泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

指定管理者制度10年の結果

2012-11-19 07:02:43 | 丹下一の泡盛日記
先日、県の宿泊施設にて。
ここは研修センターでもあり宿泊者は通常の旅館などとは異なり、ある種の自主管理が求められる。
部屋にある茶器なども洗って元に戻さねばならない。
それは施設の性格上受け入れるべきこととこの10年間応じて来た。

施設の研修室で稽古中に事務所から電話。
宿泊予定の部屋の金庫に前日宿泊した人が忘れ物をした。鍵を持っているあなたたちがとりだして事務所まで持って来てほしい、との依頼だった。
17時を過ぎているので事務所の職員は対応しない時間帯。(オフィスにいても対応してくれない。ガラスを叩いても完全に無視されたことがある)
警備室からの電話だった。
もちろん、お断りした。
なんの関係もない自分たちに責任が生じるような行為を引き受けるわけにはいかない。
どんな可能性だって考えられる。
そして、なぜこんな依頼をして来たのだろう。

勝手な連想なのだけど。
劇場など公共の施設の管理運営を民間の業者に委託する指定管理制度がスタートして10年になる。
行政の人間は大抵が不勉強で劇場の運営などままならず、プロに任せた方が良い、というような理屈で始まったと思う。
だが入札で決めることになるのだから予算を削っている業者が受注する。
なので、先だっての同じ県内の劇場のように「管理はするが、技術スタッフがいないので技術的な相談には応じられない」ということが多々起こる。
この劇場では仕込みの最中の機材トラブルにも一切対応できず担当者が携帯電話で写真を撮り業者に送って相談していた。
もちろんこちらの方で先に解決して本番は無事幕を開けたのだけど。
昔よくいたうるさい存在だけど「設備のことならこの親父に訊け」みたいな人はどこに行ってしまったのか。。。と嘆いても始まらない時代だ。

ようするに行政は民間に丸投げして予算を削り、税金でまかなわれている施設の運営内容の本質なんぞには興味を持たないと言うことなのだろう。
ある意味では大変に恐ろしい電話をかけて来た警備担当者もこういった「丸投げ」体質の中で生きている。
だから本来施設が追うべき「責任」を丸投げしてもなんの不思議でもなかったのだろう。
もちろん彼らの上に立つ行政サイドが本来の業務以外での「責任」も彼らに押し付けているからに違いない。
依頼の無責任さと「リスク管理」の発想すら無い態度にあきれたが、何よりも「指定管理制度」10年のひとつの結果、に出会った気がした。

年末に解散総選挙とは迷惑千万。
そして自民党が政権を取り戻せれば景気が良くなるとの「噂」が流されている。
だが、小泉政権の「規制緩和」の結果、たくさんの人が「経済的下層」に落ち、一部の「投資可能資産1億円以上」のお金持ちは確実に増え続ける(現在300万人を超えて世界第2位だ)国になった。
その「規制緩和」の流れの中で指定管理制度も生まれた。
自民党の現職議員は2世議員ばかりで「下層」のことなど眼中に無い。眷属の利権を守る使命で精一杯。
津波の高さが想定外という原発施設も自民党が建て続けた。
大震災の後は、耐震構造を充実させよと改築を勧める、この土建屋体質。

民主党がいいとは思わない。
そして小泉のときも思ったのだが、自分には自民党に票を入れる理由が皆目見当たらない。
小泉の本質を見誤り貴重な一票を投じた多くの人たちが、彼の政策で首を絞められるような事態になったのではなかったのか。
もちろん原発推進派のチンピラが党首の政党も論外だ。
年末にこれ以上頭使わなければならんとは、それこそ頭が痛いなあ。
コメント
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