ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

裏方、雑用引きうけます!

2007-10-12 20:28:30 | 演劇

 演劇部だから、いい芝居作るってのが一番の目的だ。さらに、それが大会で評価されて、上の大会まで行けたなら、そりゃ、もっといい。でもね、そればっかりじゃないんだよ、高校演劇ってのは。勝ち負けなんかじゃない。芝居の実力があるかどうかでもない。そうなんだよ、人を育てるってことなんだよ。

 うへっ、止めてくれ!なんて言うなよな。これ結構真剣に言ってるんだ。実際、高校演劇に携わってほぼ十年、ほんと、身近に見てきたから、高校生が成長していく姿。たいしたもんだっていつだって感心してきたんだ。

 で、今日もそれをじわーっと感じてきたってわけだ。今日は、山形県の高文祭米沢大会だった。演劇の大会は、11月に別にあるから、出演はなし。でも、事務局だから裏方仕事が回ってきた。照明とピンスポットと音響、それと会場係り。昨日のリハーサルから全員張り付いて、今日が本番。それぞれの役割に分かれて、仕事した。

 照明、音響、これは専門分野だから、任せなさい!って、気持ちよくやれるけど、会場係り?うっ、ドアマン?なんで俺たち?どうしてあたしたち?って腐るところだよね。ところが置農演劇部は文句も言わず、だったよな?二交代制で直立し続けたんだ。偉い!挨拶や態度も大変立派だった、なんて、手前褒めはいつもの癖だ。

 さらに、全日程が終了して、それぞれの持ち場で片づけが始まった。置農の分担は、生徒荷物置き場と一部楽器置き場の撤去ってことだったけど、こんなのは、舞台人にはお茶の子さいさい!うわっ!古い言葉!知ってる人どんだけいる?さっさと終わった。ここで解散したっていいことになっていたんだけど、ここからが、さすが演劇部!だったんだ。

 まず、観客席のゴミ拾い。なんと、市内某高校の野郎どもが吐き捨てたガム削りまでやってくれたからね。ゴミは、もう出てくることでてくること、演劇の大会じゃ考えられないことだ。次に舞台に上がって、舞台スタッフさんの手伝い。コードを巻き、照明器具を片づけ、舞台の掃除をして、最後は、駐車場の鉄柵の復元までやり遂げた。もう、事務局も他の高校も、みんな帰っちまってるていうのにね。そして、誰も不平一つ言わなかった!冗談を言い合いながら、てきぱきと仕事を片づけた。

 この気持ちなんだよ。この働きぶりなんだよ、大切なのは。徹するときは、とこんとん裏方。雑用だろうと、汚れ仕事だろうと、なんでもやる。それも気持ちよくやる。少しっぱかり疲れていても、口に出さない、顔に表さない。常に笑顔で頑張り通す。これが、演劇部やるってことの意味なんじゃないだろうか。

 芝居は、多くの人に支えられて成り立つ。裏方があって、役者は脚光を浴びる。大切な仕事から、こんなことって思うくだらない仕事まで、どれだって無くちゃならない。とりわけ、置農演劇部は地域の人たちに支えられて活動しているって面が大きい。だったら、時には、全員で裏に回らなくっちゃ。雑用引きうけなくちゃ。

 でも、これって演劇だけのことじゃない。人が生きていく上で、どこでも当たり前に見られる持ちつ持たれつの関係ってことなんだ。そういう、至極まっとうなことを、平然とやれるようになる、これって凄いことなんじゃないだろうか。 

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『夏の夜の夢』見えた?

2007-10-07 22:42:22 | 演劇

 えー、公演直前に食べた濃厚豚骨ラーメンが、未だに、腹と言わず胸と言わず、頭と言わずそこら中に、ぐわーっと居座ってる。そう!つまり未消化、消化不良!

 文翔館創作劇場・シェークスピア作『夏の夜の夢』。演劇集団舞台工房の公演だ。うーん、困った。残念だけど、正直言って、ながーいつらーい1時間半だった。

 期待してたんだよ。野外劇だしね、文翔館の中庭だしね、シェークスピアだしね、夏の夜の夢だしね。

 あっ、やるじゃん!とか、へぇー!ってとこもたしかにあった。例えば、パックがハーミァに恋してしまうなんて挿入部分とか、オーペロンがドラキュラ?だったりとか、妖精のダンスとかね。それと、随所に今風のセリフ回しやギャグを入れて少しでも時代のギャップを越えようとしたところなんか、シェークスピアを今の時代にどう見せるか、随分工夫していたと思う。

 でも、僕としちゃぁ、納得いかいないところが多かったな。今風に作り替えるってことに関しては、そこそこ笑いがあって成功したようにもみえたけど、若者の恋のひたむきさっていう肝心の部分が薄まってしまった気がするんだ。ヘレナが時折挟む蓮っ葉なセリフ聞くと、じゃあ、さっさとディミトーリアスなんか捨てて、別の男捜しに行けば、って言いたくなっちゃうし。ともかく、恋する男に翻弄される乙女心の切なさみたいなものが伝わってこなかった。それと、シェークスピアのあの美しいセリフ!!生きてなかったよなー!あんなに気持ちいい美文セリフどうして、ああも散文的にやってしまうんだろう。

 それと、パック。あんたはどうしてパックなの?ってのが、僕の感想だ。パックって道化でしょ。この世を虚仮にすることに無情の喜びを感じてる妖精だよね。なのに、なんか、すごい斜に構えてしまって、マジに恋までしちゃうとなると、いったいあんた誰?って言いたくなってしまった。一昨年、僕も高校生と作った芝居なんで、なおのこと、不満感じちまうのかもしれないけど、古典を今に生かすってなかなか一筋縄じゃあいかないよね。

 装置や舞台設定でも、もやもやがいっぱいだ。まず素朴な疑問。あの空間がこの夏の夜の夢にふさわしい?疑問その2、せっかくの野外空間を、あの煉瓦壁の素材感や閉鎖空間も含めて、生かし切っていた?疑問その3、何故、2階の窓を使わないの?僕ならあの窓どんどん使うね。できれば、あそこらからぶら下がったり、ロープで下りてきたりしたいところだ。疑問その4、どうしてメイクあんまりしないの?オーベロンの作り込みで徹底すれはよかったのに。少なくとも主役の三人の美女はきっちりメイクしてほしかった!だって、あんなに客席と近いんだもの、もっと非日常的な美しさを装って欲しかった。衣装も同様。老け役のライサンダーに関しては、意見が分かれるところだろうな。上手な味のある役者さんだったけど、あの劇の構造は、若者の恋の初々しさが基本だから、僕としは、好きになれなかった。

 と、まあ、勝手なことばかり書いちまったけど、こういう異空間を利用して、何かをやってやろうという意気込みは、これはぜったい凄いと思う。野外なんて、雨降ったらどうすんの?って、菜の花座の場合、最初から引いてしまうものね。やっぱり若さなんだよな。うん、そうか!かえって雨が降ったほうが良かったかも知れない。そん時はお客さん建物の窓から覗いてさあ、土砂降りの中で、森の放浪のシーンなんてやったら最高だろうね。勝手なこと言うな!

 それと、観客がいい。年齢層が幅が広いし、なんかとっても好意的だ。ほのぼのおおおらかに見守ってくれてるって感じだ。この創作劇場が着実に根付いてる証拠だね。このお客さん達の前で、来年は菜の花座の番だから。うーん!いいもの作るゾ!!ゾってなんだ、ゾって!あれは笑った。わかるよね、見てた人は。

 

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50(歳)を過ぎたら板(舞台)地獄⑫地獄のふたが開いた日!

2007-10-05 21:56:59 | 演劇

 演劇学校を卒業した。その日、校長の井上ひさしさんは、「この日から、皆さんは、良き観客となるか、はたまた地獄に落ちるか、どちらかを選ばねばなりません。」と祝辞?を贈ってくれた。もちろん、僕は、地獄の亡者となることが決まっていた。菜の花座の旗揚げが決まっていたからね。

 菜の花座ができるまでの数ヶ月の間だ、ちょっとしたごたごたがあった。卒業生の一部が、他の劇団メンバーと組んで、新しい演劇ユニットを立ち上げるって話しが広がった。結構、争奪戦みたいなもんがあって、僕も誘われたんだ、そっちにも。劇団に所属しつつ、時折、自由に集まって思い切った公演を打っていこうってもので、構想自体は悪くない。でも、そいつは、すでに自分の足場を固めている人たちにとってだ。僕の場合、どこにもないからね、踏ん張る拠り所が。だから、どんなに勧誘されても、気持ちはまったく振れなかった。新しい劇団を作る、卒業生の劇団を作るって。

 結局、卒業生50名ほどのうち20名ほどが集まった。菜の花座の結成だ。僕が自然と座長に選出された。いえ、自然だって感じたのは僕だけだったかな。他のメンバーからすれば、まあ、歳はいってるし、高校の教員で暇そうだし、やる気はおるようだから、任せてみっか、程度の判断だったろうね。

 でも、僕としては、この劇団の中心になるのは、僕しかないって確信していた。自惚れんなよ、って言われるかもしれないけど、ほんと、わかってた。2年間、一期生の仲間達をじっくり見てきていたから、誰がどんな資質の持ち主かとか、演技の実力はどうかとか、芝居の理解力はどのくらいか、などということが、あらかたわかっていたんだ。で、実際、僕の読みはほぼ当たっていた。だって、とうとう結団から10年を迎えようとしているものね。

 でも、そう思ってるのは、僕だけのこと。他のメンバーは僕が取り立てて実力派だなんて思っちゃいない、その時は。いえいえ、その後にしてもかな。だから、僕としちゃあ、ちょっと遠慮した。旗揚げ公演の演出、したかったけど、Sさんに譲った。Sさんは、何て言ったって、卒業公演の『わが町』を演出した人だから。みんなの信頼も厚かった。これはこれで正解だったと思う。自分たちだけで初めて舞台を作るって時には、やっぱり求心力ってもんが必要だから。彼女には間違いなくそれがあった。

 卒業の翌月4月、11月の旗揚げ公演に向けて、いよいよ稽古が始まった。すったもんだの末に決まった作品は高泉淳子作『僕の時間の深呼吸』。絶対やりたいって暖めていた作品だ。同じ月、高校演劇部の顧問も引きうけた。

 地獄のふたがおもむろに開く音を、聞いた、かな?

 

 

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別れは世の定めとは知りつつも、・・・

2007-10-03 22:49:27 | 演劇

 菜の花座公演『おもかげチャンチキ』が終わって、また一人、貴重な役者が劇団を去った。青年幸司を好演したツヨシだ。なんとこのお芝居限りの在籍だった。これって最短記録かも知れない。たった一つの芝居、わずか二回の公演で、退団することになったツヨシ、正直、実に残念!だってね、この6ヶ月間でめきめき上達していたからね。それ以上に、なんとも言えない雰囲気があったんだ。暖かで、のんびりとして、おおらかなユーモアとでも言えるような味わいがあった。

 理由は、・・・まあ、言わないでおこう。ただ、止めたくないんです、芝居続けたいんです、って言った彼の言葉は本当だったと思う。だからこそ、送別会も兼ねることになった『おもかげチャンチキ』の打ち上げには、ほぼ全員が参加したんだ。みんなが心から、別れを惜しんだ、とってもいい集いだった。ツヨシをダーリンと呼ぶ相方の絵美も、目力の強さに圧倒されたという摩衣も、みんな心から彼と舞台を一緒できたことを喜んでいた。

 こういう別れって、実は菜の花座では珍しいんだ。これまでたくさんの人が菜の花座の舞台を踏み、その多くが離れていった。アマチュア劇団に離合集散は付きものとは言え、こんなにも座員が変わる劇団も、珍しいんじゃないだろうか。座長の不徳の致すところとしか言いようがないんだけど、どうも、別れ方がすがすがしくないのが、いつも気がかりだった。

 ある人は、劇団員の実力に愛想を尽かして去っていった。ある人は、忙しさに引きずられていなくなった。ある人は、僕の独裁ぶり?が我慢ならず憤然と退団した。ある人は、芝居そのものに疲れて逃亡した。ある人は、劇団員の若返りについていけず、渋々、菜の花座を後にした。ある人は、役者として使われず不満を募らせ、出て行った。ある人は、・・・・・

 本当に、たくさんの人が、一緒に仕事をし、苦労を分かち、喜びをともにし、思いを裂かれて、去っていった。一つ一つの別れは、僕に取って、恋人との別離のようにいつまでも、つらい鬱屈となって残っている。去っていった人たちも、苦い思いを抱えて行ったことだろう。言いたいことを山ほど抱えながらの離別だったと思う。でも、残された僕たちも、恨みがましい気持ちの中で、落ちこみ、へこみ、沈み込みながら、必死で気持ちを奮い立たせて、乗り越えてきたんだ。

 どちらにも事情がある。どちらにも言い分がある。だから、別れは、円満でないことの方が多かった。今だって、顔を合わせると、頬がこわばる人だっている。正直お会いしたくない人だっているんだ。そんな中で、ツヨシの退団は、限りなく惜しまれつつの退団だった。彼の人柄だね。彼が誠心誠意、『おもかげチャンチキ』の幸司に打ち込んだってことを、みんなが知ってるからなんだ。さらに、彼が、本当は、舞台続けたいってことも。

 いつかまた、戻ってきます!彼の言葉を、皆が信じた。僕も信じた。いつか必ず、彼と一緒に!でもなぁ、僕が生きてる間にその機会が訪れるか、これは大いに疑問なんだよ。

 

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スタッフ打合会終了!

2007-10-02 23:22:43 | 演劇

 県大会の事務局なんだよ。止せばいいのに、定年退職の歳に事務局引きうけたりして!最後まで全力で走りきったって誇示したいんだね、まったく、ええ格好しぃもいいとこだ。だから、このところ、朝仕事は田畑でなくて、学校だ。今日も、朝6時に家を出て、学校で一仕事、それから、伝国の杜に向かった。山形県演劇合同発表会のスタッフ打合会だ。

 演劇ばかりじゃないだろうけど、ホールを使う時は必ず事前に会館スタッフとの打ち合わせが必要だ。その打ち合わせを出場校12校分まとめてやっちまおうってのが、今日の打合会だ。一校わずか20分。そのために、県内各地から、生徒、顧問がやっこらさっこら集まってきた。

 いやぁ~気ぃ使うんだよ。それぞれ出場校は、なんとか、いい舞台効果上げようとスタッフさんとああだ、こうだ、必死になるからね。粘る!粘る!!一方、受け入れ側としては、大会をスムーズに行うっていう目標があるからね。タイムキーパーの事務局としても気のもめること、一方ならずだった。

 それと、これが済めば、まず、大会への青信号が出るようなもんだから、気が気じゃなかった。どこからどんなクレームが出ることやら。

 出たね、やっぱり!アッパーホリの色と舞台搬入の要望と。あっ、ごめん、ちょっと、末節に入り込んじまった。で、まあ、あっちこっち打ち合わせに走り回って、どうにか、円満解決!/めでたし、めでたし!!

 このスタッフ打合会が無事終了したことで、どうやら、県大会も本番を残すだけになった。やれやれ!!こんなどうってことないこと書いてるってことは、ここまでの気苦労が相当のものだったってことなんだよ。分かってよ!!

 それにしても、みんな、良いホールですね、って喜んでくれて、嬉しかったね。ここでやるって決断した当事者としては、ちょっとふふふだった。さあ、みんな、あと1ヶ月、せいぜい気張ろうぜ!で、勝負だから。

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