
bookoffでジャンプ創刊号(1968年)の復刻版(昨年発行)が安く買えたので、読んでみた。その中で巻頭カラーだったのが、上の画像にある「くじら大吾」だ。
「ああ、けたはずれにおもしろい・・・」などと書いてあるが、確かに別の意味で、桁外れに面白かった。絵柄、話の内容、キャラクター、セリフなどが、まさに昭和43年そのものだったからだ(私もまだ生まれてないが)。はっきり言って、現代では色々とやば過ぎて、とてもではないが世に出せるものではない。改めて、50年という歳月は長いと感じる。
この「くじら大吾」に収録されている素敵なセリフを抜き取り、以下に並べてみた。
高知県の教育委員
「かれ(大吾)はすてごですきに 孤児院でつけたなまえですらあ」
マリ(財布をすろうとして大吾に止められる不良少女)
「フン まっ黒になってはたらくのはごめんさ 黒ン坊のジロー(黒人とのハーフの少年)はおなじだろうけど」
春日真澄(国会議員の息子)
「ふっふふふ・・・いなか者は単純でしあわせだ。きみ(大吾)は議員になったおやじへのおくりものさ。貧乏孤児院は権力者のごきげんをそんじると えらいことになるからな」
春日真澄
「ふっふふ・・・もし警察につかまっても事故をおこさぬかぎり おやじがすぐ もらいさげてくれる。なにしろおやじは国会議員だからな。」
大吾(主人公)
「色は黒くてもジローくんの心の中はまっ白じゃけん!」
こうして並べてみると、なんだか笑えてくる。(^^) まさに昭和40年代だ。
作者の梅本さちおという作家は知らなかったが、当時は「期待の大型新人」であったようだ。しかし彼の経歴をで調べてみると、まさに不遇としか言いようがなかった。その後何度か作品を発表するものの、どれもすぐに打ち切りになってヒット作と呼べるものはなく、晩年は離婚して仕事も無い状態で、50歳の時にアパートで孤独死してしまったようだ。時代について行くことのできなかった人だったのかもしれない。
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