ステージおきたま

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役者、大衆演劇にはまる!『流れ旅 匂うが紅』本番終わってあれこれ

2016-12-27 09:15:24 | 演劇

  まずは、感謝しないとな、座員たちに。突如、大衆演劇、しかも稽古はたったの2か月弱。慣れない着物に四苦八苦し、仕草、セリフ回しに散々ダメ出しされ、殺陣なんてもんもやらされて、もう、別世界の薄暗がりを無我夢中、手探りで歩んでいるような心地だったろう。それもこれも座長の気まぐれ、やりたい放題。よくぞ、文句も言わず頑張ってくれた。あっ、影じゃ不平たらたらだったかもしれないけど。

 稽古を始めて痛感したのは、はぁぁぁ、伝統ってもんはまるで引き継がれちゃいねえんだなぁ、ってこと。特に若い連中にゃ、チャンバラ、時代劇、憧れはあっても、実際の動きはおよそチンプンカンプンだし、大衆演劇特有の節回しも大仰な仕草も、ぜんぜぇぇぇん、わかんない!これ、誤算だった。付きっ切りで、繰り返し口移しでさらって、さらって、さらって、本番数日前にどうにか舞台に出せるレベルにたどり着けたくらいだった。

 さすがにシニア陣は、微かなれど古き日本の生活ぶりも記憶に残っているようで、体のこなしや節回しにもまずまず適応できた。でも、殺陣は、ダメだったなぁ、最後まで。とってもじゃないが、ちゃちで見てられなかった。身構え、腰の据わり方、剣の握り、剣の捌き、こういったもんは、身に沁み込んでいないと無理なんだなぁ、いくら教えても。

 中では我が花形女優は、すべてについて飲み込みも早く、芝居全体をしっかり引き締めてくれた。当人も、旅回り一座の女座長なんて役、合ってるのかも、なんて言っていた。そう、そりゃ、こちとら、お見通しでござんすよ。稽古を積み上げるにしたがい、他の役者たちもコツを掴み、大衆演劇の世界に急速にのめり込んで行った。舞台を打ち上げた時の満足感は、みんなとっても大きかった。はまるんだよ、こういう芝居は。きっと、体の奥底で眠っていたものが目を覚ますんだろうな。それが呼び覚まされたんだ。歌舞伎や大衆芸能が廃れることなく引き継がれていく所以ってことだ。

 大衆演劇的な舞台、これが初めの一歩。まだまだ、未熟、これからだ。でも、あのセリフ回しの心地よさ、仕草のカッコよさ、単純明快な筋立てと義理人情、そんな楽しさ、気持ち良さ、たっぷり味わってしまったから、この先、菜の花座のレパートリーの一つになっていくことだろう。お客さんには突然の急展開、ど、どうした?菜の花座、と不安にかられた方もいただろうが、これも大切な伝統舞台。いろんな挑戦するんだなぁ菜の花座!と、おおらかに受け止めて、見守っていただきたいものだと思う。

 役者も一つ引き出しを増やせた。菜の花座も間口を広げられた。新たなお客さんとも出会えた。この勢いを失速させぬよう、次回作、うーん、責任重いなぁ。

 

 

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