木草が一応の大きさに達することを意味する『小満』は5月21日だ。
方言では「すーまん」といい、6月6日に入る『芒種=ぼうすう』とよみ合わせ読みして「小満・芒種=すーまん・ぼうすう」といい「梅雨の季節」としている。
ちなみに沖縄語には「露=ちゆ」はあるが「梅雨」にあたる言葉は見当たらず、近年になって普通に「梅雨=ちゆ」と発音するようになっている。
「芒種」とは「芒=ノギ=のある穀物の種を蒔くころ」のことだそうな。さらに「芒・ノギ」とは「イネ科の花を包む外花頴の先端にある針状の突起と辞書にある。
◇雨に関する慣用句。
*上らん雨んちんあみ(あがらん あみんちんあみ)。
どんなに長雨が続くと言っても、いずれは上がる。上がらない雨はない。
「夜はいずれ明ける」「陽は沈んでも、また昇る」と同義語。
「上らん雨んちんあみ」は、例えば不幸をかこっている人に対して「何時までも嘆き悲しんでも詮ないこと。しばらく辛抱すれば、きっといいことが巡ってくる」と、慰めの言葉として使う。
*雨降ゐねぇー、端鶏ぬん 隠くぃーん(あみふゐねぇー ふぁーどぅやーぬん くぁっくぃーん)。
雨降りには、雑種の鶏でも雨宿りをする。
まして人間。好んで雨に濡れることはない。濡れて歩くのは愚の骨頂としている。
少年のころ、学校帰りなぞ、一刻も早く帰宅したいばっかりに、大雨の中を走ったことが幾度もあった。ずぶ濡れのボクを迎えたおふくろは、ボクの身体を拭きながら「雨の時は犬ころでも晴れるのをまつよっ。おまえは子犬かっ」と叱責。生姜湯を飲ませてくれた。身体の芯から温まった。
◇雨に関する気象用語。
*雨=空気中の水蒸気が直径0、5ミリ以上の水滴になったもの。
*小雨=傘なしで歩ける程度の雨。
*大雨=大雨注意報発令基準(ところにより異なる)以上の雨量の雨。
*豪雨=大雨注意報発令基準以上の雨。
*集中豪雨=狭い範囲で、短い時間に以上に強く降る雨。
*強い雨=雨の音で話し声が聞き取りづらいほどの雨。
*にわか雨=晴天から降る雨。
*やや強い雨=雨の音がよく聞こえるほどの雨。
*弱い雨=地面が一面に濡れる程度の雨。
◇雨に関する琉歌。
*雨ぬ降てぃ腫りてぃ 通ゐたる里や 刀自惚りがしちゃら 沙汰ん無らん
《あみぬふてぃ はりてぃ かゆゐたるさとぅや とぅじぶりが しちゃら さたんねらん》
遊郭の芸妓が読んだ一種。
歌意=雨が降っても晴天でも、毎日のように通ってきた彼氏。このところ影も形も見えないがどうしたのだろう。あんなに「好かんっ」と言っていた奥さんに惚れ直してアタシを忘れたのかしら。
*今降ゐる雨や雲に宿みしょり 里が花ぬ島着ちゅる間や
《なま ふゐるあみや くむにやどぅみしょり さとぅが はなぬしま ちちゅるゑだや》
歌意=勤めを終えていったんは帰宅した夫が、また出掛けるという。行く先は遊郭である。妻は黙って玄関先まで送り、傘を差し出し、天を仰いで言った。「いま至極降っている雨よ。しばらく雲に宿を借りていてはくれまいか。せめて、うちの人が(遊郭)に着く間までは・・・。
妻の鏡というべきか。
琉歌一首を二分にして詠む形式を分句という。馴染みになった遊郭の芸妓が上句をこう詠んだ。
(芸妓)我身どぅ捨てぃみしぇみ 刀自どぅ捨てぃみしぇみ
《わみどぅ してぃみしぇみ トゥジどぅ してぃみしぇみ》
歌意=いざとなったら、ワタシを捨てるのですか?それとも奥さんと別れてくれますか?
すると色男は答えた。
*刀自や雨降ゐぬ 傘どぅやゆる
《トゥジや あみふゐぬ かさどぅやゆる》
歌意=カミさんは雨をしのぐ傘みたいなもの。何でお前を捨てようぞ。何でお前と別れようぞ。
男はその場その場のとりつくろいに長けている。
かくて沖縄は「雨ぬ節入り」・・・・。
方言では「すーまん」といい、6月6日に入る『芒種=ぼうすう』とよみ合わせ読みして「小満・芒種=すーまん・ぼうすう」といい「梅雨の季節」としている。
ちなみに沖縄語には「露=ちゆ」はあるが「梅雨」にあたる言葉は見当たらず、近年になって普通に「梅雨=ちゆ」と発音するようになっている。
「芒種」とは「芒=ノギ=のある穀物の種を蒔くころ」のことだそうな。さらに「芒・ノギ」とは「イネ科の花を包む外花頴の先端にある針状の突起と辞書にある。
◇雨に関する慣用句。
*上らん雨んちんあみ(あがらん あみんちんあみ)。
どんなに長雨が続くと言っても、いずれは上がる。上がらない雨はない。
「夜はいずれ明ける」「陽は沈んでも、また昇る」と同義語。
「上らん雨んちんあみ」は、例えば不幸をかこっている人に対して「何時までも嘆き悲しんでも詮ないこと。しばらく辛抱すれば、きっといいことが巡ってくる」と、慰めの言葉として使う。
*雨降ゐねぇー、端鶏ぬん 隠くぃーん(あみふゐねぇー ふぁーどぅやーぬん くぁっくぃーん)。
雨降りには、雑種の鶏でも雨宿りをする。
まして人間。好んで雨に濡れることはない。濡れて歩くのは愚の骨頂としている。
少年のころ、学校帰りなぞ、一刻も早く帰宅したいばっかりに、大雨の中を走ったことが幾度もあった。ずぶ濡れのボクを迎えたおふくろは、ボクの身体を拭きながら「雨の時は犬ころでも晴れるのをまつよっ。おまえは子犬かっ」と叱責。生姜湯を飲ませてくれた。身体の芯から温まった。
◇雨に関する気象用語。
*雨=空気中の水蒸気が直径0、5ミリ以上の水滴になったもの。
*小雨=傘なしで歩ける程度の雨。
*大雨=大雨注意報発令基準(ところにより異なる)以上の雨量の雨。
*豪雨=大雨注意報発令基準以上の雨。
*集中豪雨=狭い範囲で、短い時間に以上に強く降る雨。
*強い雨=雨の音で話し声が聞き取りづらいほどの雨。
*にわか雨=晴天から降る雨。
*やや強い雨=雨の音がよく聞こえるほどの雨。
*弱い雨=地面が一面に濡れる程度の雨。
◇雨に関する琉歌。
*雨ぬ降てぃ腫りてぃ 通ゐたる里や 刀自惚りがしちゃら 沙汰ん無らん
《あみぬふてぃ はりてぃ かゆゐたるさとぅや とぅじぶりが しちゃら さたんねらん》
遊郭の芸妓が読んだ一種。
歌意=雨が降っても晴天でも、毎日のように通ってきた彼氏。このところ影も形も見えないがどうしたのだろう。あんなに「好かんっ」と言っていた奥さんに惚れ直してアタシを忘れたのかしら。
*今降ゐる雨や雲に宿みしょり 里が花ぬ島着ちゅる間や
《なま ふゐるあみや くむにやどぅみしょり さとぅが はなぬしま ちちゅるゑだや》
歌意=勤めを終えていったんは帰宅した夫が、また出掛けるという。行く先は遊郭である。妻は黙って玄関先まで送り、傘を差し出し、天を仰いで言った。「いま至極降っている雨よ。しばらく雲に宿を借りていてはくれまいか。せめて、うちの人が(遊郭)に着く間までは・・・。
妻の鏡というべきか。
琉歌一首を二分にして詠む形式を分句という。馴染みになった遊郭の芸妓が上句をこう詠んだ。
(芸妓)我身どぅ捨てぃみしぇみ 刀自どぅ捨てぃみしぇみ
《わみどぅ してぃみしぇみ トゥジどぅ してぃみしぇみ》
歌意=いざとなったら、ワタシを捨てるのですか?それとも奥さんと別れてくれますか?
すると色男は答えた。
*刀自や雨降ゐぬ 傘どぅやゆる
《トゥジや あみふゐぬ かさどぅやゆる》
歌意=カミさんは雨をしのぐ傘みたいなもの。何でお前を捨てようぞ。何でお前と別れようぞ。
男はその場その場のとりつくろいに長けている。
かくて沖縄は「雨ぬ節入り」・・・・。