大豆と一緒に播いた小豆、収穫時だ。鞘の色が青から白、さらに茶色く色づいて、さぁ、さっさと取らねえと勝手に弾けちまうぜ!って脅しをかけてくる。まったく手間のかかる奴だ。一鞘、一鞘、手取りせにゃならんのだぜ。
小豆の実りってのは、好き放題!同じ株、同じ茎、同じ穂先であっても、実るやつはさっさと熟し、その気にならんやつは、未だ青いままで、平然としてるんだ。
まったく!お隣に植わってる大豆を見習えよ。整然と乱れることなく熟して行くじゃないか。一気に根っこから引っこ抜いて、乾かして脱穀、調製、機械作業で素直に豆になって行く。それに引き換え、小豆、お前はよぉ、熟すに従い何度でももぎ取りして行かなくっちゃならない。何様だよ!もう、すでに神さんが2回やった。今度は俺の番が回って来た。
神さん任せにできない事情ってもんがあるんだよ。神さんの意向無視して、5列も撒いちまったんでな。もう、手間かかるのに!そんなに播いて責任取りなさいよ!って言い渡されてたんだぜ。小豆は餡の材料、菓子やパン作りにゃいくらだって欲しい、てのがこっちの思惑なんだが、去年収穫したものもまだまだ残っているので、強くは言い張れないのさ。
小豆の列の間に這いつくばって、一鞘ずつもぎ取り開始だ。枝を探り、未熟な鞘を落とさないように、色の変わったものだけ収穫していく。なんと、原始的な!太古、イネは穂首で刈り取ったって話しだが、あれよりもっと手数がいる。同じ束の中にも、実りはバラバラなんだ。もぎ取ったものは、腰に付けたはけごに放り込む。一株済ませば、膝でいざって次の株、小豆の林?をかき分けて行く。飽きる作業だ。気の滅入る仕事だ。こういう単純作業は、調子のよい音楽に尻押しさせて進めるのが一番だ。スマホでアマゾンミュージック、農作業にゃ大いにお役立ちだぜ。
午前中目一杯頑張って、どうにか4列終了。残りはまた明日。と言っても、それですべて完了ってわけじゃない。少なくともあと1回は、収穫に入らねばならない。半日分の貴重な成果は、はけごにたったの1杯!一心不乱、リズムに乗って、やり遂げてもこれだけ。鞘剥いて、1リットル?あるわけないよ、そんなに。
なっ、小豆にってめっちゃ貴重品なんだぜ。おい、ありがたく食えよ、どら焼き!