朝ごはんを食べながら録画した山の映像を見る。
10代の頃、山に行く旅が一番の楽しみだったかもしれない。
最初が丹沢で、長崎市に住んでいるときは周辺の山を手当たり次第に。
例によって「広く浅く」なので、その後は八幡平から開聞岳まであちらこちら。
よくあんな深い山に出かけていたもんだ、とテレビで見ながら今では思う。
そして、麓から見上げたとき、その稜線のあたりがどんな感じの場所なのか想像するのが楽しい。
テレビの映像を見ながら、ふと匂いがすることがある。
遠い記憶の匂いがいきなり蘇ってくるのだ。
一時期、嗅覚が非常に弱くなってしまったことがあった。
どんな匂いでも嗅ぎたい、と狂おしく思ったこともあったけど、
ではどんな匂いを一番嗅ぎたいのかと自問した時に、
土の匂い、緑の匂い、そして焚き火の匂い。
つまりは、山中の匂いなのだった。
都内に戻ってきた頃、近くにある大きな公園を散歩して匂いを嗅いだりしていたのだけど、
やはり何かが違うように感じてしまう。