ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

コント台本『夢芝居』公開

2009-07-30 20:47:06 | 演劇

 まだ公演していないんで、今から公開するのはちょっと気が引けるけど、まっ、いいでしょ。この台本、お年寄り対象の歌謡ショーの一こまとして制作中のもの。だから主役はお年寄り。陪審員制度と振り込め詐欺を題材として扱った。演出は思い切って誇張した動きで仕上げている。受けるかどうか、それはやってみないとね。

 ちなみにこのタイトル『夢芝居』は歌謡ショー全体のタイトルで、コントの内容にはふさわしくない。なんせこの舞台、演歌舞踊が中心なのでね。

 そうそう、以前書いた僕のコントを山形短期大学の演劇部が取り上げてくれるって話だ。どんな風に演じてくれるのか、楽しみだね。

その一『閻魔庁陪審員

  源爺さん

  おくり婆さん

  予審官

  源爺さんの中学時代

  いかつい同級生

  同級生おけいちゃん

  同級生おゆうちゃん

源爺さんの家の居間。爺さん、おくり婆さんを伴って帰ってくる。

源     まっまあ、上がって一服してくこんだ。

おくり   ほんじゃまず、おめのほら話、よばれっことにすっか。

源     なんだことほら話たあ!おらの話しは、なーんもかも本当だ。ウソっ気なんざこれっぽっちもねえぞ。

おくり   まっ、毛がねえなは本当だ。

          と、源爺さんの頭をなぜる。

源     こら、やめろ!禿んでねえか!

おくり   もう、とっくに禿ったべ。

源     違う!ここさ一本、あれっ?あれっ?ねえ!今朝まであった最後の一本がねえ。おめえ、・・・!

おくり   ありゃ、こんなとこに、

          と、袖口に絡まった一本の髪の毛を引き抜いて掲げる。

源     ああっ!ああーっ!最後の一本を!!おめえ!!!とうとう、つる禿にしちまいやがって!

おくり   大げさな。なにや、こがな綿くずみてなもん!

          と、つまんだ髪の毛を吹き飛ばす。

源     あっ、こら、何すんなだ!ああー・・・。

          と、床を夢中で探し回る。おくり、知らんぷりでお茶を入れて飲む。

源     あーあ、こんじぇ、おらの青春も終わった。

          おくり、お茶を源さんの顔に吹き出す。

おくり   爺が何言ってっこと。

源     うっせー。

おくり   はい、お茶。おめのつる禿、50年も前からだした。

源     ほがなことあるわけあんめっち。ついこねえだまで黒々しったたもんだ。

おくり   ほだんかぁぁ!

源     おめえ、知らねえべ。おらがどんだけ持てたか。

おくり   ほれほれ始まった。源助爺のほら話。

源     学校生徒の時なんか、一度きに2人から好きだ!って告白さっちゃもんだ。

おくり   ほうほう、そんで、

源     いや、ほだからよ、女学校生徒2人が不良に絡まちぇたのよ。

おくり   ほうーー!

源     そんで、おらが不良に一発かまして、助けてやったなよ。したら、女学校生徒、素敵ぃぃぃぃってな、

          予審官入ってくる。

予審官  あのぉぉぉ、源助さんのお宅はこちらでですかぁぁぁぁ?

源     ああ、ほだぜ。・・あんただれや?

予審官  いやぁぁぁぁ、歩きましたぁぁ。こんな険しい道、地獄にだってありませんよぉぉぉぉ。

源     何が地獄だ。それよか、おめえ何もんだ?

予審官  ああ、申し遅れました。私、閻魔庁から派遣された者です。

源     なに?えんがちょ?

予審官   えんがちょ?!いえ、閻魔庁!

源     按摩しょう、おっほだか、肩でも揉んでもらうべ。

予審官   違いますぅぅぅぅ。閻魔!え・ん・ま・!!

源     なんだと!?とんまだぁぁぁぁぁ?おらとんまだって言うなか?

予審官  とんでもない!!言ってませんよ、そんなこと。閻魔って言ったんですよ。え・ん・ま。

源     けんま。

予審官  えんま。

源     たんま。

予審官  たんまなし!えんま。

源     えんまん。

予審官  えんま。

源     あんまん。

予審官  食べたい。ち、違います!閻魔様の閻魔です。

おくり   閻魔様って、あの地獄の閻魔様だか?

予審官  そうです。地獄の裁判官、閻魔大王様!

源     閻魔大王だぁぁぁぁ?そがなもんいるわけねえべ?

おくり   源さん!そがなこと言ったらバチ当たるよ!

源     バチ?まかせとけ、おらバチなんざいっくら刺さっちぇも屁とも思わね。

おくり   そのバチと違うこで。もう、わかんね!

源     わかってっこで。閻魔大王だべ。あのべろべろとした着物きて、大って書かっちゃ冠被って、しゃもじの細長げえの持った、

予審官  あ、いえいえ、今はそんな格好していません。地獄社会も近代化が進みましたから。大王様もスーツ姿です。

おくり   閻魔様がスーツ!似合わねえぇぇぇ。

予審官  「愛されてるね、地獄!」「一度は行きたい地獄巡り!」これが私どものモットーでございますから。

源・おくり 行きちゃくね!

予審官  まあまあ、で、地獄近代化の目玉といたしまして、この度、陪審員制度を設けることになりました。

源・おくり 陪審員制度?

予審官  はいっ!陪審員制度。これまでの大王様お一人の判定では、様々冤罪事件なども発生いたしたということもあり、

源     冤罪事件!

予審官  はーい!先日明らかになった事例では、小さなウソでベロを引っこ抜かれたため、重大事件について申し開きもならず、60年間も血の池地獄で溺れ続けた者が、ぬれぎぬだったことがわかりました。

おくり   もごせえこと!

予審官  はーい!助け出された時は、体中から血が吹き出し、一週間も止まりませんでしたね。お陰で血の池がもひとつできたほどでした。

おくり   うおっ!

源     そんじぇ、その陪審員制度がなして、ここさいるわけだ?

予審官  はーい!陪審員になっていただく方を探して歩いております。

源     ちゅうことは、おらがその候補ちゅうわけか?

予審官  はーい!

おくり   わっはっはっは、わっはっはっは、

源     おめ、なして笑うなや?ちゅうよりその笑い声、なんとかなんねか?

おくり   ほだて、可笑しいべした。このほら吹き爺さんが、陪審員だなんて!なんかの間違えでねえな?

予審官  いいえ、確かにこちらの源助さんです。厳正なる抽選の結果選ばれた候補者のお一人です。

源     なんだこと、抽選かい。

おくり   ほだべなぁぁ。

予審官  全国のお年寄りから、800人を選びました。

源     なしてや800人て。

予審官  嘘800!

源     なるほど!って、だじゃれかい?

予審官  で、私ども予審官の仕事は、候補者の方が本当に陪審員にふさわしいかどうかを審査することでございます。

おくり   あっ、そんなん無駄無駄!ダメに決まってる。

源     うっせー!婆すっこんでろ!よし、ほんじゃまあ、やってもらうべ、その審査たらいうなを。なにすんなや?

予審官  はーい!簡単なことです。あなたの過去をちょこっと覗かせていただくだけのことですちょこっと。日頃あなたがおっしゃってることが本当かどうか。

源     おもしぇぇ!覗いてもらうべ。

予審官  はーい!ご協力ありがとうございます。それでは、先ほどお話になっていた女学生を助けたという件でいかがでしょう。

源     えっ!あれかぁぁ・・・

予審官  何か不都合でもごさ゛いますか?

おくり   ほら、白状しちまうこんだ。

源     うっせー!よし、見にいくべ。

          と、女学生のおけいちゃんに追われるように、中学生の源さん出てくる。

源     おっと、あれがおらかい?いやあ、若けえなあ。

おくり   ちびだなえ、それにぷよぷよして。

源     めんごいべした。

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