前回取り上げた National Security Archive のニクソン訪中記録において、さらに気になる記述があった。日韓関係に関する周恩来とニクソンのコメントなのだが、これがちょっと衝撃的であった。関係する部分を以下のとおり翻訳してみた。
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http://www2.gwu.edu/~nsarchiv/NSAEBB/NSAEBB106/NZ-3.pdf
周恩来:しかし、もし日本の武装した軍が韓国に侵攻することを許せば、緊張が発生します。日本が何度かそうしようと試みたことは、キッシンジャー博士も認めています。そして日本は、既に人員を送り込んでいます。もちろん軍隊という形はとっていませんが、軍関係の人間です。我々は彼らの行動をしっかり監視しています。貴国もそうしていると思いますが。
ニクソン:日本による韓国侵攻が、人民共和国及び合衆国の国益にとって何も資することがない、ということは言える。我々が日本による侵攻を防げるという保証はないが、ある程度はできる。日本を思いとどまらせるため、我々は影響力を行使していくだろう。
周恩来:日本のことといえば、中国と日本は未だ交戦状態にあることはお気付きかと思います。日本と蒋介石の間のいわゆる「平和条約」など、物の数には入らないからです。蒋介石でさえ、そのことを認めています。そのため、彼らは出口を見つけ出す必要に迫られているのです。
現在の佐藤(栄作)政権の言葉には価値がありません。佐藤政権の言うことは日によって変わるからです。日本の国会でさえ、もはや彼らを信用していません。
そのため、我々は日本の次の政権に希望を持っています。中国と日本が外交関係を修復できれば、中日の友好が日米関係を傷つけることはないからです。
もし我々が日本との外交関係を確立し、日本と平和条約を締結することができれば、その時は日本と相互不可侵協定を結ぶことさえ検討いたしましょう。彼らは我々の核武装を心配していますが、我々が先にそれを使うことはない、と保証できます。だから彼らには何の脅威も与えません。しかしそうした条約が、日本が他の国との関係を持つことを妨げるものではありません。
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なんと、1972年頃の時点で、日本は韓国に侵攻しようとしていた、というのだ。とても信じがたいが、アメリカでさえこのことを認めている。一体何の利益があって、日本は韓国に侵攻しようとしていたというのか? 理解できないが、理由としては一つだけ考えられる。竹島奪還、である。日本は武力を使ってまで竹島を取り戻そうとしていたのか? そしてそれをストップさせたのが、アメリカということなのか。もっと詳しい経緯を知りたくなる。