本部町、今帰仁村、名護市の桜は1月中旬には咲き「まつり」も終盤。ほとんど同時に名護市源河からは「梅の満開」の便り。
沖縄では「梅まつり」はそうそうないが、源河の梅は地内の通称オーシッタイ(大湿地帯)を1990年に開拓し、アスファルト道路を通した際、それを記念して自治会が70本の苗を植栽したことに始まる。いまでは、この時季の風物詩として梅見客が愛でている。それを追うかのように北中城村安谷屋、荻堂、喜舎場にまたがる畑地には向日葵が咲き「日本一早いヒマワリ祭りin北中城」を開催、地域の活性化につなげている。まさに春隣り・春近しを実感する。
この「春隣り」を詠んだ琉歌がある。
♪寝覚み驚ちに 誰が袖ゆ思みば 庭に咲く梅ぬしゅらし 匂い
<にぢゃみ うどぅるちに たがすでぃゆ とぅみば にわにさく んみぬ しゅらし にうい >
詠者は本部朝救=もとぶ ちょうきゅう(1741~1814)。尚敬王~尚穆王時代の歌人。地方を治める官名(按司・あじ)に任命された人物。
歌意=春の暁。熟睡の中、得も言えぬ匂いにハッと驚き目覚めた。誰か添い寝をした女性の着物の袖の移り香か?やおら起きて匂いのもとを確かめてみると、女性の移り香にあらず。我が家の庭の梅が放つ匂いではないか。なんとかぐわしいことか。目覚めも快なり!快なり。春はすぐ隣まで来ているのだ。
そうした状況の中で目覚めたとするならば、俗物の私なぞ、慌てふためき(逃げ仕度)が先で「誰の移り香!」生臭く慌てふためくのが精いっぱい。梅の香りには気もいかないだろう。まして(春隣り)を感じ取ることなぞできない。本部朝救の歌人たる風雅。凡人には、こうはまとめられない。
芥川賞作家大城立裕氏は「文字による琉歌は文学である。その琉歌が三線に乗り歌われた時、琉歌は芸能として親しまれる」という意味のことを記している。読者諸氏も琉歌を詠み(文学)となし、節歌にして歌い(芸能)となすことをお薦めする。
そして、桜、梅、向日葵に次いで春隣りよりももっと近くに(春)を引き寄せるのは「三線の音」。
3月4日は第22回「ゆかる日まさる日さんしんの日」。
この日、RBCiラジオは正午前、11時45分から夜9時まで沖縄中の、いや、世界中の琉球三線の音を響かせて、これまた世界中に発信する。主会場は三線の祖とされる「赤犬子=あかいんこ。地元では、アカヌクー・アカンクー」生誕の地・読谷村立文化センター鳳ホール。そこには県内の宮廷音楽奏者、島うたの歌者、舞踊家300名余が結集して春を呼ぶ。インターネットでも中継。音声や映像を発信する9時間15分の一大イベントである。毎回県外からのゲスト出演、例えば永六輔、加藤登紀子、津軽じょんがら奏者、九州に継承される三絃楽器・宮崎県のゴッタン奏者等々が彩りを添えたが、今回は台湾の三絃楽器数種と奏者を招聘して実演する
因みに番組は3部からなり、多くの方に(三線を7共有)していただくために各部入場整理券を発行、配布中。問い合わせはRBCiラジオ「さんしんの日事務局」。インターネット検索の上、来場いただければ幸い。
なにしろ生放送。いろんなアクシデントが発生する。
*歌者古謝美佐子の場合。
前日まで福岡でライブをしていた。朝一番の飛行機に乗れば、出演時間には十分間に合うことになったが、ダイヤに乱れが生じて遅延。楽屋入りは実に出番30分前。慌てたのはスタッフ。もっとあたふたとしたのは当人古謝美佐子。那覇空港から直行!旅装を解く間もあらばこそ!喉を潤しただけでマイクの前。「童神」を熱唱した。もちろん、ノーメイク。長い髪にもブラシは入っていない。そうしたシーンは司会者にとっておいしい。彼女の楽屋入り遅延の裏話と理由を説明。
「ノーメイクの上、普段着、風に煽られた乱れ髪は堪忍して下さい。かくかくしかじかの事情がありました。まあ、考えようによっては、古謝美佐子のスッピンを間近で見れて、この時間来場の皆さんは儲けものでした」。
このフォローには大きな拍手があり、楽屋にかえった彼女を再び呼び出して挨拶してもらったところ、これまた大喝采!計算外の番組演出効果を上げた。
*嘉手苅昌林の場合。
第2回目の「さんしんの日」。琉球大学工学部が開発した「ロボット三線」を登場させた。琉球音楽の三線譜「工工四」をインプットすると、寸分の狂いなく、完璧な演奏をする。そのロボット三線と嘉手苅昌林とのジョイントを試みた。曲節は「かぢゃでぃ風節」。メカと生身の競演とあって会場、関係者か固唾を飲んで注目する中、演奏は終わった。感想を求められて嘉手苅昌林いわく。「機械がやることだから、ヌーぬフギんねーん・・・・しかし・・・・何の不備もない工工四通りの音ではあるが、しかし、演奏は人と三線の呼吸でなすもの。ロボットには呼吸がない。正確ではあるが歌の血が通っていない。やはり、三線は人とが弾いて心を伝えなければねぇ。でも、開発した大学の皆さん、ご苦労さん」。
労をねぎらったコメントに会場からは、不思議な拍手が起きた。
もちろん、ロボットは「三線演奏」のみのために開発されたのではない。その繊細な機能は工業、医療などの場で発揮されているに違いない。
春隣り。
桜、梅、向日葵、さんしんの日。それを追って登場する花はつつじ。
女子プロゴルファー宮里藍の出身地東村のつつじ園には、色とりどりの5万本のつつじが開花を待っていて、3月半ばに見ごろを迎える。本土の方々には申し訳ないが、沖縄人はちょいとお先に春を楽しみます。乞う容赦。
※3月中旬の催事。
*第8回 伊江島ハイビスカス祭り
期日:2月8日(土) ~2月23日(日)
場所:伊江島ハイビスカス園
*第22回 2014おきなわマラソン
期日:2月16日(日)
場所:沖縄県総合運動公園
沖縄では「梅まつり」はそうそうないが、源河の梅は地内の通称オーシッタイ(大湿地帯)を1990年に開拓し、アスファルト道路を通した際、それを記念して自治会が70本の苗を植栽したことに始まる。いまでは、この時季の風物詩として梅見客が愛でている。それを追うかのように北中城村安谷屋、荻堂、喜舎場にまたがる畑地には向日葵が咲き「日本一早いヒマワリ祭りin北中城」を開催、地域の活性化につなげている。まさに春隣り・春近しを実感する。
この「春隣り」を詠んだ琉歌がある。
♪寝覚み驚ちに 誰が袖ゆ思みば 庭に咲く梅ぬしゅらし 匂い
<にぢゃみ うどぅるちに たがすでぃゆ とぅみば にわにさく んみぬ しゅらし にうい >
詠者は本部朝救=もとぶ ちょうきゅう(1741~1814)。尚敬王~尚穆王時代の歌人。地方を治める官名(按司・あじ)に任命された人物。
歌意=春の暁。熟睡の中、得も言えぬ匂いにハッと驚き目覚めた。誰か添い寝をした女性の着物の袖の移り香か?やおら起きて匂いのもとを確かめてみると、女性の移り香にあらず。我が家の庭の梅が放つ匂いではないか。なんとかぐわしいことか。目覚めも快なり!快なり。春はすぐ隣まで来ているのだ。
そうした状況の中で目覚めたとするならば、俗物の私なぞ、慌てふためき(逃げ仕度)が先で「誰の移り香!」生臭く慌てふためくのが精いっぱい。梅の香りには気もいかないだろう。まして(春隣り)を感じ取ることなぞできない。本部朝救の歌人たる風雅。凡人には、こうはまとめられない。
芥川賞作家大城立裕氏は「文字による琉歌は文学である。その琉歌が三線に乗り歌われた時、琉歌は芸能として親しまれる」という意味のことを記している。読者諸氏も琉歌を詠み(文学)となし、節歌にして歌い(芸能)となすことをお薦めする。
そして、桜、梅、向日葵に次いで春隣りよりももっと近くに(春)を引き寄せるのは「三線の音」。
3月4日は第22回「ゆかる日まさる日さんしんの日」。
この日、RBCiラジオは正午前、11時45分から夜9時まで沖縄中の、いや、世界中の琉球三線の音を響かせて、これまた世界中に発信する。主会場は三線の祖とされる「赤犬子=あかいんこ。地元では、アカヌクー・アカンクー」生誕の地・読谷村立文化センター鳳ホール。そこには県内の宮廷音楽奏者、島うたの歌者、舞踊家300名余が結集して春を呼ぶ。インターネットでも中継。音声や映像を発信する9時間15分の一大イベントである。毎回県外からのゲスト出演、例えば永六輔、加藤登紀子、津軽じょんがら奏者、九州に継承される三絃楽器・宮崎県のゴッタン奏者等々が彩りを添えたが、今回は台湾の三絃楽器数種と奏者を招聘して実演する
因みに番組は3部からなり、多くの方に(三線を7共有)していただくために各部入場整理券を発行、配布中。問い合わせはRBCiラジオ「さんしんの日事務局」。インターネット検索の上、来場いただければ幸い。
なにしろ生放送。いろんなアクシデントが発生する。
*歌者古謝美佐子の場合。
前日まで福岡でライブをしていた。朝一番の飛行機に乗れば、出演時間には十分間に合うことになったが、ダイヤに乱れが生じて遅延。楽屋入りは実に出番30分前。慌てたのはスタッフ。もっとあたふたとしたのは当人古謝美佐子。那覇空港から直行!旅装を解く間もあらばこそ!喉を潤しただけでマイクの前。「童神」を熱唱した。もちろん、ノーメイク。長い髪にもブラシは入っていない。そうしたシーンは司会者にとっておいしい。彼女の楽屋入り遅延の裏話と理由を説明。
「ノーメイクの上、普段着、風に煽られた乱れ髪は堪忍して下さい。かくかくしかじかの事情がありました。まあ、考えようによっては、古謝美佐子のスッピンを間近で見れて、この時間来場の皆さんは儲けものでした」。
このフォローには大きな拍手があり、楽屋にかえった彼女を再び呼び出して挨拶してもらったところ、これまた大喝采!計算外の番組演出効果を上げた。
*嘉手苅昌林の場合。
第2回目の「さんしんの日」。琉球大学工学部が開発した「ロボット三線」を登場させた。琉球音楽の三線譜「工工四」をインプットすると、寸分の狂いなく、完璧な演奏をする。そのロボット三線と嘉手苅昌林とのジョイントを試みた。曲節は「かぢゃでぃ風節」。メカと生身の競演とあって会場、関係者か固唾を飲んで注目する中、演奏は終わった。感想を求められて嘉手苅昌林いわく。「機械がやることだから、ヌーぬフギんねーん・・・・しかし・・・・何の不備もない工工四通りの音ではあるが、しかし、演奏は人と三線の呼吸でなすもの。ロボットには呼吸がない。正確ではあるが歌の血が通っていない。やはり、三線は人とが弾いて心を伝えなければねぇ。でも、開発した大学の皆さん、ご苦労さん」。
労をねぎらったコメントに会場からは、不思議な拍手が起きた。
もちろん、ロボットは「三線演奏」のみのために開発されたのではない。その繊細な機能は工業、医療などの場で発揮されているに違いない。
春隣り。
桜、梅、向日葵、さんしんの日。それを追って登場する花はつつじ。
女子プロゴルファー宮里藍の出身地東村のつつじ園には、色とりどりの5万本のつつじが開花を待っていて、3月半ばに見ごろを迎える。本土の方々には申し訳ないが、沖縄人はちょいとお先に春を楽しみます。乞う容赦。
※3月中旬の催事。
*第8回 伊江島ハイビスカス祭り
期日:2月8日(土) ~2月23日(日)
場所:伊江島ハイビスカス園
*第22回 2014おきなわマラソン
期日:2月16日(日)
場所:沖縄県総合運動公園