ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

いい気なもんだよ、映画評!

2007-10-21 21:18:42 | 映画

 ミュージカル映画『ヘアスプレー』を見に行こうと思ってたんだ。たまたまその日、毎日新聞を見る機会があって、そこになんと、『ヘアスプレー』の映画評が載っていた。曰く、差別反対とかってまっとうなことを正面切って言われるとうんざりする、とかって内容だった。

 う~ん、劇場に出かけようって直前にこの評、正直、気持ちがちょっぴり揺れた。そりゃ、天下の毎日だもの。気にするよ。とは言うものの、そんなことで、別の映画に変更、なんて、僕の場合あり得ないね。なんせ、人の意見と正反対を行く人だから。

 で、見た。

 面白かった!最初から最後まで、風邪引きのガンガンする頭でも、飽きたりなんてしなかった。まず、歌がいいねえ!60年代のアメリカンポップスとR&Bそして、ゴスペル!どれもこれもノリノリで、足ではリズム、身体はスィング、って状態で最後まで楽しんだ。歌詞も悪くない。最初の『グッモーニング ボルティモア』、夢に向かってスキップする楽天チビデブ少女のうきうきする気持ちが伝わってきて一発で引き込まれた。『鐘のなるのが聞こえる』もいい。恋に目覚めた少女の心のときめきだ。黒人達が、あ、今はこう言わない、アフリカンアメリカンの人たちが地方テレビ局の差別的な番組編成に抗議して、街頭をデモしながら歌う『道が見える』(だったかな?)なんて、もう、涙滂沱、雨霰!のぐしょぐしょ状態だった。

 ダンスももちろん、文句なし。特に、その頃、画然と分離されていた白人の音楽・ダンスとアフリカンアメリカンの音楽・ダンスの違いがよくわかって楽しかった。60年代の若者スタイル(白人)って僕たち世代の憧れの的だったからね。それと、今じゃ、ポップミュージックの中心になりつつあるヒップポップとかラップ文化の出発点も教えてもらって、ごちそうさま!ってとこかな。

 で、言いたいことは、毎日新聞の映画評書いた人って何見てたの?ってことなんだ。ミュージカル見て、歌とダンスを評価しなくていったい何評価するって言うんだい?そりゃ、たしかに、ストーリーはご都合主義だし、つじつま合わないところだって随分ある。重いテーマの割に扱い方はいかにも軽薄だしね。もし、歌がなくて、デモのシーン見せられたら、僕だって、そりゃ無いぜ!ってそっぽ向いたかも知れない。最後のハッピーエンドなんて、ウソー!の一言だろうね。だって、それまで、強烈な差別主義に覆われていたボルチモアの人たちが、テレビの公開番組見ていっぺんに白黒ミックス大賛成に変わっちまうんだもの、そんなのあり?だね。

 でもね、ミュージカルではそれって、あり!なの。シリアスドラマじゃないんだから。芸術映画じゃないんだから。いいんです、これで!たいして見てもいないから、大きなこと言えないけど、僕の見た限り、こういった誇張やご都合主義って、結構、ミュージカルに付きものなんじゃなの?最近映画になったミュージカルで言えば、『シカゴ』も『オペラ座の怪人』もそうだもの。

 だからね、映画にしろ、演劇にしろ、どういう座標軸で批評するかってことなんだよ。ミュージカルで、歌やダンスを抜きにして、ストーリーだけで評書くって、絶対、おかしい!!いや、僕みたいな素人が、ブログで好き勝手書いてる分には、構わないんだよ。ずれてようと、間違ってようと、好き嫌いだけだろうと。でも、新聞や雑誌の批評家は、これじゃまずいだろ。ブログの戯言や友人同士のおしゃべりじゃないんだから。僕は、今回の低評価でも、気にせず見に行ったけど、多分、その評のせいで、別の映画に行った人だっていると思うよ。なっ、だから、金もらってもの書く人、みんなが参考にする批評書く人、、しっかりしてよ。批評家って言う以上、批評の価値軸をしっかり固めていだきたい、その一言であります、言いたいことは。

 それにして、映画の中でめったやたらと吹きつけ合うヘアスプレー、臭いはしなかったけど、化学合成物質に弱い僕としては、見ているたげて、むせかえってしまった。そのせいかな、風邪、ひどくなったの?

コメント (2)
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