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墨子 巻十四 備穴(原文・読み下し・現代語訳)

2022年11月27日 | 新解釈 墨子 現代語訳文付
墨子 巻十四 備穴(原文・読み下し・現代語訳)
「諸氏百家 中国哲学書電子化計画」準拠

《備穴》:原文
禽子再拝再拝、曰、敢問古人有善攻者、穴土而入、縛柱施火、以壞吾城、城壞、或中人為之柰何。子墨子曰、問穴土之守邪。備穴者城内為高樓、以謹候望適人。適人為變、築垣聚土非常者、若彭有水濁非常者、此穴土也、急塹城内穴其土直之。穿井城内、五步一井、傅城足、高地、丈五尺、下地、得泉三尺而止。令陶者為罌、容四十斗以上、固幎之以薄皮革、置井中、使聰耳者伏罌而聴之、審知穴之所在、鑿穴迎之。
令陶者為月明、長二尺五寸六圍、中判之、合而施之穴中、偃一、覆一。柱之外善周塗、其傅柱者勿焼。柱者勿焼柱善塗其竇際、勿令泄。両旁皆如此、與穴俱前。下迫地、置康若灰其中、勿満。灰康長五竇、左右俱雑相如也。穴内口為灶、令如窯、令容七八員艾、左右竇皆如此、灶用四橐。穴且遇、以頡皋衝之、疾鼓橐熏之、必令明習橐事者勿令離灶口。連版以穴高下、廣陜為度、令穴者與版俱前、鑿其版令容矛、参分其疏數、令可以救竇。穴則遇、以版當之、以矛救竇、勿令塞竇、竇則塞、引版而卻、過一竇而塞之、鑿其竇、通其煙、煙通、疾鼓橐以熏之。従穴内聴穴之左右、急絕其前、勿令得行。若集客穴、塞之以柴塗、令無可焼版也。然則穴土之攻敗矣。
寇至吾城、急非常也、謹備穴。穴疑有應寇、急穴穴未得、慎毋追。凡殺以穴攻者、二十步一置穴、穴高十尺、鑿十尺、鑿如前、步下三尺、十步擁穴、左右横行、高廣各十尺殺。
俚両罌、深平城置板其上、連板以井聴。五步一密。用梓若松為穴戶、戶穴有両蒺藜、皆長極其戶、戶為環、壘石外埻、高七尺、加堞其上。勿為陛與石、以縣陛上下出入。具鑪橐、橐以牛皮、鑪有両缶、以橋鼓之百十、每亦熏四十什、然炭杜之、満鑪而蓋之、毋令気出。適人疾近五百穴穴高若下、不至吾穴、即以伯鑿而求通之。穴中與適人遇、則皆圉而毋逐、且戦北、以須鑪火之然也、即去而入壅穴殺。有鼠竄、為之戶及関籥獨順、得往来行其中。穴壘之中各一狗、狗吠即有人也。
斬艾與柴長尺、乃置窯灶中、先壘窯壁迎穴為連版。鑿井傳城足、三丈一、視外之廣陜而為鑿井、慎勿失。城卑穴高従穴難。鑿井城上、為三四井、内新甀井中、伏而聴之。審之知穴之所在、穴而迎之。穴且遇、為頡皋、必以堅材為夫、以利斧施之、命有力者三人用頡皋衝之、灌以不潔十餘石。趣伏此井中、置艾其上、七八員、盆蓋井口、毋令煙上泄、旁其橐口、疾鼓之。以車輪為轀。一束樵、染麻索塗中以束之。鐵鎖、縣正當寇穴口。鐵鎖長三丈、端環、一端鉤。鼠穴高七尺、五寸廣、柱閒也尺、二尺一柱、柱下傅舄、二柱共一員十一。両柱同質、横員士、柱大二圍半、必固其員士、無柱與柱交者。
穴二窯、皆為穴月屋、為置吏、舍人、各一人、必置水。塞穴門以車両走、為轀、塗其上、以穴高下廣陜為度、令入穴中四五尺、維置之。當穴者客争伏門、轉而塞之為窯、容三員艾者、令其突入伏尺。伏傅突一旁、以二橐守之、勿離。穴矛以鐵、長四尺半、大如鐵服説、即刃之二矛。内去竇尺、邪鑿之、上穴當心、其矛長七尺。穴中為環利率、穴二。
鑿井城下、俟其身井且通、居版上、而鑿其一遍、已而移版、鑿一遍。頡皋為両夫、而旁貍其植、而數鉤其両端。諸作穴者五十人、男女相半。五十人。攻内為傳士之口、受六参、約枲繩以牛其下、可提而與投、已則穴七人守退、壘之中為大廡一、蔵穴具其中。難穴、取城外池脣木月散之什、斬其穴、深到泉。難近穴為鐵鈇。金與扶林長四尺、財自足。客即穴、亦穴而應之。
為鐵鉤鉅長四尺者、財自足、穴徹、以鉤客穴者。為短矛、短戟、短弩、虻矢、財自足、穴徹以門。以金剣為難、長五尺、為銎、木柄、柄有慮枚、以左客穴。戒持罌、容三十斗以上、貍穴中、丈一、以聴穴者聲。為穴、高八尺、廣、善為傅置。具鑪牛皮橐、皮及缶、衛穴二、蓋陳靃及艾、穴徹熏之以。斧金為斫、柯長三尺、衛穴四。為壘、衛穴四十、屬四。為斤、斧、鋸、鑿、瞿、財自足。為鐵校、衛穴四。為中櫓、高十丈半、廣四尺。為横穴八櫓、蓋具稿枲、財自足、以燭穴中。益持醯、客即熏、以救目、救目分方鼓穴、以盆盛醯置穴中、大盆毋少四斗。即熏、以目臨醯上及以洒目。

字典を使用するときに注意すべき文字
牛、理也。 おさめる、ととのえる、の意あり。
門、聞也。 きく、の意あり。


《備穴》:読み下し
禽子(きんし)の再拝再拝して、曰く、敢て問ふ古(いにしへ)の人に善く攻むる者は有り、土に穴(けつ)して而して入り、柱を縛(ばく)して火を施し、以って吾が城を壞(こわ)し、城が壞(こわ)れれば、或は中の人は之を為すこと柰何(いかん)せむ。子墨子の曰く、穴土(けつど)の守(しゅ)を問うか。穴(けつ)に備ふるには城内に高樓を為(つく)り、以って謹みて適人(てきじん)を候望(こうぼう)す。適人の變を為し、垣を築き土を聚(あつ)むること常に非(あら)ざるは、若(も)しくは彭(にはか)に水の濁ること有りて常に非(あら)ざるは、此れ土に穴(けつ)するなり、急ぎ城内を塹(ざん)し其の土を穴(けつ)して之に直(あた)る。井を城内に穿(うが)つこと、五步に一井、城足に傅(つ)き、高地は、丈五尺、下地は、泉を得ること三尺にして而して止む。陶者(とうしゃ)をして罌(かめ)を為(つく)ら令(し)め、四十斗以上を容(い)る、固く之を幎(おお)ふに薄き皮革を以ってし、井中に置き、聰耳の者をして罌(かめ)に伏して而して之を聴(き)か使(し)め、審(つまびら)かに穴の所在を知り、穴を鑿(うが)つてこれを迎ふ。
陶者をして月明(げつめい)を為(つく)ら令め、長さ二尺五寸を六(ろく)圍(い)、之を中判し、合せて而して之を穴中に施し、偃(えん)を一、覆(ふ)を一をなす。柱の外は善く周(あまね)く塗り、其の柱に傅(つ)くるものは焼くこと勿(な)し。柱は柱を焼くこと勿(な)くす。善く其の竇(とう)際(さい)を塗り、泄(も)れ令(し)む勿(な)し。両旁(りょうぼう)は皆此の如し、穴(けつ)と俱(とも)に前(すす)む。下は地に迫り、康(こう)若(も)しくは灰(かい)を其の中に置き、満(みた)すこと勿(な)し。灰(かい)康(こう)は長く五竇(とう)、左右は俱(とも)に雑(まじ)はること相(あひ)如(ごと)くなり。穴の内口(ないこう)に灶(そう)を為(つく)り、窯(よう)の如くなら令(し)め、七八員(いん)の艾(がい)を容(い)れ令(し)め、左右の竇(とう)は皆此の如くし、灶(そう)は四(し)橐(たく)を用ふ。穴(けつ)は且(まさ)に遇(あ)はむとすれば、頡皋(けつこう)を以って之を衝(つ)き、疾(と)く橐(たく)を鼓(こ)して之を熏(くん)ず。必ず明らかに橐(たく)の事を習ふ者にせ令(し)めて灶口(そうこう)を離れ令(し)むる勿(な)し。連版(れんばん)は穴(けつ)の高下(こうか)、廣陜(こうきょう)を以って度(ど)と為し、穴者(けつしゃ)をして版(はん)と俱(とも)に前(すす)ま令(し)め、其の版(はん)を鑿(うが)ち矛(ほこ)を容(い)れ令(し)めて、其の疏數(そさく)を参分(さんぶん)して、以って竇(とう)を救ふ可(べ)から令(し)む。穴(けつ)は則ち遇(あ)はば、版を以って之に當(あ)て、矛(ほこ)を以って竇(とう)を救ふ、竇(とう)を塞(ふさ)が令(し)むるは勿(な)し、竇(とう)の則ち塞(ふさ)がば、版を引いて而して卻(しりぞ)け、一の竇(とう)に過(あ)ひて而して之を塞(ふさ)がば、其の竇(さい)を鑿(うが)ちて、其の煙(えん)を通じ、煙が通ずれば、疾(と)く橐(たく)を鼓(こ)して以って之を熏(くむ)ず。穴(けつ)の内(うち)従(よ)り穴の左右を聴き、急(にわか)に其の前を絶ち、行くを得(え)令(し)むるは勿(な)し。若(も)し客(きゃく)が穴(けつ)に集はば、之を塞(ふさ)ぐに柴(さい)を以ってし、塗りて、版を焼く可(べ)きこと無から令(し)む。然らば則ち穴(けつ)土(ど)の攻(こう)は敗(やぶ)れむ。
寇(こう)の吾が城に至ること、急(にわか)にして常に非(あら)ざるときは、謹みて穴(けつ)に備(そな)へよ。穴(けつ)が有るを疑ふときは寇(こう)に應じて、穴を急にし、穴の未だ得ざるときは、慎(つつし)みて追ふこと毋(なか)れ。凡そ穴を以って攻むる者を殺(やぶ)るには、二十步に一の穴を置き、穴は高さ十尺、鑿(うが)つこと十尺、鑿(うが)つは前(さき)の如くし、步に三尺を下る、十步に穴を擁(よう)し、左右に横行し、高廣は各の十尺。殺(やぶ)る。
殺(さつ)に両罌(りょうおう)を俚(うづ)め、深さ城と平らにし其の上に板を置き、板を連ねて以っして井を聴く。五步に一密(みつ)。梓(し)若(も)しくは松(しょう)を用いて穴戸(けつこ)と為し、戸穴(こけつ)に両に蒺藜(しつれい)有り、皆の長さ其の戸を極(きわ)め、戸に環(かん)を為(つく)り、石を外埻(がいわく)に壘(かさ)ねること、高さ七尺、堞(ちょう)を其の上に加える。陛(へい)を為るに石を與(もつ)てすること勿(な)く、縣陛(けんへい)を以って上下(じょうげ)出入(しゅつにゅう)す。鑪橐(ろたく)を具(そな)へ、橐(たく)は牛皮を以ってし、鑪(ろ)に両缶(りょうかん)は有りて、橋(きょう)を以って之を鼓(こ)すること百十、每(おのおの)に亦た熏(くむ)ずるは四十什、炭を然(もや)して之を杜(ふさ)ぎ、鑪(ろ)に満して而してこれを蓋(おお)ひ、気をして出(い)で令(し)むること毋(なか)れ。適人(てきじん)の疾(と)く五百穴近く、穴は高(たか)く若(も)しくは下(ひく)く、吾が穴(けつ)に至らざるときは、即ち伯鑿(はくさく)を以って而して之を通(つう)ぜむことを求む。穴中(けつちゅう)に適人(てきじん)と遇(あ)ふときは、則ち皆圉(ふせ)いで而して逐(お)ふ毋(なか)れ、且(まさ)に戦ふを北(に)げ、以って鑪火(ろか)の然(も)ゆるを須(ま)ち、即ち去りて而して壅穴(ようけつ)に入りる。
殺(さつ)に鼠竄(きゅうそ)有り、之が戸(こ)及び関籥(かんやく)を為(つく)り獨り順(したが)ひて、往来して其の中を行くを得る。穴壘(けつるい)の中に各(おのおの)に一狗(く)、狗(く)が吠ゆれば即ち人有り。艾(がい)と柴(さい)とを斬(き)り、長さ尺、乃ち窯灶(ようそう)の中に置き、先づ窯壁(ようへき)を壘(るい)し穴(けつ)を迎へて連版(れんばん)を為(つく)る。井を鑿(うが)ち城足に傳(つ)き、三丈に一、外の廣陜(こうきょう)を視て而して井を鑿(うが)つことを為す、慎みて失ふ勿(なか)れ。城は卑(ひく)く穴(けつ)が高くして穴(けつ)に従ふこと難(かた)きときは、井を城上に鑿(うが)ち、三四井を為(つく)り、新甀(しんすい)を井中に内(い)れ、伏して而してこれを聴く。審(つまびら)かに穴(けつ)の在る所を知り、穴(けつ)して而してこれを迎ふ。穴(けつ)して且(まさ)に遇(あ)はむとせば、頡皋(けつこう)を為(つく)り、必ず堅材を以って夫(それ)を為(つく)り、利斧(りふ)を以って之を施し、有力の者三人に命じて之を衝(つ)くに頡皋(けつこう)を用ひ、灌(そそ)ぐに不潔(ふけつ)十餘石を以ってす。趣(すみや)かに此の井中に伏せ、艾(がい)を其の上に置き、七八員、盆にて井口を蓋(おお)ぎ、煙(けむり)をして上(じょう)泄(せつ)せ令(し)むること毋(な)く、其の橐口(たくこう)に旁(そ)ひ、疾(と)くこれを鼓(こ)す。車輪を以って轀(うん)を為(つく)る。一束するに麻索(まさく)を樵染(せうせん)し、中を塗って以って之を束ねむ。鐵鎖(てつさ)、縣けて正(まさ)に寇(こう)の穴口(けつこう)に當(あ)つ。鐵鎖(てつさ)の長さ三丈、端に環(かん)、一端に鉤(こう)。鼠穴(そけつ)は高さ七尺、五寸の廣、柱の閒は也尺(やしゃく)、二尺に一柱、柱下は舄(せき)に傅(つ)き、二柱は共に一員士。両柱は質を同じくし、員士(いんし)を横にす、柱の大は二(に)圍(いん)半(はん)、必ず其の員士(いんし)を固くし、柱と柱と交はるは無し。
穴(けつ)に二(に)窯(よう)、皆穴(けつ)に月屋(がつや)を為(つく)り、為(ため)に吏、舍人、各一人を置き、必ず水を置く。穴門(けつもん)を塞(ふさ)ぐに車両(しゃりょう)の走(そう)を以ってし、轀(うん)を為(つく)り、其の上を塗り、穴の高下(こうげ)廣陜(こうきょう)を以って度(ど)と為し、穴中(けつちゅう)に入ら令(し)むりこと四五尺にて、之を維(つな)ぎ置(お)く。穴に當(あた)る者は客が伏門(ふくもん)を争ふときは、轉(てん)じて而して之を塞(ふさ)ぎ、窯(よう)の、三員(さんいん)艾(がい)を容(い)るるものを為(つく)り、其の突(とつ)をして伏尺(ふしゃく)に入ら令(し)め。伏(ふく)は突(とつ)の一旁(ぼう)に傅(つ)き、二橐(たく)を以って之を守り、離(はな)るること勿(な)からしむ。穴矛(けつぼう)は鐵を以ってし、長さ四尺半、大は鐵の服説(ふせつ)の如く、即ち刃の二矛。内に竇(とう)を去ること尺、邪(ななめ)に之を鑿(うが)ち、上に穴(けつ)して心(しん)に當(あた)れば、其の矛の長さ七尺。穴中に環利(かんり)の率(りつ)を為(つく)り、穴に二あり。井を城下に鑿(うが)ち、其の身を井にして且(まさ)に通ぜむとするを俟(ま)つ。版上に居りて、而して其の一遍を鑿(うが)ち、已(おは)れば而して版を移して、一遍を鑿つ。
頡皋(けつこう)に両夫(りょうふ)を為(つく)り、而して旁(かたはら)に其の植(しょく)を貍(うづ)め、而して鉤(こう)を其の両端に數(ふ)す。諸(もろもろ)の穴(けつ)を作る者五十人、男女相(あひ)半(なかば)す。五十人。内を攻め士の口を傳(つ)くを為し、六参(ろくさん)に受け、枲繩(しじょう)を約(やく)して以って牛(おさ)めて、其の下を提(てい)して而して與投(よとう)す可(べ)し、已(おは)れば則ち穴(けつ)の七人は退壘(たいるい)の中に守り、大廡(たいぶ)一を為(つく)り、穴具(けつぐ)を其の中に蔵す。
穴(けつ)を難(はば)むには、城外の池脣(ちしん)の木月(ぼくげつ)を取って之を散じ什(じゅう)し、其の穴(けつ)を斬(た)ち、深さは泉に到る。近穴(きんけつ)を難(はば)むには鐵鈇(てつふ)を為(つく)る。金(かね)と扶林(ふりん)は長さ四尺、財(わづか)に自(おのづか)ら足る。客(きゃく)即(すなは)ち穴(けつ)すれば、亦た穴(けつ)して而して之に應(おう)ず。
鐵鉤(てつこう)の鉅(きょ)の長さ四尺のものを為(つく)れば、財(わずか)に自(おのずか)ら足り、穴(けつ)徹(てつ)すれば、以って客の穴を鉤(こう)す。短矛、短戟、短弩、虻矢(ぼうし)を為(つく)れば、財(わづか)に自(おのづか)ら足り、穴(けつ)徹(てつ)すれば以って門(まも)る。金(きん)剣(けん)を以って難(なん)と為し、長さ五尺、銎(きょう)、木柄(ぼくえ)を為(つく)り、柄(え)は慮枚(ろばい)に有り、以って客穴(かくけつ)を左(さ)す。戒持(かいじ)の罌(かめ)は、三十斗以上を容(い)れ、穴中に貍(うづ)め、丈に一、以って穴者(けつしゃ)の聲を聴く。穴を為(つく)るは、高さ八尺、廣さ、善く傅置(ふち)を為る。鑪(ろ)の牛皮、橐(たく)の皮及び缶を具(そな)へ、衛穴(えいけつ)は二、靃(かく)及び艾(がい)を蓋陳(がいちん)し、穴(けつ)徹(てつ)すれば之を以って熏(くむ)ず。斧金(ふきん)は斫(しゃく)を為(つく)り、柯(し)の長さ三尺、衛穴(えいけつ)は四。壘(かく)を為(つく)り、衛穴(えいけつ)は四十、屬(しょく)は四。斤、斧、鋸、鑿、瞿を為(つく)り、財(わずか)に自(おのづか)ら足る。鐵校(てつこう)を為(つく)るに、衛穴(えいけつ)は四。中櫓(ちゅうろ)を為(つく)るは、高は十丈半、廣は四尺。横穴(おうけつ)八櫓、蓋(がい)を具(そな)へ稿枲(こうし)を為(つく)り、財(わずか)に自(おのづか)ら足り、以って穴中(けつちゅう)を燭(しょく)す。益(とく)に醯(けい)を持し、客が即(まさ)に熏(くむ)ずれば、以って目を救う、目を救ふには方(ほう)を分ちて穴(けつ)を鼓(こ)し、盆を以って醯(けい)を盛り穴中に置き、大盆(だいぼん)は四斗を少(か)くこと毋(なか)かれ。即(まさ)に熏(くむ)ずれば、目を以って醯上(けいじょう)に臨み及び以って目に洒(そそ)ぐ。


《備穴》:現代語訳
注意:軍事用語については、「墨子 巻十六 墨子軍事用語集」を参照してください。

禽滑釐先生が再拝々々して、言うことには、『質問いたします、古の人で上手に攻撃する者が居り、大地に坑道を掘り、その坑道に入って、柱を縛って火を付け、地下からの火攻めにより我が城を壊し、城が壊れると、或は、坑道の中の兵士がこのようなことを行うことに、どのように防御すればよいでしょうか。』と。子墨子が言うことには、『「穴土」の戦術への守備を問うのか。「穴土」の戦術に備えるには、城内に高樓を造り、それにより注意深く敵人を偵察監視する。敵人の変化が有り、垣を築き、土を集積することが、常態と違う場合、または、急に地下水が濁ることが生じ、それが常態と違う場合は、この現象は敵が大地に坑道を掘っているからであり、急いで、城内に塹壕を掘り、その大地に坑道を掘り、敵の坑道に対応する。井戸を城内に掘ることを行い、五步毎の割合で井戸一基を掘り、城壁の足下に造り、土地が高い場所では、一丈五尺、土地が低い場所では、地下水の得る深さより三尺ほど上の位置で井戸を掘るのを止める。陶芸者に瓶を造らせ、大きさは四十斗以上を容れるものとし、固く瓶の口を覆うのに薄い革を用い、その瓶を井戸の中に置き、耳の聞こえが聡い者に、瓶の上に伏して、地下の音を聴かせ、詳細に敵の坑道の位置を知り、坑道を掘って敵の坑道を迎え撃つ。
陶者に「月明」を造らせ、長さは二尺五寸で、太さは六抱えとし、月明は中をくり抜き半分に割った構造とし、それを合わせて坑道の中に施し、下半分を偃と呼び、上半分を覆と呼ぶ。坑道を支える柱の外側は十分に満遍なく土を塗り、その柱に土を塗ったものは焼けることはない。柱は柱が焼けることがないようにする。煙導管は十分にその半割を合わせた、その管の合わせ目に土を塗り、煙が漏れることが無いようにする。両方の端は皆、このように行い、坑道の掘削と共に煙導管を前に進める。下側は大地に接触させ、康、または、灰を煙導管の中に詰めるが、中を充満させることはない。灰や康は長くした五本繋ぎの煙導管に詰め、左右の煙導管は共に交差することが無いようにする。穴の内側の口に灶を造り、窯のような構造とし、七から八員の艾を容れて、左右の煙導管は皆、このようにする、灶は四橐を使う。敵の坑道と、ちょうど、遭遇する場合は、「頡皋」を用いて、敵味方の相互の坑道の間の壁を衝き、速やかに橐をふいごを使い、これを燻らす。必ず、明らかに橐を燻らす作戦を習った者に行わして、灶口を離れないようにさせる。
木製の連版は坑道の高い低い、広い狭いによって、調整し、坑道を掘る穴者に連版と共に掘り進ませ、その連版は溝を穿って矛を容れて置き、その疏數を参分して、それにより管本体の防護と配置を助ける。敵の坑道と遭遇したら、連版を用いて遭遇した穴に当て、矛を使って煙導管を守り、煙導管が敵により塞がれるのを妨害し、煙導管が塞がれたら、連版を引いて、そして、退却し、片方の一つの管が敵に遭遇して、煙導管を塞がれたら、その煙導管を穿って、その煙導管に煙を通じさせ、煙導管が通じれば、速やかに橐をふいごを使い、橐を燻らす。坑道の内より坑道の左右の音を聴き、音がすれば、速やかに敵の坑道の前を絶ち、敵の坑道が前進することがないようにする。もし、敵兵が坑道に集結すれば、敵の坑道を塞ぐのに柴を用い、土を塗って、連版を焼かれることがないようにする。このようにすれば、きっと、「穴土」の戦術による攻撃は敗退するであろう。』と。
敵の攻撃が我が城に至ることが、急激で通常の進撃速度で無い場合は、慎重に「穴土」の戦術に備える。「穴土」の戦術による攻撃が有ることを疑うときは敵の攻撃に応じて、坑道を準備することを急速に行い、敵の坑道が、まだ、到達していない場合は、慎重を期して追って坑道を延ばすことをしない。およそ、坑道を使って攻撃する者を破るには、二十步毎の割合で縦穴一基を置き、縦穴の深さは十尺、穿つ幅は十尺、掘って前に進み、一步毎に三尺を掘り下げる、十步毎に坑道の掘進を留め、左右に横掘進し、高さと広さはおのおの十尺とする。
「殺」に「両罌」を埋め、深さは城に地盤と同じ高さにし、その上に板を置き、板を連ねて、それにより井戸の音を聴く。五步毎に密。梓、または、松の木材を用いて穴戸を造り、戸穴には両に蒺藜があり、皆、その長さはその戸と同じとし、戸に環を取り付けて開閉し、石を外郭として積み上げ、その高さは七尺とし、堞の障壁をその外殻の上に加える。階段を造るのに石を用いることはせず、縣陛の吊はしごを用いて上下して出入する。炉とふいごを備え、ふいごは牛皮を用い、炉には二つ瓶を備え、ふいごは橋管を用いて、ふいごで風を送ること百十、おのおのにまた燻ることは四十什で、炭を燃やして之を塞ぎ、炉に炭を満してこれを覆い、送気が漏れて煙導管から抜け出ることが無いようにする。敵人が急速に五百歩の位置に坑道を近づけたなら、迎え撃つ坑道の位置を高くし、または、低くする。我が坑道に敵の坑道が接近しない場合は、斜めに坑道を掘ることにより味方の坑道を敵の坑道に通じさせる。坑道の中で敵人と遭遇したときは、皆、敵人を防いで、追うことはせず、戦う前に逃げ、「鑪火」が燃えるのを待ち、直ちに退却し、横穴に入る。
「殺」に「鼠竄」があり、その鼠竄には扉と錠前を取り付け、独り、軍令に従い、往来してその中を行くことが出来る。「穴壘」の中におのおのに一匹の犬が居り、犬が吠えれば、つまり、人が居る。艾と柴とを切り、長さ一尺とし、それを窯灶の中に置き、最初に窯壁を積み上げて、敵の坑道に対して連版を造る。立坑を掘って城壁の足元に近接させ、三丈毎の割合で一か所を掘り、外側の広い狭いの地形を見て視て、そして、立坑を掘ることを行うが、慎重に地形を判断して立坑の掘削を無駄にしないこと。城の地形が低く、敵の坑道の位置が高いために敵の坑道の探査を行うことが難しい場合は、立坑を城内の地盤に掘り、三から四の立坑を掘って、新しい瓶を立坑の中に入れ、耳の聞こえの聡い者を瓶の上に伏させて、敵の坑道の音を聴く。詳細に坑道のある場所を探知し、味方の坑道で敵の坑道を迎え撃つ。坑道を掘り、敵の坑道と遭遇しそうな場合は、「頡皋」を造り、それは必ず堅材を用いてそれを造り、鋭利な斧を備え付け、武勇の者三人に命じて敵の坑道を攻撃するのに頡皋を用い、敵の坑道に液体を注ぎ込むのに汚物十余石のものを用いる。速やかにこの立坑の中に伏せ、艾をその上に置き、七から八員の用い、盆にて立坑の口を覆い、煙が立坑の上から排気されないようにして、そのふいごの口に沿って、素早くこれをふいごで送気する。車輪を用いて「轀」を造る。車輪を一つに束ねるのに麻の紐を水に浸し、車輪の中を土で塗ってそしてこれを束ねる。鉄の鎖を懸けて、まさに敵軍の坑道の口に当てる。鉄の鎖の長さは三丈とし、端に環を設け、片方の端に鉤を取り付ける。「鼠穴」は深さ七尺、五寸の幅とし、柱の間は七尺、二尺毎に一本の柱を置き、柱の下は礎石に着いて居り、二本の柱は共に一つの員士がある。二つの柱は材質を同じとし、員士を横にし、柱の大きさは二抱え半とし、必ずその員士を強固にし、柱と柱とは交わることは無い。
坑道に二つの窯を据え、すべての坑道には「月屋」を造り、坑道の管理に官吏と舍人を、おのおの一人ずつを置き、必ず水を置く。「穴門」を塞ぐのに車両の車輪を用い、「轀」を造り、その表面を土で塗り、坑道の位置が高い低い、その幅が広い狭いを基準として「轀」を準備し、坑道の中に坑口から四から五尺の位置に入れ、これを綱で繋いで置く。坑道の管理に当たる者は敵が「伏門」を攻撃するときは、「轀」を転がして敵の攻撃を塞ぎ、窯には、三員の量の艾を容れるものを造り、その敵の突撃に対し味方の伏兵が待つ坑道に誘導する。味方の伏兵は敵の突撃の傍らに取り付き、二つのふいごを稼働させて伏兵を守り、艾を燻らさせて敵が離脱することがないようにする。「穴矛」は鉄を用いて造り、長さは四尺半、大きさは鉄製の鉄銊と同じようにし、つまり刃は二矛と同じである。内側に煙導管から離れること一尺とし、斜めに坑道を掘り、上方に坑道を掘り敵の坑道の中心部に当たれば、そこで敵を攻撃する矛の長さは七尺である。坑道の中に「環利」の率を造り、坑道には二つを備える。立坑を城下に掘り、兵士の体を立坑の中に入れ、敵の坑道が通じるのを待つ。板の上に居て、そこから一所を掘り、終われば、板を動かして、次の一所を掘る。
「頡皋」には二つの台を造り、そして片側にその植を埋め、それから、鉤をその両端に付ける。もろもろの坑道や立坑を造る者は五十人、男女は相半ばとする。五十人で坑内の掘削に従事し、坑道の仕口を前に進めることを行い、掘った土を「六参」の土もっこに受け、麻縄を結び付けて、それにより土もっこの引き上げの準備を整えて、土もっこの下を持ち上げて、そして、土を引き上げ捨て、規定の時間が終われば坑道を掘る七人は「退壘」の中で休息する。「大廡」一棟を造り、坑道を掘る道具をその中に貯蔵する。
敵の坑道掘削を阻むには、先に城外の池の周辺で、木や土器の欠片を取って、これを立坑の穴を埋め立てる雑多の芥とし、その立坑を掘り、深さは地下水の高さに到るとする。既に接近した坑道を阻むには鉄の斧を造る。鉄の刃と柄の長さが四尺あれば、それで長さは十分に足りる。敵が、もし、坑道を掘る場合は、また、対抗の坑道を掘って、これに対抗する。
鉄製の鉤の刃先の長さ四尺のものを造れば、それで長さは十分に足り、坑道が敵の坑道に通じたときは、敵の坑道の穴師を鉄製の鉤で引掛ける。短矛、短戟、短弩、虻矢を造れは、それで十分に足り、敵の坑道と通じたら、まず、味方の坑道を守る。金属製の剣を使えば問題はなく、長さ五尺、銎とその木製の柄を造り、柄は刃を固定する「慮枚」を設け、それにより敵の坑道の穴師を刺す。「戒持」の瓶は、三十斗以上を容れるものを用い、穴中に埋め、丈毎に一基、それで敵の穴師の声を聞く。坑道を造るには、高さは八尺、幅は十分に支柱を立てるものとする。鑪の牛皮、橐の皮及び煙導管を備え、見方を守る坑道には左右二列を置き、靃と艾を煙導管の中に充填し、坑道が通じたら、これらを使って敵兵を燻ぶす。斧の鉄刃は研ぎ立てし、柄の長さは三尺、見方を守る坑道に四丁を置く。土もっこを造り、見方を守る坑道に四十個を置き、鍬は四丁を置く。斤、斧、鋸、鑿、瞿を造れば、それで十分に足りる。鉄の「校」を造り、見方を守る坑道には四個を置く。中櫓を造り、高さは十丈半、幅は四尺とする。横穴には八櫓を造り、蓋を備え「稿枲」を造れば、それで十分に足り、それにより、坑道の中を灯す。とくに「醯」を持参し、敵が坑道を燻ぶせば、その「醯」で目を洗い治療し、目を治療するには、坑道の方々に換気孔を分けて設けて、坑道をふいごで送気し、水を容れる盆に醯を盛って坑道の中に置き、大盆には水を貯める量が四斗を欠くことが無いようにする。もし、敵が坑道を燻せば、目を盆の上の醯の水に伏せ、または、醯の水を目に注ぐ。
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