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画本 西遊記

2018年09月15日 04時01分20秒 | 

 アマゾンの古本で「画本西遊記」の第4巻が安く売られていたので、買ってみた。このカ画本シリーズでは西遊記だけでなく、水滸伝、三国志、紅楼夢など中国の古典が1ページにあたり2枚の中国風イラストで 描かれたものである。私が小学生の頃は図書館でよく見られていた。最近は全く図書館でも見かけることがなくなったので、懐かしくなり読んでみたくなったのである。
 とにかくイラストがふんだんに使われている本なのだが、この画風が非常に中国的で、日本にはないセンスがある。当時は本自体にも何やら不思議な匂いがしていた。いかにも外国から来た、という感じである。
 画本シリーズはは水滸伝や紅楼夢なども読んだが、やはり西遊記が一番面白い。想像力に溢れる作品なので、絵にするには最もふさわしい。今思えば 、西遊記は典型的なファンタジー小説だ。ヨーロッパでは指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)などに代表されるファンタジー小説の中国版が、まさに西遊記という感じだ。 封神演義などと合わせて「チャイニーズ・ファンタジー」という分野があってもいいのではないか、と思える。
 ところでこの画本シリーズなのだが、不思議なことに日本人の翻訳者の名前しか乗っておらず、これを誰が書いたのか全く不明なのである。西遊記の原作者は呉承恩なのだが、本に収められている大量のイラストを書いたのは一体誰なのか、どこにも書いていない。そもそも、この本はどこから輸入されたものなのだろうか。
 今まで全く知らずに来たが、本の目次のあたりをよく見ると、Sun Ya Publicationsという会社が版権を持っているらしい。このSun Ya Publicationsというのはどういう会社なのか調べてみたところ、どうやら香港の出版社のようだ。現在でも児童向けの書籍をたくさん発行しているようである。
 イラストがあまりにもベタに中国的なので、てっきり大陸中国で作られたものだと思っていたが、香港というのはちょっと意外だった。確かに考えてみれば この本が発行されたのは1982年なので、経済的にボロボロだった当時の中国がこれほど豪華な本を出せるわけがないか。
 それにしてもイラストの画家の名前ぐらい書けばいいのに、それが全くないというのは不思議である。

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