Willow's Island

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アタック・ザ・ガス・ステーション!

2005年03月14日 23時59分14秒 | 映画
 レンタルで借りた韓国映画「アタック・ザ・ガス・ステーション!」を見た。
 私はどうしても韓国から離れられないらしい。(^^)
 これは1999年のちょっと古い作品で、ガソリン・スタンドを「なんとなく」という理由で襲撃する
4人組の若者を描くコメディ映画であり、当時の韓国では「シュリ」の次にヒットしたそうだ。
 見てみた感想としては、まあ普通かな、という感じだ。登場人物も分かりやすい連中がいろいろ
出てくるし、ドタバタ(というか暴力)シーンが多いので、見ている間は一応、退屈しなかった。
でも、それだけである。あれだけたくさん出てきたのに、私的に感情移入できるキャラクターが
一人もいなかったし、ギャグらしきものはほとんど笑えなかった。唯一笑えたのは、ガソリンスタンド
社長の「俺はチョー・ヨンピルしか歌えないぞ」ぐらいのものである。(^^)
 これは軽い映画なので深く考えちゃ駄目なんだろうけど、ドタバタに見えて、やっぱり裏にはテーマ
があるんだろうな、と感じた。主人公の4人にはそれぞれ暗い過去があり、今もそれを引きずって
いることが、作品中で明らかにされる。4人の暗い過去に共通することは、夢がありながらも目上の
人間に頭ごなしに否定される、ということだった。韓国は上下関係が厳しい社会である。目下の者は
たとえ理不尽なことであっても、目上に従わざるをえない。そんな息苦しい社会に対してカタルシス
を与えようとしたのが、この映画だったのではないだろうか。
 この映画では、社長、警察官、番長など「普段は上にいて下を見下している者」をひざまずかせる
シーンが多い。それを社会の底辺にいるような若者がやるので、観客はカタルシスを覚えるのだろう。
韓国は依然として上下関係が厳しいだけに、このように「上の者」をひざまずかせる爽快さが、この
映画のヒットにつながったのかもしれない。主人公の一人が「第二の建国を始めよう。」とか
普通の人の時代を。」とか書かれた看板を見つけて、ブチ切れてボコボコに足蹴にする、という
シーンがあったが、これは「何が”第二の建国”だよ! 何にも変わってねえじゃねえか!」と
言いたかったのだろうか。
 この映画が作られてから5年以上が経ったが、韓国は、地位の低い者であっても理不尽さを味わう
ことのない社会に変わっただろうか? そういえば、この映画ができた時代あたりから、韓国は左傾化
が進んでいったように思う。そのおかげで、貧農出身のノ・ムヒョンも大統領に当選できた。左傾化は
若者を中心に広がっており、今では保守派に属する人間が攻撃されやすくなっている。少なくとも
権威主義を否定する雰囲気にはなっていそうだ。こういった韓国社会の変化は、もしかして5年前の
「アタック・ザ・ガスステーション!」から始まったのかもしれない。^^

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