ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

所変われば?『THE 39 STEPS』

2010-03-03 22:58:43 | 劇評

 シアタークリエで『THE 39 STEPS』を見た。これまたどんなものかわからない。初めて入ったシアタークリエは、ルテアトル銀座とか博品館ホールと同じ方向性かな。知的で若い女性たち向けのしゃれたお芝居とミュージカル狙い?

  今回の作品もまさにその路線。なんとヒッチコックの同名映画のパロディだった。なるほどサスペンス映画ってのはパロるにはもってこいかも知れない。だって、パロディってのはお偉いさんやくそまじめな出来事や切迫感のあるシーンなんかをひっくり返して笑いのめす働きだもの。ヒッチコックなんてもってこいだよね。

 まずこのアイディアに唸らされた。しかも、それをたった4人の役者で演じきってしまおうって発想も凄い。装置、と言っても簡単な大道具類だけど、これを取っ替え引っ替え、あっちへ動かしこっちに出しして4人が動かす。飛び回り、走り回りの早変わり、4人が演じる役柄はなんと139!正確には今村ねずみと浅野和之がほとんどめちゃくちゃな早変わりで演じていく。その達者なこと。そのテンポの良さ。そのアイディアの愉快さ、当然客席は笑いに包まれた。僕も笑った。

 

 でもね、途中で飽きてしまった。ネタがばれると、ああそれねって感じだ。さらに、落ち着いて見直して見ると、ほとんどのギャグや工夫は、僕らやったことあるしぃぃぃとか、見たことあるもんねぇぇぇってものなんだよね。キャスター付きのドアを回転させて部屋の内外表現するとか、紗幕使ったシルエットとか、半身にコート羽織って右左客席に向けながら二役演じるとか、まっ、あれほど上手じゃないけど、見慣れた光景なんだよな。

 さらに二幕に入ってからは、どうもかったるいっていうか、狙いがはっきりしないっていうか、ギャグも散漫になってテンポも落ちてきて、ちょっぴり眠気も催してしまった。まっ、直前に飲んだワインのせいもあるけど。いやいや、優れた舞台は、酒なんかものともしない。眠気なんて酔いなんて吹っ飛ばすものなんだ。 

 だから、まあ最終的な評価としては、アイディアの勝利!役者力に軍配!ってところかな。なのに!満席のお客さんは大喝采だった。カーテンコールなんか何回繰り返されたことだか。ええーっ、それほどの舞台なの???所詮、パロディはパロディでしょ。感動するってレベルじゃあないよね。

 

 多分、ここに来ていたお上品なお客さんたちはこういったネタばれ手品みたいな下品なギャグに慣れてないんだろうね。だから、ものすごく新鮮だって感じたんだろう。まあ、確かに、こんな日比谷の劇場でこんなことやっちまうってことが一番の真新しさで冒険だったんだろう。てことで、「所変われば驚き変わる!」うーん、いまいちか?!

コメント
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