「たいへん日本語がお上手ですが、どこで習われたのですか?」
思わずぼくはアニカさんに問いかけた。
「実は、・・・私の旦那さまは日本人なのです・・・」
彼女の顔は花のような笑顔になった。
「そうなの、どうりで・・」
「日本人より日本語が上手だもんね・・・」
今回のツアーは38人と数が多いのでみなさんにガイドの声が行き渡るよう、イヤホーンが各自に渡されている。
みんなの声が響きあった。
その後バスに乗り込み、ブダ地区とペスト地区を結ぶくさり橋を渡り、国会議事堂経由聖イシュトヴァーン大聖堂に向った。
高さ96m、直径22mの大きなドームが目印のブダペスト最大の聖堂である。
正面にはキリスト教を積極的に受け入れ、死後聖人に列せられたイシュトヴァーン国王の胸像、ファサードには12使徒の彫像が彫り込まれている。
「わたし、あれ嫌いなんです・・・」
アニカさんの視線の先には、聖堂にはそぐわない近代的な大きな四角いビル。
「共産主義時代に立てられた銀行なんです。自分も使っているから悪口も言えないけど・・・」
・・・もう言ってるじゃん・・・
ハンガリー王たるものは聖イシュトヴァーンの王冠を頂くものであると言われたハンガリーの歴史に重要な位置を占める王の威容を、聖堂の荘厳な雰囲気の中に十分堪能した後、ハンガリー刺繍で有名な<DOM>に寄る。
きれいな刺繍の美しいハンカチーフやコースター、テーブルクロスに大きな壁飾り、セーターなどがところ狭しと並んでいる。
さっそくかごを片手に右往左往おみやげを求める日本のおばさんたち。
若い日本人の女性店員が独楽ねずみのように走り回る。
・・・けっこういい値段だなあ・・・
買い物の後、夕食にホテルへ戻るバスに再び乗り込んだ。
「さあ、みなさん、お忘れでないと思いますが・・・。もうひとつお仕事が残っています・・・」
アニカさんが大きな声を張り上げた。
「これからマーチャーシュ教会の入場料を回収させていただきます。バスのドアは締まってみなさんは逃げられません」
・・・なんともしっかりしたハンガリーのおばさんだ・・・
─続く─
思わずぼくはアニカさんに問いかけた。
「実は、・・・私の旦那さまは日本人なのです・・・」
彼女の顔は花のような笑顔になった。
「そうなの、どうりで・・」
「日本人より日本語が上手だもんね・・・」
今回のツアーは38人と数が多いのでみなさんにガイドの声が行き渡るよう、イヤホーンが各自に渡されている。
みんなの声が響きあった。
その後バスに乗り込み、ブダ地区とペスト地区を結ぶくさり橋を渡り、国会議事堂経由聖イシュトヴァーン大聖堂に向った。
高さ96m、直径22mの大きなドームが目印のブダペスト最大の聖堂である。
正面にはキリスト教を積極的に受け入れ、死後聖人に列せられたイシュトヴァーン国王の胸像、ファサードには12使徒の彫像が彫り込まれている。
「わたし、あれ嫌いなんです・・・」
アニカさんの視線の先には、聖堂にはそぐわない近代的な大きな四角いビル。
「共産主義時代に立てられた銀行なんです。自分も使っているから悪口も言えないけど・・・」
・・・もう言ってるじゃん・・・
ハンガリー王たるものは聖イシュトヴァーンの王冠を頂くものであると言われたハンガリーの歴史に重要な位置を占める王の威容を、聖堂の荘厳な雰囲気の中に十分堪能した後、ハンガリー刺繍で有名な<DOM>に寄る。
きれいな刺繍の美しいハンカチーフやコースター、テーブルクロスに大きな壁飾り、セーターなどがところ狭しと並んでいる。
さっそくかごを片手に右往左往おみやげを求める日本のおばさんたち。
若い日本人の女性店員が独楽ねずみのように走り回る。
・・・けっこういい値段だなあ・・・
買い物の後、夕食にホテルへ戻るバスに再び乗り込んだ。
「さあ、みなさん、お忘れでないと思いますが・・・。もうひとつお仕事が残っています・・・」
アニカさんが大きな声を張り上げた。
「これからマーチャーシュ教会の入場料を回収させていただきます。バスのドアは締まってみなさんは逃げられません」
・・・なんともしっかりしたハンガリーのおばさんだ・・・
─続く─