「共謀罪」法の施行に強く抗議する(談話)
2017年7月11日 社会民主党幹事長 又市 征治
1.安倍政権は本日、多くの反対の声を押し切り、「共謀罪」法(改正組織犯罪処罰法)を施行した。法成立後に行われた東京都議選で自民党が歴史的大敗を喫した事実からも、国民の懸念が未だ全く払拭されていないことは明らかである。しかも相次ぐ強行採決の末、参議院では、委員会採決を省く「中間審査」の奇策まで弄した法制定の過程を検証しても、法の無効性は明白である。社民党は、本日の法施行に対し、強く抗議する。
2.安倍首相は、国会閉会に当たっての記者会見で、「何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」、「冷静に、一つ一つ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならない」などといいながら、何ら説明は果たされていない。本日の法施行は、今なお、①何が「組織的犯罪集団」、「合意」、「準備行為」に当たるのか、②本当に一般人は捜査対象にならないのか、③計画段階の捜査で恒常的な監視など人権侵害の恐れや冤罪・誤認逮捕の危険性はないのか、④対象犯罪277は適正か、⑤国際組織犯罪防止条約(TOC条約)はテロを対象としているのか、⑥共謀罪のない現行の法体系で本当に日本はTOC条約を締結できないのか、⑦傷害罪など未遂段階では処罰するほどでもないとされてきた犯罪が未遂よりさらに前段階で適用対象となるのではないか――など根本的な疑問が積み残されたままの見切り発車であり、重大な危惧を抱かざるを得ない。
3.国会審議の中で、安倍政権は共謀罪法について「乱用はない」と繰り返し、法務省は施行に先立ち、全国の検察に通達を出し、「捜査に当たっては適正の確保に十分配慮しなければならない」と要請した。しかし、先の都議選の安倍首相の街頭演説の際に、「辞めろ」とコールした聴衆を「共謀罪で逮捕しろ」と求めるインターネット上の投稿に対し、自民党衆院議員が賛同の意を示すなど、早くも乱用・逸脱の憂慮が顕在化している。1925年に成立した治安維持法も、当初は対象範囲を狭く限定していたが、28年と41年の改正を通して全65条に膨れ上がり、適用対象は宗教・学術・芸術などに広がった。さらに「目的遂行罪」が追加され、結社をつくる目的のために集ったり語ったりしたとみなされれば取締の対象になるなど、次第に運用が拡大されていき、政府や軍に批判的な団体を摘発し、国民の思想を弾圧する根拠となった。治安維持法と「共謀罪」法を比べると、思想や信条など「内心」を処罰する恐れがあること、犯罪が実行されていなくても処罰の対象になる点など共通項が多く、治安維持法がそうであったように「共謀罪」法も拡大解釈が進み、社会を萎縮させることになりかねない懸念が拭えない。「日本には警察と秘密情報機関に対する独立した監視機関が必要である」との国連特別報告者のケナタッチ氏の指摘に耳を貸すべきである。
4.安倍政権による民主主義の破壊は、今回の施行強行で一層極まった。しかし闘いは始まったばかりである。施行後もあきらめずに声を上げ、絶対に黙らないことこそが抵抗の核となる。社民党は、同法に反対する国内外の幅広い団体・個人と一層連携を強め、一刻も早い廃止に向けて全力を尽くすことをあらためて宣言する。そして、アベ政治の暴走によって、危機に瀕する基本的人権を守り、民主主義を回復するために、国民の「知る権利」や表現・言論の自由を侵し、「一億総監視社会」に道を開こうとする安倍政権の打倒を高く掲げて、今後とも闘い抜く。
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