マル鉄・鉄道写真館

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国鉄貨車 ワキ5000

2019-06-08 23:50:00 | 貨車
国鉄貨車 ワキ5000


国鉄ワキ5000形貨車は、昭和40年から製造された30t積みの2軸ボギーを履いた貨車です。
それまで特急便として使用されていたワキ1やワキ1000の後継となる貨車で、幹線で多く見られた汎用の大型有蓋車ですが、製造数は意外と少なく、昭和44年までに1515両が製造されたそうです。

昭和59年2月の貨物大合理化後も生き残り、大部分がJR貨物に継承されましたが、製紙輸送の合理化、コンテナ化などにより用途を失い、平成9年頃を最後に運用は消滅してしまったようです。
JR北海道に救援車代用として継承したワキ5233が平成30年度に除籍となり、消滅形式となってしまいました。



昭和58年 大宮操車場駅 上りハンプ引上げ線にて

貨物大合理化直前の大宮操車場ハンプ入換線。
首都圏北の玄関口であったとも言える大宮操車場では、専用貨物以外の殆どの列車が停車し、入換再組成されて次の目的地へと出発して行きました。
既にワキ1形やワキ1000形などは跡形もありませんでしたので、高速車両がない大宮操車場では唯一のボギー有蓋車と言える車両でした。

車体形状は大きく前期と後期に分けられ、屋根の形状(丸屋根やリブ三角屋根)や台車に大きな差異がありました。
添乗する手ブレーキには特に差異は無く、ドアが総開きとなるため他車とは違った特徴のある手すりとなっていました。
足踏み式のブレーキは、2軸車やボギータンク車とは全く構造が異なっており、分かりやすく言えばブレーキてこが台車に直結している感じで(通常は車体のセンターから連接棒などを介して片側の台車のブレーキへ作用する)、踏み代に遊びが無く、凄く固い感触です。飛び跳ねて全体重を掛けようものなら、足の裏を痛めてしまうほどです。(プロはもちろんそんなことしません。)




こちらは国鉄時代の山陽本線を行く貨物列車。
大動脈である東海道・山陽本線では、ボギー有蓋車でもワキ10000系が活躍が目立ってしまいますが、地域間ではワキ5000も見られたようです。写真の列車でもちょうど画面中央辺りにワキ5000が2両連結されているのが判ります。




こちらはJR化間もない頃の函館本線。
一般貨物は殆どなくなってしまいましたが、北海道では製紙輸送の専用貨物が多く残っていたようで、コンテナ化されていない時代はワキ5000が重用されていたようです。
それでも撮影中に通過する貨物列車はコンテナ車かワム80000による専用貨物ばかりで、ワキ5000を中心とした貨物列車を撮ったのはこの1枚でした。


貨物合理化前、常磐線金町駅~岩城西郷(新白河)駅まで製紙輸送が行われており、大宮操車場ハンプをワキ5000×4両編成が毎日通過していました。下りハンプは空車での通過となり、この番線を受け持てば必ず添乗していました。
貨車としてはメジャーでありながら地味な存在であったワキ5000形ですが、国鉄時代の良き思い出のあった貨車でした。

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