トシの読書日記

読書備忘録

9月のまとめ

2012-10-03 15:35:18 | Weblog
9月に読んだ本は以下の通り



大江健三郎「個人的な体験」
辻原登「抱擁」
大江健三郎「空の怪物アグイー」
大江健三郎「われらの時代」
大江健三郎「万延元年のフットボール」
大江健三郎「みずから我が涙をぬぐいたまう日」


の6冊でありました。ちょっとペースが戻ってきたかな?

6冊中5冊が大江健三郎!まさに大江健三郎祭りであります。その中でも出色なのは「万延元年のフットボール」ですね。今月も大江健三郎をめぐる旅、続けます。

現人神(あらひとがみ)による救済

2012-10-03 15:17:30 | あ行の作家
大江健三郎「みずから我が涙をぬぐいたまう日」読了


本書は上記の表題作と「月の男(ムーン・マン)」の2編の中編を収めた作品集です。「みずから…」は、これはもうお手上げでした。めちゃくちゃ難しい!解説によると、天皇制というものに疑問を投げかける作品で、割腹自殺した三島由紀夫のそれとを比較して論じているということですが、もうわけがわかりません。


しかし、わからないなりにも本書を読んでおくことで、今後の大江作品をより深く理解できるよすがになるのでは、と自分に期待しております。


「月の男(ムーン・マン)」は、以前読んだ「日常生活の冒険」を思い起こさせるようなリズミカルな文体で、こちらはずっと読みやすかったです。NASA航空宇宙局から逃亡してきたという男(ムーン・マン)を軸に、「僕」と女流詩人と捕鯨反対運動家のスコット・マッキントッシュという男と、それに加えてベ平連の運動家である細木大吉郎とが織り成す物語であります。


ここでも大江は「天皇」の問題を取り上げていて、ムーン・マンがNASAから日本に逃げてきたのは天皇に会ってアメリカが月へロケットを打ち上げるのを阻止するようお願いをするという、荒唐無稽なエピソードを挿入させています。


ちょっとまた大江続きで疲れました。次は別の作家にいきます。