トシの読書日記

読書備忘録

マチゲンガ族の掟

2013-08-10 17:27:55 | ら行の作家
バルガス・リョサ著 西村英一郎訳「密林の語り部」読了



姉が「面白いよ!」と言って貸してくれた本です。大江健三郎もこの作家をリスペクトしているとのこと。しかし、読み始めて、どこが面白いのかさっぱりわからず、まさに苦行といっていいような読書でした。

でも、途中から、密林の語り部が誰であるのか、ということがわかってきてから俄然面白くなってきました。


ペルーの山奥、アマゾンの支流の流域に暮らす部族たちの生活と原始的な信仰とをベースに、そこに入っていったユダヤ人の青年の魂のありようを鋭く描いた作品です。


「物語る」という行為の最も原始的なかたちである「語り部」の姿を描くことで「物語」の真の意味を問う、というのが本書のテーマであると思います。しかし、この語り部の話の縦横無尽なこと。現在のこと、過去のこと、遠くの村のこと、自分たちの村のこと、一切の関係性を無視した語りには、逆の意味で整合性すら感じます。いや、恐れ入りました。


ちなみに本作家は2010年にノーベル文学賞を受賞しているそうです。恥ずかしながら知りませんでした。

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