旬刊・上原直彦 「浮世真ん中」の内『おきなわ日々記』」アーカイブ版

17年の長きに渡り、ネット上で連載された
旬刊・上原直彦 「浮世真ん中」の内『おきなわ日々記』のアーカイブサイトです!

花盛り・琉球舞踊界その④

2010-10-28 00:05:00 | ノンジャンル
 沖縄は歌・三線・踊りの島。
 このことには異論をはさむ人はあるまい。伝統的なそれは、正式に習得しなければならないが「手ぃ持上ぎれぇー 舞ゐやさ=てぃー むちゃぎれー もうゐやさ=手を挙げて動かせば、それが舞踊だよ」と、俗に言われ、カチャーシーなどの即興舞は見た目、上手下手こそあれ、三つ子から踊れると言っても言い過ぎにはなるまい。
 私はと言えば、下手の部類に自信を持って配することができる。放送屋、しかも芸能番組を多く手掛けるプロデューサーでありながら、身体の切れがいたって悪く、ドの付く下手。(人を踊らすのが商売。プロ並みに上手では、プロが困るだろう)を言い訳としている。しかし、本音のところではテレが先になって、立ち上がっても手や足の運びがロボット以下になってしまうのである。祝座などで、一人ひとりが順番に即興舞をする「一人なぁ舞うらしぇー=ちゅいなぁ もうらしぇー」の段になり、そろそろ自分の番が近くなると突如、生理現象が起き、しかるべきところに逃げ込むのが常である。
 「これでは沖縄人の恥。舞踊道場の門をたたいて、せめて手足の基本的振りだけでも身につけよう」と(思った)ことが過去、何十回あったことか。

 さて。【舞踊家名簿】も4週目。大道勇著「琉舞手帖=初心者から上級者までの琉球舞踊解説書」からの転載を続ける。2009年10月現在調べ。流派・研究所・道場・会等は五十音順としている。

踊り:當銘由亮

 ※玉城流・翔節会家元=玉城節子<那覇市>
 *翔節皓涼会会主=比嘉涼子<那覇市>*翔節暁の會会主=我那覇則子<那覇市>*翔節巴乃會会主=具志堅イク子<八重瀬町>*翔節輪の會会主=知念範紺<那覇市>*翔節美智子乃会会主=前川美智子<那覇市>*翔節弘子乃会会主=平田弘子<石垣市>*翔節律子の会会主=玉城律子<八重瀬町>*翔節会師範=城間久美子<那覇市>*翔節会師範=池原悦子<那覇市>*翔節会師範=上原淳子<八重瀬町>*翔節会師範=上里初枝<西原町>*翔節会師範=仲村妙子<中城村>*翔節会師範=島尻ひさみ<豊見城市>*翔節会師範=我如古磨佐子<那覇市>*翔節会師範=瑞慶山和子<那覇市>*翔節会師範=金城末子<読谷村>*翔節会師範=黒島徳子<豊見城市>*翔節会師範=神山典子<那覇市>*翔節会師範=平良恵子<那覇市>*翔節会師範=安里タマ子<浦添市>*翔節会師範=上里愛<那覇市>*翔節会師範=久高美智子<那覇市>*翔節会師範=大城昌子<那覇市>*翔節会師範=平良千代子<那覇市>*翔節会師範=神山穂紫乃<八重瀬町>*翔節会師範=金城貴子<読谷村>*翔節会師範=比嘉ベン直哉<カリフォルニア州ロサンゼルス>*翔節巴乃會師範=具志堅貴美<八重瀬町>*翔節輪の會師範=国吉優子<那覇市>*翔節美智子乃会師範=花城洋子<名護市>*翔節美智子乃会師範=大城美由紀<南風原町>*翔節美智子乃会師範=松原和美<南風原町>

 ※翠扇会家元=金城清一<糸満市>
 *翠扇会師範=永山マサ子<沖縄市>*翠扇会師範=阿嘉 修<沖縄市>

 ※寿宜の会家元=宜保雅子<豊見城市>*寿宜百和の会会主=具志末子<豊見城市>
 *寿宜玉章の会会主=森久美<豊見城市>*寿宜の会師範=仲吉秀子<那覇市>*寿宜の会師範=大城幸子<豊見城市>*寿宜の会師範=加藤米子<南風原町>

 ※扇寿会家元=谷田嘉子<那覇市>*扇寿会家元=金城美枝子<那覇市>
 *扇寿燈乃会会主=高江洲清勝<うるま市>*扇寿隻会会主=中島政子<那覇市>
 *扇寿聖乃会会主=金城光子<那覇市>*扇寿妙の会会主=比嘉好美<名護市>*師範=崎浜紀美子<那覇市>*師範=浦崎みゆき<浦添市>*師範=安次嶺律子<那覇市>*師範=赤嶺美智子<八重瀬町>*師範=上門加代子<八重瀬町>*師範=金城弘子<豊見城市>*師範=大城和美<那覇市>*師範=島元スエ子<糸満市>*師範=山川昭子<愛知県浦郡市>*師範=フランセツ仲地<ハワイ州ホノルル>*師範=平田真智子<那覇市>*師範=後藤礼子<那覇市>*師範=大城直江<糸満市>*師範=仲間悦子<豊見城市>*師範=上江州サキ<大阪府堺市>*師範=水野千鶴子<愛知県豊田市>*扇寿燈乃会師範=高江州房子<うるま市>*師範=小谷弘子<うるま市>*師範=高江州咲子<うるま市>*師範=根保まゆみ<うるま市>*師範=宮里 香<那覇市>
 *扇寿隻乃会師範=真喜志知子<那覇市>*富盛よしえ<那覇市>*扇寿妙の会師範=大嶺園子<名護市>*師範=渡久地 寂<名護市>*師範=平良薫<名護市>*師範=東朝子<宜野座村>*扇寿聖乃会師範=金城奈津子<那覇市>*上門加代子道場師範=生田明子<八重瀬町>
 *円の會会主=平良富士子<那覇市>*円の會師範=丹生直美<兵庫県神戸市>*円の會師範=上間玲子<大阪市住吉区>
 *てだの会家元=玉城千枝<浦添市>*てだ奏陽の会会主=當間千枝子<浦添市>*てだ伯洋の会会主=具志堅洋子<ブラジル・サンパウロ州サンシアンドレ>*てだの会師範=宮城恵子<浦添市>*てだの会師範=玉城侑香李<浦添市>*てだの会師範=石川直也<浦添市>*具志堅シゲ子<ブラジル・サンパウロ州>*てだ伯洋の会師範=仲本末子<ブラジル・サンパウロ州>

 大道勇著「琉舞手帖」は、2010年5月20日に㈲ボーダーインクから出版。
目次†第1部=古典舞踊・老人踊・若衆踊・女踊・二才踊。第2部=雑踊。第3部=創作舞踊の3部から成っている。定価(本体2400+税)。
 【舞踊家名簿】は、来週11月4日号につづく。



花盛り・琉球舞踊会その③

2010-10-21 00:20:00 | ノンジャンル
 放送屋という仕事柄、舞踊家の友人知人が少なくない。
 さる日。実になんとなく訪ねた女性舞踊家の道場。丁度、弟子のひと稽古つけたばかりの彼女は、コーヒーを馳走してくれた。ひとしきり世間ばなしをしているうち、目の前の小道具台に置いてあった「八重瀬の万歳」など、武士の道行き舞踊に用いる、フシのある竹で作られた杖グーシを取って、背中のカユミを掻いた。雷が落ちたのはその時だ。
 「何ということをするのですッ!小道具には、舞踊家の“魂”が吹き込まれているのですッ!杖グーシは、孫の手ではありませんッ!」
 平謝りに謝ったのは言うまでもない。なにごとも素人は、玄人の“魂”に勝手にふれてはいけないことを思い知った。
 さて。大道勇著「琉球手帖=初心者から上級者までの琉球舞踊解説書」から〔舞踊家名簿〕の頁を開こう。流派・研究所・動徐・会等は五十音順。2009年10月現在の調べである。3週目の転載。
       
        踊り:高宮城実人
 
 ※玉扇会玉城盛義琉舞道場 二代目家元=玉城秀子<那覇市>
 *玉扇福珠会会主=玉城静江<宜野湾市>*玉扇紀綾会会主=嘉数紀美子<那覇市>
 *玉扇千志会会主=米須千加子<宜野湾市>*玉扇泉踊会会主=嘉数好子<那覇市>
 *玉扇希友会会主=金城順子<宜野湾市>*玉扇正竹の会会主=島袋正子<豊見城市>
 *玉扇俊栄会会主=矢上俊一郎<兵庫県神戸市>*玉扇会師範=知花由美子<那覇市>
 *玉扇会師範=上原房子<糸満市>*玉扇会師範=大浜多津子<那覇市>*玉扇会師範=當山喜子<那覇市>*玉扇会師範=仲村加代子<北谷市>*玉扇会師範=与座京子<那覇市>*玉扇会師範=島由美子<宜野湾市>*玉扇会師範=佐久川順子<宜野湾市>
 *玉扇会師範=山城愛子<うるま市>*玉扇会師範=比嘉光子<中城市>*玉扇会師範=鉢嶺初枝<糸満市>*玉扇会師範=大田守邦<那覇市>*玉扇会師範=瀬底栄子<南風原町>*玉扇会師範=上地美津子<読谷村>*玉扇会師範=池宮良子<宜野湾市>*玉扇会師範=屋良節子<沖縄市>*玉扇会師範=伊波善子<兵庫県尼崎市>*玉扇会師範=金城里美<大阪府大阪市>*玉扇会師範=前田雅子<兵庫県神戸市>*玉扇福珠会師範=東江裕吉<中城村>*玉扇千志会師範=米須千恵<宜野湾市>*ブラジル支部師範=金城節子。ブラジル支部師範=城間和枝。
 ※喜納の会二代目家元=伊波正江<那覇市>
 *喜津美の会会主=伊波キヨ<南城市>*喜利の会会主=西村利江子<南城市>*喜琉の会会主=中村志津子<那覇市>*喜納の会師範=関りえ子<神奈川県川崎市>*喜納の会師範=棚原礼子<宜野湾市>*喜納の会師範=長田えり子<西原町>*喜納の会師範=上原克代<宜野湾市>*喜納の会師範=盛根朝子<うるま市>*喜納の会師範=末吉四惠<那覇市>*喜納の会師範=大城美恵子<西原町>*喜納の会師範=島袋美子<南城市>*喜納の会師範=比嘉道子<中城村>*喜納の会師範=伊波 妙<西原町>
 ※煌扇会家元=又吉啓子<浦添市>
 *煌扇潤信の会会主=石嶺信子<読谷村>*煌扇会師範=高江洌繁美<うるま市>*煌扇会師範=安里ヒロ子<うるま市>*煌扇会師範=徳門初子<うるま市>*煌扇会師範=島袋廣美<うるま市>*煌扇会師範=新城久美<浦添市>*煌扇会師範=金城文子<沖縄市>*煌扇会師範=新垣江里子<沖縄市>*煌扇会師範=新垣麻理子<沖縄市>*煌扇会師範=平良ヨシ<沖縄市>*煌扇会師範=當山スエ子<宜野湾市>
 ※七扇会家元=山城洋子<宜野湾市>
 *七扇文の会会主=知名文子<宜野湾市>*七扇正乃会会主=岸本正子<八重瀬町>
 *七扇孝寿の会会主=平岡孝子<豊見城市>*七扇常乃会会主=大城常政<北中城村>
 *七扇輝京の会会主=伊波京美<那覇市>*七扇嘉雅の会会主=嘉陽則子<那覇市>
 *七扇恵の会会主=平田エリ<西原町>*七扇こねり会会主=上地美智子<糸満市>
 *七扇会師範=新垣桂子<浦添市>*七扇会師範=宮里禮子<宜野湾市>*七扇会師範=神谷清一<八重瀬町>*七扇会師範=浜川真由美<浦添市>*七扇会師範=宮城英子<南風原町>*七扇会師範=上原稲子<今帰仁村>*七扇会師範=安里明美<北中城村>*七扇会師範=平良初子<那覇市>
 *七扇会会主=伊野波礼子<那覇市>*七扇会会主=大城ハツ子<那覇市>*七扇会師範=糸満盛幸<那覇市>*七扇会師範=安谷屋朝子<豊見城市>*七扇会師範=久場幸子<金武町>*七扇会師範=大田多恵子<国頭村>*七扇会師範=比嘉一枝<うるま市>*七扇会師範=伊波文子<那覇市>*七扇会師範=堀川和美*七扇会師範=金城みゆき<南風原町>

 10月16日。
友人の母親が97歳の生れ年<寅>を迎え、恒例の「カジマヤー祝儀」をホテルのホール で盛大に催した。母親は紅型衣装を身にまとい、ちょっと足元はおぼつかなかったが、子や嫁の手を借りながらも、ひな壇に座した姿は、神々しさすら覚えた。
さらに感動的だったのは、75歳の長男夫婦を筆頭に孫たちに10歳の曾孫が揃って舞う「かじゃでぃ風」。しかも、地謡は歌三線・琴・笛・太鼓と、すべて子や孫や嫁・婿であること。特別に芸能一家というわけでもないが、それぞれが好きで身につけた1芸。強いて言えば、嫁が正式に舞踊道場に通っていて、小さな子たちは3ヵ月かけて特訓したのだそうな。
芸能は、公けの発表会や公演でなくても日常的になされている。

  【舞踊家名簿】10月28日号につづく。

 

【花盛り・琉球舞踊】その②

2010-10-14 01:10:00 | ノンジャンル
 テレビの海外トピックス。スペインのフラメンコ・エジプトのベリーダンス・ハワイのフラダンスをまとめて紹介していた。「世界の子ども」と題して、10歳前後の子どもたちの民俗舞踊を取り上げている。
 子どもたちは皆、正式に教習してのダンスではないと伝えているが、実にツボにはまっていて大人顔負けのうまさだ。日本国内でも、徳島県の阿波踊りの行列舞いを見事にこなす児童を再三見かける。あれは、行事に合わせてわざわざ教えているのだろうか。これらは、沖縄でも普通に見る光景だ。4、5歳にもなると、いや、早い子は2、3歳からエイサーや即興舞いのカチャーシーの歌・三線を耳にすると器用に反応を示し、手を上げ、足を前後左右に運んで即興舞いをする子が実に多い。民族の血・民族のDNAのなせる業と思われるがどうか。このことの需要に応えての供給の表れのひとつが〔舞踊研究所・道場の数〕と言えよう。プロを目指す人、日常生活の中で楽しむ人。老若男女が研究所・道場の門を今日もくぐっている。
 大道勇著「琉舞手帳=初心者から上級者までの琉球舞踊解説書」から、主な研究所・道場。そして、流派、会派、舞踊家を紹介しよう。2009年10月現在調べ。先週号に続いての転載。
     
      踊り:知名剛史

 ※松含流。二代目家元=比嘉早苗<那覇市首里>
 *なをり会主宰=山入端直美<浦添市>*二ツ葉会主宰=宮良勝津美<那覇市>
 *師範=山城小百合<那覇市>*師範=比嘉智香子<那覇市>*師範=仲本ひろみ<うるま市>*師範=野原エリサ<南風原町>*師範=松川好美<那覇市>*師範=仲間江利子<浦添市>*師範=新城美佐代<宜野湾市>

 ※真踊流。代表・佳幸の会会主=宮城幸子<那覇市>*佳喜の会会主=喜納幸子<那覇市>*佳紀の会会主=安次富紀子<那覇市>*佳和の会会主=大城和子<那覇市>
 *佳瑞の会会主=瑞慶山和子<東京都多摩市>*佳麗の会会主=佐藤麗子<那覇市>
 *佳嶺の会会主=嶺井清美<浦添市>*佳藤の会会主=藤原悦子<埼玉県熊谷市>*真踊流師範=玉城昭子<那覇市>*佳喜の会師範=宮城祐子<那覇市>*佳紀の会師範=翁長律子<宜野湾市>*佳喜の会師範=入嵩西道子<浦添市>*佳喜の会師範=金城洋子<那覇市>*佳幸の会師範=知花恵子<豊見城市>。
 *世舞会会主=又吉世子<那覇市>*世舞会師範=根間教子<与那原町>*世舞会師範=金城幸子<南城市>

 ※宗家眞境名本流眞薫会。宗家=眞境名由乃<那覇市>*会長=瀬底正憲<南風原町>*眞薫直の会会主=眞境名直子<沖縄市>*眞薫結の会会主=眞境名結子<本部町> *眞薫直の会師範=仲田弥生子<宜野湾市>*眞薫直の会師範=多和田奈江子<嘉手納町>*眞薫結の会師範=仲程めぐみ<名護市>*眞薫結の会師範=仲真明美<名護市>*眞薫結の会師範=有銘澄子<本部町>*眞薫結の会師範=金城ちゑ子<本部町>

 ※玉城流。いずみ会家元=又吉静枝<那覇市>*おもろ町支部代表=又吉聖子<那覇>*いずみ会師範=真喜志恵子<那覇市>*いずみ会師範=具志幸大<那覇市>
 *糸和会家元=稲嶺盛秀<北谷町>*糸和会会主=稲嶺末子<北谷町>*糸和会師範=新垣徳子<中城村>*糸和会師範=稲嶺秀美<北谷町>*糸和会師範=稲嶺ひとみ<北谷町>。
 乙姫要乃会・二代目会主=冨里敬子<沖縄市>*乙姫要乃会師範=儀間正子<うるま市>*乙姫要乃会師範=伊舍堂千重子<那覇市>*乙姫要乃会師範=金城初枝<宜野湾市>
 *華豊の会・華豊正江の会会主=照屋正江<南城市大里>*華豊きみ子の会会主=上原生見子<糸満市>*華豊三千代の会会主=神谷三千代<浦添市>*華豊の会師範=内間みどり<南風原町>*華豊の会師範=大城初子<糸満市>*華豊の会師範=国吉垣子<糸満市>。

 「これからカラオケでもどう?」
ある出版パーティの中締めがなされたのは午後8時過ぎ。誘いをかけた知人の女性舞踊家は、にっこり答えた。
 「これから道場に戻って、自分のめの稽古をするのです。時間を調整しますから、また誘ってください」
 「エッ?師範のあたなでも、毎日稽古するの!」
 どんな世界でも、プロの道は厳しいことを知った。
 芸は「稽古を1日休むと下手になったのが自分で分かる。2日休むと同僚が分かる。3日休むと観客が分かる」と言われるのはこのことだろう。

   [舞踊家名簿]は、次週10月14日号に続く。
     


【花盛り・琉球舞踊界】その①

2010-10-07 00:50:00 | ノンジャンル
 「どちらへ?」
 「このところ、琉球舞踊の道場通いをしていてね。稽古に行くところだ」
 街中でひょっこり会って立ち話をする。
 N氏は62歳。会社社長。彼の生れ在所は沖縄本島北部・通称山原<やんばる>。毎年旧暦8月15、16には〔十五夜遊び=じゅうぐや あしび〕があり、その地域に伝わる民俗芸能を中心に、個人の舞踊・歌三線・狂言・空手などが披露される。N氏に特別の出演依頼があったわけではないが〔年に1度は、故郷で舞う〕ことをN氏は自分に課しているのだ。彼、今年は二才踊りのひとつ「前ぬ浜節=めーぬはまぶし」を踊ることにし、そのための道場通い。十五夜遊び実行委員会からの〔招待〕に応えて儀式にも参列し、さらにひと差し舞うのである。故郷を離れて何年経とうとも、他地域で活躍している人物には、招待状が届く。もちろん、招待がなくても出身者は、家族ともども故郷の行事を楽しみに行くのは、ごく普通の慣例としている。
 「琉球舞踊は、そう簡単に教わることが出来るのか」
 出来るのである。将来、舞踊家を目指す人も、たしなみとして身につけたい人も、身内の結婚披露宴の余興に間に合わせたい人も教わることができる。本土企業の長期沖縄勤務者の中には、沖縄で暮らした証として舞踊・歌三線をマスターする人たちも少なくない。それほど県内各地に歌や踊りの道場があるのだ。

踊り:座喜味米子
 
 2010年5月20日発行・大道勇著「琉舞手帖」<ボーダーインク出版>の記載を見よう。
 〔舞踊家名簿=2009年10月現在〕<*名簿は流派・研究所・道場・会など五十音順とした>としている。著者の承諾を得ての転載であることは言うまでもない。

 ※安座間本流=二代目家元 安座間明美<浦添市>
 *澄之会師範=玉里君江<浦添市>*澄之会師範=友利恵子<浦添市>*澄之会師範=大湾三瑠<浦添市>*澄之会師範=島袋節子<那覇市>*澄之会師範=伊禮末子<西原町>*喜美之会会主=伊禮門喜美子<浦添市>*喜美之会師範=神里スミ<宜野湾市>*清子之会会主=宇根清子<浦添市>*清子之会師範=久手堅一子<浦添市>*清子之会師範=金城嘉代子<浦添市>*清子之会師範=翁長春子<浦添市>*大北満之会会主=新垣満子<読谷村>*大北満之会師範=宮里春子<読谷村>*大北満之会師範=神谷みつ子<読谷村>*大北満之会師範=上地サヨ子<読谷村>*大北満之会師範=知花邦子<読谷村>*大北満之会師範=仲座悦子<読谷村>*大北満之会師範=木村清美<福岡県城南区>*大北満之会師範=山城亜矢乃<読谷村>*恵美の会会主=屋宜恵美子<中城村>*鳳舞照江之会会主=大城照江<西原町>

 ※阿波連本流啓扇会=二代目家元 阿波連蘭子<那覇市首里>
 *啓扇文幸の会会主=金城文子<那覇市首里>*啓扇紅節の会会主=屋比久節子<西原町>*啓扇南風の会会主=赤嶺秀子<南風原町>*啓扇和の会会主=知花和子<アメリカ・オハイオ州コロンブス市>*啓扇会師範=阿波連幸枝<那覇市首里>*啓扇会師範=金城幸恵<浦添市>*啓扇師範=上江洲恵子<那覇市>*啓扇会師範=阿波連京子<浦添市>*関東啓扇会師範=阿波連とも子<神奈川県川崎市>*関東啓扇会師範=米須啓子<神奈川県川崎市>
 *新垣和代琉舞道場会主=新垣和代<那覇市>*師範=饒波園代<西原町>

 ※親泊本流親扇会=家元・親泊興照 *二代目家元=親泊久玄<名護市>*代稽古・師範=親泊邦彦<名護市>
 新扇湧の会会主=親泊洋子<名護市>*新扇照志野の会会主=親泊ナミ<名護市>*師範=山本和子<名護市>*師範=又吉和子<名護市>
 ※親泊流
 *興照たつの会会主=稲嶺たつ子<名護市>*幸乃会会主=比嘉幸子<名護市>*丈芳乃会会主=比嘉丈芳<名護市>*丈芳乃会師範=宮城悠子<名護市>*丈芳乃会師範=喜屋武千賀子<本部町>*丈芳乃会師範=名嘉利子<国頭村>*丈芳乃会師範=大城清子<名護市>*八重の会会主=平 八重子<名護市>*八重の会師範=玉城美智子<名護市>*八重の会師範=登川清子<恩納村>*八重の会師範=比嘉いずみ<浦添市>*八重の会師範=新城園美<名護市>*八重の会師範=比嘉千恵子<恩納村>*良翁の会会主=親川良信<名護市>

 ※啓扇本流船乃会=家元船越節子<那覇市首里>
 *船・恵乃会会主=高里千恵子<那覇市首里>*船・恵乃会師範=儀間弘子<那覇市首里>*船・恵乃会大城博子<浦添市>*船・恵乃会師範=松田邦子<那覇市首里>

 ※島袋本流紫の会=島袋本流宗家=島袋光晴<豊見城市>
 *紫の会・三代目家元島袋秀乃<豊見城市>*紫の会師範=島袋恵美子<豊見城市>*紫の会師範=漢那七子<豊見城市>*紫の会師範=山里孝子<豊見城市>*紫扇の会会主=池城智子<那覇市>*紫風の会会主=比嘉睦江<名護市>*紫の会師範=大工富子<那覇市>*紫の会師範=花城江美子<糸満市>*紫の会師範=神城美代子<宮古島市>*紫の会師範=具志なおみ<那覇市>*紫の会師範=瀬底愛子<那覇市>*紫の会師範=新崎静子<那覇市>*紫の会師範=糸数千枝子<那覇市>*紫の会師範=前里博美<宮古島市>

 ※島袋流千尋会 琉舞・組踊・太鼓練場会主=島袋光尋<那覇市>*会主=島袋君子<那覇市>。
 *千尋会師範=比嘉政子<宜野湾市>*千尋会師範=中村正雄<宜野湾市>*千尋会師範=末吉ヤスエ<中城村>*千尋会師範=西島ゆかり<那覇市>*千尋会師範=松本なみ子<浦添市>

 ここまでで流派6。宗家1。会主22。師範53。それぞれが研究所・道場を開設。
 この〔花盛り〕は、10月14日号へつづく。