ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

やっと、やっと!読み終えた『黒い匣』

2022-08-05 18:12:04 | 本と雑誌
国際政治のノンフィクションサスペンス?「史上最高の政治的回顧録」なぁんて言葉に釣られて買ってみて驚いた!

分厚いぜぇぇぇ!なんと原注と訳者解説を除いて522ページ!
しかも2段組みびっしりで、字、小せぇぇぇぇ!無理だってえ、年寄りにゃ。毎日読む時にゃ、目薬点すことから始めたからねぇ、いや、ほんと!
財政危機に陥ったギリシャ、追い詰められた国民の熱狂的支持を集めて政権を担当することになった極左小政党シリザ、そのEUとの対決を一手に担った経済学者ヤニス・バルファキスの奮闘の逐一だ。
いや、本当に逐一なんだから!!!!1から100どころか、0.001から100.000までってところだ。
無謀だったよなぁ、ギリシャの経済危機とか、EUとの角逐とかまるっきり知らずに、飛びついちまったんだから。
めちゃめちゃ簡単に要約すると、借金だらけで破産したギリシャに、さらに金貸すから国民絞り上げて借金返せってサラ金、いや違った債権団からの提案、この脅迫に借金の一部チャラ含めた再建案を認めてくんなくちゃ無理、無理、無理って必死で食い下がった財務大臣ヤニスの苦闘の日々。
一時はヨーロッパやアメリカの経済人、政治家の理解を得てヤニスの逆提案が実現しそうになるのだが、EUとその後ろ盾ドイツ・メルケルの策略にかかって政権内部が分裂、ついにギリシャ再建の秘策は徒労に終わる、ってこんなところでいいのかな?端折り過ぎ!
で、何が凄いって、ヤニスのどこまでも撓う粘り腰だぜ。絶対諦めない。状況を見ながら、相手の出方を窺いつつ、細かに手直しを何度でも繰り返す。一歩妥協しても半歩踏みとどまり、新しい再建案を考え出し提案して行く。ひたすら交渉、腹の探り合い。
さらに、凄いのはこの一つ一つの交渉や対決、その一部始終が一言残らず記録されているってことなんだ。なんという記憶力だ。なんという記録魔だ。たまらんなぁ、相手になった奴らにとっちゃ。でも、いいんだ、みんな強者だから。
しかもしかも、その交渉術がとてつもなく知的で文化的素養に溢れている。
例えば、ある国の財相「あんたたちの金がなくなりますぜ」との発言に対して「ええ、結構ですよ。昔からビートルズも言ってるでしょ。そもそも愛は金で買えないんですよ」と、国民の自尊の闘いを表明する、っ具合だ。
難しい経済や金融の用語、ヨーロッパの政治情勢がほぼ全体を覆う中にこういう気の利いた、あるいは美しい表現が挟まれる。だから、読み通せたってことかな。まっ、半分は意地だったけど。
読み進みながら常に感じてたんだ、こんなち密で知的な交渉できる政治家日本にいるだろうか?だって、麻生だろ?国民に対してさえ侮蔑したり、歴史無視の問題発言繰り返し、挙句の果ては漢字さえ読み間違えてんだから、外交とか通商交渉とか出来っこないよな。
結局は官僚任せなんだろうけど、その官僚が忖度体質の上目使い、とてもとてもの絶望だぜ。
で、れいわ新選組に行きつくわけだ。
この本の訳者に長谷川羽衣子さんが入ってるんだ。それがこの本を最後まで読み通せた本当の理由さ。つまり、このヤニス・バルファキスは反緊縮派の理論家の一人ってことなんだな。
世界的な反緊縮政治潮流はこの本からさらに発展して、「グリーンニューディールを勝ち取れ」に繋がって行く、らしい。
って、ことで、次の読書は、「グリーンニューディールを勝ち取れ」なんだが、その前に、菜の花座認知症サポートコントと11月公演の新作台本を書かなきゃならない。
バルファキスの大作読み終えて、ほっと一息、なんてのんびりしちゃいられんのだよ。


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