3月30日、子ども医療費の窓口負担の見直しに向けた県と市町村の検討会が開催され、受給者負担金(レセプト代)を除き医療機関の窓口で医療費を支払わなくて済む「窓口無料化」の対象年齢を「中学卒業まで」にすることを決め、77市町村が足並みをそろえ、2018年度中に実施する方向を出しました。
子ども医療費の窓口負担は、現在、受診者の保護者が医療機関の窓口でいったん全額支払い、市町村が後日、受給者負担分を除いて保護者の口座に振り込む方式を採用しています。
国は昨年12月、窓口負担がない方式を取る市町村に対して科してきた国民健康保険の補助金減額措置(ペナルティー)を、18年度から未就学児分までは撤廃すると決定したことを踏まえ、県は今後の対応を決めるため市町村との検討会を設置し検討を行ってきたものです。
私の所属する会派では1月に、国の決定を踏まえ、この際、子育て支援先進県を目指す県として当面義務教育(中学)まで拡大し、高校については市町村の意向を踏まえ検討すべきとの申し入れを知事に行って来た経過があります。
県は検討会で、県内77市町村を対象に2月に実施した意向調査の結果を公表しましたが、医療費を窓口で支払わなくて済む年齢の上限について、ペナルティーが科せられない「未就学児まで」としたのは31自治体で、「小学校卒業まで」が2自治体、「中学卒業まで」が13自治体、「高校卒業まで」が31自治体でした。
一方、県が市町村を財政支援する場合の対象範囲の拡大についての問いでは、「未就学児まで」「小学校卒業まで」と回答した33自治体のうち、3分の2の22自治体は対象範囲の拡大を検討すると回答し、「拡大を検討しない」と回答した11市町村についても、「県で統一の方向が示されれば、前向きに拡大を検討することを個別に確認済み。」と報告されています。
検討会は、対象範囲を巡っては非公開でしたが、こうした調査結果から、これまでの検討会で確認している「市町村で足並みを揃える」ことや「市町村との合意形成が必要」との観点から「中学卒業まで」とすることで、まとまったと思われます。
また、調査での県に対して希望する市町村の財政支援の内容では、「中学卒業まで」の場合「1/2」とした市町村数は19、「全額」は3、「できる限り拡大を希望」は7等となっています。
県では、対象範囲を「中学卒業まで」とした場合、市町村側がペナルティーを受けるかどうかは国民健康保険の加入者に占める対象者の割合などによって異なるため詳細な各市町村ごとの影響額は現時点では試算していませんが、ペナルティーを受ける市町村に財政支援する方針で、今後、支援の範囲などについて検討するとしています。
この点について、2月定例県議会の健康福祉委員会には、概ねの概算の試算が示されましたが、「中学卒業まで」拡大した場合、年間の影響額は、国保減額調整額が県全体で約8億円、付加給付停止額約1億9千万円とし、障がい者、母子家庭の母子等等及び父子家庭の父子に対し要する経費について、市町村に補助金を交付する「福祉医療費給付事業補助金」も対象にし「全受給者」対象とした場合、総合計で、国保減額調整額が約13億9千万円、付加給付停止額約3億円の影響額があるとしています。
仮に今後県が現時点で、市町村要望が多い二分の一の補助を行うとした場合、県の負担は年間約4億円~8億円になると思われます。
検討会では、このほか、現在、受給者負担金(1レセプト当たり最大500円・診療報酬明細書)の対応が協議されましたが、「現行水準を維持することで一致した。」と報道されました。
この課題については、そもそも300円から500円に値上げした経緯には市町村会も係わっており、その対応が注目されましたが、検討会の第1回目の会合で「多額の財政負担が生じるため、現行維持とすべき」等の意見が出され、市町村への調査結果では、「現行維持」が66市町村(85.7%)、「廃止」が9市町村(11.7%)であり、「受給者に税金を財源として制度が成り立っていることを認識してもらう取組が必要」等の意見が寄せられたことが背景にあると思われます。
2月定例県議会の健康福祉委員会に提出された資料によれば、受給者負担金を中学校卒業まで廃止した場合の影響額は、年間7億7千万円、全受給者を対象とした場合は16億7千万円としています。
なお、先の2月定例県議会では、所属する会派から「国会及び政府において、国民健康保険の国庫負担減額調整措置を廃止する範囲を、義務教育終了まで拡大するよう強く要請する。」するとする「子どもの医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担減額措置に関する意見書(案)」を提案し、自民党以外の会派所属議員等の賛成多数で可決しています。



日本ブログ村のランキングに参加しています。クリックしてご支援をお願いします。