Willow's Island

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「韓国と日本国」

2005年04月02日 23時50分38秒 | 
 図書館から借りてきた「韓国と日本国」という本を読んだ。
 これは朝日新聞の論説主幹である若宮啓文氏と、韓国の元・統一長官である権五叙ゥ
との対談という形をとり、日韓関係の歴史について詳しく述べられた本である。いかにも
朝日新聞らしい若宮氏の考え方には納得いかないものが多少あるが、権五叙ゥ氏による
長い経験をもとに語られる日韓外交の舞台裏などは、非常に興味深いものがある。
権五叙ゥ氏は1932年生まれで、東亜日報の記者として日韓両国をつぶさに見てきた
経験があり、統一長官となってからは北朝鮮と直に接してきた豊富な経験もある。そんな
彼による体験談が、面白くないはずがない。もちろん面白いだけでなく、非常に勉強にも
なった。話題も日韓関係だけでなく、北朝鮮問題、ワールドカップ共催の舞台裏、韓国
歴代政権の裏話、など多岐にわたっている。
 また、権五叙ゥ氏は韓国の言論人にありがちな過剰な対日対抗意識とは無縁であり、
かなり客観的に日韓両国を見つめることのできる人物だと感じた。それだけに、日本に
対する批判だけでなく、祖国・韓国に向けての批判も多い。韓国の言論人にもこういう人
がいたんだな、と思わせてくれる。
 もうすぐ図書館に返すのが惜しい、と思わせるほど良質な本であった。