吉田知子「日常的隣人――吉田知子選集Ⅱ」読了
そういうわけで本谷有希子の口直しに吉田知子を読んでみました。これも姉借り本です。
やっぱりすごいですね、吉田知子。この日常に漂う底知れない恐ろしさ。ただ者ではありません。本谷さんもこれをよく読んで勉強していただきたいもんです。
「日常的~」と題された短編が10編と、「人蕈(ひとたけ)」という作品が収められています。
中でも出色は「日常的親友」でした。カナダに住む親友がガンで余命いくばくもないことを知る。彼女から「私」に「死ぬ前に一度会いたい」と手紙が来る。そのすぐあと彼女の夫から「妻はあなたに会うと気持ちがゆるんですぐ死んでしまうと思うので、来ないでほしい」という手紙が来る。どうしようかと「私」は思い悩み、結局カナダには行かないことにするのだが、「私」はそのあたりから悲しいこと、楽しいことに対する感情のコントロールが段々にできなくなり、職場で部下から結婚の報告を受けるとさめざめと泣き、親友の妹がやって来て親友の母が亡くなったことを聞くと、とたんに吹き出すという、錯乱した状態になる。この辺、ちょっと恐いです。
吉田知子の、日常の中で、じわじわと迫ってくる尋常でない感覚、これを書かせたら天下一品です。久々に興奮した読書でした。
そういうわけで本谷有希子の口直しに吉田知子を読んでみました。これも姉借り本です。
やっぱりすごいですね、吉田知子。この日常に漂う底知れない恐ろしさ。ただ者ではありません。本谷さんもこれをよく読んで勉強していただきたいもんです。
「日常的~」と題された短編が10編と、「人蕈(ひとたけ)」という作品が収められています。
中でも出色は「日常的親友」でした。カナダに住む親友がガンで余命いくばくもないことを知る。彼女から「私」に「死ぬ前に一度会いたい」と手紙が来る。そのすぐあと彼女の夫から「妻はあなたに会うと気持ちがゆるんですぐ死んでしまうと思うので、来ないでほしい」という手紙が来る。どうしようかと「私」は思い悩み、結局カナダには行かないことにするのだが、「私」はそのあたりから悲しいこと、楽しいことに対する感情のコントロールが段々にできなくなり、職場で部下から結婚の報告を受けるとさめざめと泣き、親友の妹がやって来て親友の母が亡くなったことを聞くと、とたんに吹き出すという、錯乱した状態になる。この辺、ちょっと恐いです。
吉田知子の、日常の中で、じわじわと迫ってくる尋常でない感覚、これを書かせたら天下一品です。久々に興奮した読書でした。