「新年午年」「初夢」「希望」「へいわ」「いろは」。
いつも通る道筋の表に習字教室があって、書き初めと思われる「書」が墨痕鮮やかに貼られている。教室のガラス戸の内側のこれらは、漢字は高学年、平仮名は低学年生のそれだろうと、勝手に想像しながら年が明けたことを実感している。
蛇足ながら・・・・。
「初夢」は一に富士、二に鷹、三になすびが縁起がいいとされるが、どうやらこれは天下を統一した徳川家康に由来するらしい。いずれも家康の出身地駿府(静岡県駿河市)の名所名物で家康がこよなく愛で好んだという。富士山は霊峰で気高く美しい日本のシンボル。鷹は大空を飛翔するさまと気性から勇猛果敢、チャレンジ精神を表す。さて「なすび」は、茄子なのだが、これを(家康のように天下人として)「名を成す」と語呂合わせしたとする説がある。
「どうせ生きるなら徳川家康にならって、どの道も天下を取ろう」。
こうした(夢)を江戸を中心とした人びとは元旦、あるいは2日の夜に見て新年の希望としたのだろう。しかし、沖縄にはこれに当たる(夢の肖り)はない。
さて。今月の「いろは歌留多」は「め」から。
※【め】
読み札=めー くし ふぃじゃゐ にじり
取り札=前 後ろ 左 右
前後左右。これは方角だけを指すのではない。慣用句にも「傍 構んな 前ぇ しぇーきり=すば かむんな めー しぇーきり」がある。
(何事も)自分のやるべきことを前向きに成せ。余計なことに気を取られるな。自分の成すべきことを最優先にして、他事に構うなと奨励している。
「左」は「ふぃじゃい」とも「ひじゃい」とも言う。また「め」は「み」に変化する音も多い。*目=みー。*面倒=みんどう。*(魚)メダカ=みだかー。みーだかー。*綿=みん。*素麺=そうみん。などなど。
※【み】
読み札=新いさ 香ばさ 誰んまし(みーさ かばさ たーぁんまし)
取り札=新しいもの 香りのいいもの 誰もが好む
着衣、道具などなど。新しいものを好み欲するのは、誰しもが持つ心情であろう。俗に「女房と畳は新しいほどよい」というが、さてそれはどうか。男どもがのたまった一方的俗語だろう。古いものにもいいものはある。先人は言う「過去を振り返ることは後退ではない。よりよい未来を創り出す思考の前進である」。温故知新ということか。
※【し】
読み札=しーじゃ うっとぅ かながなとぅ
取り札=兄 弟 愛し合い
「しーじゃ」は血縁の兄姉。「うっとぅ」は弟妹を意味するが、実の兄姉弟妹のように親しくしている人にも「しーじゃ、うっとぅ」は使う。つまり、男女とも年上を「しーじゃ」年下を「うっとぅ」と呼ぶ。年上、年下をはっきりさせるために「ゐきがしーじゃ(男年上)ゐなぐしーじゃ(女年上)ゐきがうっとぅ(男年下)ゐなぐうっとぅ(女年下)と、性別をかぶせる。また、兄=やっちー。姉=んーみーと呼称。一般的に「うっとぅ」は弟、妹には「ゐきー・ウィキー」と言う。「「うぃきー・ゐきー」はWUなぐ=女姉妹を意味する古語=の転語とされる。
※【ゑ】
読み札=ゑくば 可愛い 女の子
取り札=ふーくぶん(頬窪み) すーらーさ ゐなぐ童
例を出すのにさあ、困った。五十音の中から「ゑ」がなくなっているからだ。かつては、絵の具を「ゑのぐ」映画を「ゑいが」と書いたものだが、今は「え」に統一されている。しかし、「ゑ」へのこだわりか、現在でも女性の名前に、いくゑ。かずゑ、まりゑなどを見ることがある。かつての映画女優に利根はるゑがいたし、新劇の女優にも日色ともゑがいる。
よく発音してみると「え」と「ゑ」は微妙に異なる。「ゑ」と発音した語句を拾い集めてみませんか。ゑびす、ゆゑん(由縁)。
※【ひ】
読み札=ひーたー ぬくぬく 要った物(いったむん)
取り札=防寒着 温く温く 重宝なもの
ひーたーは、着衣の上に羽織る「ちゃんちゃんこ」の1種。綿入りー=わたいりー=とも言う。殊に寒さに弱い年配者や赤子をおぶってあやす子守りが重宝した。大抵は袖はなく、あっても五部七分程度の長さ。両手が自由に使えるように工夫したと思われる。また「ひーたー」の1種に「ふくたー」がある。ふくたーは、着古した着物の生地・ぼろ布を指すが、そのぼろ着を幾重にも重ねて裁縫して仕立てた防寒着のこと。袖も長く温かい。布団の代用としても重宝した。「ふくたー」はほかに「海ふくたー」があって漁師が着用。いまでも糸満漁港になどへ行けば見ることができる。
髭面の漁師が使い古したタオルを無造作に頭に巻いて、海ふくたーを着、腕を組んでくわえ煙草のまま、冬の海の波や風をジッと読んでいるさまは、まさに一幅の絵。いかにも海ん人(うみんちゅ・漁師)然として生活感があり逞しい。この魅力は多くの画家、写真家がものにしている。
沖縄は新旧ふたつの正月を祝う。
新暦のそれを「大和正月=やまとぅ そうぐぁち」と言い、旧暦を「沖縄正月=うちなぁ そうぐぁち」とする。亜熱帯のこの地の農業は、漁業は旧暦が適しているからだ。今年は「正月二ちゃー=そうぐぁち たーちゃー」に当たり、この1月は「大和正月」と「沖縄正月」をする。因みに「沖縄正月」は、1月31日である。
※1月下旬の催事。
*第5回 ひまわり IN 北中城
期間:1月26日~2月24日
*第8回 海洋博公園美(ちゅ)ら海花まつり
期間:1月26日~2月24日
場所:沖縄海洋博公園
*第51回 名護さくら祭り
期間:1月25日(土)~1月26日(日)
場所:名護中央公園
いつも通る道筋の表に習字教室があって、書き初めと思われる「書」が墨痕鮮やかに貼られている。教室のガラス戸の内側のこれらは、漢字は高学年、平仮名は低学年生のそれだろうと、勝手に想像しながら年が明けたことを実感している。
蛇足ながら・・・・。
「初夢」は一に富士、二に鷹、三になすびが縁起がいいとされるが、どうやらこれは天下を統一した徳川家康に由来するらしい。いずれも家康の出身地駿府(静岡県駿河市)の名所名物で家康がこよなく愛で好んだという。富士山は霊峰で気高く美しい日本のシンボル。鷹は大空を飛翔するさまと気性から勇猛果敢、チャレンジ精神を表す。さて「なすび」は、茄子なのだが、これを(家康のように天下人として)「名を成す」と語呂合わせしたとする説がある。
「どうせ生きるなら徳川家康にならって、どの道も天下を取ろう」。
こうした(夢)を江戸を中心とした人びとは元旦、あるいは2日の夜に見て新年の希望としたのだろう。しかし、沖縄にはこれに当たる(夢の肖り)はない。
さて。今月の「いろは歌留多」は「め」から。
※【め】
読み札=めー くし ふぃじゃゐ にじり
取り札=前 後ろ 左 右
前後左右。これは方角だけを指すのではない。慣用句にも「傍 構んな 前ぇ しぇーきり=すば かむんな めー しぇーきり」がある。
(何事も)自分のやるべきことを前向きに成せ。余計なことに気を取られるな。自分の成すべきことを最優先にして、他事に構うなと奨励している。
「左」は「ふぃじゃい」とも「ひじゃい」とも言う。また「め」は「み」に変化する音も多い。*目=みー。*面倒=みんどう。*(魚)メダカ=みだかー。みーだかー。*綿=みん。*素麺=そうみん。などなど。
※【み】
読み札=新いさ 香ばさ 誰んまし(みーさ かばさ たーぁんまし)
取り札=新しいもの 香りのいいもの 誰もが好む
着衣、道具などなど。新しいものを好み欲するのは、誰しもが持つ心情であろう。俗に「女房と畳は新しいほどよい」というが、さてそれはどうか。男どもがのたまった一方的俗語だろう。古いものにもいいものはある。先人は言う「過去を振り返ることは後退ではない。よりよい未来を創り出す思考の前進である」。温故知新ということか。
※【し】
読み札=しーじゃ うっとぅ かながなとぅ
取り札=兄 弟 愛し合い
「しーじゃ」は血縁の兄姉。「うっとぅ」は弟妹を意味するが、実の兄姉弟妹のように親しくしている人にも「しーじゃ、うっとぅ」は使う。つまり、男女とも年上を「しーじゃ」年下を「うっとぅ」と呼ぶ。年上、年下をはっきりさせるために「ゐきがしーじゃ(男年上)ゐなぐしーじゃ(女年上)ゐきがうっとぅ(男年下)ゐなぐうっとぅ(女年下)と、性別をかぶせる。また、兄=やっちー。姉=んーみーと呼称。一般的に「うっとぅ」は弟、妹には「ゐきー・ウィキー」と言う。「「うぃきー・ゐきー」はWUなぐ=女姉妹を意味する古語=の転語とされる。
※【ゑ】
読み札=ゑくば 可愛い 女の子
取り札=ふーくぶん(頬窪み) すーらーさ ゐなぐ童
例を出すのにさあ、困った。五十音の中から「ゑ」がなくなっているからだ。かつては、絵の具を「ゑのぐ」映画を「ゑいが」と書いたものだが、今は「え」に統一されている。しかし、「ゑ」へのこだわりか、現在でも女性の名前に、いくゑ。かずゑ、まりゑなどを見ることがある。かつての映画女優に利根はるゑがいたし、新劇の女優にも日色ともゑがいる。
よく発音してみると「え」と「ゑ」は微妙に異なる。「ゑ」と発音した語句を拾い集めてみませんか。ゑびす、ゆゑん(由縁)。
※【ひ】
読み札=ひーたー ぬくぬく 要った物(いったむん)
取り札=防寒着 温く温く 重宝なもの
ひーたーは、着衣の上に羽織る「ちゃんちゃんこ」の1種。綿入りー=わたいりー=とも言う。殊に寒さに弱い年配者や赤子をおぶってあやす子守りが重宝した。大抵は袖はなく、あっても五部七分程度の長さ。両手が自由に使えるように工夫したと思われる。また「ひーたー」の1種に「ふくたー」がある。ふくたーは、着古した着物の生地・ぼろ布を指すが、そのぼろ着を幾重にも重ねて裁縫して仕立てた防寒着のこと。袖も長く温かい。布団の代用としても重宝した。「ふくたー」はほかに「海ふくたー」があって漁師が着用。いまでも糸満漁港になどへ行けば見ることができる。
髭面の漁師が使い古したタオルを無造作に頭に巻いて、海ふくたーを着、腕を組んでくわえ煙草のまま、冬の海の波や風をジッと読んでいるさまは、まさに一幅の絵。いかにも海ん人(うみんちゅ・漁師)然として生活感があり逞しい。この魅力は多くの画家、写真家がものにしている。
沖縄は新旧ふたつの正月を祝う。
新暦のそれを「大和正月=やまとぅ そうぐぁち」と言い、旧暦を「沖縄正月=うちなぁ そうぐぁち」とする。亜熱帯のこの地の農業は、漁業は旧暦が適しているからだ。今年は「正月二ちゃー=そうぐぁち たーちゃー」に当たり、この1月は「大和正月」と「沖縄正月」をする。因みに「沖縄正月」は、1月31日である。
※1月下旬の催事。
*第5回 ひまわり IN 北中城
期間:1月26日~2月24日
*第8回 海洋博公園美(ちゅ)ら海花まつり
期間:1月26日~2月24日
場所:沖縄海洋博公園
*第51回 名護さくら祭り
期間:1月25日(土)~1月26日(日)
場所:名護中央公園