以下文はクレイグ・ジョン・マレー氏の「Why Would China Be An Enemy? (なぜ中国は敵になるのか?) 」の素人日本語訳文です。可笑しな箇所はスルーして下さい。昨今の日本では親中国、親ロシアは異端者のような風潮ですが、世界には自身の考え方を堂々と論じておられる多くの方がいます。クレイグ・ジョン・マレー氏もその一人です。
他の文は、田中宇氏の文(コピー)で今後の世界の流れ等を予想したものです。この文はわかりやすく、明快です。この2つの文は私達が知る情報とは違う内容が多いようですが・・・世界・日本を自分なりに思考する場合参考になると思います。
原文(英語) ↓
Why Would China Be An Enemy? - Craig Murray
I am completely at a loss as to why the UK should seek to join in with the US in considering China an enemy, and in looking to build up military forces in the Pa...
Craig Murray
クレイグ・ジョン・マレー氏はスコットランドの作家、人権活動家、ジャーナリスト、英国外務・英連邦省の元外交官です。
2002年~2004・ウズベキスタンの英国大使、その間、カリモフ政権によるウズベキスタンの人権侵害等を暴露、大使解任等になったとも言われています。
「Why Would China Be An Enemy? (何故、中国は敵になるのか?) 」
何故、英国が中国を敵と見なし、中国に対抗するために太平洋に軍隊を増強しようとするために米国に加わろうとすべきなのか、私は理解できません。
中国の利益はどのような意味で英国の利益に反していますか?
中国で製造されていないものを最後に購入したのはいつかはわかりません。驚いたことに、それは中古のボルボにも当てはまり、このラップトップにも当てはまります。
歴史上、中国が現在達成しているレベルの経済力を達成し、経済的資源を増やすため、領土の軍事的獲得に資金を提供、その経済力を使用しようとしなかった国家の例は容易に考えられません。
その点で、中国は米国、英国、フランス、スペイン、または他のかつての著名な大国よりもはるかに良心的です。
この簡単な質問を自問してください。
アメリカには海外の軍事基地がいくつありますか?
そして、中国にはいくつの海外軍事基地がありますか?
数えることにもよりますが、米国には750から1100の海外軍事基地があります。
中国は6から9の間です。
中国による最後の軍事侵略は、1951年と1959年のチベットへの侵攻でした。その日以来、私たちは米国がベトナム、カンボジア、韓国、イラク、アフガニスタン、リビアを大量破壊して侵略するのを見てきました。
米国はまた、文字通り数十の政府の転覆に対する軍事支援を含む、多数の軍事クーデターの支援に関与しており、その多くは民主的に選出されたとされています。それは代理人によって多くの国を破壊しました、リビアは最新の例です。
中国は、60年以上にわたり、他国を攻撃し、侵略した記録はありません。
無意味な原子力潜水艦を建造するために、腐敗した軍産複合体に驚くべき量の公的資金を注ぎ込む際に、米国、英国、オーストラリアの指導者によって採用された反中国軍事姿勢は、中国との軍事的緊張を生み出す意図的な試みのように見えます。
英国、スナク首相は敵の疲れた新自由主義のロールコール(国連における投票方式のひとつで、抽選で定まった国からアルファベット順に議長が国名を読み上げ,それに応じて各国代表が賛否・棄権を表明すること。)を引用し、「ロシアのウクライナへの違法な侵略、中国の自己主張の高まり、イランと北朝鮮の不安定な行動」を非難しました。
イランと中国は、一体何をして、彼らを我々の敵にしているのだろう?
この記事はイランに関するものではありませんが、明らかに西側の制裁は、その非常に才能のある国の経済的および社会的発展を抑制し、単にその神学的体制を定着させました。
彼らの目的はイランを改善することではなく、イスラエルが核兵器を持ち、イランが持っていない状況を維持することです。
イスラエルのならず者国家を武装解除する努力を伴う場合、彼らはより理にかなっているかもしれません。
中国について、その「自己主張」は、それを軍事的敵と見なす必要があるのは何ですか?
中国は小さな島々を人為的に拡張していくつかの軍事基地を建設しました。
それは完全に合法的な行動です。
領土は中国です。
米国は他国の領土にこの地域に多数の基地を持っているので、私は中国の領土にある中国の基地に対する異議がどこにあるのかを理解出来ません。
中国は、これらの人工島周辺の海上管轄権について物議を醸す主張をしました。私は国連海洋法条約の下で間違っていると思います。しかし、それらは他の多くのUNCLOS(海洋法に関する国際連合条約)の主張、例えばロックオール(北大西洋に浮かぶイギリス領の岩です。海食柱の1つでロックオール島と表記されることもあります。)に対する英国の行動ほど物議を醸すものではありません。
たとえば中国は、それが何を言おうと、人工島から生じる200マイルの排他的経済水域を軍事的に強制する試みをしていません。
12マイルの領海に対するその主張は有効だと思います。
同様に、米国は、海峡通過に関するUNCLOSに反するように見える中国からの宣言に反対しているが、これもまた、世界中のさまざまなそのような紛争と変わりません。
米国などは、自由通行の権利を繰り返し主張し、実践しており、中国からの軍事的抵抗に遭遇することはありませんでした。
それでそれだけですか?
それは中国の「侵略」が何を意味するのか、いくつかの国連海洋法条約紛争?
ああ、私たちは言われていますが、台湾はどうですか?
唯一の答えは、台湾はどうですか?
台湾は、戦争後に国民政府の下で分離した中国の一部です。 台湾は中国の領土ではないと主張していません。
実際、私たちのメディアがあなたに伝えていないので、これは西側ではほとんど理解されていませんが、台湾政府は依然として中国全土の合法的な政府であると主張しています。
台湾政府は中国政府と同じくらい統一を支持していますが、唯一の違いは誰が担当するかということです。
したがって、台湾との紛争は未解決の中国内戦であり、中国に脅かされている独立国家ではありません。
全世界が私たちから離れた内戦として、なぜ私たちが一方の側ではなく他方の側を支援することに関心を持っているのか理解できません。
もちろん、平和的解決が望ましい。しかし、それは私たちの対立ではありません。
中国が中国海や太平洋の他の場所に侵入する意図があるという証拠はまったくありません。
シンガポールでも、日本でも、そして何よりもオーストラリアでもありません。これは、英国はロシアの侵略から守られなければならないというばかげた考えとほぼ同じくらいです。
中国が望むなら、中国のドル準備のへこみに気付かずに、オーストラリアのすべての上場企業の100%を購入することができます。
もちろん、これは私たちを本当の論争、つまり経済的でソフトパワーに関するものに導きます。
中国は、貿易、投資、融資、製造によって、海外での影響力を大幅に高めてきました。中国は現在、支配的な経済大国であり、ドルが世界の準備通貨でなくなるのは時間の問題です。
中国は、領土獲得や資源の軍事的支配よりも、この経済拡大と繁栄の方法を選択しました。
それは儒教対西洋思想と関係があるかもしれません。あるいは、北京の政府が西側の政府よりも賢いだけかもしれません。しかし、中国の経済的支配の拡大は、私には来世紀の可逆的なプロセスとは思えません。
西側の軍事力を増やすことによって中国の成長する経済力に対応することは絶望的です。
盲目的な怒りで激しく非難するもっと愚かな例を考えるのは難しいです。それは、隣人がうるさいのであなたのカーペットの上でおしっこをするようなものです。
ああ、でもあなたは尋ねます。人権はどうですか?
ウイグル人はどうですか?
私は多くの同情を持っています。
中国は正式な帝国主義の偉大な時代の帝国勢力であり、ウイグル人は中国によって植民地化されました。残念ながら、中国は西側の「対テロ戦争」作戦に従って、ウイグル人の文化と自治を取り締まるためにイスラム嫌悪を利用しています。
私はこれが減少し、中国全土で言論の自由が一般的に改善されることを強く望んでいます。
しかし、欧米の軍産複合体が誰を敵として扱い、誰を同盟国として扱うかにおいて、人権が本当に何らかの役割を果たしていると誰も主張してはなりません。それが、私が大使として解任された正確な問題であるため、そうではないことを私は知っています。
イエメンとパレスチナの子供たちの忌まわしい苦しみは、西側の政策、そして何よりも同盟国の選択が人権に基づいているというふりにも反対しています。
中国が敵として扱われているのは、米国がその経済的支配に負け、熟考することを余儀なくされているためです。
中国が敵として扱われているのは、それが政治階級と資本家階級が軍産複合体からさらに多くの超利益を上げるチャンスだからです。
中国は私たちの敵ではありません。
隔世遺伝(個体の持つ遺伝形質が、その親の世代では発言しておらず、祖父母、それ以前の世代から世代を飛ばして遺伝しているように見える遺伝現象)と外国人排斥だけが中国を敵にしています。
世界は意外に早く多極型になる
2023年4月2日 田中 宇
米覇権の衰退や覇権多極化はこれまで、潜在的な動きが多かったし、急進しているように見えなかった。多極化は私の妄想だと思う人も多かった。昨春ウクライナが開戦して、世界が、金融バブルだけで保持されている米覇権の米国側と、世界の資源類の大半の握って非ドル化・金資源本位制を目指す多極型の非米側に決定的に分割され、いずれ米国側が金融バブル崩壊して覇権衰退して世界が多極型に転換する流れが見え出した後も、この流れを指摘する人は少なかった。しかし先月から、米欧銀行の連鎖破綻と、中国による多極型世界の構築が始まり、米覇権衰退と多極型世界の具現化が急に進展し始めた。 (I Love How Everyone Pretends The Bank Crisis Is Over) (China And Brazil Strike Deal To Ditch The US Dollar)
中国に覇権運営なんてできるはずないと米国側のマスコミ権威筋が言い続けているうちに、中国は、イランとサウジアラビアの和解を実現して米英が不安定化し続けてきた中東を安定させ、ロシアとの結束を強めて中露で多極型体制を推進していくことを決めた(ロシアは先日7年ぶりに外交の基本戦略を改定し、米覇権への対抗と、多極型世界体制の防衛を盛り込んだ)。 (Russia’s revised foreign policy concept: Key points)
多極型体制は、諸大国が合意できる範囲で協力し合うゆるやかな体制で、米国の傀儡になることを参加国が強要される米覇権体制と対照的だ。ブラジルやインドなど諸大国から、イランやインドネシアやナイジェリアなど中規模国まで、米国支配に服従せねばならない米覇権よりも、自国の希望に沿って動ける多極型体制の方が良いと考えている。米国側より非米側の方がはるかに国家主権を認められる。そのため中露が多極型体制を正式提案したら、多くの国がすぐに賛成して米覇権を見捨てて非米側に鞍替えした。これまでBRICSや上海協力機構などの非米側で限定的に機能するだけだった多極型体制が、急に世界の主流になった。「中国とインドが主導権争いするので多極型は機能しない」などと頓珍漢を書いている日本などのマスコミは、多極型の特質を理解しておらず不勉強だ。(勉強したら米傀儡プロパガンダであり続けられない) (China is winning the diplomatic struggle against the US) (China and India battle for leadership of Global South)
非米側は、多極型であると同時に、世界の資源類の大半を握っている。主要な産油諸国のうち、米カナダ英ノルウェー以外はすべて非米側だ。3大ガス産出国(露イランカタール)もすべて非米側だ。産油国の盟主であるサウジアラビアがこの半年で、米国を捨てて非米側に転向したことが象徴的だ。サウジは3月29日、中露が作る上海機構の対話パートナーになると閣議決定した。上海機構は911事件のころ、米国が「テロ戦争」でユーラシア内陸部を不安定化しようとする策に対抗し、中国とロシアが長年の対立を解消して結束し、中央アジア諸国も誘ってユーラシア内陸部を安定化するために作った安保経済の協力組織だ。上海機構は、2009年に初めて首脳会議を開いたBRICSより古く、多極型の国際体制の元祖だ。 (Saudi Arabia Joins Shanghai Cooperation Organization As It Embraces China)
非米側が世界の資源類を握った状態で結束し、米国側の言うことを聞かなくなった。新たな世界が突然出現している。米国側の諸国(先進諸国)は米国の傀儡であり、米国が非米側を敵視しているので追随せざるを得ない。だが今後時間が経つにつれ、米国側は資源類が不足してインフレになり、経済を回せなくなる。米国側の諸国は、表向き「中露はけしからん」と言いつつ、非米側の主導役である中国と親しくしていかねばならない。 (Pozsar's Warning Of Dollar's Waning Sway Comes True)
その動きの象徴が、間もなく仏マクロン大統領とEU首脳のフォンデアライエンが中国を訪問する件だ(4月5-8日)。マクロンらは表向き「中国に対し、ロシアと親しくするなと加圧しに行く」と言っている。だが訪中の本当の主旨は多分そうでなく、非米側から資源類を買わせてくださいと頼みに行くことだ。最近、史上初の人民元建てのLNG輸出が、中国からフランスに向けて行われている。こういう感じで今後もお願いしますという話だ。 (China Settles First LNG Trade In Yuan) (France Willing To Work With China On 'Peaceful Solution' For Ukraine)
G7は団結して中国を制裁し、先進諸国の半導体製造機器を中国に売らないようにすると決める。半導体産業は、中国と米国側のどちらかを選ばねばならない。米国側に残るなら中国と縁を切らねばならないし、中国側に行くなら米国側との縁切りになる。今までなら、この二者択一に対する答えは米国側であり、疑問の余地はなかった。だが、今後は違う。米国側は、これから米欧の巨大な金融バブルが崩壊し、半導体の需要も急減する。対照的に中国など非米側は、多極型になるので経済が安定し、長期的な発展が具現化する。好戦的な米英がいないので、多極型世界は国際紛争が激減する。半導体の需要も増加する。衰退する米国側でなく、発展する中国側を選びたい企業が増える。G7の中国制裁は、中国でなくG7諸国を打撃する。ウクライナ開戦後の対露制裁と同じ構造を持っている。 (US-China Decoupling Will Force Europe To Choose Sides Sooner Rather Than Later)
米欧の銀行危機は間もなく再燃しそうだ。米国の経済学者ヌリエル・ルビーニが最近、米国のほとんどの銀行は、米連銀の連続的な利上げを受けて、すでに支払不能の状態にあると指摘した。金融システムが脆弱化し、わずかな衝撃で危機が再燃し、しだいに全崩壊に向かっていく。非米側は、米国がドル決済の禁止を経済制裁として使うので回避措置として貿易決済を非米諸国の通貨で行う非ドル化を進めたが、これが奏功し、米国側が金融崩壊しても非米側は意外に被害を受けなくなっている。米覇権の崩壊は不可避だ。その後の米国側(日本とか)がどうなるのか予測していく必要があるが、権威筋はこの事態を全く無視している。 (Nouriel Roubini claims that most U.S. banks are technically near insolvency)
米国側と非米側に決定的に分裂した今の世界は、資源類を非米側に握られ、欧日など米国側(米傀儡諸国)は、中国など非米側を敵視し続けることができなくなり、口だけ米傀儡であり続けつつ、裏でこっそり中国にすり寄って非米側に非公式参加せざるを得ない。日本は安倍晋三が数年前に米中両属体制を敷いたが、今や欧州も米中両属をやらざるを得なくなった。それがマクロンとフォンデアライエンの訪中の意図だ。米国は経済的に金融崩壊に直面し、国内政治的に共和党への弾圧など頓珍漢が悪化しており、国際政治的に孤立化していく。世界は意外に早く多極型になる。