マル鉄・鉄道写真館

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仙台運転所のクロ481・クハ481

2014-11-22 18:50:00 | 試験・事業車、配給、列車車両等
先般発売された『KATO 485系初期型「ひばり」7両セット』について記事を書いたところですが、編成やボンネット車のタイフォンなど興味深い部分があること、私の認識が誤っていた部分もあったため、仙台運転所に配置されていたボンネット型先頭車についてまとめておきたいと思います。


483系の誕生

昭和39年度
モハ482・483 1~13
クハ481 9~28
サロ481 19~25
サシ481 5~14

昭和40年度
モハ482・483 14~15

北陸本線用60Hz車の481系に対し、50Hz用の483系が誕生、仙台運転所に配置されました。
誕生時はクハを両端とする10両編成で、「やまびこ」に使用されました。

485系の誕生

昭和42年度
クロ481 1~4
クハ481 29
※以下、モハユニット・サロ・サシの記述は省略します。

昭和43年度
クロ481 5
クハ481 30

43・10ダイヤ改正において、三相直通や広域配転を目論んで製造を開始した485系が誕生しています。
50Hzと60Hz区間のどちらでも使用できるようになり、その後のメジャー形式となります。
また、本改正において奥羽本線山形交流電化(直流からの切替を含む)が完成、ディーゼル特急「やまばと」が483系化され、さらに「会津やまばと」からの分離運転で「あいづ」とも共通運用を組むようになったため、両端クハ10連をクロ481を含む9連に置き換えることになりました。これは、短編成化によりMT比を上げて磐梯や板谷峠の勾配対策とし、磐越西線内の最大有効長の制限も考慮して実施されたようです。ここで初めてクロ481が誕生します。
※付随車は共通で使用することができるため、形式変更は行われず、クロ・サロ・サシは483系からの続番となっています。

サロ481の先頭車化改造

43・10改正に合わせ、早くも余剰となってしまうサロ481を不足するクロ481に転用するため、先頭車化改造を実施しています。
これにはサロ481-19~25が種車に充てられ、クロ481-51~57となりました。
このことにより483系サロは早くも消滅することになり、仙台運転所にAU12を搭載したサロが見られなかった最大の要因となっているようです。

クハ・クロに100番代の登場

昭和45~46年度
クロ481 101~104
クハ481 101~104

MG(電動発電機)の大出力・小型化を達成し、従来ボンネット内に収めていたMGを床下に架装することができるようになりました。
クハ481・クロ481もMGを床下に装備することになり、それぞれ100番代が登場しましたが、クハネ583と同様の貫通型形態とはせず、ボンネットスタイルを堅持しました。
そのため、ボンネット内はCPのみの搭載となっており、機能がスタイルに結びついて出来上がったボンネットスタイルも、ここで矛盾が生じた感があります。
また、100番代のスタイルの外観的最大の特徴が、それまでスカートに装備していたタイフォンにありましたが、ボンネット部に設置されるようなって印象が大きく変化しました。
ただし、昭和45年度に製造された101のみはスカート部のまま竣工しています。

クロ・サロ編成の登場

昭和48年1月、サロ481-84~86が新製配置され、これを組み込んでクロ・サロを含む13連が登場し、53・10改正まで活躍します。

クロ481の九州への転属

昭和51年、長崎本線及び佐世保線電化に伴う「かもめ」「みどり」の運転開始により、4両編成を組む必要が生じた「みどり」へのクロ供出のため、-1、-2、-51~57が南福岡区へ転属、さらに昭和57年秋に-101~104が南福岡区へ転属し、仙台運転所のみに存在したクロ481が3~5を除いてすべて転出しました。
残った3両も昭和58年度に鹿児島へ転出し、仙台運転所のクロはすべて九州車となりました。


ボンネット車のタイフォンについて

481系はもちろんですが、483系で誕生したクハ481-9~28及び485系で誕生したクロ481-1~5並びにクハ481-29・30・101、さらには先頭車化改造により誕生したクロ481-51~57はずべてスカート部にタイフォンを装備していました。
しかし、雪害対策としてクハ481-102以降についてボンネット部に装備したことにより、これにならってスカート部に装備した車両もその殆どが移設改造を施工しています。
改造は昭和47年から49年に掛けて実施されたという記述があります。
なお、国鉄の末期に九州から勝田区へ大挙として戻って来たクハ481の初期型で、シャッター式或いはスリット開放型へ改造したらしきタイフォンをスカート部に装備した車両がありましたが、これらはいずれも向日町(金沢も?)へ配置されたものであり、仙台運転所に居たボンネット型はクロを含めすべて改造されたようです。
※タイフォン改造の見分け方として、改造前に設置されていたヘッドマーク左右下部の手すりがタイフォン直上に残っているものが改造車、タイフォン直上に手すりがないものが-102以降の車両となります。

ボンネット上の点検蓋について

ボンネット上に点検蓋があるものとないものが存在していましたが、100番代でも点検蓋が取り付けられている車両を確認しており、番代の識別の問題ではなく、改造によって塞がれたものがあるということのようです。


181系では用途の関係から形式数が多くなってしまった反省を踏まえ、その形式数を抑えて設計された485系列ですが、製造の長期化、配置の広域化はもとより、形式間の改造も相まって、非常に複雑怪奇な奥の深い形式に仕上がってましたね。

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