“親父みたいなヨ 酒呑みなどにヨ ならぬつもりがなっていた~”
「望郷酒場」<作詞里村龍一。作曲桜田誠一>の歌い出しである。
私は生れてこの方沖縄を離れて暮らしたことがなく、望郷の念は感覚的にしか理解できないが最近、スナックなどでカラオケを廻し歌いをする段になると3廻り目、4廻り目には「望郷酒場」をセットしてもらうことになる。そして、思い入れを深くするためか己の歌唱に酔いしれ、目頭を熱くしている自分に気づく。
「涙もろい歳になったものだなぁ・・・・」。
13歳で父親と死別して60年。その父親の享年をひと回り長生きしてしまうと、演歌の歌詞にも涙もろさを発揮してしまうのである。
「父の日」。息子夫婦、娘夫婦から期せずしてゴルフウェアをもらった。〔歳も考えながらゴルフを楽しめ〕というメッセージのつもりだろう。2着のうちの1着は、ちょっとハデめで、ほんの少しサイズが小さいが「いやいいや、ピッタリだ。誂えものみたいだよ」と、彼らに逢う日は好んで着けている。不服を言えば「父の日」は「母の日」に比べて、デパート等の掛け声だけになっているようだから、あえて手許の資料をもとに知ったかぶりをしておきたい。
1909年のこと。アメリカ・ワシントン州スポーケンに住む女性ソノラ・スマート・トッドさんは母親亡き後、男手ひとつで彼女を含む6人の子供を育てた父ウイリアムに〔感謝と賞讃を表したい〕旨を教会に申し出た。それは、善行として受け入れられ、父の誕生日である6月の日曜日に礼拝をしてもらった。このことがきっかけで「父の日」が動き出した。公式の「父の日」の祝宴は、1910年6月19日にスポーケンで行われたのを最初とするが、このことは1916年になってアメリカ合衆国第26代大統領ウッドロー・ウィルソンがスポーケンを訪れ〔父の日に関する演説〕を行ったことで認知されるようになったという。また、同合衆国第36代大統領リンドン・ジョンソンは、父の日を称賛する大統領告示を発して、6月の第3日曜日を「父の日」に定めた。さらに1972年、アメリカでは正式な国の記念日に制定されるに至っている。「母の日」の花がカーネーションであるのに対して「父の日」の花はバラだそうな。
こうしたごく普通の女性の父への思いが、教会を動かし、やがて大統領をも動かして、年中行事に定着するあたり、いかにもアメリカらしいと思われるがどうだろうか。日本にも、こうした例はなくはなかろうが、どうも戦前の皇室行事の〔名称替え〕が多い気がするのは、私の浅学のせいだろう。
ところで。
われわれの「父の日」は、アメリカにならって6月の第3日曜日だが、この日付は世界共通ではないようだ。再び手許の資料の受け売りをしよう。
※ 【世界の父の日】
1月6日=セルビア。2月23日=ロシア。3月19日=ボリビア・イタリア・ポルトガル・スペインほか数国。5月5日=ルーマニア。5月8日=韓国<親の日>5月第3日曜日=トンガ。6月第1日曜日=リトアニア。6月5日=デンマーク。6月第2日曜日=オーストリア・ベルギー6月第3日曜日=日本・中国・プエルトリコ・アメリカ・インド・イギリス・カナダ・チリ・コロンビア・コスタリカ・トルコ・フランス・ペルー・スロバキア・南アフリカ共和国・シンガポール・ウクライナ・メキシコ。6月17日=エルサルバドル・パキスタン・グァテマラ。6月23日=ポーランド。8月第2日曜日=ブラジル・サモア。8月8日=台湾。これは「パパ」と「8・8」の中国語発音が同音であることに由来するそうな。9月第1日曜日=オーストラリア・ニュージーランド。10月第1日曜日=ルクセンブルク。11月第2日曜日=フィンランド・ノルウェー・スウェーデン・アイスランド。12月5日=タイ。12月26日=ブルガリア。
日付の異なりは、それぞれの国の風俗習慣、歴史、宗教<教会>などの主旨があってのことだろう。とかく、世界中で父親は尊敬、敬愛されていることは、3人の実子と嫁・婿を持つ私にとっても嬉しい限りである。が・・・・しばし待て。私は「父の日」を心底祝ってもらえるほどの存在感ある〔父〕だろうか。わがことながら、自身をもって胸を張れないのは何故だろうか。
「ダメ父親もずいぶんやってきたからなぁ・・・・。」
それを反面教師としたかして息子や娘は、それなりに育ってくれて、5人の孫を見せてくれた。ダメ父親だった男もいまや、立派な?爺になって、孫たちのアイドル?になっている。人生快哉!
私は実父と酒を酌み交わしたことがない。私が20歳になるまで待ってはくれなかったのだから仕方がない。したがって、たまに息子や婿と酒杯をかたむけるときは、常に「父の日」と心得ている。この父の日は年に何回あってもいい。はたまた歌いたくなった。
“父親みたいなヨ 酒呑みなどにヨ ならぬつもりがなっていた~”
※〔編集者からの告知〕
国立劇場おきなわ企画・演劇公演。作上原直彦。演出北村三郎「敗戦模様・九年母の木の下で」が、6月25日<土>午後6時30分。26日<日>午後2時開演の日程で上演される。沖縄演劇界のベテラン、新人、素人、小学校生総勢40人の出演。前売り券発売中。
問い合わせ=国立劇場おきなわ。電話=098-871-3350
「望郷酒場」<作詞里村龍一。作曲桜田誠一>の歌い出しである。
私は生れてこの方沖縄を離れて暮らしたことがなく、望郷の念は感覚的にしか理解できないが最近、スナックなどでカラオケを廻し歌いをする段になると3廻り目、4廻り目には「望郷酒場」をセットしてもらうことになる。そして、思い入れを深くするためか己の歌唱に酔いしれ、目頭を熱くしている自分に気づく。
「涙もろい歳になったものだなぁ・・・・」。
13歳で父親と死別して60年。その父親の享年をひと回り長生きしてしまうと、演歌の歌詞にも涙もろさを発揮してしまうのである。
「父の日」。息子夫婦、娘夫婦から期せずしてゴルフウェアをもらった。〔歳も考えながらゴルフを楽しめ〕というメッセージのつもりだろう。2着のうちの1着は、ちょっとハデめで、ほんの少しサイズが小さいが「いやいいや、ピッタリだ。誂えものみたいだよ」と、彼らに逢う日は好んで着けている。不服を言えば「父の日」は「母の日」に比べて、デパート等の掛け声だけになっているようだから、あえて手許の資料をもとに知ったかぶりをしておきたい。
1909年のこと。アメリカ・ワシントン州スポーケンに住む女性ソノラ・スマート・トッドさんは母親亡き後、男手ひとつで彼女を含む6人の子供を育てた父ウイリアムに〔感謝と賞讃を表したい〕旨を教会に申し出た。それは、善行として受け入れられ、父の誕生日である6月の日曜日に礼拝をしてもらった。このことがきっかけで「父の日」が動き出した。公式の「父の日」の祝宴は、1910年6月19日にスポーケンで行われたのを最初とするが、このことは1916年になってアメリカ合衆国第26代大統領ウッドロー・ウィルソンがスポーケンを訪れ〔父の日に関する演説〕を行ったことで認知されるようになったという。また、同合衆国第36代大統領リンドン・ジョンソンは、父の日を称賛する大統領告示を発して、6月の第3日曜日を「父の日」に定めた。さらに1972年、アメリカでは正式な国の記念日に制定されるに至っている。「母の日」の花がカーネーションであるのに対して「父の日」の花はバラだそうな。
こうしたごく普通の女性の父への思いが、教会を動かし、やがて大統領をも動かして、年中行事に定着するあたり、いかにもアメリカらしいと思われるがどうだろうか。日本にも、こうした例はなくはなかろうが、どうも戦前の皇室行事の〔名称替え〕が多い気がするのは、私の浅学のせいだろう。
ところで。
われわれの「父の日」は、アメリカにならって6月の第3日曜日だが、この日付は世界共通ではないようだ。再び手許の資料の受け売りをしよう。
※ 【世界の父の日】
1月6日=セルビア。2月23日=ロシア。3月19日=ボリビア・イタリア・ポルトガル・スペインほか数国。5月5日=ルーマニア。5月8日=韓国<親の日>5月第3日曜日=トンガ。6月第1日曜日=リトアニア。6月5日=デンマーク。6月第2日曜日=オーストリア・ベルギー6月第3日曜日=日本・中国・プエルトリコ・アメリカ・インド・イギリス・カナダ・チリ・コロンビア・コスタリカ・トルコ・フランス・ペルー・スロバキア・南アフリカ共和国・シンガポール・ウクライナ・メキシコ。6月17日=エルサルバドル・パキスタン・グァテマラ。6月23日=ポーランド。8月第2日曜日=ブラジル・サモア。8月8日=台湾。これは「パパ」と「8・8」の中国語発音が同音であることに由来するそうな。9月第1日曜日=オーストラリア・ニュージーランド。10月第1日曜日=ルクセンブルク。11月第2日曜日=フィンランド・ノルウェー・スウェーデン・アイスランド。12月5日=タイ。12月26日=ブルガリア。
日付の異なりは、それぞれの国の風俗習慣、歴史、宗教<教会>などの主旨があってのことだろう。とかく、世界中で父親は尊敬、敬愛されていることは、3人の実子と嫁・婿を持つ私にとっても嬉しい限りである。が・・・・しばし待て。私は「父の日」を心底祝ってもらえるほどの存在感ある〔父〕だろうか。わがことながら、自身をもって胸を張れないのは何故だろうか。
「ダメ父親もずいぶんやってきたからなぁ・・・・。」
それを反面教師としたかして息子や娘は、それなりに育ってくれて、5人の孫を見せてくれた。ダメ父親だった男もいまや、立派な?爺になって、孫たちのアイドル?になっている。人生快哉!
私は実父と酒を酌み交わしたことがない。私が20歳になるまで待ってはくれなかったのだから仕方がない。したがって、たまに息子や婿と酒杯をかたむけるときは、常に「父の日」と心得ている。この父の日は年に何回あってもいい。はたまた歌いたくなった。
“父親みたいなヨ 酒呑みなどにヨ ならぬつもりがなっていた~”
※〔編集者からの告知〕
国立劇場おきなわ企画・演劇公演。作上原直彦。演出北村三郎「敗戦模様・九年母の木の下で」が、6月25日<土>午後6時30分。26日<日>午後2時開演の日程で上演される。沖縄演劇界のベテラン、新人、素人、小学校生総勢40人の出演。前売り券発売中。
問い合わせ=国立劇場おきなわ。電話=098-871-3350