旬刊・上原直彦 「浮世真ん中」の内『おきなわ日々記』」アーカイブ版

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「おきなわ日々記」2012年11月20日用

2012-11-20 00:10:00 | ノンジャンル
 ※「ミス北中城コンテスト」
 ミス・コンテストとは言っても「長寿の村」をアピールするための、年齢制限80歳以上が選考基準だ。
 この取り組みは北中城村が、女性の長寿・日本一であることに因んで、村の福祉祭りのイベントとして2年前から実施している。
 10月27日。2012年の“ミス”が選ばれ、新垣邦男村長から認定証を受けた後、、去年選出の“美女”から『ミス・きたなかぐすく』と鮮やかに書かれたタスキを引き継いだ。
 今年選ばれたのは、崎原峰子さん90歳、山内春子さん80歳、城間春子さん84歳の3人。
 それぞれの喜びの声。
 崎原峰子さん=皆さんの前でお披露目されて嬉しい。
 山内春子さん=生まれて初めてのこと。皆さんのおかげです。
 城間春子さん=晴れがましいが最高!
 「元気の秘訣は、三度三度の食事をちゃんと摂ること。80歳を越えてから“ミス”と言われて、4,5歳若くなった気持ち」
 と、異口同音の感想を述べていた。
 3人は、これから1年間、村の広報活動などを通して『健康・長寿』をアピールすることになる。
     
       沖縄タイムスより

 ※「粋な言葉の切り返し」
 長生きすると、酸いも甘いもなめ尽くしてきたせいか、なんということでもない会話にも、粋な言葉の切り返しを巧みに発揮する。
 かつて、筆者が名護市呉我山の共同売店で出会った老婦。どう見ても90歳前後。それとなく聞いてみた。
 「お幾つですか」
 「歳を聞いてどうするの。口説こうたって、私には爺さんがいるよ。歳?そうね、60歳を越えてから、しばらくなるねぇ」
 また、
 浦添市仲間の畑で話しかけた老爺にも、同じことを問い掛けたことがある。筋肉の付き具合が筆者より勝っていた。
 「お幾つですか」
 ニコリとした返事はこうだ。
 「キミよりは、ちょいと早生まれ。そうさなぁ、実年齢・・・・100歳には、まだ間がある」
 この老爺も、90歳をひとつふたつ出ていると見ていたのだが・・・・。
 「私も高齢になったら、こんな言葉選びができるのだろうか。酸いも甘いも、ただなめただけで、噛み締め味わうことをせず、過ごしてきたものなぁ」
 ちょいと、後悔と寂しさが脳裏をかすめた。

 ※11月後半の行事。
 ◇22日~25日。
 *協働のまちづくりin壷屋陶器まつり〈那覇市立壷屋小学校〉
 ◇23日~25日。
 *離島フェア=物産展=〈沖縄セルラーパーク那覇〉
 ◇24日~25日。
 *沖縄国際カーニバル〈コザゲート通りほか〉
 ◇25日。
 *おきなわホームソング合唱祭〈宜野湾市民会館〉
 ◇30日。
 *ミス・ユニバース・ジャパン沖縄県大会〈読谷村立文化センター〉

       

旬刊・上原直彦「浮世真ん中」の内=【うちなぁ日々記】

2012-11-10 01:14:00 | ノンジャンル
 ※10月21日。秋晴れ・。
 第52回「ミス・インターナショナル世界大会in沖縄2012」の決勝大会が、那覇市奥武山武道館で行われた。沖縄大会は、37年ぶりの開催で69ヵ国・地域代表が参加。本土復帰40周年の記念行事という位置づけであった。結果、日本代表で佐賀県出身のモデル・吉松育美さん〈25〉が、1位に輝いた。同大会における日本人の優勝は初めてということだ。
 吉松育美さんは、報道関係者が選ぶ特別賞「ミス・フォトジェニックス賞」も受賞。吉松さんのコメント。
 「この大会は、日本人は優勝できないと言われていた。審査発表で“ミスジャパン!”とコールされた瞬間は、夢のようだった」。そして、
 「訪問した各地で沖縄の人に温かい声援をいただいたのが嬉しかった」
 そうコメントすることも忘れなかった。
 吉松さんには賞金200万円などが贈られた。

 ※沖縄初の美人投票。
 ミス・コンテストは、参加者を募って審査するのではなく、あらかじめ候補者を立てた後、一定期間をおいて投票し、選出していた。
 丁度100年前の明治45年〈1912〉、琉球新報社が主催した「美人投票」の主旨はこうだ。
 「いつも裃〈かみしも〉ばかり着けていては肩が凝る。時にはグッとくだけたことをやってみようではないか」。
 もちろん「部数拡張」の意図もあった。
 ただし、投票の対象になる“美人”は一般女子ではなく、県下の料亭、料理やの芸妓・舞妓・酌婦に限られていた。他薦自薦である。この紙上広告は大反響を呼び、那覇っ子をはじめ、色気づいた小学生、中学生までが、発表される投票の累計を注目していた。しかし、一方には「金持ちの道楽。かげに大金が動いている投票は即、排斥すべし」「醜業婦の提灯持ちをするとは何事ッ」と、反発する向きもあった。
 それでも正月から始まって3月に終了した投票総数は22万4069票。結果、最多得票8万448票を得て1等になったのは、那覇の有力支援者を持った遊郭〔辻・チージ〕の芸妓山桝カメ。本土から渡ってきた大和芸者〔ヤマトゥゲイサ〕33人、地方料理屋の芸妓、酌婦を押さえての堂々たる1等だった。辻遊郭からは161人が立候補していたという。
 1等の山桝カメには、ダイヤモンドの指輪と賞金50円が贈られた。
      

 しばらく前の話。
 本土の芋の産地で知られる某県某所で名産の芋をPRするために「ミス・芋娘」コンテストを実施したが、主催者側に強制されて渋々手を上げた2人のみで、一般の応募はなかったそうな。芋侍、芋野郎、芋姉ちゃんなどという芋に対するイメージがよくなかったのか。若い女性のプライドが名乗りを控えさせたのだろう。
 この例をパクッて、沖縄の某村の祭りの企画に「ミス・ぶす」なるものを乗せたが、女性企画員の猛反対があって、企画倒れした例がある。本音のところで「自分はブス」と思っている女性は、ひとりもいないのだろう。
 ところで。
 ミス・インターナショナルのテレビでの発表を古女房と観ながら、
 「いつの世も美人は得だなぁ」
 と、つぶやいたことだが、古女房はなぜかそっぽを向いて機嫌を悪くした様子・・・。
 外はぬけるような秋晴れ。わが家の中には秋風が流れこんできた。

   

番外編【うちなぁ日々記】

2012-11-01 00:10:00 | ノンジャンル
 まずは言い訳。
 脊椎症性脊髄症の手術を5月10日に受けた。3週間の入院後、6月4日には放送現場に復帰したものの、左足指と左手指に痺れ感が残っていてリハビリ中である。この痺れ感がくせもので、朝夕ストレスに悩まされる。そうなると、いささか集中力を欠如し、従来通りの資料集めや原稿用紙を埋めることさえ億劫になる。と言って11年継続してきた「浮世真ん中」の筆を折るのは、いかにも口惜しい。
 そこで「樂」を選択した。[番外編・うちなぁ日々記=にちにちき]と称して、今日的な沖縄の日々を日記風に綴ることにしたのである。大した情報は提供はできないと、いまから思うのだが、何らかの形で[世間と関わっていたい]。この思い断ちがたく、拙分を私的視点で発信したいのである。
 新聞にたとえるならば、1面や経済面のそれではなく、3面記事や地方版を勝手ながら上原流に解釈して、読者諸氏と共有していきたい。それが、どの程度の意味をもつか。そこいらは存念の外に置いて、沖縄の日々を書いていく所存。気軽に笑読いただければ、ありがたく!ありがたく・・・。

 ※10月21日=日曜日=秋晴れ。
 旧暦9月7日。この日は、伝統的な長寿祝い「かぢまやー」が各地で催された。生まれ年を8回りさせた長寿者の祝儀式。「かぢまやー」には、2つの意味があって、100歳になる前に、盛大な祝儀を成し「孵でぃー替ぁゐんしでぃー かぁゐん=孵化仕直す」の願望を込めて、生地の集落の7つのカジマヤー=辻・十字路・三叉路=や7つの橋をこれまでの人生の道程に見立てて渡り、精気を取り戻すという意味と、いま1つは故事の「高齢になるに従って童に還る」に習って、幼児の玩具カジマヤー=風車=を自らも持ち、人々にも配って祝儀をするのである。
 この日のラジオニュースは、つぎのように伝えている。
 「旧暦9月7日は、数え年97歳のお祝いカジマヤーで、県内各地でパレードなど長寿を祝う催しが開かれました。このうち、今帰仁村では、玉城マツさんが、たくさんの子や孫に囲まれてお祝いが行われました。
 マツさんには97人の子や孫、曽孫がいますが、来年1月には98人目となる曽孫が誕生します。
マツさんは“また曽孫が増える!”と、嬉しそうに話していました。
 県内では、男性181人、女性946人の合わせて1127人が今年、カジマヤーを迎えています」

10月31日沖縄タイムスより

 ユダヤ系アメリカ人の作家サムエル・ウルマンは著書「青春とは」に、書いている。
 「真の青春とは 若き肉体にあるのではなく 若き精神の中にこそある 薔薇色の頬は強い意志 もえあがる情熱 そういうものがあるかないか〈略〉
臆病な精神のなかに青春はない 大いなる愛のために発揮される勇気と冒険心のなかにこそ 青春はある 臆病な二十歳がいる 既にして老人 勇気ある六十歳がいる 青春まっただなか 歳を重ねただけで 人は老いない 夢を失ったとき精神はしわだらけになる〈略〉 
勇気とほほえみを忘れず いのちのメッセージを受信しつづけるかぎり あなたはいつでも 青年」
 サムエル・ウルマンの青春論。実に納得!しかし、一方で「理屈としてはネ」と、溜息をもらしてしまうのは、私が立派で完璧な“臆病な老人”になった証明だろうか。でも、老いを笑い飛ばすことは、まだ出来る。

 “老いぬれば頭は禿げて目はくぼみ 腰はまがりて足はひょろひょろ

           2012年10月29日記