「核なき世界」へ「We Can」
オバマ米大統領は広島・長崎へ
今年で広島・長崎へ原爆が投下されから64年。
6日には広島で、9日には長崎で、それぞれ「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式)が開かれました。
私は、毎年この平和式典で行う両市長の「平和宣言」の内容に注目しています。
広島市の秋葉忠利市長は、「日本国政府は、『黒い雨降雨地域』や海外の被爆者も含め高齢化した被爆者の実態に即した援護策を充実すると共に、今こそ省庁の壁を取り払い、『こんな思いを他の誰にもさせてはならぬ』という被爆者たちの悲願を実現するため、2020年までの核兵器廃絶運動の旗手として世界をリードすべきです。
今年4月には米国のオバマ大統領がプラハで、『核兵器を使った唯一の国として』、『核兵器のない世界』実現のために努力する『道義的責任』があることを明言しました。
核兵器の廃絶は、被爆者のみならず世界の大多数の市民並びに国々の声であり、その声にオバマ大統領が耳を傾けたことは、『廃絶されることにしか意味のない核兵器』の位置付けを確固たるものにしました。
それに応えて私たちには、オバマ大統領を支持し、核兵器廃絶のために活動する責任があります。この点を強調するため、世界の多数派である私たち自身を『オバマジョリティー』と呼び、力を合せて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼び掛けます。その思いは、世界的評価が益々高まる日本国憲法に凝縮されています。」(略)
「被爆64周年の平和記念式典に当り、私たちは原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げ、長崎市と共に、また世界の多数派の市民そして国々と共に、核兵器のない世界実現のため渾身(こんしん)の力を振り絞ることをここに誓います。
最後に、英語で世界に呼び掛けます。
We have the power. We have the responsibility. And we are the Obamajority.
Together, we can abolish nuclear weapons. Yes, we can.」との趣旨を呼びかけました。
(私たちには力があります。私たちには責任があります。そして、私たちはオバマジョリティーです。力を合せれば核兵器は廃絶できます。絶対にできます。)
また、長崎市の田上富久市長は、次の趣旨の平和宣言を行いました。
「今、私たち人間の前にはふたつの道があります。
ひとつは、「核兵器のない世界」への道であり、もうひとつは、64年前の広島と長崎の破壊をくりかえす滅亡の道です。
今年4月、チェコのプラハで、アメリカのバラク・オバマ大統領が「核兵器のない世界」を目指すと明言しました。ロシアと戦略兵器削減条約(START)の交渉を再開し、空も、海も、地下も、宇宙空間でも、核実験をすべて禁止する「包括的核実験禁止条約」(CTBT)の批准を進め、核兵器に必要な高濃縮ウランやプルトニウムの生産を禁止する条約の締結に努めるなど、具体的な道筋を示したのです。「核兵器を使用した唯一の核保有国として行動する道義的な責任がある」という強い決意に、被爆地でも感動がひろがりました。
核超大国アメリカが、核兵器廃絶に向けてようやく一歩踏み出した歴史的な瞬間でした。
しかし、翌5月には、国連安全保障理事会の決議に違反して、北朝鮮が2回目の核実験を強行しました。世界が核抑止力に頼り、核兵器が存在するかぎり、こうした危険な国家やテロリストが現れる可能性はなくなりません。北朝鮮の核兵器を国際社会は断固として廃棄させるとともに、核保有5カ国は、自らの核兵器の削減も進めるべきです。アメリカとロシアはもちろん、イギリス、フランス、中国も、核不拡散条約(NPT)の核軍縮の責務を誠実に果たすべきです。」(略)
「日本政府はプラハ演説を支持し、被爆国として、国際社会を導く役割を果たさなければなりません。また、憲法の不戦と平和の理念を国際社会に広げ、非核三原則をゆるぎない立場とするための法制化と、北朝鮮を組み込んだ「北東アジア非核兵器地帯」の実現の方策に着手すべきです。
オバマ大統領、メドベージェフ・ロシア大統領、ブラウン・イギリス首相、サルコジ・フランス大統領、胡錦濤・中国国家主席、さらに、シン・インド首相、ザルダリ・パキスタン大統領、金正日・北朝鮮総書記、ネタニヤフ・イスラエル首相、アフマディネジャド・イラン大統領、そしてすべての世界の指導者に呼びかけます。
被爆地・長崎へ来てください。
原爆資料館を訪れ、今も多くの遺骨が埋もれている被爆の跡地に立ってみてください。
1945年8月9日11時2分の長崎。強力な放射線と、数千度もの熱線と、猛烈な爆風で破壊され、凄(すさ)まじい炎に焼き尽くされた廃墟(はいきょ)の静寂。7万4千人の死者の沈黙の叫び。7万5千人もの負傷者の呻(うめ)き。犠牲者の無念の思いに、だれもが心ふるえるでしょう。
かろうじて生き残った被爆者にも、みなさんは出会うはずです。高齢となった今も、放射線の後障害に苦しみながら、自らの経験を語り伝えようとする彼らの声を聞くでしょう。被爆の経験は共有できなくても、核兵器廃絶を目指す意識は共有できると信じて活動する若い世代の熱意にも心うごかされることでしょう。」(略)
「今、長崎では「平和市長会議」を開催しています。来年2月には国内外のNGOが集まり、世界のみなさん、今こそ、それぞれの場所で、それぞれの暮らしの中で、プラハ演説への支持を表明する取り組みを始め、「核兵器のない世界」への道を共に歩んでいこうではありませんか。」(略)
いつもこの平和宣言をお聞きし、私は広島の秋葉市長の宣言に感動していましたが、今年は、特に、長崎の田上市長の平和宣言に心うたれました。
それは、来年の核拡散防止条約の見直しを前に、原爆を投下した国であるアメリカのオバマ大統領が、プラハでの演説で「核兵器廃絶」を目指すことを表明したことに対し、であるならば、その実践のため、オバマ大統領のみならず核保有国全ての指導者が、被爆した長崎(広島)に来て、実際に被爆者の声を聞き、残されいる原爆投下による悲惨さを実感して欲しいと呼びかけたからです。
この背景には高校生が、当時原爆で被爆した方々が高齢化していることから、その記録を語りつぐことや、世界的な核兵器廃絶への呼びかけ、米オバマ大統領の長崎訪問要請の取り組みなど、市民活動に支えられた「平和宣言」であったと思います。
一方、来賓として出席した麻生首相は、「改めて日本が、今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向け、国際社会の先頭に立っていくことを、改めてお誓い申し上げます。」とし、 被爆された皆さんの保障に関しは「極めて異例な対応でありますが、一審で勝訴した原告の方々について、『国は控訴を取り下げることにより、原爆症と認定すること』を柱とする内容で、先日、合意をいたしました。原告団は、これをもって、集団訴訟を終結させることとなり、こうした合意に至ったことは、誠に喜ばしいことと考えております。」趣旨を述べました。
しかし、広島・長崎への原爆投下から64年経っても、国内においては全ての被爆者への保障すら先送りされ今日に至っている現実は、これまでの政府の責任が問われるとともに、政府の謝罪が先にあるべきと思いました。 、
また、麻生首相が行った記者会見で、日本は「核の傘の下」で守られていいると発言したと報道されたことに関し、平和式典で発言した「今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向け、国際社会の先頭に立っていくことを、改めてお誓い申し上げます。」とする表明は、信用出来できないと私は思いました。
総選挙を前に、日本の安全保障問題については様々論議のあるところですが、核兵器を世界から根絶するため、長崎市長の訴えたオパーマ大統領や全ての核保有国の指導者が、長崎・広島を今年中に訪問する取り組みを私は絶対的に支持し、その行動に積極的に参加したいと思います。
但し、その場合、世界大戦の発端となったハワイ島の真珠湾攻撃への謝罪の意志を表すため、日本の総理も訪問し犠牲者への慶弔を行われなければ、ならないと思います。
まだ、戦後は終わっていません。
「日本ブログ村」のブログランキングに参加しています。クリックしてご支援をお願い致します。