秘密めいた話を小耳にはさむと、誰かに話したくなるのは人情だ。まして「誰にも言わないでねっ」と前置きされて聞くはなしは(絶対言わないっ。口が裂けてもっ)と約束しながら、物言わぬは腹膨るる思いなりで、いずれ誰かに話してしまう。人間、もともと意志薄弱なのかも知れない。
万葉集の1首にも、‟忍ぶれど色に 出にけり我が恋は ものや思うと人の問うまで”とあって、本人でさえ(誰にもさとられまい!誰にも言うまい)と胸にしまうなだが、えってそれが顔色に出て他人の知るところとなる例が少なくない。
西洋にも「一人に話したことは即日、百人が知る」という諺があって、まさに、1度口から出したものは2度と飲み込めない道理である。
日常でもよくある会話だが、誰かが「キミも知っているA雄ね。妻子もありながら・・・いやいやいや、この話は聞かなかったことにしてくれ」。そう打ち明けられると、蛇の生殺しで、どうしても真相を聞きたくなる。
「知らなければそれでよかったものを、キミが口火を切ったことだ。ちゃんと結末まで言えよ。言えないことは初めから口にするなっ」と口論になり、不仲になって(信用失墜)したという例を私は知っている。愛嬌程度で済まされればいいのだが・・・・。
琉球狂歌にいわく。
◇聞かさんぱすしや ゆくん聞ちぶさぬ 見しらんぱすしや 開らち見ぶさ
《ちかさんぱ すしや ゆくん ちちぶさぬ みしらんぱ すしや ふぃらち みぶさ》
歌意=聞かせたくないとする話は、余計聞きたくなる。見せまいとするモノは、強制的にでも開いて中身をみたい。
*聞かさんぱー=語ることを拒むさま。*見しらんぱー=見せたがらないさま。
久保田吉盛(くぼた きちせん)作詞作曲の「誰にん言なようやー・誰にも言うなよ」は、饒辺勝子が歌ってヒットした俗謡だ。バックメンバーがまたいい。
三線=久保田吉盛。前川守賢。ギター=知名定男。マンドリン=知名定照。ベース=玉城守。ピアノ=玉栄昌昭。Eギター=照屋林賢。
♪親にん誰ぁにん言ららんしが 汝ぁんかいどぅ 頼まりる
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=親にも誰にも言えないことを、親友の貴女一人に語るのだ。頼りにするのだ。けれどもこのことは誰にも言わないで!語ってはならないよ。
♪我が思い アリ(彼氏)に打ち明きてぃとぅらしぇー
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=私が彼に好意をもっていることを、あなたから彼に告げてはくれまいか。自分では告白できないのよ。けれども、他人には知れないようにね。
♪またとぅ無らん 我が頼み 恩義や何時までぃ 忘らんくとぅ
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=またとない!2度となかろう私の頼みごと。その恩義は一生わすれないから。けれども誰にも言わないでね。語らないでね。
♪恥かさ恥かさ そーちーねー 思いや何時までん 届かんむん
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=羞恥心にまけて何にも言わないと、想いは彼に届かない。だからお願いするのよ。けれども誰にも言わないでね。語らないでね。
♪ありくり 誰にん寄しららん 女ぬ年頃なてぃくりば
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=(恋をしたから)といって誰にも彼にも話すわけにはいかないのが、年頃になった女心。分かるでしょう?けれども、恋の橋渡しをしたなんて、誰にも言わないでね、他言しないでね。
高校2年生だった。
与那嶺忠雄という友人が他校の女生徒に一目惚れした。ケータイもスマホもないどころか、固定電話も一般家庭には普及していない時代。「告白」は相手に面と向かってするか、ラブレターに頼る他はない。与那嶺はボクに泣きついてきた。
「ラブレターの代筆を頼む。しかし、そのことはハップがさないでくれ」。
つまり、誰にもバラさないで・他言無用、内緒で頼む!ときた。
ボクは興味深く約束し、月に3度ほどのラブレターを代筆し、それが功を奏して、二人の恋は成就した。与那嶺には学校前の「なかよし食堂」の沖縄そばを奢ってもらった。
ボクは口が固いので知られている。
以前はボクにも秘密の恋ばなしも多々あったが、噂があっても誰の口にものぼらないということは、逆に味気ないもの・・・。いまかららでも「誰にも言わないでッ!」の噂を立てたいと願望するのだが、なにしろ相手探しが困難だ。この先、生きているうちに1度は人知れず言ってみたいセリフがある。
「ボクの最後の恋人になってはくれまいか」。
万葉集の1首にも、‟忍ぶれど色に 出にけり我が恋は ものや思うと人の問うまで”とあって、本人でさえ(誰にもさとられまい!誰にも言うまい)と胸にしまうなだが、えってそれが顔色に出て他人の知るところとなる例が少なくない。
西洋にも「一人に話したことは即日、百人が知る」という諺があって、まさに、1度口から出したものは2度と飲み込めない道理である。
日常でもよくある会話だが、誰かが「キミも知っているA雄ね。妻子もありながら・・・いやいやいや、この話は聞かなかったことにしてくれ」。そう打ち明けられると、蛇の生殺しで、どうしても真相を聞きたくなる。
「知らなければそれでよかったものを、キミが口火を切ったことだ。ちゃんと結末まで言えよ。言えないことは初めから口にするなっ」と口論になり、不仲になって(信用失墜)したという例を私は知っている。愛嬌程度で済まされればいいのだが・・・・。
琉球狂歌にいわく。
◇聞かさんぱすしや ゆくん聞ちぶさぬ 見しらんぱすしや 開らち見ぶさ
《ちかさんぱ すしや ゆくん ちちぶさぬ みしらんぱ すしや ふぃらち みぶさ》
歌意=聞かせたくないとする話は、余計聞きたくなる。見せまいとするモノは、強制的にでも開いて中身をみたい。
*聞かさんぱー=語ることを拒むさま。*見しらんぱー=見せたがらないさま。
久保田吉盛(くぼた きちせん)作詞作曲の「誰にん言なようやー・誰にも言うなよ」は、饒辺勝子が歌ってヒットした俗謡だ。バックメンバーがまたいい。
三線=久保田吉盛。前川守賢。ギター=知名定男。マンドリン=知名定照。ベース=玉城守。ピアノ=玉栄昌昭。Eギター=照屋林賢。
♪親にん誰ぁにん言ららんしが 汝ぁんかいどぅ 頼まりる
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=親にも誰にも言えないことを、親友の貴女一人に語るのだ。頼りにするのだ。けれどもこのことは誰にも言わないで!語ってはならないよ。
♪我が思い アリ(彼氏)に打ち明きてぃとぅらしぇー
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=私が彼に好意をもっていることを、あなたから彼に告げてはくれまいか。自分では告白できないのよ。けれども、他人には知れないようにね。
♪またとぅ無らん 我が頼み 恩義や何時までぃ 忘らんくとぅ
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=またとない!2度となかろう私の頼みごと。その恩義は一生わすれないから。けれども誰にも言わないでね。語らないでね。
♪恥かさ恥かさ そーちーねー 思いや何時までん 届かんむん
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=羞恥心にまけて何にも言わないと、想いは彼に届かない。だからお願いするのよ。けれども誰にも言わないでね。語らないでね。
♪ありくり 誰にん寄しららん 女ぬ年頃なてぃくりば
やしがよー 誰にん言なよーやー 語んなよー
歌意=(恋をしたから)といって誰にも彼にも話すわけにはいかないのが、年頃になった女心。分かるでしょう?けれども、恋の橋渡しをしたなんて、誰にも言わないでね、他言しないでね。
高校2年生だった。
与那嶺忠雄という友人が他校の女生徒に一目惚れした。ケータイもスマホもないどころか、固定電話も一般家庭には普及していない時代。「告白」は相手に面と向かってするか、ラブレターに頼る他はない。与那嶺はボクに泣きついてきた。
「ラブレターの代筆を頼む。しかし、そのことはハップがさないでくれ」。
つまり、誰にもバラさないで・他言無用、内緒で頼む!ときた。
ボクは興味深く約束し、月に3度ほどのラブレターを代筆し、それが功を奏して、二人の恋は成就した。与那嶺には学校前の「なかよし食堂」の沖縄そばを奢ってもらった。
ボクは口が固いので知られている。
以前はボクにも秘密の恋ばなしも多々あったが、噂があっても誰の口にものぼらないということは、逆に味気ないもの・・・。いまかららでも「誰にも言わないでッ!」の噂を立てたいと願望するのだが、なにしろ相手探しが困難だ。この先、生きているうちに1度は人知れず言ってみたいセリフがある。
「ボクの最後の恋人になってはくれまいか」。