ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

「ご家族はお喜びでしょうね」って決めつけるなって!

2016-08-14 09:23:28 | テレビ

 オリンピックだ。日本のメダルラッシュ?が続いてて、ちょっぴりスポーツナショナリストの僕としちゃ、日々機嫌よく暮らしている。今も卓球女子準々決勝、3人娘、見事勝ち上がったとこ見たばかりだしね。でも、ちょっと種目が偏ってる感じがして、気になるなぁ。柔道に水泳、お家芸ってやつだけど、もっと世界でメジャーなスポーツでどうなのよ?って思ったりもする。まっ、水泳はメジャーだけど。サッカー負けたし、バスケ女子も厳しいし、これからあるマラソンもほぼ結果見えてる感じだし。でも、メジャーもマイナーもここにたどり着くまでに我ら凡人には想像さえできない苛烈な鍛錬を重ねてきたわけだから、勝者の笑顔も敗者仏頂面も、どれもこれも見ていて激しく心を揺さぶられる。

 選手一人一人が背負って来た重さにくらべ、あまりに軽く聞くたびに違和感があるのがインタビューだ。質問の中の、「ご家族はお喜びでしょうね」ってやつだ。聞いてるアナウンサー、答えを確信してるからね、家族の力とか家族の支えとか、感謝の言葉がかえってくるって信じて疑わない。「誰に一番伝えたいですか?」なんて質問も、暗黙のうちに、お母さん?お父さん?奥さん?って返答を強いているようで、どうも居心地が悪い。家族との絆を引き出せば、お涙ほろり、視聴者も泣いて喜ぶ、これも信じて疑わない。

 そりゃ、家族の協力は必要だろう、日常生活を支えてるのは多くの場合家族に違いないからね。でもねぇ、大きいのは、なんったって、当人の努力でしょ。本人の頑張りでしょ。両親の顔思い浮かべながら辛い練習に耐えてるなんて選手いると思う?まだしも、コーチや監督の方が、一心同体で戦ってきてると思うんだよ。いや、それだって選手自身の孤独な頑張りから見たら、部外者、随伴者でしかない。様々な不安に耐え、究極の苦難を切り抜けて掴んだ勝利であり達成だよ。すぐさま家族に直結させるのって、余りにも底が浅い反応だよ。とことん安易だよ。でも、今、これ流行りだよね。

 3/11以来、もう、家族の絆は絶対神だもの。これだけは、どこに行っても、誰にとっても疑いようもない真実、万能のジョーカーだ、って信心が蔓延してる。なんたって、首相はじめ圧倒多数派の政権党が強力に推し進めているのが3世代同居だし、家族を国家の基本単位と決めて憲法にはめ込もうとする動きなわけだから、これは強力だよ。権力のお墨付きもらってるわけだもの。

 でもねぇ、誰もが円満な家族関係築いてるわけじゃないんだよ。厚い信頼で結ばれてる親子や夫婦もいれば、憎しみあったり傷つけあったりしてる家族もそちこちにある。どちらの極も多くはないだろうが、その間の典型家族?にしたって、強力接着剤のような結びつきはしていない。もっとさらっと水糊くらいのくっつき具合なんしゃないか。そうそう、一人暮らしの人たちだって最近は無視できないほど多いわけだし。

 親子で勝ち得た栄光、って美談?があちこち転がってるって事情もあるんだろう。例えば、卓球の伊藤美誠や水泳の池江璃花子とスパルタ母さんとか。でもね、それだって、感謝はしても、同体で喜ぶなんてないと思う。ほら、イチローとチチローとの不和みたいに、人間の心ってやつは、見たいような美談仕立てにはなっていないんだ。そうそう、体操女子で圧勝したシモーネ・バイルズ、薬物中毒の母親の手を離れ祖父母の手で育てられた彼女、マスコミの執拗な言及にも動じることなく、私の両親は祖父母だ!って言い張っていた。こういう様々な家族の在り方があるんだ。 

 インタビュアーたちの浅薄なスポーツ理解、浅はかな人間認識、小ばかにしたお涙頂戴意識、こういったものが、選手たちの途方もない努力や到達点をちっぽけでありきたりのものに貶めている。そこんと、もっと考えて欲しいもんだね、テレビ関係の人たちには。まっ、タレントとかって、たわいない一言でわかっように世の中突っついてその気になってるのがテレビの現状だから、そこで人間への洞察力を身に着けろって方が、無理な注文なんだろうけど。

 家族ってものも多様、家族とのあり方も千差万別、それが現実。その実際から目を背け、あって欲しい姿を思い描いて世の出来事を追う、そんなマスコミじゃ、今この国を急速に覆いつつある単色化の潮流を押しとどめることなんてできないぞ。みんな一緒、みんな同色の行きつく果ては、・・・そう、わかってるね、いつか来た道だよ。

 

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