昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

中欧旅行(20)

2009-11-26 07:00:58 | 中欧旅行
 カレル橋から旧市街広場へ移動。
 

 中心に仕掛け時計のある旧市庁舎が聳える。
 11時に鐘が鳴り仕掛け時計が動くというので、それまで近くの免税店に入る。
 広い店内には、ガラス製品や琥珀、ガーネットなどのアクセサリー、陶磁器、民芸品などがずらりと並ぶ。
 女たちはお土産に何かと、歩きまわる。
 何人かの男どもはベンチに座って、サービスのコーヒーを飲む。

 11時近くになると、広場はいろいろな国の観光客でいっぱいになる。
 天文時計よりお互いが気になり見つめあう背の高い白人の恋人のカップル。
 じっと時計塔を見つめる老夫婦。
 人混みの隙間を縫って歩きまわる」かわいい子どもたち。

 

 二つの天文時計があり、上のは地球を中心にしてまわりを惑星がまわる<天動説>に基づいて作られていて、下のは旧市街の紋章を軸に12星座が囲む構成になっている。
 いよいよ鐘が鳴り、時計台の窓が開くとキリストの12使徒が次々と現れる。
 外へは出てこない。
 あっけないものだ。これだけのためにこんなに多数の観衆が待ち望んでいたのか、と思った瞬間、塔のてっぺんのベランダに赤と金の衣装をまとったトランペット吹きが現れ、金のトランペットを吹き鳴らす。
 特別余興付きの時計台イベントだった。

 集合時間まであと10分、みんなが集まってきた。
 目の大きい、背の高い若い女性が風景を描いた色鮮やかなテンペラ画を披露している。
「あらっ!素晴らしい。どこで売っていたんですか?」
 妻が目をつけて声をかけた。
 さっき路上で描いていたのをぼくも見かけた。

「近くですけど、今からでは絵を選んでいたりすると集合時間に間に合わないかもしれませんね・・・」
 妻はあわててすっ飛んでいったが、すぐ戻ってきた。
「頼まれていたものにピッタリのがあったんだけど、ユーロの手持ちがなくなっちゃって・・・」
 諦めたのかと思ったらめん玉女性に図々しくもお願いして、再度一緒に出かけていった。
「T君に頼まれたのにピッタリなの・・・」
 ほどなく戻ってきた妻はカレル橋を描いた絵を手に、娘婿のおみやげを執念で買い求めて満面の笑顔だ。

 目の魅力的なお嬢さん、お世話になりました。
 ありがとう。

 ─続く─