辻元清美国土交通副大臣への手紙
12月26日の新聞に「県内5ダム事業「検証」 国交省「浅川」継続に含みも」との見出しで、「国土交通省によるダム事業の『仕分け』で、県が推進する浅川ダム(長野市)が検証対象に含まれた。ただ、『県の最終判断を踏まえ、別途あらためて判断する』との方針も示されており、県は予定通り入札手続きを進める姿勢だ。一方で、同ダム建設に批判的な住民からは、これを機に再度、事業の是非に関する論議を求める声も聞かれた。」と報道されました。
実は、12月24日に並行在来線への支援策の要請活動を行った際、私はこの浅川ダム計画について手紙を作成し、辻元清美国土交通副大臣と社民党重野幹事長に、説明している時間がありませんでしたので、「是非読んで下さい。」と言って直接手渡しました。
お二人とも「分かりました。」と言って、受け取ってくれました。
新聞報道では、「年度末時点で検証対象から除く可能性にも含みを持たせた。」とされており、今後、この手紙の内容に基づいて年明けにも関係者への要請活動も含め対応したいと考えています。
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国土交通副大臣 辻元 清美 様
社民党長野県連合副代表
長野県議会議員 竹内久幸
長野県営浅川ダム計画の継続について、ご尽力をお願いします。
前原国交大臣は、全国に計画されている県営ダム計画についても見直す意向を示していますが、長野市に計画されている浅川ダムについては、独自の経過があることを是非ともご理解賜りたいと思います。
2001年2月、前田中康夫知事は突然「脱ダム宣言」を行い浅川ダムを含む幾つかのダム計画の中止を表明しました。
私は浅川流域で水害対策に取り組んで来た経験から、唯単に中止でなく河川流域にはそれぞれの歴史や実状があり、新河川法の精神に基づいて流域住民と一緒に白紙から検討する必要があると考え、当時県内に計画されていた9つのダムを対象とした「治水・利水ダム等検討委員会条例」を議会に提案しました。
そして、その後、この検討委員会のもとに各流域部会が設置され、私も検討委員と3つの流域部会に所属し、精力的な活動を行いました。
この検討委員会は、現地調査等を除き2年間で計32回、各部会は公聴会も含め各13回~16回行われ、答申後も、その後の対応を協議するための流域協議会が設置され、今日に至っています。
この取り組みを通じて出された方向は、下記の通り計画中であった9つのダムの内、5つのダムが中止、3つのダムが凍結となり、浅川は「穴あきダム」に変更となりました。
■中止のダム計画
・大仏ダム 【松本市】(治水・利水ダム)
=利水を市が撤退・治水は河川改修で
・清川ダム 【飯山市】(治水・利水ダム)
=融雪は市独自で・治水は河川改修で
・下諏訪ダム【下諏訪町】(治水・利水ダム)
=利水は岡谷市が撤退・治水は河川改修で
・郷士沢ダム【豊丘村】(治水・利水ダム)
=利水はその後の調査で当面の水源確保・
治水は河川改修で
・蓼科ダム 【茅野市】(開発行為ダム)
=河川改修で対応
■凍結(休止中)のダム計画
・角間ダム 【山ノ内町】(治水・利水ダム)
=利水水源は調査中・治水は地元の同意は得 得ていないが河川改修で可能
・黒沢ダム 【安曇野市】(治水・利水ダム)
=利水は調整中
・駒沢ダム 【辰野町】(治水・利水ダム)
=治水は流量観測中・利水は今後の討課題
ただ、浅川ダムについては、検討委員会は基本高水流量を下げることによって河川改修等で対応すれば良いとしましたが、地元の同意が得られず前田中知事はダム計画高水流量での「代替案」を検討しましたが、最終的にコンサルタントに委託し出された案の内、国の認可が得られ一番財政的にも現実性があった案が「河道内遊水池」(穴あきダム)であり、その後現知事となって河川整備計画の認可を得て今日に至っています。
つまり、この浅川のダム計画は、「脱ダム宣言」を受けて住民参加により、多大な時間と経費をついやし「出来るだけダムによらない治水・利水」を検討して来た結果の決着点であることをご理解下さい。
新政権のもとで全国的な見直しは結構なことですが、長野県の様にこれまで住民が互いに論議し合い多大な動力と苦労を積み重ね方向を出したダム事業まで、他の政党の党利のために活動を行っている皆さんに依拠し、全国一律に判断されることだけは絶対になされないようお願い致します。
反対されている皆さんは、私の提案した「治水・利水ダム等検討委員会条例」にも反対するなど、最初から反対が目的化しており、今もその姿勢は変わっていません。
しかし、私達が行って来た取り組みは、治水・利水への流域住民参加の取り組みであり、その結果から導き出された9つのダム計画に対する結論について、浅川も含め長野県では社民党も民主党も賛同していることをご理解下さい。
もし、新政権が一部の責任のない政党や過激な皆さんに迎合し、浅川も見直しの対象とした場合は、それは、「地域主権」ではなく、地方自治や住民自治を無視した中央集権的な政治として私は許すことは出来ません。
以上の経過をご理解賜り、辻元副大臣には適切な対応をしていただくようお願い申し上げます。
なお、今後、ダムの設置基準等について有識者で検討して行くことも報道されていますが、浅川の様に「基本高水流量」の妥当性について激論を交わし合い、既に河川整備計画の国の認可を得ているものについては、さらなる混乱を招くことから対象外とされるよう、あわせてお願い申し上げます。
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この手紙の参考資料として、私が2007年6月定例県議会で行った討論内容も一緒に手渡しました。
http://www.ne.jp/asahi/nagano/21/dam/d_07071000.html
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