泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

文学座の「岡本かの子」

2013-03-12 19:15:29 | 丹下一の泡盛日記
文学座75周年の舞台「エゲリア」をビデオで観た。
チラシを見た時に「これは行こうかな」と思っていたが例によって無精してしまった。
興味をひかれたのは岡本かの子が主題だったからで。
「岡本かの子抄」という舞台がストライプハウス美術館で上演されたのは1990年代の半ば。自分はスタッフだった。多分、照明だった、と思う。(そんなことって忘れてしまうもんなんだ)
その後続けて「岡本太郎の言葉展」をシリーズでやり、これには出演している。
広い空間ではなかったが、毎回立ち見どころではない満席。しかも若い人がたくさんで、岡本太郎の人気にこちらが驚いていた。
その一連に太郎さんの秘書でその後養女になった敏子さんがオブザーバーとして絡み、太郎さんの未発表の作品を装置で使わせてもらった。
敏子さんとは二人でワイン1本空けたこともある。(空けたところで後続部隊がどっとやってきたのだ)
酒の席ではとにかく太郎さん、そしてかの子一平の話しかない。
本当に様々のお話をうかがった。
なのでストーリーやエピソードは知り尽くしている。
そして自分の中で勝手にイメージが膨らんでしまっている。
しかも文学座が岡本かの子を取り上げるとは、とも思う。
実は、ちょっとご縁のある役者が出演していた。
この中でもいい芝居している。
冒頭、こりゃアングラか、と思うくらい怒鳴りあいが続く。
怒鳴りあいだが芝居の輪郭がはっきりしている。さすがだ。
かの子をやった女優が素敵。
かの子さんに会えたような気がした。
そして、岡本家の3人+2人が目の前に立ち現れてくる感じがした。

今日は福島の原発が爆発してから2年が経った日。
昨日、天女座チームは続くトラブルにもめげず熊野大社での奉納公演を無事終えた由。
よかった。
実は自分も昨日から何かが変化した。
切なかったり悲しかったりもがいたりしているが、ファイトもわいている。
(太郎さん「ファイトがわく」ってフレーズをよく使ってた)
天はどんな道を用意しているのか、さてさてどうなっていくか楽しみだ。
昨日、青山墓地の隣を歩いていて、ふとみたら信号は青だった。

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3月11日はアートのはしご

2013-03-12 00:27:00 | 丹下一の泡盛日記
お弁当をこしらえて都内へ。
文京区のギャラリーでヒグマ春夫さんのインスタレーション、そしてそこでのパフォーマンスに立ち会う。
ヒグマさんの作品はいつみても勉強になる。
シンプルだが仕掛けが深い。
今回も断層的な仕掛けとそれに絡む映像が実に面白い。
商業ベースの映像がそこら中に溢れている。劇場にも。
それらの課題はどうやって人を驚かせて意識を画面に向けさせ、釘付けにするか、だ。
常に何かが起こっていなければならない。
だから一つひとつの素材画像が認識されない(深層心理では認識されているというけど)ものもよくある。
ヒグマさんの今回の映像はそれとは一線を画する。
ある映画監督が「雲や波は見ていてあきない」とご自身の作品の中でも毎回使っている。
自然は同じように見えても二度と同じ場面がない。
人間はどこかでそれを知覚しているので、雲や波を見続けることができる。
ヒグマさんの今回の映像は、もちろん仕掛けはあって「何か」が起こるのだけど、限りなく「自然」に近い印象を受けた。
もちろん流れる雲や波を映像化しているのではない。
そのぎりぎりのところの理論化などできない絶妙なセンスがヒグマさんの本領発揮なのだろう。
その中で日替わりでパフォーマンスが行われる。
こりゃあ立つ方は大変だ。
画面ですごいことが起こるとか、音楽なら大音量で空間を埋め尽くすとかなら、まだ簡単。
身を任せて抱かれちゃえばいいんだもん。
ぎりぎりのヒグマセンスの「自然」の中で、どう居る/有るのか。
自分だったら、と意識せざるを得ないパフォーマンスだった。

パフォーマンスは15時からだった。
その前、14時46分にみんなで黙祷。
自分の中にも2年前のあの日が蘇る。

終演後、四ッ谷で開かれている写真展「311 I will never forget you」へ。
プレイバッカーズの釜石でのパフォーマンスに同行して下さった林里江子さんの写真なので、自分も何枚か写っているものがある。


ちょっと時間があったので四ッ谷から六本木まで歩くことにする。
東宮御所ってどこにあるか初めて知った。
花粉がひどいけれど歩くのは楽しい♪
夕方の六本木。

この風景を10年に渡って眺めていたが、その時はこの巨大なビルは存在していなかった。


懐かしのストライプハウス(美術館)ギャラリー。


after 311をテーマにしたプロジェクト・ムー、宗方駿さんの舞台を観る前にギャラリーで岡田好永さんという方の人形展。
色遣いが繊細でいい感じ。
お茶を頂きお話しする。
花粉症でティッシュボックスを持参しているのを珍しがられる。
「館長」にもご挨拶して階下の舞台へ。
ここで客席に座るのは数えるほどしかない。だって常に舞台側だったのだもの。
小さなパフォーマンスだったけど「震災のその後」にしっかりと向き合っていたことが印象深かった。
宗方さん曰く「記念日みたいになってる。これからはいつやっても"after 311"としたい」。
同感だ。

舞台や展覧会のはしごをしているとそれこそ「昔」を思いだす。
復活してきたねえ♪
そして栄養もたくさんもらってプランもしっかり浮かぶ上がる。
ああ、稽古したいなあ!

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