3月4日は「ゆかる日まさる日さんしんの日」。
RBCiラジオが告げる正午の時報音を合図に沖縄中、いや、県外、海外にある三線が一斉に祝儀歌「かぢゃでぃ風節」を奏でる。今年「巳年」の本格的春のおとづれを知らせる音と言えよう。読谷村立文化センター鳳ホールを主会場にした実況放送は午後9時までなされる。
※私の三線。
「お前は懸命に取り組んでいるから、褒美としてやる」
民謡界の大御所前川朝昭さん〈大正元年・1912年6月5日~平成2年・1990年7月13日〉に真壁型の三線をいただいた。これが私がはじめて所有した自前の三線だった。
それまで奏法の心得はまったくなく、頂物のそれは部屋の飾りものになっていた。しかし、番組への出演交渉等で歌者宅を訪問する際には、そこにある三線を手にして弾く。以来、その程度の接し方が「自己流」の親しみ方に繋がり、今に続いている。つまり「胴風=どぅふう」を貫いているのだ。しかし、三線は飾り物、置物ではない。常々、弾きこなしていないと、まず張り〈蛇皮の部分〉に裂け目が出来たり、糸を巻き、チンダミ〈調弦〉をする3本のカラクイ部分の締りが甘くなって緩み、いい音が出せなくなる。
前川朝昭御大拝領のマイサンシンも例外ではなかった。所有して3年ほど放置状態にしていたせいで、張りに亀裂が入った。不遜を恥、出入りをさせて頂いていた県指定・近代の名工に指定された又吉真栄〈大正5年・1916~昭和60年・1985〉さんの経営する「又吉三味線店」に、修理を依頼した。出来上がりを知らされて受け取りに行くと、又吉真栄さんは小首をかしげて言った。
「直彦クン。この三線はほんとうにキミのモノか。チーガ〈胴の部分。共鳴板を開けて見ると、隠れた棹の箇所に[喜納昌永]と刻銘されているが・・・〉。
驚愕した私は、入手の経緯説明を必死にした。盗品ではないことを承知して頂かなければならないからだ。ようやく納得して頂いて受け取った私は、その足で前川朝昭宅に向かい、事情をさらに説明してお返しした。御大は淡々としたものだった。
「そうか。そうだったか。そう言えば、喜納昌永と三線交換をしたことがあった。その時のモノだったんだね」。
後日。
又吉真栄さんの呼び出しを受けた。駆けつけてみると、又吉真栄さんは、箱に入った一丁の三線を目の前に出して言った。
「これはキミのために打った三線だ。放送人で芸能担当者は多少なりと弾けた方がよかろう。時間を掛けて取得したまえ」
ありがたく押し頂いた。
こうした三線でありながら、腕前は一向に上がらない。胴風を続けているからだろう。思い出したように、時たま弾いてはいる。都合のよいことを言わせてもらうと私の三線は、専門家のそれではなく、ひとりで、あるいは仲間同士の「歌遊び」に参加出来る程度でよし!と存念しているのだ。心得違いかもしれない。その道を垣間見ると専門家は研究、研鑽のあまり、神経をすり減らし、苦悩すら抱え込んでいる。私には、それに耐える力も堪え性もない。が、三線そのもの、悠久の琉球音楽を軽視しているのでは決してない。むしろ、誇りにしている。それらの成り立ちや音曲、歌詞の中から歴史、風俗習慣、オキナワンスピリッツを感受するために三線は自己流でもいい。手元に置いていて弾いていたいのである。プロ並みに上手くなくてもいいではないか。私がプロ並みになったら[プロがこまるだろう!]なぞと、冗談ながら自惚れさえ持っている。
「さんしんの日」。主会場の舞台正面には「かぢゃでぃ風節」の歌詞付三線符「工工四」を大書して掲げる。流派に属して学習中の方も、私同様[自己流]の方もこれからの初心者の方も名のある演奏家と共に合奏、合唱することが出来る。それぞれの「私の三線」を持参して、歌三線を楽しんでみてはいかがでしょう。
※イベント情報
◇第2回沖縄オープンディスクゴルフ大会(今帰仁村)
開催日:2月23日(土)~24日(日)
場 所:今帰仁村総合運動公園
◇第14回ロマン海道・伊良部島マラソン(宮古島市)
開催日:2月24日(日)
場 所:佐良浜中学校グランド(伊良部島)
B&G体育館前駐車場
◇ECOスピリットライド&ウォークin南城市
開催日:2月24日(日)
場 所:ユインチホテル南城
グスクロード公園
◇沖縄こどもの国花まつり2013(沖縄市)
開催日:2月~3月
場 所:沖縄こどもの国
RBCiラジオが告げる正午の時報音を合図に沖縄中、いや、県外、海外にある三線が一斉に祝儀歌「かぢゃでぃ風節」を奏でる。今年「巳年」の本格的春のおとづれを知らせる音と言えよう。読谷村立文化センター鳳ホールを主会場にした実況放送は午後9時までなされる。
※私の三線。
「お前は懸命に取り組んでいるから、褒美としてやる」
民謡界の大御所前川朝昭さん〈大正元年・1912年6月5日~平成2年・1990年7月13日〉に真壁型の三線をいただいた。これが私がはじめて所有した自前の三線だった。
それまで奏法の心得はまったくなく、頂物のそれは部屋の飾りものになっていた。しかし、番組への出演交渉等で歌者宅を訪問する際には、そこにある三線を手にして弾く。以来、その程度の接し方が「自己流」の親しみ方に繋がり、今に続いている。つまり「胴風=どぅふう」を貫いているのだ。しかし、三線は飾り物、置物ではない。常々、弾きこなしていないと、まず張り〈蛇皮の部分〉に裂け目が出来たり、糸を巻き、チンダミ〈調弦〉をする3本のカラクイ部分の締りが甘くなって緩み、いい音が出せなくなる。
前川朝昭御大拝領のマイサンシンも例外ではなかった。所有して3年ほど放置状態にしていたせいで、張りに亀裂が入った。不遜を恥、出入りをさせて頂いていた県指定・近代の名工に指定された又吉真栄〈大正5年・1916~昭和60年・1985〉さんの経営する「又吉三味線店」に、修理を依頼した。出来上がりを知らされて受け取りに行くと、又吉真栄さんは小首をかしげて言った。
「直彦クン。この三線はほんとうにキミのモノか。チーガ〈胴の部分。共鳴板を開けて見ると、隠れた棹の箇所に[喜納昌永]と刻銘されているが・・・〉。
驚愕した私は、入手の経緯説明を必死にした。盗品ではないことを承知して頂かなければならないからだ。ようやく納得して頂いて受け取った私は、その足で前川朝昭宅に向かい、事情をさらに説明してお返しした。御大は淡々としたものだった。
「そうか。そうだったか。そう言えば、喜納昌永と三線交換をしたことがあった。その時のモノだったんだね」。
後日。
又吉真栄さんの呼び出しを受けた。駆けつけてみると、又吉真栄さんは、箱に入った一丁の三線を目の前に出して言った。
「これはキミのために打った三線だ。放送人で芸能担当者は多少なりと弾けた方がよかろう。時間を掛けて取得したまえ」
ありがたく押し頂いた。
こうした三線でありながら、腕前は一向に上がらない。胴風を続けているからだろう。思い出したように、時たま弾いてはいる。都合のよいことを言わせてもらうと私の三線は、専門家のそれではなく、ひとりで、あるいは仲間同士の「歌遊び」に参加出来る程度でよし!と存念しているのだ。心得違いかもしれない。その道を垣間見ると専門家は研究、研鑽のあまり、神経をすり減らし、苦悩すら抱え込んでいる。私には、それに耐える力も堪え性もない。が、三線そのもの、悠久の琉球音楽を軽視しているのでは決してない。むしろ、誇りにしている。それらの成り立ちや音曲、歌詞の中から歴史、風俗習慣、オキナワンスピリッツを感受するために三線は自己流でもいい。手元に置いていて弾いていたいのである。プロ並みに上手くなくてもいいではないか。私がプロ並みになったら[プロがこまるだろう!]なぞと、冗談ながら自惚れさえ持っている。
「さんしんの日」。主会場の舞台正面には「かぢゃでぃ風節」の歌詞付三線符「工工四」を大書して掲げる。流派に属して学習中の方も、私同様[自己流]の方もこれからの初心者の方も名のある演奏家と共に合奏、合唱することが出来る。それぞれの「私の三線」を持参して、歌三線を楽しんでみてはいかがでしょう。
※イベント情報
◇第2回沖縄オープンディスクゴルフ大会(今帰仁村)
開催日:2月23日(土)~24日(日)
場 所:今帰仁村総合運動公園
◇第14回ロマン海道・伊良部島マラソン(宮古島市)
開催日:2月24日(日)
場 所:佐良浜中学校グランド(伊良部島)
B&G体育館前駐車場
◇ECOスピリットライド&ウォークin南城市
開催日:2月24日(日)
場 所:ユインチホテル南城
グスクロード公園
◇沖縄こどもの国花まつり2013(沖縄市)
開催日:2月~3月
場 所:沖縄こどもの国