば目くじら立てる話でない。不倫や口止め料で違法にできないので、重箱の隅つつきで、使われていない州法の条項を引っ張り出してきて無理矢理に偽装で起訴したのだろうと、共和党支持者は思っている。 (Bill Barr says Trump conviction will be overturned.)
この裁判を起こした検察官(Alvin Bragg)は、民主党の大金持ち活動家のジョージ・ソロスから資金をもらっている民主党支持者で、民主党支持者が95%を占めるマンハッタンの裁判所で起訴することで、陪審員のほとんどが民主党支持者になるよう仕組んだ。トランプは所轄裁判所の移動を申し立てたが却下された。 実際は、陪審員の評議の際にトランプは無罪だと主張する陪審員もいたが、検察側に入れ知恵された他の陪審員たちから2日がかりで主張を潰された。陪審員の評決は、全会一致でないと有効とみなされない。 (Florida Supreme Court Sides With DeSantis Over Removal Of Soros-Backed Prosecutor)
トランプは有罪になり、共和党大会(7/15)直前の7月11日の量刑発表で投獄(収監)されるかもしれないが、獄中からでも立候補を継続できる。そのまま当選したら、獄中で大統領の職務に就くことになりうる。 有罪評決後、トランプへの献金が急増した。米国民の半分を占めるトランプ支持者から見ると、民主党やエスタブ層・マスコミ権威筋は、トランプ再選を防ぐために米国の司法制度を破壊している。 しかも有罪は、トランプを弱体化するどころか逆に強くしている。政治歪曲された裁判は、米国のエスタブ支配を支えてきた米国の司法制度を弱体化し、エスタブの自滅を加速している。 (Donald Trump has become a problem for American elites)
トランプ有罪をめぐる隠れ多極主義的な深いジョークは他にもある。バイデン大統領の息子ハンター・バイデンが、コカイン中毒であることを隠して2018年に拳銃を購入していたというチンピラな違法行為がバレて、拳銃不法所持で6月12日に有罪になったことだ。トランプの有罪と同期させるのが目的かと思われるタイミングだ。 (Joe Biden vows not to pardon Hunter)
トランプは現在、今回の口止め料裁判のほかに3つの刑事裁判を抱えている。いずれも茶番劇だ。一つは、2020年の大統領選でトランプが不正に落選させられたことに怒った共和党支持者たちが2021年1月6日(J6)にワシントンDCの連邦議会議事堂前に集まり、反トランプなFBI要員に扇動・誘導されて議事堂内に入り込んで占拠する「罪」を誘発された「J6事件」を、トランプが扇動した話にされてしまった煽動罪の裁判。 民主党エスタブ側は、大統領選でコロナ理由の郵送投票制度を悪用した巨大な選挙不正をやってトランプを不正に落選させた後、怒った共和党支持者たちを扇動してJ6事件を引き起こし、トランプと支持者たちを犯罪者に仕立て、正邪を逆転させる犯罪行為までやっている。 J6の裁判は、全くの茶番である。その茶番も、2020大統領選の不正も全く報じない米日マスコミも、犯罪組織の一味である。 (Mail-In Ballot Fraud Study Finds Trump 'Almost Certainly' Won In 2020)
トランプが抱える裁判の2つ目は、2020年大統領選の後、トランプが「選挙結果を変えようと、いくつかの州の選管に不当な圧力をかけた犯罪行為」。大統領選で、民主党エスタブ側による巨大な選挙不正が行われたのだから、トランプがその不正を暴露するために選管を調べようとしたのは正当な行為だった。 民主党エスタブによる選挙不正(2020と2022中間選挙)は「完全犯罪」になっており、トランプは太刀打ちできず、政争に負けて茶番な裁判で犯罪者にされている。選挙不正の指摘は「フェイクニュース」として徹底排除される。 (What is the New York election law at the center of Trump's hush money trial?)
トランプの裁判の3つ目は、2021年の大統領任期終了後、トランプが機密文書の束を返還せず、自宅などに置いたままにしたという機密文書事件。 任期終了後の大統領は歴代、大統領図書館(アーカイブ)が作られるまで、機密を含む文書類を自宅や私設事務所に置いたままにすることが慣例的に認められてきた。トランプも、慣例に従っただけなのに、政敵の民主党エスタブから揚げ足取りで犯罪者扱いされている。米日のマスコミは、これが犯罪でなく慣例であることを、知っているくせに全く報じない。 トランプ陣営は実のところ、検察が起訴時に主張した量よりもはるかに少ない機密文書しか保有していないことが今年5月に判明し、この裁判の進行は無期延期で止まっている。 (Trump Classified Document Trial Postponed Indefinitely Days After 'Mishandled Evidence' Bombshell)
日本は国家的に米国の傀儡だ。米国で、同盟諸国を傀儡として管理しているのはエスタブの頂点に立つ諜報界であり、大統領府でない。米諜報界は、トランプを敵視している(諜報界の中には、敵視しつつ強化する隠れ多極派が強いが、彼らも表向きはトランプ敵視)。 日本で米諜報界との連絡役をしているのは外務省で、彼らは日本の上層部全体が米傀儡であり続けるよう監視も担当している(宮内庁長官が歴代外務省出身であることとか)。日本の米駐在マスコミは、直接米国を取材するのは二の次で、駐米日本大使館がブリーフする解説をそのまま報じねばならない。 日本外務省が、トランプについて事実を言うことはない。これにより、マスコミとその受信者(全国民)が米傀儡として維持される。 (Political Prisoner: Steve Bannon Ordered To Serve Four Month Sentence For Defying Subpoenas)
トランプは、イスラエル取り込み策の重要任務をヘイリーに任せた。やはりヘイリーは最初から、トランプに「敵として振る舞い、軍産好みの好戦的なことを言い続けて共和党内の反トランプ派(旧軍産、エスタブ系)を引きつけ、軍産系が他の候補を支持して結集しないようにしてくれ」と頼まれて今回の大統領選に立候補した可能性が強い。彼女は、以前のトランプ政権の国連大使で、もともと猛烈なタカ派だ。 反トランプ派は結集できず、共和党候補はトランプだけに絞られた。ヘイリーはトランプ陣営に戻った。すべてシナリオ通りだろう。そしてイスラエル訪問。トランプが当選就任したら、彼女が国務長官になる可能性が高い。 パレスチナ国家抜きの、イスラエルとサウジの和合仲裁をがんばる。そして、欧州など同盟諸国に対しては、とても厳しいことを言うだろう。欧米間の分裂が進む。予定通り。 (Trump Complains About the Israel Lobby Losing Influence on Congress) (ピエロにされていたヌーランドが辞任)
プーチンは、米大統領がトランプになることを望んでいない。トランプが返り咲き、プーチンとの劇的な和解を望んだら、米国側と非米側との恒久対立が終わってしまう。恒久対立が、ロシアを中国インドと結束させ、ロシアと非米側を強化する。恒久対立を壊しかねないトランプを、プーチンは歓迎しない。 ヘイリーはロシアを敵視している。中露イラン全部を敵視すべきだと言っている。2期目のトランプは、親露を希求した1期目と異なり、ネオコン的な中露イラン全部敵視策をとるかもしれない。それならプーチンも安心できる。そして、トランプ返り咲きの可能性が増す。 (Europe Braces for Trump's Return) (I want Biden to win - Putin)