昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

中欧旅行(17)

2009-11-22 06:33:03 | 中欧旅行
「大き過ぎて、見ているだけでお腹がいっぱいですよ」
 隣で大声で食事談義をしていた築地旦那と目が合ってぼくは声をかけた。
 
 小柄だが元気いっぱいの白いブラウスに赤いチョッキのウエイトレスが、我々に邪気のない笑顔を向け、食べ残しの大皿を6枚も重ねて運んでいった。
 子ども連れ、老夫婦、次々と客が入ってくる。
 その間を赤と白のチェコのウエイターやウエートレスが走り回っている。
 あのイケメンのハムレット君が粗相がないかとばかりあたりに目配りしている。



「この方もパンダネットに入ってられるそうですよ」
 築地旦那が白髪のオヤジを伴ってやってきた。
「帰られたらネットで対局されたらいかがですか?」
 この前、食事で一緒になったとき、ぼくが囲碁をやっていると言っていたので同好のオジサンを紹介しようというわけだ。
「いやあ、私などヘボですから」
 白髪のオジサンは殊勝な顔をしている。
「どのくらいで打たれるんですか?」
「パンダネットはレベルが高いので3段まで落ちてしまいました。碁会所では5段格で打ってますが・・・」
 いやあ、ぼくとは段違いだ。

 こうして、ツアー仲間との交流も始まる。

 最後に店を出る時、例のハムレット君が仏ちゃんと清算処理をしていた。
 彼は30そこそこだと思うが責任者なんだ。
 涼やかな笑顔で、貴重な御用達関係のお得意様、仏さまと握手を交わしていた。

 

 仏ちゃんに聞くと、今日はチェコの独立記念日なんだそうだ。
 道理で豪華な食事で賑わっていたのだ。
 今から40年前、プラハの春、自由化、民主化運動が活発となったが、ソ連などワルシャワ条約軍事機構の弾圧を受けるという試練を乗り越えて、ようやく今日の自由が勝ち取られたのだ。
 チェコの元気な人たちに乾杯!

「でも、プラハ駅に浮浪者やドラッグ関係の怪しげな人たちがたむろしていましたが、そういう問題も新たに生じているんですよね」
 仏ちゃんは言った。

 ─続く─